中国語初心者の人向けに読み方にカタカナをつけているテキストがあります。とっかりとしてはアリかもしれませんが、使い続けない方が良いです。
拼音を勉強するとカタカナ表記では音を全然表せていないことが分かります。YouTubeの李姉妹chで検証していました。お姉さんの日本人彼氏にカタカナ表記を読んでもらってそれを中国人姉妹が理解できるかという検証ですが、平易な表現はなんとか理解できていました。ただそれは中国語の語彙が豊富で、且つ日本語の音も知っている姉妹だからこそ推測できた部分が多々ある筈で、通じたとは言い難いものだと思います。実際に音を聞いてみると私には全く分からず、中国人はそもそも中国語を話そうとしていることすら理解できないと思います。
そして何より危険なのがこの間違った音が完全に定着してしまい矯正不能になることです。私はそれで散っていった人を知っています。その方は元々中国語が大好きで独学でカタカナ中国語を覚えてその後改めて中国人の先生に習いましたが、1から拼音をやったにもかかわらず発音いつまでも発音ができませんでした。先生に「独学で覚えたことは一旦全て忘れて下さい」と言われていましたがそれは難しかったようです。結局あんなに好きだった中国語を諦めてしまいました。
いろんな考え方があるでしょうが、個人的にはカタカナ中国語には触れない方が良いと思います。
多くの人が中国語の発音練習の方法のひとつとして、早口言葉を推奨しています。中国語は発音がとても重要ですし、間違えると思うように相手に伝わりません。早口言葉はそもそも言いにくい言葉を繋げて作られているので、それを練習することで声調や発音の違いを理解しやすくなります。
私も学習初期に先生に練習させられました。一番最初にやったのが定番の「四是四十是十十四是十四四十是四十」です。これはかなりしつこく言わされて当時はスラスラ口から出るようになっていました。shi,si,xi,chiなどの多用は定番で、「石老师吃柿子、一天吃四个柿子。十天吃四十个柿子」も練習させられました。「西施死时四十四」というのもあり、北京の人がshi、xi、siの発音の区別が苦手な上海人に言わせてからかうことがあるそうです。
私が好きなのは「妈妈骑马、马慢、妈妈骂马」(Mā ma qí mǎ ,mǎ màn ,mā ma mà mǎ./お母さんは、馬に乗る。馬が遅くて、お母さんは馬をののしる)です。発音も内容も愉快です。
あと早口言葉と言えるのか分かりませんが「说曹操,曹操就到」(曹操の話をすると曹操がやってくる=噂をすれば影が差す)も好きです。三国志での曹操の恐いイメージから生まれたことわざのようです。
早口言葉の練習は発音のいいトレーニングになりますし、いくつかスラスラ言えると中国人ネイティブも感心してくれて面白いので、是非やってみて下さい。
面白そうな早口言葉の本を紹介しておきます。
日本語人にとって中国語の発音はとても難しく、悩みが尽きません。
なぜ難しいかというと日本語よりも発音の数が圧倒的に多いからです。中国語の発音にも日本語の50音図に似た母音(あいうえお)と子音(かさたなは・・・)の関係があります。しかしその数は膨大で、母音は36個、子音は21個あるため、単純計算でも400以上の組み合わせがあります。 また、日本語にない四声の発音が難しい。日本語でも飴(あめ)と雨(あめ)や橋(はし)と箸(はし)など、音とアクセントの違いによって意味が異なるものがありますが、中国語では四声(4つの音の変化)があり、声調の変化によって意味も変わります。つまり中国語の発音は約400音、さらに四声が加わると、なんと約1300音の発音があることになります。しかもそのうちローマ字読みできるものは7割ほどで、できないものが3割もあるそうです。これだけの差があるのですから、なかなか上達しなくても過度に凹む必要はないかもしれません。
しかし通じないとやっぱりガッカリします。基本的には自分で発音できないものは聞き取れないので、リスニング能力もなかなか伸びません。いくら集中して聞いても分からない言葉が、書いてもらうと「なんだ、それか」となる時にもやっぱりガッカリします。
しかし、私が一番凹むのは、一所懸命に中国語で話しかけているのに、「Sorry,I cannot speak Japanese.」と返されることです。悔しくて「I am speaking Chinese.」と言うと「えっ⁉︎」という申し訳ない顔をされて、また凹みます。中国語を話していると認識されるまでの高い壁、何としてもこれを越えないといけません。
私の場合、実力で越えるのは難しいので策を弄します。会話を始める時に発する最初の言葉を、絶対的に自信がある言葉、例えば「你好」を大きな声でゆっくりと発し、「中国語を話しているんですよ」をアピールをするのです。相手が「你好」と返してくれたら認識OK、返してくれなかったらもう一言得意な言葉を投げかけて相手の反応をみます。それでも中国語を話していると認識されないようであれば、自分の心が折れてモチベーションが下がるのを防ぐため、諦めて英語で話します。
因みに、英語で会話していると面白いこともあります。中国人も英語が上手ではない人もいるので、聞いていると「Can you speak Chinese 吗?」と中国が混ざってしまう人もいます。いわゆるChinglishです。こちらが中国語で凹んでいる時に相手のこういう愉快な間違いを聞くと微笑ましい気持ちになります。
自分の発音の良し悪しはできる人に客観的に確認してもらわないと分かりません。できる人といえば基本的にはネイティブですが、中国は広大で人が多いので方言が多彩で広東語など普通话とは全然違う言葉を話している方も多いです。しかも普通话は普通话でも等級分けされているくらい上手い下手があるようなので、中国人だから良いというものでもありません。そこで、微信チャット等の音声入力に話しかけてみて正確に認識されるか試してみました。チャットレベルの短い文章ばかりですか、結果からいうと私の場合はかなりきちんと認識されました。上手だと認められたようでなんだか嬉しかったです。
