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日本と中国の相互発展に向けた人材相互活用

日本は少子高齢化が進んできて近い将来人口が激減する見通しです。人口減は経済の衰退に直結しており将来日本はますます衰退していくのは確実です。それに歯止めをかけるためには労働人口を増やすことが先決ですがいきなり日本人の出生率が高まるわけではありません。そこで考えられるのがお隣の大国である中国の人材の活用です。中国は教育レベルが高まってきて非常に優秀な若者がたくさんいます。彼らは国内のトップ大学や海外では欧米のトップ大学を目指し、残念ながら日本へはあまり多くは来てくれません。しかしながら一定数の日本に親近感を感じてくれる若者もいて日本の大学に留学に来てくれる人もいます。そういう方々に将来的にも日本で活躍していただける仕組みを作れば日本経済の維持発展に繋げられます。実際に私の経験では日本の大学に留学して日本の企業に入ってきた中国人の若者は大変優秀で意欲が高いです。日本語もペラペラで問題ないですし仕事も貪欲に覚えて主体的に進めてくれる人が多いです。もちろん人によりますが大きな可能性を秘めた人材活用だと思います。

一方で中国では優秀な若者はITなどの先進事業領域に入っていきます。そのため現在の経済を支えている既存事業の領域では人材の確保が比較的難しく発展できていない様子が伺えます。ここに日本の経験を有するベテラン人材を投入すれば中国では置き去りになっている既存の事業領域の発展が図れると思います。日本経済の衰退により中高年が職を失うケースが散見されてきました。彼らが培ってきたノウハウを日本で埋もれさせるのではなく中国で活用させてはどうかと考えます。

日本と中国の相互発展のために考えていきます。

愛すべき老中国 マッサージ

現在でも日本よりはずっと多いですが中国にはマッサージ屋さんがたくさんあります。特に長春ではいたるところにマッサージ屋さんがありました。マッサージ師もたくさんいて夕方にの道具を持って出勤している姿をよく見たものです。そんな状況なので出張マッサージも気軽にできました。私もお酒を飲んだ後によくマッサージに来てもらっていました。詐欺も多いので個人のマッサージは危険です。だから少し高いけどホテルを通して注文していました。身体には良くないですが酔っ払ってマッサージしてもらうのは至極の気持ちよさでした。マッサージ師とおしゃべりすることで中国語力を向上しようという狙いもありました。

ある日例によってお酒を飲んだ後にマッサージに来てもらいました。気のいいおじさんのマッサージ師で「長春には何をしに来たの?」などと話しながら足を揉み始めました。その時はかなり疲れて酔っていたので足揉みがいつもに増してすごく気持ちが良く、あっという間に眠ってしまいました。気がつくとおじさんにトントンと肩を叩かれています。「終了時間になりましたよ。どうしますか?」

私は足の裏を一二回揉まれてその後すぐに記憶をなくしたのでマッサージをしてもらった満足感がなく、「せっかくお金を払ったのにちっとも満足感がない。しかもこのおじさん、私が寝ている間全く何もしてなかったのではないか?」と疑惑の念を持ちました。

そこで、このおじさんがちゃんと時間いっぱいマッサージをしているのか寝たふりをして確かめてやろうと思いました。延長をお願いしておじさんの前にへ足を投げ出しました。ところが足の裏を一二回揉まれるとまたすぐに強烈な眠気が襲ってきて、気がつくとまたおじさんがトントンと肩を叩いていました。

あまりに悔しいので今度こそ!と再延長をおじさんに申し出たのですが、おじさんの方から「お客さんどうせ寝てしまうんだし、マッサージやりすぎると体に良くないですよ」と諭されてしまいました。

結構なお金を払ったのに全く満足感がない残念なマッサージでした。

愛すべき老中国 〜長春文化広場の上空に舞い飛ぶUFO

長春の文化広場は建設が進んでいた偽満州国の皇居の前の広場です。中国で2番目に大きい広場と言われ多くの市民が踊ったり凧揚げをしたりして楽しんでいます。長春に出張に行った時はこの広場の比較的近くのホテルに泊まっていました。

長春は春風がものすごく、嵐のように吹き荒れます。黄砂どころか小石の粒が飛んでくるような勢いで外を歩いていたらバチバチ顔に当たってきて痛いほどです。

ある日同僚がホテルの窓から、UFOの大群が文化広場の上に舞い飛ぶのを見た!と大騒ぎしました。「それはおじいちゃんがあげている凧だろう」と話したのですが彼は譲らず、「あれは間違いなくUFOだ!」と言います。なぜならば、「すごい勢いで上昇したかと思えばスト横に移動し急降下する。糸でつながっている凧ではありえない動きだ。しかも色は白く霞んでいて目を離すと消えてしまう。それが何機も乱れ飛んでいた!」とのこと。写真を見せてもらうと確かに複数の白薄い物体がかなり高い位置に浮かんでいます。彼はそれを雑誌に投稿するのだと息巻いていて、次の週末には正体を確かめるべく終日文化広場で待ち構えるのだということでした。みんな半信半疑ながらそれなりに期待しつつ彼の報告を待つことにしました。

