長春の文化広場は建設が進んでいた偽満州国の皇居の前の広場です。中国で2番目に大きい広場と言われ多くの市民が踊ったり凧揚げをしたりして楽しんでいます。長春に出張に行った時はこの広場の比較的近くのホテルに泊まっていました。
長春は春風がものすごく、嵐のように吹き荒れます。黄砂どころか小石の粒が飛んでくるような勢いで外を歩いていたらバチバチ顔に当たってきて痛いほどです。
ある日同僚がホテルの窓から、UFOの大群が文化広場の上に舞い飛ぶのを見た!と大騒ぎしました。「それはおじいちゃんがあげている凧だろう」と話したのですが彼は譲らず、「あれは間違いなくUFOだ!」と言います。なぜならば、「すごい勢いで上昇したかと思えばスト横に移動し急降下する。糸でつながっている凧ではありえない動きだ。しかも色は白く霞んでいて目を離すと消えてしまう。それが何機も乱れ飛んでいた!」とのこと。写真を見せてもらうと確かに複数の白薄い物体がかなり高い位置に浮かんでいます。彼はそれを雑誌に投稿するのだと息巻いていて、次の週末には正体を確かめるべく終日文化広場で待ち構えるのだということでした。みんな半信半疑ながらそれなりに期待しつつ彼の報告を待つことにしました。
週末明けにどうだったか彼に尋ねました。彼はがっかりした表情で「違っていた。UFOではなかった。空を飛んでいたのは買い物袋だった。」と答えました。2008年の北京オリンピックの頃当時の長春ではへまだまだゴミのポイ捨てがひどく、そんなところに強い春風が吹くものだからゴミが舞い上がって空を浮遊していたのです。UFOだと騒いでいた彼の落胆した様子は可哀想なほどでした。