IT技術が進んだ現代では文字を書くことが極端に少なくなりました。AI翻訳等のソフトウェアや携帯等のハードウェアの技術も飛躍的に発達してきたので、人間はもう文字を書く必要はなくなるのではないか?といった議論も真剣にになされるようになってきました。
しかし、残念なことに私たちが目標とするHSKの試験には、依然として手書きの作文問題があります。文字が書けないと話になりません。ということで、我々は当面は字を書くことから解放されることは諦めて、しっかり書き取りの練習もする必要があります。
まあそれは目先の条件ですが、特に漢字のような形が意味を持つ文字は、書いてこそその背景にある文化や歴史が理解できるものだと思いますし、何より美しいので書いて楽しいものです。
そこでおススメなのが、メモをとる際に漢字の部分を全て簡体字にする方法です。もちろん全てを中国語にできるならそれに越したことはないですが、まずは漢字の部分だけでも十分だと思います。
簡体字は漢字を書き易いように大胆に変更した字体ですから、素早くメモを取るには最適です。中国語を勉強している人の中には自然にやっている人も多いと思います。また、大きく崩した文字は日本人には分からないものもあるので、機密管理にも有効です。(これは言い過ぎですかね?)
問題は、簡体字に慣れ過ぎると、元の日本語の漢字が分からなくなることです。私ももはや出てこない日本の漢字が結構たくさんあるような気がします。ただ、我々日本人は日本語のテストは受ける必要がなく、今後日本語の文字を書く機会はどんどん減ってくると思われるので、多少は忘れてしまっても良いかもしれません。(?)
ちがいがわかる対照表 日本の漢字 中国の漢字 第2版
日本のビジネスのやり取りは他の国の人からみるとビックリするほど冗長です。日本人的にはマナー上全て必要な言葉のように思えるのですが、外国人、特に何事にも直接的な中国人は、何故そんなに長々と重要でないことを書くのだろうと思っているようです。
日本語「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。先日ご提示頂きました価格についてお返事させて頂きます。本社に持ち帰り関連部門と担当役員と慎重に検討致しましたが、当社の得る利益を鑑みますと大変残念ながら受け入れるのは難しいという結論に至りました。ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、今一度再考の上ご譲歩の余地がないかご検討下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」
中国語「这个价格难以接受,请让步。」
日本語「この度は当社のために寛大なる譲歩をして頂き、社長共々心より感謝しております。本当にありがとうございます。今後とも末永くお付き合いのほど、よろしくお願いします。」
中国語「谢谢你们做出的的让步」
中国で仕事をしていると中国のビジネス環境に慣れてきて直接的になってきます。日本人の、特に冗長な文章を好む人の連絡は、オブラートに包まれたように曖昧で間接的、そして無駄に長くて、何が要点か分かりにくく感じてきます。もちろんそれをそのまま中国語に直訳してもサッパリ意味が通じませんので、中国語でコミュニケーションする際には、日本人的には大胆過ぎると感じるくらい直接的な表現にすべきだと思います。
しかし、一方の中国語の連絡文も直接的過ぎて、思わず笑ってしまうほど素っ気ないです。決して無礼なわけではないですが、用件のみ伝えたらそれで終わり。少しはエモーショナルな文章があった方が気分良く仕事ができるのに、と思うことがよくあります。
日本人と中国人のビジネス文章、足して二で割ったら丁度いいのに、といつも思います。
近年中国でも若者の流行言葉が増えて、微信のチャット等で使われているのを見ると面白いです。ただ、外国人が使用するのはかなり難しく、場合によっては不快な印象を与える懸念があるので、一般の中国語を使う方が感じが良いのではないかと思います。
「不要→表」「好的→好滴」「过奖→果酱」「超级开心→炒鸡开心」「没有→木有」等々、面白いというか可愛いというか、微笑ましい気持ちになります。ただ、これらはあくまで流行言葉なので、いくつか残るものはあったとしても変わっていったりなくなったりするものが多い筈です。外国人は中国に永住する人でない限り、流行言葉をずっと追いかけられる訳ではないので、いつの日か「なにそれ?」となってしまいます。実際上記の言葉も今ではやや古いそうで、使っていると年齢がばれてしまう類のものだそうです。