週末明けにどうだったか彼に尋ねました。彼はがっかりした表情で「違っていた。UFOではなかった。空を飛んでいたのは買い物袋だった。」と答えました。2008年の北京オリンピックの頃当時の長春ではへまだまだゴミのポイ捨てがひどく、そんなところに強い春風が吹くものだからゴミが舞い上がって空を浮遊していたのです。UFOだと騒いでいた彼の落胆した様子は可哀想なほどでした。

中国のラーメン

麺類は中国の庶民の一般的な食べ物です。日本のラーメンは中国の麺から発展してきたものだと言われています。日本のラーメンはどんどん美味しく日本のラーメンはどんどん美味しく改良が進み、今では日本の特産品のようになってきました。台湾や中国の人にも大変好まれ、日本のラーメン屋さんがたくさんできています。「麺は中国発祥なのに後発の日本に乗っ取られた」などと言う人もいます。

しかし今や種類は大きく違いますがやっぱり中国の麺類はおいしいと思います。私が特に好きなのはなんといっても蘭州ラーメン。麺が手打ちでもっちりと美味しくスープは薄味ですがいろんな味付けがあります。多くの日本人が好きな中国ラーメンだと思います。私は香菜を入れるのが好きなのですが、多くの日本人は香菜が嫌いなので、だめな人は入れないように注文する必要があります。私の友人が何も言わずそのまま注文してしまいすべて箸で取り出していました。香菜が嫌いだなんて、中国料理の美味しさが分からないだろうと思うのですが。

次に好きなのが重慶小麺です。辛さと山椒のピリピリ感がなんともいえずクセになります。好きすぎて重慶に行ったときに昼ごはんに毎回頼んだのですが、夜は夜で辛い火鍋を食べていたのですっかりお腹の調子を悪くしてしまいました。やはり刺激の強すぎる食べ物はほどほどにしなければなりません。日本に戻った今も無性に食べたくなる忘れられない味です。

その他にも街角の屋台で売っている小さなお椀に入っている麺とかちょっとしたものがとてもおいしかったです。小腹が空いたときによくいただいてました。屋台は環境衛生面への規制から現在は都市部ではほとんどなくなったと思います。また食べてみたいものだと思います。

一応Amazonで売っている蘭州と重慶のインスタントラーメンを紹介しますが、やっぱり本場の味とは全然違いますね。

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苦行の酒?茅台酒

2004年ごろから中国の長春で仕事を始めました。当時は中国はまだまだ発展途上で我々日本の技術者は中国の会社に技術指導をする立場でした。なので中国の人たちにとても大事にしていただきおもてなしもして頂きました。その中で一番困ったのが白酒による乾杯攻撃でした。私が行っていた会社は国有企業だったということもあり当時は歓迎会が非常に豪華で料理もお酒も高級なものがふるまわれました。そこでいつも出てくるのが茅台酒でした。

この茅台酒ですが当時はアルコールがきついだけで全くおいしいと思えずそれどころか何度も何度も乾杯を強制されるので次第に辛い酒、苦行の酒と認識するようになりました。何杯も飲んでベロベロになってホテルに帰る、そして次の日はひどい二日酔いのまま出勤して仕事をする、そしてその夜また乾杯攻撃、こんな毎日を繰り返しているうちに茅台酒が本当に嫌いになりました。プロジェクトが終わって帰国する際などにお土産に茅台酒を持たせてくれようとするのですが、私としては全く嬉しくなく、何とかお断りするか、どうしても持たされた場合は日本に持って帰って中国人の知人にあげたりしていました。

そんな茅台酒をわざわざ買って日本に持ち帰る強者の同僚がいました。どうするのかと聞くと正月に帰省して田舎の友達と一緒に気合で飲むのだ!と言ってました。

時を経て落ち着いて発展していく中国を落ち着いてみられるようになって、ようやく茅台酒が超高級なお酒だということに改めて気づかされました。しかも驚くほど高い!超高級なだけに偽物もかなり出回っていると聞きますが当時私がいただいたお酒は政府関係の人から回ってきたものだということでしたのでおそらく本物だったのだろうと思います。お土産にくれようとするのを断るなんて、なんともったいないことをしたのだろうと今更ながらに後悔しています。

