近年日本では自然災害が多く、中国の方が安全だと思ったりしていましたが、2020年夏、中国も危険な状態になっています。
中国は6月から続く豪雨によって各地で洪水や土砂崩れの被害が生じています。80年に一度、史上最大ともいわれています。7月13日現在で死者・行方不明者は141人にのぼり、被災者3789万人のうち224万人が避難を余儀なくされています。特に長江流域の6月から7月12日の平均降水量は1961年以降で最多で、南京地区では警戒水位を1m以上超えています。鄱陽湖や洞庭湖、太湖など長江流域の巨大湖の水があふれ、水位が上昇中です。堤防が決壊して周辺が冠水する被害も出ています。更なる大洪水がどこで起きてもおかしくない状況が続いています。
そして怖いのが三峡ダムの決壊です。長江は中国の長い歴史の中で何度も氾濫を繰り返してきたことから「中国の暴れ竜」との異名もあります。「長江の水を制する者は中国を制する」と言われてきました。そんな地域で中国100年の大計、三峡ダムの建設が進められました。着工は1993年、完成は2009年、予算総額2000億元(約3兆円)、原発16基分の発電量を誇る世界最大の落水型ダムです。1万年もつとの謳い文句でした。それが試験運用で無数の亀裂が走ったり貯水状態を航空写真でみると堤防が歪んでいたり、手抜き工事の疑惑もあり、専門家によると10年もつのか?という見方もされています。そして今年が11年目です。豪雨が続く6月末から放水を続けていますが間に合っておらず水位は上がり続けています。
三峡ダムが決壊すれば被災者は少なくとも4億人、およそ30億立方メートルの土砂が下流域の各都市を襲い上海までが水浸しになると言われています。長江流域に集中する中国経済実力の40%が潰滅しその回復には数年かかるそうです。
日本にいても中国にいてもやはり天災にはなす術がなく、自分自身で知恵を使って事前に回避に努めることが何よりも大切だと痛感します。せめて人災による追い討ちだけは勘弁してもらいたいものです。