しかし使い続けるにつれあまりにもよく認識するので逆に心配になって、改めて考えてみました。
私は学習初期に東北地方でガッチリ拼音から鍛えてもらったので発音が上手いと言われることはあります。ただしそれはあくまで「日本人にしては」ということで、実際には自分で話していてもベタの日本人訛りが聞こえてガッカリしますし、聞き手が怪訝な顔をすることも頻繁にあります。中国語を話していると認識してもらえず英語で「Sorry, I can’t speak Japanese 」などと言われて情けない思いをすることすらあります。それらを考え合わせると音声認識というのは音声のバラつき幅を吸収する機能が優れていて、発音が多少違っていても正解を導き出せるのではないかと思います。つまり発音の良し悪しの判定にはあまり適していないのではないかと思います。それに気付きガッカリ(ぬか喜びだった)しましたが、まぁ仕方がありません。
私レベルの発音能力でも認識してもらえるありがたい便利機能ということで活用していきます。
発音はネイティブに教えてもらってひたすら真似るのが王道ですが、どうしても上手くできないものについては先輩の日本人にコツを聞いてみるのも良いかと思います。先輩は同じように日本人が苦手とする部分に引っかかって工夫しているからです。 聞いてみると、日本人だから分かる(日本人にしか分からない)インパクトのある工夫をされていたりして思わぬ気付きを得られることがあります。
私が聞いた面白いのは、例えば四声は関西弁の「これなに?ええなあ」でOKだというもの。「これ1 なに~?2 ええ3 なあ4 」ですね。私も大阪に住んでいましたのでピッタリはまって面白かったです。他には「2声はヤンキーのにいちゃんが『あ~?』と因縁つけるように言え」だとか、「3声は何かを失敗した時のため息『あ~あ』を使え」だとか、「4声は落胆した時の投げ捨てるようなため息『はあ』を使え」だとかです。(文字では伝わり難いですね。すみません)他には「日本人にはrとeが難しいから『热』に集中してマスターせよ」だとか、「『日本人』を『リーベンレン』と言ってしまったらおしまいだ!」(これは工夫ではないですが)とかです。その人なりに苦労して乗り越えてきた独自の工夫が聞けて参考になるし楽しいです。
注意点は、①ある程度基本をマスターしてから聞くこと。基本ができていないとアドバイスが理解できず、偏ったクセを付けてしまうリスクがあります。そして②上級者(できれば専門家)に聞くこと。初級中級の人に聞いてもその人自体が正確にできていない場合は間違ったコツを身に付けてしまうリスクがあります。
学習の先輩と交流することで一緒に頑張る仲間ができてやる気に繋がるという利点もありますね。
注記)リーベンレンについて:ribenrenをローマ字読みしたら通じません。中国人から「日本人のくせに日本人(ribenren)と言えない」と笑われてしまうということです。
「楽しく学習する工夫」に入る前に、楽しくなくても必ずやるべきことをお伝えします。それは「拼音の苦行」に耐えることです。
一般に中国語学習ではまず最初に「拼音」を練習することになると思います。私はこれは本当に大切だと実感していますし、知人にも同じ意見の方が多いです。
私も中国で中国語語学校に入学して先生についてもらって拼音から始めた訳ですがこの先生が(良い意味で)非常に厳しく、最初の三か月は拼音だけを妥協なく練習させられました。中国語の発音は日本語にはないものが多いため日本人には習得が難しいものがたくさんあります。いい歳したおじさんが若い女性の先生に叱られながらうーうー発音の練習をするのははっきり言って大変な苦行でした。少しでも違っていたら、本人は違っていると認識できもしないのにおかしいと指摘され、出来の悪い子供のように何度も練習させられる。おじさんのプライドも何もあったものではありません。第一回目の授業で直ぐに心が折れて、その後は嫌々ながらも「お金もはらったことだし」と義務的・機械的に教室に通っていた次第です。
なんとか苦行をやり通し合格点をもらう頃には、相変わらずうまく喋れている気はしないものの、聞いた単語が何であるかはおぼろげながら分かるようになっていました。基礎がしっかりできたのか、今でも発音が上手い(もちろん日本人にしては)と褒められることがありますし、何よりリスニング力の向上に大いに貢献しています。
一方で、私と同じくらいのタイミングで学習を始めた人の話なのですが、その人は元々中国語が大好きで日本にいる時に独学で基本的な勉強を済ませていました。それはそれで良いのですがいざ本格的な学習を始めると独学で定着したクセが抜けず、なかなか上手く発音できません。先生には「一旦独学でやったことは全て忘れて下さい!」と言われ続けましたが結局それもできませんでした。「まあ中国に永住して毎日話すわけではないのでいいか」などと言っておられましたが、問題は話せないことだけではなく、音が判別できずにリスニング力がなかなか向上しないことでした。その後も毎日通勤時間も昼休みも就業後も中国語を勉強するような熱心な人でしたが、結局あまり進歩しないまま出向を終えて帰国していきました。
特に拼音など、教わらないと正しい状態が分からないものについては独学は控えめに、苦しくても恥ずかしくても挫けず粘り強く、という教訓でした。実際にこの段階で黙って退場していかれる方は多いです。なんとかやり遂げましょう!
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