中国の教材について

中国現地で学習する人限定になるかもしれませんが、中国の教材についての知見を紹介します。これは中国語学校のオーナーや大学で外国人に中国語を教えることを学んでいる先生などから頂いたコメントを総括したアドバイスです。中国語学校に通う人は学校で紹介してもらったら良いと思いますが、個人で選ぶ場合はある程度の予備知識がないとどんな教材を買えば良いのか分からないと思います。本屋に行くといろんな教材があって選択に困ります。

出版社で絞り込むならば「北京大学出版社」と「北京语言大学出版社」が2強のようです。外国人への教え方のノウハウが詰め込まれていて且つHSKを想定した模擬練習もふんだんに織り込まれているなど専門性が高いそうです。そしてシリーズでいえば「成功之路」と「博雅汉语 」が良いようです。特に「成功之路」は中国語を始めたばかりの初級レベルから中級上級レベルへとステップアップしていき、更にビジネスなどの専門分野もラインナップされています。大学での留学生教育の教材として幅広く使用されているようです。

ただ、会社員である私の場合は「成功之路」等のステップアップ教材で時間をかけてじっくり積み上げていくことは難しかったので、一つの教材が終わるたびに先生と相談してその時のレベルに応じた教材を紹介してもらって購入していました。学習にあまり時間が割けない人はやはり有識者にアドバイスしてもらいながら進めるのが効率的だと思います。

中国人になりきる(★★★)

ちょっと極端なタイトルですが、それくらいの気持ちで中国人みたいに振る舞ってなり切ってみるということです。自分が日本人だということを忘れて中国人になり切ったら中国語で考えアウトプットするようになるのでは?と考え、試してみました。

セリフや言い回し。プレゼン前の「尊敬的领导,亲爱的朋友们,大家下午好!」のような決まり文句とその話し方をそっくりそのまま真似てみます。日本語の挨拶は礼儀を重んじて大人しい感じですが、中国語の挨拶は堂々としてカッコよく、聴衆もタイミングよく拍手したり対応したりしてくれるので、やってみるとすごく気持ちがいいです。一度やるとやみつきになりしっかり印象に残って定着してくれます。

態度や言葉使い。日本人からみるとぶっきらぼうに思えるズケズケとしたもの言いや発音をやってみます。例えば相手の言うことが理解できなかったら「ああ〜?」と聞き返したり「ちっ」と舌打ちするような、日本人がやられたら凹んでしまう対応です。これをやってみるとなんだか大胆になれて臆することなく中国語を話せる気がします。中国人には普通の受け答えなので遠慮することもありません。やはりなり切るというのは言語習得の上では効果ありだと思います。

ただ、個人的には日本人のアイデンティティである上品な話し方や立ち居振る舞いは外国に行っても大切にすべきと思います。日本人が中国人を真似て(日本人にとっては)粗暴な受け答えをしているのをみるとどうしてもガッカリさせられます。私たちは中国語をマスターすればいいのであって過度に粗暴になる必要はないと思います。日本人としての誇りを持って交流しましょう。(そんなこと言ってるから私の中国語は今ひとつ伸びないのかもしれませんが)

日本語が好きだという中国人の友達がその理由として「日本語を話している時は自分が優しい人になった気がするから」と言っていました。日本人としてとても嬉しかったです。

音で覚える(★★★)

中国に一定期間滞在した人で特に勉強もしていないのにペラペラ喋る人がいます。耳で聞いた音を状況からどういう意味なのか推測理解してそのまま使う人です。中にはビックリするほど発音がきれいで流暢な人もいます。こういう人は基本的に人と話をするのが好きで間違いなど全然気にせずにひたすらネイティブの口調を真似て話します。リスニング力も抜群に優れています。

そういう人たちがどうしているかというと、例えば仕事では通訳は付けず(社外業務等で通訳が足りずに付けてもらえないケースが多い)基本的にいつも同じパートナーと長時間行動します。仕事はもちろん移動や食事も常に一緒、長い間一緒にいるので単純接触の原理もありとても仲良くなってそのうち二人で飲みに行ったりします。そしてどういう場面で相手がどういうふうに言ったのかを音で丸々暗記します。それを他の人とも繰り返します。意識的に覚えるというのではなく、会話を楽しみながら自然と覚えていっているというのがポイントだと思います。