また、十分にニュアンスが分からない外国人が流行言葉を使うと異様な感じになってしまうことがあると思います。日本にいる外国人が場にそぐわない流行言葉をいきなり発したらどういう感じか、想像したら分かると思います。女子高生が使うような流行言葉をしゃべって得意気な外国人と、苦笑いの日本人、想像するだけで息苦しい場面です。
外国人としては、流行言葉は聞いて楽しむだけに止め、汎用語の習得・研鑽に努めましょう。
中国語と日本語で漢字の意味が違ったり、意味が同じでもニュアンスの違いで使い方が難しかったりする言葉には注意が必要です。一方で、調べてみると日本的ニュアンスでそのまま置き換えて使える言葉も結構あるようです。
「大丈夫?」は「没事吧」、「また今度」は「改天吧」、「やめておくよ」は「算了吧」、「結構です」は「不用了」、「本当?」は「真的啊」、「まさか」は「不会把」などなど。
中でも個人的に「これは使える!」と感動したのは「有点那个」です。日本語の「ちょっとアレだから」の意味でそのまま使えます。
面白いと思ったのが「完了」です。動詞と合せて動作が完了したことを表す他、単独で使ったら文字通り「終わった」と使えます。よく失敗したりした際に「あー終わった終わった!」と言いますが、中国語では「完了完了完了」で置き換えられます。
何事もストレートに表現することが多いお国柄なので、間接表現が多い日本語との類似点は多くはないですが、いくつかはあります。日本人には使い易い表現なので、たくさん発掘して覚えていきたいものです。
過去数十年に渡って中国にある変な日本語を見付けて笑ったりしていましたが、近年日本への中国人観光者が増えるにつれ、変な中国語が爆発的に増えています。もはや人のことは言えません。直ぐに正していきたいものです。
中国のメディアで紹介されていた例では、観光地のお寺で「ここから上がらないで下さい」→「请不要紧张」、これでは「緊張しないで下さい」です。また、お店で「先に会計を済ませて下さい」→「请先弄完会计」、これでは「先に会計担当者をやっつけて下さい」です。
飲食店のメニューで「豚肉ホルモン」を「猪肉大肠癌」、「豚肉大腸ガン」です。「山かけうどん」を「山药你该骄傲」、「山芋よ、誇りを持て」です。(これはひょっとして意図的かも?)シャレにならないのが「菜の花」→「强奸花」。自動翻訳を使って日本語→英語→中国語とやったそうですが、菜の花の英語はRape blossoms、それをそのまま中国語にしたそうです。
変な中国語表記ができる理由は、精度の低い無料翻訳ソフトの使用やそもそもの日本と中国の漢字の意味の違いが多いようです。不勉強な人が中文を作成する際には必ずネイティブチェックを入れるべきです。
変な中国語は見付けて笑っている場合ではなく、わざわざ日本に来られた人を不快にさせないために即刻修正しないといけません。私レベルの学習者が見ても何かおかしいと感じるものが多々あります。有識者の皆さんは見付けたら是非言ってあげるようにしましょう。
以前は英語を学んだ中国人が外国人に英語で話すと、Did you eat breakfast吗?などと文末に中国語が混ざったりして、Chinglishだとからかわれていたものです。しかし最近では中国語と英語を混ぜた表現が流行り言葉として現れてきました。
元々中国人は、外来語を表音表意いずれかの方法で中国語的に取り入れてきました。しかし近年の経済発展やグローバル交流の増加に伴って外来語が大量に入ってきて、中国語変換を諦めて?英語のまま使ったり、面白がって混ぜて使ってみたりすることが増えてきました。
「打call」応援するという意味で、例えば好きなアイドルを応援するために一斉に叫んだりするコールのことを指します。これは日本のライブ文化から来ているようです。我给你打call などのように使われています。
「out了」時代に遅れていることを指すそうです。你非常out了。「p图」写真を加工修正することだそうで女性たちがよく使っているようです。
「〜ing」日本語的に言えば「〜なう」です。「幸福ing」「伤心ing」のように使っています。面白いのが「养眼ing」イケメンや美女を見て目の保養中ということだそうです。「fighting!」などと、英語は英語ですが、実は勝手に自分たちの用語に変えてしまっているのでは?と思われるものにも出くわします。
私のお気に入りが「母胎solo」、生まれてこの方彼氏/彼女なしという意味だそうです。母胎からというのに恐れ入りました。
恐らくHSKなどの試験には何の役にも立たないと思いますが、チャットなどで交流する際に楽しく使えます。これらもどんどんこういった愉快な新語が出てくると思いますので、楽しみにしています。
中国で仕事や生活をした人は、中国人は日本人ほど挨拶をしないことに気付かれると思います。日本人なら朝人に会えば「おはようございます」、ご飯を食べる前には「いただきます」、人に会ったり打ち合わせをしたりしたら「よろしくお願いします」、初めて会う人には「初めまして」等々、たくさんの挨拶の習慣があります。