あの頃、もう少し落ち着いて飲ましてくれたらよかったのに!と当時の中国人の友人と懐かしく話したりしています。

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リモートワークの利点 外国など遠隔地での活動が可能に

コロナが長期化して国をまたがる移動が難しくなっています。入国しても隔離、帰国しても隔離と、渡航したら多くの日数を浪費することになります。特に中国の場合、省によっては隔離が60日や90日と非常に長いものになります。会社員の場合従来の認識ではその間有給休暇等を取得する必要があり仕事も止まってしまうので実質渡航は無理ということになります。そのため中国人の同僚が2020年初頭からずっと帰省できないままで気の毒な状態でした。

それがリモートワークの発展で一転しました。ネット環境さえあれば勤務場所を限定する必要がなくなってきたので、隔離期間中も帰省期間中も、リモートで勤務できるようになりました。私が務める会社の場合は業務管理さえきちんとできれば勤務地が外国でも問題ないことになり、中国人の同僚も無理なく帰省できることになりました。

禍い転じて福となす、コロナで行動が制限された一方、それによって発展したリモートワークで場所にこだわらずに仕事ができるようになってきました。それは居住地にいながら遠隔地や外国で働けることで、仕事や教育など、各種活動の選択肢が大きく拡大する可能性が出てきました。現在は画像や音声に止まっていますが、これから更に5G6G、AI、IoTなどの進化でモノも伴う遠隔業務も可能になる日は近いと思います。大いに期待しています。

ところで、多くの人がリモートワークをやっていて改めて気付くのが、やっぱり会社は良い勤務環境を整えているということ、特に椅子の良し悪しは長時間座って仕事をする人には死活問題です。リモートワークが増えて、運動不足も相まって腰を痛めたという人が沢山います。少なくとも椅子と机だけは良いものを準備したほうがよさそうです。

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恐怖の微信紅包

フィンテックが発展した中国では微信(WeChat )でいろいろな取引ができて大変便利です。しかしその中に私が恐怖を覚える機能があります。お年玉(紅包)の配布機能です。グループチャットを作ってそこに提供者がお金を投じるとランダムな割合で分割されてそれをグループメンバーが受け取っていく仕組みです。クジ的な要素もあり大いに盛り上がります。

困るのは宴会の場でこれが多用されることです。ただでさえ中国の贈り物の文化では大きなお金が動きます。現金取引の頃には我々外国人はその慣習の中になんとなく入れず(入らず)出費はあまりなかったのですが、微信のこの機能のおかげ(せい)で外国人でも簡単に参加できるようになりました。年末の宴会はいろんなグループ単位で何度もあり、その度にリーダーやアドバイザーの立場の我々は大金をむしり取られます。しかも飲み会の場で始まった際にはみんな酔っ払っているしクジで配分が少なかった人は次こそはと期待するので、大いに(無駄に)盛り上がって「谢谢老板!」のおだて声で何度も何度も繰り返されます。そうやって我々はお年玉貧乏になってしまうのです。

もちろん愚痴であり冗談です。僅かな()お金でチームメンバーと交流が深められてとても良いことだと思っています。そう思ってはいますが、年末、春雪前になると携帯が壊れないかなと密かに期待してしまう外国人は私だけではない筈です。

目を合せない人たち

以前の中国は交通ルールが守られておらず、歩行者は思いのままに道を横切っていました。車が来ていようが平気で渡ります。大通りの真ん中に突っ立って車をやり過ごしている人もいます。明らかに車の通行の邪魔で危ないのに全く意に介する様子はありません。これらの人をよく見ると近くの車は全く見ずに、遠くだけを見て渡るタイミングを待っています。自分を避けるのは車の方だと思っているのか、それともそれすら考えていないのか、全く見ないのです。車に乗っている側からそういう人を邪魔だからと睨み付けても一切目を合わせません。

横断歩道を渡る時も同じです。喋りながらダラダラ渡って信号が赤になってもまだノロノロ歩いている人がいます。速く歩け!とばかりにクラクションを鳴らしても、そして睨み付けても、一切目を合わせません。

遠くの人と会話をする時なども同じです。(日本人的常識からみると)異常に大きな声で遠くの人と唾を飛ばしながら話をして、その間にいる人のことは全く気にしない人がいます。私などは目の前でこれをやられるとイラッとするので睨み付けるのですが、一切目を合わせません。地下鉄への乗車も同じ。我先に入る人、出る人、前の人の邪魔になろうがぶつかろうが全く気にせずグイグイ進む、一切目を合わせません。

