リスニング能力向上の最上の方法はしっかり声を出して速読の練習を大量に行うことだそうです。語速を速くすることで読めるもの言えるものは同等の速さ以下の場合は聞き取れるようになるそうです。その練習に大変役立つ本をご紹介します。「中国語短文会話800」です。通訳メソッドを応用しており現役の通訳者が推す実践的な訓練法を紹介しています。
私が試して効果があったと思うのはシャドウイングの練習です。文章は比較的簡単な単語と文法で構成された短文会話なのでCDの音に続いて声に出すのはさほど難しくはありません。最初は文章を見ながら回数をこなし、そのうち大まかに覚えてくるので、音だけを聞きながら口に出してついていきます。難なくついていけるようになり、更にCDの音声より速く話せるようになるとしめたものです。ここまで来ると類似した文章は大抵問題なく聞き取れるようになります。
語学はある意味スポーツと同じく繰り返し練習で身につく部分が大きいと思います。繰り返しのシャドウイングでリスニング力を伸ばしましょう!
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通訳メソッドを応用した中国語短文会話800
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言語学習に映画を使うのは良い方法です。字幕を読んで鑑賞で終えるのではなく、その後字幕なしで観てリスニングの練習することをお勧めします。
字幕を見ている時はどうしても文字を追うことに集中しています。集中し過ぎるがあまりにセリフを聞いていなかったり人物の仕草やゼスチャー、表情や口の動きを見ていなかったりします。つまり実質的にはリスニングの練習になっていません。字幕を読んで内容を理解したという、いわば読書と同じリーディングの段階です。リスニングの練習をするためには字幕なしで観る必要があります。字幕が見えているとどうしても目がそちらに行きがちなので完全に消してしまうことをお勧めします。
特に日本人は中国語の読み書きはできても聞く話すができない傾向があるので、リスニングに力を入れる必要があります。字幕で内容を把握した上で、字幕なしで繰り返し観てリスニングの練習をすることをお勧めします。映画をいきいきと鑑賞できて楽しいです。
何度聞いても分からない言葉があり調べてみると略語や書き言葉の読み上げだったという経験がある人も多いと思います。私の場合は地下鉄の車内放送の「此站可到达〜」(この駅では〜に行くことができる)が何度聞いても分からず、録音して何度再生してみても分からず、中国人の知人に聞いてやっと分かったという経験があります。到达〜は分かるので意味は推測はできるのですが、此战可の部分が何度聞いてもそう言っているように聞こえませんでした。
中国語では略語が多用されています。元の語の一部分を残して結合する縮合法(帰国華僑→帰僑)、重要な一語だけを残す簡略法(工業発展綱要→綱要)、簡潔な短い語を使う簡代法(南京→寧)、数言葉による略語法(身体好、学習好、工作好→三好)など多くの方法があります。日本語でも略語は多いので書面でみる場合は何となく分かるものが多いのですが、それでも語順の入れ替えや語の言い換えなどが入った言葉は調べないと分かりません。専門用語の略語も数多くあります。また社会や文化の変遷に従ってどんどん新しい略語が生まれます。
つまり、いくら勉強しても聞いて分からない言葉は常に存在しますので、ネイティブ並みに漢字を一つ一つ正確に聞き取る能力がない外国人には略語の聞き取りはハードルが高いです。聞き取れないからといっていちいち凹む必要はありません。考えても意味がないのネイティブや有識者に聞くのが一番です。
HSKなどの試験を受けるにあたって、読む速度が遅いと、じっくり読めば分かるのに時間が足りず残念な思いをすることになります。読む速度の向上に取り組むまなければなりません。いろんな手法を試してみましたが、やはり音読・速読の練習に勝るものはないようです。自分が読める速度がイコール聞き取れる速度だともいます。私がリスニングが弱いのは読む速度が遅いのが原因の一つだと思います。私は音読練習があまり好きではなく、先生の指示で仕方なく読む程度でした。下手な発音で詰まりながら読むのは我ながらカッコ悪いしドッと疲れるからです。しかしこのままでは進歩がないと、意を決して音読・速読練習に取り組みました。