男性で、バーに飲みに行って女性と話をして覚えるという人もいますが、成果が上がっている人に会ったことはありません。動機が不純だからとかそういう話ではなく、飲み屋で話すというのはアクションが伴わず場所も同じなので印象が乏しく、記憶に残らないのだろうと思います。しかも酔ってますし。ちょっとお高い夜の学校だなんて言いますがコストパフォーマンスが悪過ぎるのでお勧めできません。

音で丸々覚えることのすごさを紹介しましたが問題もあります。音で覚えているだけだと当然読み書きができないのです。ネイティブとペラペラ話す友人が私がメールに書いた 为什么?を見て読み方を教えろというので教えたら「へえ〜 ウェイシェンマってそう書くのか。知らなかった!」と言われ、あんなに上手に話しているのにこんな基本的な漢字も知らないのか!と驚いたことがあります。

音で覚えるというのは非常に効果的だと思いますが、やっぱり覚えた言葉はどう書くのか定期的に書き方を確認して文字として習得していくべきだと思います。

的を絞る(★★★)

中国語力測定の指標としてはやっぱりHSKが良いと思います。中国政府が公認する中国語の語学検定試験なので、就職や留学に活用できますし、中国が外国人に求める中国語能力そのものなので学習の指標として最も適していると考えられます。そしてHSKの良いところは各等級に求める語彙量が定まっていることです。4級は1200語、5級は2500語、6級は5000語です。その要件は私の知る限り2019年現在で過去から変わっていないので、その単語さえ覚えておけばOKということになります。これは必須単語が定まっていないTOEICなどの英語検定と比べて学習が非常にやり易いといえます。

工夫としては各等級が求める単語リストを入手し、先ずは全体を俯瞰して知っている単語をチェックし知らない単語だけに絞り込んで集中的に覚えることです。見たことはあっても意味が曖昧にしか分からないとか、複数の意味があるけど一つしか知らないとか、知っているレベルに差があると思います。語彙が少ない段階では覚えなければならない量が膨大だと気持ちが挫けてしまいますので、私の場合は第一回目のチェックでは少しでも知っていたら知っていることにして全く知らない単語に絞り込んで覚えることにしています。そうすると数が少なくなり気が楽になるからです。それで一通り覚えたらもう一度全体を俯瞰して、理解が曖昧な単語を見直していくというように進めます。私にはそのやり方が合っていると思います。

注意点は拼音のアルファベット順ではなくカテゴリー毎に覚えていくことです。HSKの単語リストはアルファベット順になっているものが多いですが、覚えなければいけない量が多いと最初の決意が揺らいで途中で挫折する可能性が高いです。アルファベット順でやっているとabcdefgくらいまでは完璧に覚えてもその後は全然分からないなんてことになってしまいます。かく言う私もそんなやり方を繰り返してきたのでアルファベットの前の単語の方が後ろの方よりたくさん知っているという状態になってしまっています。探してみるとカテゴリー毎に整理されているようなものがありますから、そういうリストを入手して自分の弱いカテゴリーから始める等、戦略的に覚えていくことをお勧めします。

中国人と酒を飲む(★★★)

中国人の友人がいる人は一緒にお酒を飲みに行ってみましょう。意外にも会話がはずんで自信がつくことがあります。お酒を飲むと緊張がほぐれて警戒心や羞恥心が抑えられるので自分が知っている言葉がうろ覚えのものも含めてペラペラ口から出てくるようになります。相手の方も交流をしに来てますから能動的に聞き取ろうとし、そして分かる言葉で話そうとしてくれます。その二つの条件が揃ったらビックリするほど会話がはずみます。私の友人も酔ったら中国語をベラベラ喋り出して周囲を驚かせる人がいます。ぜひ試してみて頂きたいです。

注意点は三つあります。

まず一つ目は少人数でやること。人数が多いと他の人とも会話をしないといけないので相手は貴方一人にかまっている訳にはいかなくなります。そうなると上記の二つの条件が揃い難く盛り上がりに欠けることになります。親しい仲間うち三名か四名くらいがお勧めです。

二つ目の注意点は相手として日本語ができない人を選ぶこと。日本語ができる人の場合、相手もこちらと同じように日本語を話す機会が欲しいと思っている筈で、イニシアチブを取って日本語で話そうとします。こうなると相手の日本語練習の場になってしまい、貴方がポツポツと中国語を話しても日本語で返され続けて結局日本語だけになってしまいます。まあ飲み会としてはそれも楽しくていいかもしれませんが。