自分と自分が関係する人以外は存在しないかのように全く目を合わせない、これは当時の私にとっては衝撃でした。人の迷惑を全く考えないのか、そもそも誰も迷惑だと思わないのか、どちらかというと後者だったのでしょう。日本のマナーの常識で生きてきた私としては、怒りを通り越して呆れ、こういう人たちは全く違う生き物だと考えるようになりました。そうでもしないと理解できない現象だったのです。

現在は中国人のマナーは日に日に向上しています。横断歩道を渡っている人が左折車が待っているからと小走りに急いで渡っていく女子学生の姿などを見ると、昔を知る私などは今でも驚きます。ただ、今でも特に年配の人には「一切目を合せない」人もいます。マナー向上への過渡期なのだろうと思います。

香港人と中国人はこんなに違う。マナーのない中国人と礼儀正しい香港人?10分で読めるシリーズ

パジャマで出歩く人たち

中国に行く日本人の間でよく話題になることの一つに中国人の開けっぴろげな行動や服装があります。日本的感覚では違和感を感じることがしばしばあります。社会の発展に伴って身だしなみの意識やファッションセンスが大きく進化して以前ほどではなくなりましたが、今でもアレ?と思うことはあります。

個人的に最も違和感を覚えるのはパジャマで出歩く姿です。以前いた長春は、部屋に風呂やシャワーがない部屋も多く、近所の銭湯に行く人が多い街だったので、洗面器を持った人たちがパジャマで銭湯に向かう姿をよく見かけました。その延長なのか、近所にちょっとした買い物に行く際にパジャマのまま外出する人もたくさんいました。地域性なのか時代が変わったからなのか分かりませんが、移り住んだ南京ではパジャマウオークの人は少なかったですが、それでもたまに見かけます。特に大学に行くとパジャマ姿で構内の共同浴場に向かう若い女性を見て驚きます。大学生たちは基本校内の学生寮に相部屋で暮らしていて風呂は共同の大浴場が多いようです。

その他、スカートが超ミニだったりおへそを出すファッションが多いなど、女性の露出は日本人より多いと思います。しかも若い人だけではなく中高年の女性もそういうファッションを楽しんでいます。女性のファッションについては欧米の暖かい地域でも露出が多いので、日本のファッションが保守的なのかもしれません。

そんな光景にも慣れてくるもので、今では頭上に干されたカラフルな下着がヒラヒラ舞う道で元気にしゃべる超ミニのおばさんたちを見ても、違和感を感じなくなりました。

愛される日本のブランドへ

新型コロナ後の操業再開で中国の自動車市場が急ピッチで回復しています。3月4月と販売台数は伸び、5月には新車販売台数が前年同月の水準に迫り、中古車販売台数は前年同月を上回る可能性があるそうです。その中でも日本車、特にトヨタの人気が高まってきているそうです。

中国メディア・東方網の記事によると、安全基準を満たした上での軽量化(=燃費向上)などの性能面での優位性の他に、長年の地道な取り組みで培われた確かな品質とその信頼性があるということでした。トヨタの品質への取り組み目には見えないですが中国人の間では大量の口コミで蓄積されていて、多くの人が安心してトヨタの車を購入する流れに繋がっているそうです。そんな基盤が出来上がっているので中古値崩れもトヨタが最も小さく、更に愛されることに繋がっているそうです。

トヨタを代表する日本の自動車会社は、中国が自動車ビジネスに挑戦を始めた最初の時期に、中国市場への参入を躊躇ったために、躊躇わなかったドイツ、その後に入ったアメリカの会社に大きく出遅れました。それから約40年、地道な活動を続けてようやく中国市場で確固たるポジションを占めるようになってきました。あまりにも日本的なところが微笑ましく、日本人にとっては嬉しいことです。

トヨタはBYDと組んでEVの中国生産も開始することにしています。中国で愛される日本のブランドは他の国に比べてまだまだ少ないですが、トヨタや他の自動車会社、製造会社も、日本らしい誠実・真摯な取り組みを粘り強く続けて、中国の人たちの信頼を得ていって欲しいものです。

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日本人は怖くないの?