音読熟練者の方々に薦めて頂いて、私が使って良かったと思うのが「聴読中国語」(東進ブックス、津田量 著)です。豊富な文例に日本語訳が付いていて読み物としても面白いです。これを毎日朝夜何度も音読されているツワモノもいます。
聴読中国語 (東進ブックス)
そしてシャドーイング、通訳さんが練習する手法です。音声を流して数語後から追いかけて同じスピードで声に出して読んでいきます。最初はところどころ止めてテキストを読みながら、慣れてくると止めずにテキストなしで音声だけでついていきます。教材としてお薦めなのは「通訳メソッドを応用した中国語短文会話800」です。これは英語通訳養成で使われていたシャドーイングの技法を中国語に応用した最初のテキストで、よく使われる中国語表現が選ばれていて、CDは会話の場面にマッチした感情豊かな朗読です。シャドーイング教材として最適だと思います。
通訳メソッドを応用した中国語短文会話800
聞き流しについては以前否定的な意見を述べました。しかし「毎日数分聞き流すだけでペラペラに」という夢のような効果への期待はやはり大きいので、英語バーションですが、いろいろ聞いたり調べたりしてみました。しかしやはり効果があったという話は聞きません。
聞き流しだと、同じ英語をくりかえして聞くことは基本的にできません。日本語のあとで、また別の英語のフレーズが再生されるからです。「この日本語、英語で何て言ってたっけ?」と引っかかっても放置して先へ進むことになります。これでは英会話で使えるフレーズが増えていきません。
そして、母国語が日本語である以上どうしても日本語の音のほうに意識が向いてしまいます。その結果、
おじさんが美女の、おばさんがイケメンのコマーシャルにつられて思わず購入してしまう→ 頑張って聞き流す→ 日本語のセリフは全て覚えたが英語はちっとも入って来ない→ 日本語で内容は分かってしまったので飽きてしまって続かない→ 結局やめた、となることが多いようです。
夢のような効果に期待するのはやめ、地道に勉強するしかなさそうです。
中国の面白い動画を見ることで中国語を気軽に楽しめます。ネイティブの言い回しや流行り言葉なども出てきて勉強になります。
中国ではSNSが急速に発展していて、参加型のアプリがたくさん開発されています。ユーチューブがもっと手軽で便利になったようなものです。その中で現時点で最も流行っているのが「抖音(douyin)」です。2016年に登場したそうですが今では若い人を中心に大人気で、地下鉄で携帯をいじっている若者は微信か微博か、この抖音を見ているように思います。(ただ、中国では変化が本当に速いので数年先には別のサービスが登場していると思います。)抖音は音楽と映像を融合させた動画アプリです。音楽やリズムに合わせて歌ったり踊ったり動いたりと、手軽に作って投稿しています。日本版がTik Tok(ティックトック)の名前で出ていますのでご存知の方も多いと思います。ユーチューバーのように、このアプリを利用して人気者になっている投稿者なども現れ、芸能界への登竜門としても注目されているようです。
私は日本版のTik Tokを使ったことがないので中国版についての紹介ですが、お笑い、イタズラもの、何かの紹介、教育もの、感動話、カラオケ、ダンスなど、あらゆるジャンルの動画が投稿されています。時系列に表示できたりオススメを表示できたり、面白いのは場所で検索できたりします。住んでいる街の知っている場所が出てきたり、時には知っている人が出てきたりしてとても面白いです。
ただ、かなり面白くて病み付きになるのでご注意を。中国語の勉強のために見ようと思ったら、面白動画を求めて時間を忘れてひたすら漁ってしまっていたということがよくあります。真面目に取り組んでいる兼業学習者には、学習を阻害することになるかもしれません。移動中などの空き時間に眺めることをお勧めします。
英語学習の広告でよく見聞きするスピードラーニング、「赤ちゃんは最初は分からなくても音のシャワーを浴びているうちに次第に理解し、話せるようになる。それと同じプロセスで、大量の文章を聞き流しているだけで分かるようになってくる」というやり方です。体験談で「分からなくても気にせずとにかく聞き流していた。しばらく経ったある日、電車の中で話している外国人の英語が突然すっと入ってくるようになって驚いた。それからはただの音でしかなかった英語が意味あるものとして聞こえるようになった」などの大変羨ましい話を聞きます。そこで私も中国語でやってみようと思い立ち、テキストに付いているCDの音声を録音して携帯で聞き続けてみました。聞き流しのみでの効果を確かめるために、あえて全く目を通していないテキストを使いました。結果ですが、1ヶ月ほどやってみましたが全然聞き取れるようになりませんでした。単なる音として耳を流れていっただけで、記憶にも印象にも何も残りませんでした。