三つ目の注意点はしっかり酔って且つ記憶を保つこと。羞恥心がなくなり堰を切ったように話し出すのはかなりお酒が入ってからです。そうなるともうベラベラ喋っちゃいます。ただ問題は飲み過ぎて何をどう喋ったか覚えていない状態になること。そうなると何か楽しくたくさん話したなあという記憶だけ残って、肝心の中国語のやり取りは頭に残りません。大変難しいことではありますが、しっかり酔う、しかし記憶はしっかり保つよう頑張って下さい。

私はもちろん、大いに飲んで大いに喋ってほとんど覚えていないというタイプです。もう少し自分をコントロールできるよう頑張らなければ。

仲間やライバルを持つ(★★★★★)

スポーツでも勉強でもそうですが仲間やライバルは能力の向上に大いに寄与します。一人勉強は孤独でモチベーションの維持が難しくダラダラになりがちですがそれに歯止めをかけ更に高みを目指す気にさせてくれるのが仲間やライバルです。

ある知人はご主人の出向に同行して中国に来られました。滞在期間を無為に過ごすのはもったいないということで中国語を習うことにし大学の海外教育学院に入学されました。彼女にとって中国語の習得は特に必要のないものだったのです。入学するとクラスメイトの出身地は欧米や南米、オーストラリアなどがマジョリティー、次に韓国人、日本人は彼女だけでした。日本人として漢字のアドバンテージがあることもあって、筆記テストでは毎回彼女だけが満点、次第にクラスメイトの尊敬の眼差しを浴びるようになりました。こうなってくると逆にプレッシャー、クラスメイト全員が彼女が満点をとることを期待する訳ですから勉強の手が抜けない。元々優秀な方だということもありましたがしっかり勉強し続けて毎回ほぼ満点で走り抜けました。当然中国語力はどんどん伸びて、軽い気持ちで始めたにもかかわらず、数ヶ月でHSK4級で高得点を叩き出すまでになられました。

私の場合はライバルの存在がモチベーションアップに繋がりました。同僚に私とほぼ同時期に中国ビジネスに携わり、本格的な学習は私より少し後から開始した人がいました。HSK5級を私が先に合格していたこともあり追われる立場で、彼だけには負けられないと思っていました。彼もエンジンがかかってからは凄い勢いで勉強をし、後ろからひたひた迫ってくる足音が聞こえてくるようでした。もちろん負けられません。迫ってくる彼を引き離すべく私も猛勉強をしました。彼の方も少なからず私を追い越そうという気持ちがあったものと思います。結果、彼も私もHSKで6級合格レベルに達することができました。

皆様も周囲に中国語を頑張っている人がいるなら是非声をかけて、仲間でもライバルでもいいので互いに切磋琢磨していくことをお勧めします。

日本語を断つ(★★★)

私ではありませんがゼロから学習を始めて約半年でHSK6級を合格レベル(正解率6割以上)に達した人がいらっしゃいました。一般的には信じられないスピードです。ある団体から中国の大学に派遣されてきた留学生で、留学期間中に5級合格レベルに達することがMustだったのですが、その人は「せっかく来たのだから5といわず6いくぞ!」と決意されました。その勉強法というか決意がすごかった。なんと留学期間中は日本語を完璧に断ったのです。日本人留学生たちと交流しないのはもちろんのこと、日本にいる親兄弟や友達、彼女との交流も断ったそうです。もちろん英語を話す他の留学生とも交流しない。日本のテレビやネットも見ない。完璧に中国語だけで過ごしたそうです。そうすると、中国語ができないと楽しくないとかいうレベルではなく、まさに生きていけない状況になるので死にものぐるいで覚える。するとそのうちにものごとを日本語を介さず中国語で考えるようになる、当然夢も中国語でみるようになる。そうなってくると6級合格レベルへの到達なんてあっという間だったということでした。曰く「その国にいるのだから言葉の習得なんて本気でやったら簡単ですよ」とのことでした。東京大学卒業の方でしたので元々優秀だったのでしょうが、決意して実行して目標を達成する、そのモチベーションというか精神力に感服しました。

私のような会社員にそれができるかというと仕事上日本語を使う機会が必ずありますし、日本人と付き合わなければ業務に支障をきたす場面が少なからずありますので、やっぱり難しいです。しかし彼ほど極端ではなくても極力中国語で仕事し生活することはできます。私自身もHSK受験前数週間はなるべく中国語だけで過ごすように工夫したりしています。

