2020年8月現在、日本では新型コロナ感染者が増え続ける中、経済活性化のために政府主導でGoToトラベルキャンペーンを実施しています。一方中国では新規感染を厳しく管理しており、ある都市で新規感染が発生したら立ち入り制限がかかり、その都市から来た人は14日間隔離です。個人が健康申告をしてQRコードを取得していてそれを示さないと移動もできません。
そんな中で出向業務を終えて帰国する私に多くの中国人の同僚が声をかけてくれました。「任期を延長した方が良いのではないですか?」と。日本の新型コロナの無管理状態を危惧してのアドバイスです。
日本が春先に新型コロナを抑え込んだ際には「さすがは衛生観念の優れた日本だ」と称賛されたものです。私も日本人として鼻高々でした。社団法人が送った支援物資の段ボールに書いた漢詩「山川異域風月同天」は中国人に広く知れ渡っており、中国が苦しい時に一番支援してくれたのは日本、日本が苦しくなったら中国が支援するという風潮が生まれました。中国からも大量のマスクなどが送られました。
しかし今は空気が変わってしまっていると感じます。新規感染者が増え続ける中でも政府が旅行を奨励して国民がそれに応じる、中国的感覚では正気の沙汰ではなく、理解できません。他人の面子を重んじる中国人、日本人の私に面と向かって日本の批判はしませんが、「日本人は怖くないのですか?」と日本人の友人が多い中国人から遠慮がちに言われた時には、やるせない気持ちになりました。
東京オリンピックも来年に控える日本。短期集中で真剣に対策して実績をあげ、世界に範を示す時なのではないのでしょうか?