考えてみれば、赤ちゃんは実際にはただ聞き流しているのではなく、両親や祖父母が四六時中一緒にいて何度も繰り返して教えています。聞き流しているだけで分かるようになるのではなく、聞くことと教えてもらうことの反復で理解していくのだと思います。また、赤ちゃんは全ての集中力と好奇心を持って、聞こえてくる音を全力で理解しようとしているはずです。対して私の場合は、BGMや念仏のように本当に聞き流しているだけで集中力も好奇心もなく、そのうち聞いていることすらも忘れてしまい、音が途切れたらハッと流していたことに気付くようなありさまでした。そんなありさまだったので分かるようになる方が不思議です。
1ヶ月では短か過ぎたのかもしれませんし、私の頭が固いからなのかもしれませんが、とにかく事実として効果ゼロでした。市販のスピードラーニングの教材には、中国語と日本語を交互に流す等のさまさまな工夫がなされているのだろうと思いますが、少なくとも中国語を本当に「聞き流すだけ」では全く意味がないことが分かりました。
最近はほとんどのテキストに音声CDが付いていますが、私には付属CDの音声はどうにも味気なく思えてあまり聞く気になれません。一方、別の記事でも紹介しましたが、特定の人とコミュニケーションを深めるとその人の言うことなら聞き取れるようになってきます。(なぜか中国語はそれが顕著な気がします)私はそれに着目して、知人にお願いしてテキストの文章を読んでもらい、それを録音して常時聞くという方法をやってみました。これはかなり効果的でおススメです。文章がその人の声や録音してもらった時の印象と共に記憶にしっかり残ります。先日10年来の友人が出張ついでに立ち寄ってくれましたが、顔を見た途端に10年前にその人に読んでもらった文章を思い出しました。
ポイントは二つあります。一つ目は男女偏りなくなるべく話題に合った印象の人、複数人にお願いすることです。私は同僚や知人、中国語の先生などに頼んで録音してもらっています。ファッションの話なのにおじさんのトークだとやっぱり違和感がありますし、冒険話に女性の声というのもなんとなく合いません。印象付けるためには臨場感が欲しいので話題に合った人にお願いしたいところです。二つ目は一人にお願いする分量をあまり多くしないことです。大量にお願いすると読み手はだんだん疲れてきてやっつけ仕事みたいになって、最後の方には超早口の無感情&棒読みになり、付属CDと同じような味気ないものになってしまいます。
最初はこれをお願いする時は我ながら図々しいかな?と少し躊躇しましたが、思い切って言ってみると多くの人が気軽に受けてくれました。面白がって事前に発声練習なんかをして録音してくれた人もいました。中国人は中国語を勉強する外国人が好きですし、人に依頼されたら応えようとする親切な人が多いので、気軽に頼んでみたら良いと思います。お礼に食事でもおごったら、それをキッカケに更に親しくなれるかもしれません。是非試してみて下さい。
単なる聞き流しでは聞けるようにはならないと思いますが、意味がある音の場合は少しずつ蓄積すると思います。例えば通勤車両の中で聞くラジオ放送は、天気予報やローカルニュース、好きな音楽など、身近で興味を惹かれるものがあります。興味を持って聞ける内容だと記憶に残ります。それをネタに運転手さんと話をするなどすれば定着効果は高まります。私が最近気に入っているのが電話で子供の悩み事に答えるコーナーで、先日は小学低学年くらいの女の子の「为什么我要去学校?」という質問に大人があの手この手で懸命に答えていました。どこの国でも同じようなことを考えるものだなと微笑ましい気持ちになりました。
通勤ラジオ学習は気分が乗らない時は聞かずに寝てても良いので、私としてはお気に入りの方法です。
ただ、私について言えば、しっかりと理解できるのは未だに天気予報とごく簡単な会話くらいで、これは10年前からあまり進歩していないのが悲しいところです。中国語を勉強し始めた頃に会ったある熟練者に「どうしたらあなたのように聞き取れるようになるのですか?」と尋ねたところ「慣れだよ慣れ。ある日突然ポンっと耳栓が抜けたかのように聞き取れるようになるんだよ。心配いらないよ」と言ってくれました。「私の耳栓はいまだに抜けないのですが本当に大丈夫なのでしょうか???」とあの方に問いたい気分です。こういうことを考え出すと挫折感に苛まれてモチベーションを下げてしまうので要注意です。気楽にやりましょう。