2020年8月現在、日本では新型コロナ感染者が増え続ける中、経済活性化のために政府主導でGoToトラベルキャンペーンを実施しています。一方中国では新規感染を厳しく管理しており、ある都市で新規感染が発生したら立ち入り制限がかかり、その都市から来た人は14日間隔離です。個人が健康申告をしてQRコードを取得していてそれを示さないと移動もできません。

そんな中で出向業務を終えて帰国する私に多くの中国人の同僚が声をかけてくれました。「任期を延長した方が良いのではないですか?」と。日本の新型コロナの無管理状態を危惧してのアドバイスです。

日本が春先に新型コロナを抑え込んだ際には「さすがは衛生観念の優れた日本だ」と称賛されたものです。私も日本人として鼻高々でした。社団法人が送った支援物資の段ボールに書いた漢詩「山川異域風月同天」は中国人に広く知れ渡っており、中国が苦しい時に一番支援してくれたのは日本、日本が苦しくなったら中国が支援するという風潮が生まれました。中国からも大量のマスクなどが送られました。

しかし今は空気が変わってしまっていると感じます。新規感染者が増え続ける中でも政府が旅行を奨励して国民がそれに応じる、中国的感覚では正気の沙汰ではなく、理解できません。他人の面子を重んじる中国人、日本人の私に面と向かって日本の批判はしませんが、「日本人は怖くないのですか?」と日本人の友人が多い中国人から遠慮がちに言われた時には、やるせない気持ちになりました。

東京オリンピックも来年に控える日本。短期集中で真剣に対策して実績をあげ、世界に範を示す時なのではないのでしょうか?

新型コロナ隔離、日中の違い

新型コロナ対策の14日間の隔離を中国と日本で経験しましたがその違いも感染抑制の差に繋がっていることが分かります。中国の隔離は完全管理、日本の隔離は性善説に基いた自主管理といえます。そして結果からみると感染者は中国は抑制できており日本はできていません。

入国時にPCR検査を実施して陽性だったら政府指定の病院に移送することは中国も日本も同じです。違いは陰性だった場合の隔離です。

隔離場所は、中国は地方政府指定のホテルです。ホテルへの移動も政府が手配したバスでまとめて運びます。部屋からは一歩も出られずドアを開けて良いのは食事の受け取りや検査の際だけです。対して日本は自己手配ホテルもしくは自宅での自主隔離です。移動は「公共の交通機関を使わないこと」が決められているだけでその管理もサポートもありません。そして隔離中の外出が、自粛の要請はありますが可能です。

検査は、中国では隔離場所に入ってからPCRを一回、隔離中に血液検査を一回(行政区により違いがあるらしい)、隔離終盤にPCRを一回やります。体温チェックは毎日です。日本では空港で入国前にPCRを一回、その後は政府機関による健康状態のアンケートです。

隔離解除の判断は、中国では医師が立ち会ってPCRと血液検査、体温測定の結果と当日の体調確認の上で行います。日本では個人の判断で、14日間経過して体調不良がなくなったら自分の判断で解除します。

中国では2週間完全に隔離してクリーンになったことが確認されてから社会生活に入っているといえます。外国からの流入は理論上はシャットアウトしているといえるでしょう。中国の全体主義的管理の是非が議論されますが、新型コロナの外国流入から国民の命を守ることについては素晴らしい管理をしているといえると思います。

酒と出世

以前の中国は飲み会がすごかったと聞いて違和感を感じる人が多くなったのではないでしょうか?先日参加した職場の飲み会では8人のうち3人が酒を口にせず、3人がビールを一二杯だけ。白酒が一本あったのですが飲むのはリーダーと私だけだったので、空けるのにとても苦労しました。もう飲み会というよりは完全に食事会の様相です。

以前は酒を飲むのが出世の条件や手段の1つで、飲み会では上司や取引先に挨拶しながらアルコール度数がバカ高い白酒で何度も何度も乾杯(一気飲み)をしていたものです。仕事は全くできないのに高い職位にいる不思議な人がたくさんいましたが、おそらく酒で構築した人脈による昇進だったのだろうと思います。そういう環境なので酒が弱い人も必死で飲んでいました。宴会後半はみんな酔っ払ってバカ騒ぎになってその後はトイレにこもってしまうのがお決まりの光景でした。翌日は二日酔いで仕事にならないながらもなんとか会社には出て、机に突っ伏して寝ていたりトイレにこもったりしていました。そういう生活を長年続けると当然体に良い筈がありません。出世はしても体を壊して競争から脱落する人もたくさんいました。

飲み会ならぬ食事会になった今となっては酒が出世の条件ということはありません。昔のノリで飲んでいるおじさんは、避けられこそしませんが少し浮いた存在になりつつあります。中国らしくなくなって面白くないと思いつつ、飲み会を恐怖する必要がなくなりほっとしています。