彼の取り組みは中国に仕事で来ている会社員はともかく、語学留学に来ている方には大いに参考になると思います。せっかく留学しても日本人の友達とつるんでばかりでは楽しいでしょうけど本来の目的を達成するのは難しいと思います。積極的に中国人の友人を作って中国現地の生活にドップリと浸かってみましょう。中国語力も伸びますし一生の思い出になると思いますよ。

音声入力で認識されるか試す(★)

自分の発音の良し悪しはできる人に客観的に確認してもらわないと分かりません。できる人といえば基本的にはネイティブですが、中国は広大で人が多いので方言が多彩で広東語など普通话とは全然違う言葉を話している方も多いです。しかも普通话は普通话でも等級分けされているくらい上手い下手があるようなので、中国人だから良いというものでもありません。そこで、微信チャット等の音声入力に話しかけてみて正確に認識されるか試してみました。チャットレベルの短い文章ばかりですか、結果からいうと私の場合はかなりきちんと認識されました。上手だと認められたようでなんだか嬉しかったです。

しかし使い続けるにつれあまりにもよく認識するので逆に心配になって、改めて考えてみました。

私は学習初期に東北地方でガッチリ拼音から鍛えてもらったので発音が上手いと言われることはあります。ただしそれはあくまで「日本人にしては」ということで、実際には自分で話していてもベタの日本人訛りが聞こえてガッカリしますし、聞き手が怪訝な顔をすることも頻繁にあります。中国語を話していると認識してもらえず英語で「Sorry, I can’t speak Japanese 」などと言われて情けない思いをすることすらあります。それらを考え合わせると音声認識というのは音声のバラつき幅を吸収する機能が優れていて、発音が多少違っていても正解を導き出せるのではないかと思います。つまり発音の良し悪しの判定にはあまり適していないのではないかと思います。それに気付きガッカリ(ぬか喜びだった)しましたが、まぁ仕方がありません。

私レベルの発音能力でも認識してもらえるありがたい便利機能ということで活用していきます。

チャットやメールで中国語を使う(★★★★★)

簡単な文章が書けるようになったら微信やメールで中国語を使うことをお勧めします。言語はコミュニケーションツール、ゼロから積み重ねてきた努力がようやく実践で活用できるレベルに到達です。まずは微信のチャットが単語や短文で気軽に開始できるので良いと思います。覚えた言葉を少しずつ織り交ぜながら中国人とチャットをするのは楽しいものです。この段階で発信することには特に注意点はないですが、返信でもらったネイティブの文章や表現が参考になるので、覚えて自分でも使ってみるのが面白いでしょう。参考になる表現はコピーしてストックしておくことをお勧めします。次にもう少し長い文章を作成するメール。文法や単語の用法に気を付けながら文章を作成して発信します。微信よりレベルが高く深いコミュニケーションをするので難度が高いですが、その分達成感があります。ただ問題は正しい文章ができているのかどうか分からないことです。文章表現が多少おかしくてもネイティブには何が言いたいか分かるので、相手への気遣いもあり間違いの指摘はしないのが一般的です。我々日本人が、外国人が頑張って使った日本語が間違っていても意味が分かれば間違いはあまり指摘しないのと同じです。この状態では中国語(みたいなもの)を我流で書いているだけで進歩しません。なので、常に自分の文章はおかしいかもしれないということを前提に、間違いがあったら指摘してくれるようにお願いしておくことが大切です。コミュニケーションする全員にお願いするのは非効率ですから、一人で良いので親しい人に、たまにチェックをお願いすることをお勧めします。

私は中国人との仕事でのメールでは基本的に中国語を使っていますが、恥ずかしながら間違いだらけです。また、返信が遠慮なく高度な中国語で来るので解読して返信するのに時間がかかります。周囲に多大なる迷惑をかけていることを自覚しつつ、誰かに止めろとたしなめられるまではしつこく続けるつもりです。

一度は手で書く(★★★★)