中国出張でホテルに宿泊することが多かったので、ロビーに座り込んで訪れるお客さんたちのおしゃべりに聞き耳をたてたりしていました。人の会話を盗み聞きするようで少々気が咎めますが、中国人は声が大きく、他人に聞かれることなど全く気にせずに話す人が多いので、問題ないだろうと勝手に思っています。公共の場で大声で電話する人もまだまだたくさんいますし、トイレの個室でも大きな声で話しています。
ロビーに着いたらまずはいろんな話し声に聞き耳を立てて、普通話に近い言葉を話している人を探します。大きなホテルだといろんな地方からいろんな方言の人が来ていて、広東語や上海弁などは普通話学習者には全然分からないからです。ターゲットを見付けたらさりげなく近くに座ります。そして携帯をいじるふりをしながら全神経を耳に集中して聞きます。
ネイティブ同士の会話はとても速く、くだけた話し言葉も多いので聞き取りが難しく、まず何の話をしているかが分かるまでにしばらく時間がかかります。分からないまま去っていかれることも度々あります。ようやく何の話か分かったら、その領域の用語や知識を総動員して会話の流れから言うことを推測しながら聞くのですがやっぱり難しい。それでも頑張って聞いているとだんだん分かってくることもあってなかなか楽しいものです。
私のレベルで最も良いのは子供の会話です。子供は私が知ってるような言葉を使ってゆっくり話すので聞き取れる部分が多いです。話題は私には全く興味がないゲームやアニメの話とかなので面白くはないですが仕方がありません。小さな子供なのに私より上手に中国語を話す様を見ると「この子は天才か?人が苦労して勉強しているのにこんなに簡単に話しやがって!」と、感心するやら妬ましいやら、大人気ないことを考えてしまいます。
中国では中国語ベースの映画でも字幕が付くものがほとんどで、外国人にはとてもありがたいです。ただ、私の読解力が会話のスピードについていける訳ではないので、字幕はサポートツールとして一応目で追いながら聞き取りの方に集中しています。実は私はストーリーの概要が掴めたら上出来といったレベルで、ウィットに富んだ会話やジョークなどは理解できません。周囲が笑ったら自分も分かったような顔で遅れて笑うという、外国人にありがちな反応をしています。でも私はそれでも良いと思っています。
というのが、この反応は滑稽ではありますが実はかなり重要だからです。自分が分からなかったことが強く印象に残るからです。「あの場面、あのセリフで皆の真似をしてなんとなく笑ったけど、一体何だったのだろう?」という疑問はその映画をまた見てみようというモチベーションに繋がります。そして動画を入手して何度も繰り返し見たり一時停止して字幕を確認したりして「なるほど!」と理解するともう忘れません。そして遂に本当に笑うことができるのです。
私がこの方法で多くの言葉を学んだのは「人再囧途之泰囧」(英語名:Lost in Thailand)でした。2012年12月に公開された中国のコメディー(日本未公開)でしたがこれが劇場で見た時に私の理解力で分かる部分だけでもかなり面白く、その後DVDを購入して繰り返し見ました。実はこの映画が2010年にヒットした「人再囧途」のパート2にあたるものだと知り、こちらも何度も繰り返し見ました。とても面白いので是非見て下さい。
ただ、映画は自分が興味があるものを選ぶ必要があります。適当に入ってみたら全然面白くなく、グーグー寝てしまったということも度々ありました。
漢字の知識がある日本人にとって読み書きは比較的容易です。まるでお絵描きのようにのたうち回った漢字を書いている他の外国人を見ると気の毒になってしまいます。他の外国人に比べて習得があまりに早いので周囲からは既に十分な中国語力があると誤認され、上手く話せないことが露呈すると「あんなに読み書きができるのに何故話せないの?」と不思議がられることがあります。これは多くの方が経験されていることだと思います。いくら漢字を知っていても日本語と中国語で発音は異なるので、聞く力はほぼゼロから身に付けなければなりません。発音が似ているものもありいくらかのアドバンテージはありますが、日本語で音読みをすれば伝わるというものではありません。
ここではテキストの音声を聞くといった一般的な手法に加えて、聞く力を楽しく向上する工夫を紹介します。
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