中国でモノを買わない理由の変化

私は中国への行き来が出張・駐在含めて16年以上になりますが、理由は違えど一貫して中国でモノを買う気になりません。恐らくこの先もそうだと思います。

最初の頃に買う気にならなかった理由は、モノが悪かったことでした。服や靴にしてもちょっとした小物にしても、センスが悪い上、粗悪品や偽物が多かったです。安かろう悪かろうの典型みたいなものばかりで、いくら安くてもとても買う気にならないシロモノばかりでした。唯一買ったのは違法コピーの映画やドラマのDVDと友人から頼まれた偽物のブランド時計くらいなものでした。お土産もお茶以外に喜ばれるモノがなくて、トランジット先の仁川空港で韓国海苔を買ってみたり、博多で明太子、大阪で肉まんを買ったりしていたものです。

時を経て、近年では買う気にならない理由が変わりました。それは価格が高いことです。経済発展に伴ってモノの値段は瞬く間にビックリするほど上がりました。日本がデフレ状態が続いているということもあり、もはや日用品や高級品やブランド品は中国の方が高く、日本で買った方が安くて安心という状態です。中国人の同僚からも中国にもあるモノなのに日本で買ってきて欲しいと代購を頼まれることがよくあります。食事も高くなり、そんなに高級な店でなくても外食すると明らかに中国の方が割高です。中国にお世話になっているのだから何か買って経済に貢献しようと思うのですが、同じモノが日本では良くて安いと思うとなかなか買う気になれません。個人的には中国国内観光旅行なども一段落した今となっては、食材と散髪以外にお金を使う機会がありません。たまに使うのは友人や同僚との飲み会くらいなものです。

最近ではITなどで中国が先端技術を開発するようになってきたので、中国にしかない優れモノが増えてくると思います。そうなれば購入するようになるかもしれません。携帯電話やスマートWatch、AIを使った各種商品には安くて面白いモノが出始めています。

議論の進め方のポイント

中国の人たちとの会議で以前よくあったのが、議論とはほど遠い演説会のような会議です。例えばワークレベルが現状を説明して別の人がそれに対する改善策を提案したら、後はリーダーが長い長い訓示を語り、参加者はそれを黙々とメモするスタイルです。ちゃんと考えながらメモしている人もいるでしょうが機械的にメモしているだけの人もいます。これが始まってしまったら基本的にはもう他の意見は受け入れられず、リーダーの話に割って入ったり終わってから否定するようなことを言うとKY的な扱いを受けて相手にされません。もちろん他の意見などメモする人はいません。目的がリーダーへのアピールである人にとっては他の人の話などメモする必要性がないのです。ビジネスが近代化・グローバル化するにつれてこういうスタイルは減ってきましたが、基本的な構造は踏襲されています。こういうスタイルで議論をして結論を見出すには少々コツがあります。

先ずはとにかく早いタイミングで自分の意見と得たい結論を表明して、そこに議論を導くことが最も重要です。自分の意を通したい場合は自分が最初に発言してイニシアティブを取るのが一番です。相手があれlこれ話すのを日本人的に黙って聞いていたら、あっという間にリーダーの訓示の時間になってしまいます。そして議論の際に相手と意見が異なる場合は真っ向から否定するのではなく、一旦は理解を示した上でそれではダメな理由を具体的に示すことです。人によりますが、一般に中国人は相手のメンツを潰さないように慎重に言葉を選んで話します。日本人もそれは理解して慎重に議論を誘導しないといけません。そのようにしてリーダーの訓示に自分の意見を織り込めたらひとまずOKなのですが、訓示が抽象論ばかりで具体的指示になっていない場合が多々あるので、訓示を注意深く聞きながら(アピールメモは不要です)5W1Hの指示が抜けている場合は「いつまでにやりますかね?」等さりげなく指摘して決めてもらいます。

それらをやっても結局ダメで自分の意に沿わないリーダー訓示になってしまった場合はもう手遅れです。諦めて次回角度を変えて議論するしかありません。中国語の勉強だと割り切って、周囲の中国人と同じようにひたすらメモをとりましょう。

監視カメラの是非

比較的長い間中国関係の仕事をしてきて中国の変化を内側から観測してきたつもりですが、いつからあったのか、或いはいつから増えたのかはっきり解らないのが監視カメラです。00年代前半に頻繁に中国に来るようになった当初は町が整備されていなかったこともありカメラはあまり見かけなかったような気がします。しかしそれは私が注視していなかっただけで実際にはたくさんあったのかもしれません。それがある日突然(私的には)街中監視カメラだらけになっているのに気が付きました。交差点、標識の上、信号機の上、地下道のエスカレーター、地下街、店舗の出入り口、マンションの柵の上、至る所にカメラがあります。こういう光景に慣れていない外国人はその多さにびっくりすると思います。