PCや携帯が発達して手で文字を書くことが少なくなってきました。日本の漢字ですら怪しくなってきた人もいるのではないでしょうか?漢字は象形文字なので絵のようなイメージで右脳で覚えられるという利点がある一方で、正確に書こうとすると意外に書けないものです。賛否両論あるかとは思いますが個人的には手書きの練習を積んだ方がしっかり覚えられると思っています。特に注意が必要なのは日本の漢字とイメージは同じだけど詳細が微妙に違うもの。書いてみてはじめて違いがあることに気が付くというケースが多々あります。対と对、変と变、辺と边、査と查などですね。手書きで文章を書くというのは時間がかかるので短時間で効率よく学習したい人には難しいと思いますが、最低1回はどの漢字も手で書いて書いてみることをお勧めします。分かっていたつもりなのに書いてみるとアレ?という気付きが必ずあります。そして手で書いて認識した「ああ、ここが違うんだな」という手で覚えた記憶は結構しっかりと残ります。また、書いてみると簡体字の工夫している点が実感できて面白かったりします。

因みに中国本土の漢字は簡体字、台湾などで使われている元々の漢字は繁体字ですが、日本で使っているのは略体字というそうです。

日本人の先輩からコツを聞く(★★★★)

発音はネイティブに教えてもらってひたすら真似るのが王道ですが、どうしても上手くできないものについては先輩の日本人にコツを聞いてみるのも良いかと思います。先輩は同じように日本人が苦手とする部分に引っかかって工夫しているからです。 聞いてみると、日本人だから分かる(日本人にしか分からない)インパクトのある工夫をされていたりして思わぬ気付きを得られることがあります。

私が聞いた面白いのは、例えば四声は関西弁の「これなに?ええなあ」でOKだというもの。「これ1 なに~?2 ええ3 なあ4 」ですね。私も大阪に住んでいましたのでピッタリはまって面白かったです。他には「2声はヤンキーのにいちゃんが『あ~?』と因縁つけるように言え」だとか、「3声は何かを失敗した時のため息『あ~あ』を使え」だとか、「4声は落胆した時の投げ捨てるようなため息『はあ』を使え」だとかです。(文字では伝わり難いですね。すみません)他には「日本人にはrとeが難しいから『热』に集中してマスターせよ」だとか、「『日本人』を『リーベンレン』と言ってしまったらおしまいだ!」(これは工夫ではないですが)とかです。その人なりに苦労して乗り越えてきた独自の工夫が聞けて参考になるし楽しいです。

注意点は、①ある程度基本をマスターしてから聞くこと。基本ができていないとアドバイスが理解できず、偏ったクセを付けてしまうリスクがあります。そして②上級者(できれば専門家)に聞くこと。初級中級の人に聞いてもその人自体が正確にできていない場合は間違ったコツを身に付けてしまうリスクがあります。

学習の先輩と交流することで一緒に頑張る仲間ができてやる気に繋がるという利点もありますね。

注記)リーベンレンについて:ribenrenをローマ字読みしたら通じません。中国人から「日本人のくせに日本人(ribenren)と言えない」と笑われてしまうということです。

中国人と活動する(★★★★★)

中国の友人たちと一緒に活動をし喜びを共有する、これは私にとって一番のモチベーションです。

ある時中国の大学で日本語を教えていた先生にお会いしました。日本語を教えるにはその背景にある日本の文化も教えていくことで教育効果が上がるということでした。日本の文化を体験するために着物を着たり生け花や茶道をやってみたりされていました。私はこの話に興味を持ち、私が学生の頃から続けている空手を教えましょうかと申し出て、やってみることになりました。対象は入学したばかりの一年生、日本語がまだ上手ではないので二年生の子が通訳としてついてくれました。この学校では文化祭があり各学部が出し物をするのですが、そこで空手の演武をやることにしてそれを目標に半年間、週二回から三回の練習を始めました。初めは日本人と空手に戸惑っていた学生さんたちも次第に慣れてきて、私の下手な中国語と学生さんたちの下手な日本語の愉快なコミュニケーションが始まりました。空手の練習も大いに盛り上がり、半年間で基本的な形と約束組手ができるようになりました。そして文化祭では全員が一糸乱れず見事な演武を披露しました。感動しました。

そして先生はその後の学生さんたちの日本語習得の伸びに着目し、クラブの活動が学業に与えた好影響の要因を分析して論文を発表されました。

この空手クラブのメンバーは家族のような関係になりました。学生さんたちは今ではそれぞれ就職したり日本に留学したり大学院に進んだりしていますが、今でも微信で連絡を取り合いますし一緒に食事をしたりしています。まさに日中友好の架け橋になっています。