常時誰かに監視されているというのは確かにあまり気持ちが良いものではありません。自由がないと感じます。ただ、一般市民として普通に日常生活を送っている分には特別な制限がある訳ではなく、何の問題もありません。そしてこれだけカメラがあると見付からないように悪いことをするのは難しく、悪人に対しての抑止力になり、一般市民にとってはそれが治安維持になっていると思います。

監視社会として有名になっている中国ですが、一般生活を送る分には特に問題がないことをお伝えしました。ただ、外国人は何かと注目される存在なので、疑われるような言動は慎みルールを守って過ごしましょう。

鄭和の功績

南京に住んでいて鄭和関係の遺跡や遺物に触れることが多かったのですが、鄭和は世界史で有名なバスコ=ダ=ガマやコロンブスより評価されても良いのでは?と思われる功績を残しています。南京には鄭和の艦隊の船のドックだった長江に面した宝船公園、鄭和の墓、鄭和公園などがあり、偉人として祀られています。

鄭和は明の永楽帝が朝貢貿易拡大のために1405〜30年まで東南アジアからインド洋に派遣した大艦隊を指揮した人物で、インド、アラビア、アフリカ東岸まで7回に及ぶ大遠征を行いました。鄭和は元々馬和と名乗る雲南のイスラム教徒だったそうですが明が雲南を征服したときに捕虜となって宦官にされたそうです。その後永楽帝の信人を得て鄭の姓を与えられて大遠征の指揮官に抜擢されたそうです。各航海とも2万数千人の乗組員をもつ大艦隊でマラッカ王国、南インドのカリカット、ホルムズを経て東アフリカにまで及んでいます。鄭和が第1回航海でカリカットに到達したのは、ポルトガルのバスコ=ダ=ガマの船団が到達した1498年より90年以上も前で、バスコ=ダ=ガマの艦隊はわずか3隻、乗組員60名であったこととくらべても鄭和の航海がいかに大規模でかが分かります。東アフリカのマリンディの商人は鄭和艦隊について中国へ使節を派遣することにし、おみやげとして生きたキリンを連れて行気、はじめてキリンを見た中国人と永楽帝は大いに驚いたそうです。それ以降もホルムズからライオンとヒョウ、アラブ馬、モガディシュからシマウマ、ブラワからはラクダとダチョウなどの珍獣が中国にもたらされたそうです。

鄭和の遠征は民間貿易ではなく朝貢貿易の活性化でしたがその役割は十分に果たせたものと思われます。明はやがてモンゴルの台頭への対策に注力せざるを得なくなり、南海遠征は中止されましたが、訪問諸国との交流が進み明の威信を示すことができました。その後のポルトガルやスペインの遠征が征服や植民地化を進めることであったのとは違って比較的友好的なアプローチだったと言えます。

宝船公園には鄭和が訪ねた国々での出来事が遊歩道のパネルで掲載されています。歴史好きの私にとってはそれを一つ一つ読んでいくのはとても楽しいことでした。

日本語と中国語の関係史

言語関係の知識をお持ちの方にとっては常識でしょうけど、日本語というのは起源が不明な言語なのだそうです。単純に中国語が起源だと思っていた私には意外なことでした。諸説がありますが決定的な根拠に基づく公的に認められたものはないようです。

現代の日本語は和語、漢語(古い時期の中国語)、カタカナ語(主に西洋の言語)の3つを組み合わせて使われている言語です。漢語は主に弥生時代に日本に入ってきたようです。カタカナ語は16世紀に日本がヨーロッパと接するようになってから使われるようになったようです。そこまでは分かるのですが元々あった和語がどのようにして構成されたのかが明らかになっていないそうです。

日本人がどこから来たのかも分かっていないそうです。旧石器人、縄文人、弥生人のうち、弥生人は朝鮮半島や中国の南部から稲作技術などと共に漢語を持ち込んだと言われています。縄文人もその前に渡来してきた人たちのようですがどこからやってきたのか分からない、そして旧石器人との関係も分からないそうです。このあたりに和語のルーツがあるのだろうと思われます。アルタイ語系、朝鮮語系、オーストロネシア系、ドラウィダ系、古代中国語系、いろんな説があり、それらいくつかの融合だという説もあります。

このように日本語は中国語を語源にしている訳ではないようですが、中国語との関係はやはり最も密接です。約600年間の日本の弥生時代は、中国大陸では戦国時代〜秦〜漢〜三国時代〜西晋の激動の時代でした。その時代に朝鮮半島を経由して渡来してきた多くの人が伝えた漢語が和語に広がりをもたらしたということです。

長江大洪水の危機

近年日本では自然災害が多く、中国の方が安全だと思ったりしていましたが、2020年夏、中国も危険な状態になっています。

中国は6月から続く豪雨によって各地で洪水や土砂崩れの被害が生じています。80年に一度、史上最大ともいわれています。7月13日現在で死者・行方不明者は141人にのぼり、被災者3789万人のうち224万人が避難を余儀なくされています。特に長江流域の6月から7月12日の平均降水量は1961年以降で最多で、南京地区では警戒水位を1m以上超えています。鄱陽湖や洞庭湖、太湖など長江流域の巨大湖の水があふれ、水位が上昇中です。堤防が決壊して周辺が冠水する被害も出ています。更なる大洪水がどこで起きてもおかしくない状況が続いています。

そして怖いのが三峡ダムの決壊です。長江は中国の長い歴史の中で何度も氾濫を繰り返してきたことから「中国の暴れ竜」との異名もあります。「長江の水を制する者は中国を制する」と言われてきました。そんな地域で中国100年の大計、三峡ダムの建設が進められました。着工は1993年、完成は2009年、予算総額2000億元(約3兆円)、原発16基分の発電量を誇る世界最大の落水型ダムです。1万年もつとの謳い文句でした。それが試験運用で無数の亀裂が走ったり貯水状態を航空写真でみると堤防が歪んでいたり、手抜き工事の疑惑もあり、専門家によると10年もつのか?という見方もされています。そして今年が11年目です。豪雨が続く6月末から放水を続けていますが間に合っておらず水位は上がり続けています。

三峡ダムが決壊すれば被災者は少なくとも4億人、およそ30億立方メートルの土砂が下流域の各都市を襲い上海までが水浸しになると言われています。長江流域に集中する中国経済実力の40%が潰滅しその回復には数年かかるそうです。

日本にいても中国にいてもやはり天災にはなす術がなく、自分自身で知恵を使って事前に回避に努めることが何よりも大切だと痛感します。せめて人災による追い討ちだけは勘弁してもらいたいものです。

中華街、唐人街

中華街は世界各地にあります。大きな所ではカナダのバンクーバー。香港が中国に返還されることが決まった頃から大きくなり始めたそうです。多くの香港の実業家たちがカナダの永住権を取得して中華街を大規模に開発したそうです。香港をめぐる情勢の変化から今後ますます大きくなるかもしれません。19年にバンクーバーに行った際に現地のタクシーの運転手さんが「お金持ちの中国人が欧州製の高級スーパーカーを買うのが大ブーム」と言っていたのを思い出します。アメリカのサンフランシスコや日本の横浜の中華街なども有数の大きな中華街だそうです。中華街は中国語では唐人街とか中国城とか言われますが「唐人街」という人気俳優によるシリーズ物のコメディー映画があるほど、中国国内でも認知度が高いです。

対して日本街というものはほとんど聞きません。中国には日本料理のレストランなどが集まっていて多くの日本人が訪問する場所はありますが、日本人が集まって街を形成している場所は聞いたことがありません。アメリカのロサンジェルスに日本人街がありますが小さくて寂れているそうです。私が行った南米や東南アジアの国々でも聞いたことがありません。特に南北アメリカには多くの日本人が移住した筈なのに何故でしょうか?不思議に思って調べているとある方が興味深い意見を述べていました。曰く、日本人が作るのは搾取社会だからコミュニティーは育たないということです。「現地の日本人でこの人を頼れば大丈夫というような名士はほとんどいない。現地でのし上がるために日本人が日本人を騙す、日系企業は現地採用の日本人の給与を抑えて働かせる、コミュニティーでは若い男性は力仕事、女性は雑用を押し付けられる。そんなことなら別人種のコミュニティーやローカル社会に溶け込んだ方がむしろメリットがある」ということだそうです。

多少極端な気はしますが、確かに日本人として外国で現地の◯◯コミュニティーや◯◯さんを頼れば大丈夫みたいな話は聞いたことがありません。あるとすればJICAとか商工会といった公的な組織です。逆に誰かを頼って海外に出て一旗上げようという人も少ないと思います。日本人同士といってもあくまで他人、基本は自分の力でやっていく、そんな人が多いと思いますし、人間関係が希薄だともいえると思います。

中国の中華街の場合は力がある名士がいて行けば助けてもらえる、助けてもらった者はビジネスで成功したらコミュニティーにお金を落としていく。そんな助け合いの構造を通して人と金と情報が集まる、それが世界中で中華街が繁栄している理由のようです。

どちらが良い、悪いという話ではないですが、日本人にも初めていく国に中華街みたいなコミュニティーがあれば心強いだろうとは思います。