私はその後も別の大学で空手を教えています。教え子がどんどん増えてきてとても嬉しいです。

私の活動はやや特殊な例かもしれませんが、目標を持って一緒に頑張る、苦楽を共にすることで絆が生まれるというのは本当に幸せなことです。交流を深めるために中国語の学習にも力が入ります。皆様も仕事以外にも仲間を作りいろんな活動を通して交流を深められることをお勧めします。

中国語の本を読む(★★★★★)

読む力を身に付けるためにはもちろん文章を読むのが一番です。問題は読む気になれるか、継続できるか、ということです。

先ずは難度の問題。辞書を引きながら読むのは手間がかかるので先ずは知ってる単語が多い文章、ほとんど絵本のような子供が読む本を試してみました。うん、確かに読める。問題はちっとも面白くないことです。ではストーリーを知っている名作はどうか?知らない単語をストーリーを踏まえて想像で補いながら、これも読める。でも知っている話なのでやっぱり今ひとつ面白くない。そこで中国人の知人に文章が比較的平易で面白い本を紹介してもらいました。紹介してもらったのは「三体」、これは面白い!引き込まれました。

次の問題は集中力。そもそも日本語の本でも少し詰まると諦めて途切れてしまう。ましてや中国語、つまずきながら読むのでいちいち止まる。そんな感じで実は「三体」は二年前に読み始めたにもかかわらずまだ三分の一しか読めていません。そして加齢に伴い襲いかかる老眼の問題。近くが見え難くなると文章を読むのが本当に億劫になります。ハズキルーペで対策です。

そんな読む力が向上しているとはとても言えない状況ではありますが、それでも楽しく読み進めている間は読むスピードや理解がだんだん速まることを実感しています。いろいろ阻害要因はありますが、自分が好きなジャンルの本を見つけて腰を据えて熟読するのがやっぱり一番効果的だと思います。

例えば、中国でも東野圭吾さんの本は大人気で本屋に行けば必ず東野コーナーがあるので、ファンの方にはこちらがいいかもしれませんね。

聞く力を強化する

漢字の知識がある日本人にとって読み書きは比較的容易です。まるでお絵描きのようにのたうち回った漢字を書いている他の外国人を見ると気の毒になってしまいます。他の外国人に比べて習得があまりに早いので周囲からは既に十分な中国語力があると誤認され、上手く話せないことが露呈すると「あんなに読み書きができるのに何故話せないの?」と不思議がられることがあります。これは多くの方が経験されていることだと思います。いくら漢字を知っていても日本語と中国語で発音は異なるので、聞く力はほぼゼロから身に付けなければなりません。発音が似ているものもありいくらかのアドバンテージはありますが、日本語で音読みをすれば伝わるというものではありません。

ここではテキストの音声を聞くといった一般的な手法に加えて、聞く力を楽しく向上する工夫を紹介します。

台湾に行ってみる(★)

中国語会話の修行を兼ねて観光をしようということで台湾に旅行に行きました。中国出向業務から解放されて日本で仕事をしていた頃で、中国語に触れる機会があまりなく忘れてしまう危機感を覚えていたからです。台湾には英語も日本語も話せる人が多いと聞くので気楽に中国語を使えるだろうと考えていました。

台北のホテルに着いたら早速中国語トライです。「你好!请问」と言ったらすぐに「日本のお客様ですね?御用は何でしょうか?」と日本語でスラスラ話してこられました。「さすがホテルの従業員はよく勉強してるな」と思い外に出ました。地下鉄に乗り行き先を調べようと日本語で書かれた地図を眺めていたら「日本の方ですか?どちらへ行かれますか?」と。お昼ご飯を食べにガイドブックに載っている店を探していて並んでいる人に「请问」と話しかけると「あ、私日本語話せます。何ですか?」と。う〜ん。。。台湾大学に行って展示館に入った時、学生さんがいて中国語で話しかけようかと思ったのですが、もうその頃になると私も事態を把握していて諦めました。十中八九ニコニコ日本語で答えてくれたことでしょう。

たまたま日本語ができる人にたくさん当たったのだろうとは思うのですがそれにしても台湾の人の日本語能力の高さにはビックリ、台湾の日常生活で中国語の修行をするのは難しいことを実感しました。修行はできませんでしたが台湾の人たちの優しさと日本への好意に触れ、幸せな旅になりました。

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