中国にももちろん挨拶はありますが、日本ほど多くはなく、日常的にはほとんど言わないのが普通です。あまり挨拶をされると返ってよそよそしく感じたりするようです。挨拶なしにいきなり話に入るくらいが親しいと感じられるようです。
そのような習慣の違いから、日本語的な挨拶言葉で、中国語でも存在はするけど日常生活や仕事でほとんど使わないものがあります。
まずは「请多关照」、「よろしくお願いします」ですが、日本人のように常用連発することはなく、かなり改まったビジネスシーンで使うもののようです。連発されると中国人はなんだか距離を感じてしまうようです。「初次见面」、「初めまして」ですがこれもほとんど使わないようです。
よくよく聞いていると意外と使われていないのが「早上好中午好晚上好」、中国語の教科書に必ずあるので、日本人的には使ってみたい気がしますが、中国人同士で使っている場面に遭遇したことがありません。代わりによく聞くのは、朝なら「早」、昼や夜は「吃饭了吗?」くらいなものです。
日本人のマナーや礼儀は高く評価されています。私は外国にいても日本人は日本人らしく振舞うべきだと思っています。外国に住んだらその国にかぶれて日本的なものを全て否定するような人もいますが、それには全く賛同できません。ただ、中国なら中国で、相手側にも習慣や考え方がありますので、それを理解した上で交流するのが上手なコミュニケーション、効果的な言語の習得に繋がると思います。
日本語は非常に細やかで曖昧な言語だと思います。ほんのわずかな表現の差で微妙な意味を伝えます。それに対して中国語を含む多くの外国語は意味を伝えることが最優先で、表現がストレートです。それを理解しておかないと思わぬ行き違いが生じます。
日本語は、まず直訳困難な表現が多いです。例えば「恐れ入ります」とか「お邪魔します」。これらは多くのニュアンスを含んでいて、直訳では伝わりません。
そして敬語。尊敬語と謙譲語と丁寧語を外国語で表現するのはかなり無理があります。
そして語尾のニュアンス。「分かります」「分かるよ」「分かるけど」「分かるもん」などの語尾にはニュアンスがあるので、これらも直訳が難しいです。
そして複数の異なる意味を持つ言葉。「いいです」「すみません」「けっこうです」「どうも」「一応」等々。これらは状況が分からないと何を伝えたいのか分かりません。
我々日本人は、そういう言語を背景にしているのだということを認識することで、外国人とのミスコミュニケーションを少なくすることができると思います。
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外国人との接点が少ない人には理解し難いかもしれませんが、日本人のコミュニケーションスタイルはグローバルでみるとかなり特殊です。それを自ら理解しておくことで、外国人とうまくコミュニケーションがとれるようになります。
特殊なのは主に二つ、ハイコンテクストと話の順序です。
コンテクストとはコミュニケーションの基盤である言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性などのことです。この共通性が高いことをハイコンテクストといい、日本はそれに当てはまります。所謂「以心伝心」のスタイルです。
中国もアメリカなどと比べるとコンテクストは高いそうですが、日本ほどではありません。簡単な意思表示で全て伝わると思わず、はっきり言葉にして説明する必要があります。「そんなの言わなくても分かるでしょ?」は日本の中だけにしておいた方が無難です。
もう一つは話の順序です。日本人は背景から入って理由や依拠を長々と説明して、最後に結論です。人によっては結論がない場合もあります。これが、「日本人は何が言いたいのか分からない」と指摘されることに繋がります。外国人と交流する際には、あまりにビジネスライクで無味乾燥にならない程度に、結論をはっきりと早いタイミングで述べるようにした方が良いと思います。
グローバルコミュニケーションでは相手の言語や習慣を理解することが重要ですが、同じく自分のスタイルをしっかりと理解しておくことが大切だと思います。
キャッシュレスが進み現金を見ることが次第に少なくなってきました。いろんな国で仕事をしてきた私ですが、お金の扱いは昔の中国が一番酷かったと思います。
何が酷いかというととにかく紙幣が汚いのです。グチャグチャに丸めて握ってポケットに突っ込んだりするので、皺くちゃというかもはや紙団子。屋台の人たちが料理しながら触るので油でベトベト。それを汚れた手で何人も触るから真っ黒。メモや落書きもそこら中に。半破れもたくさん。触るのも財布に入れるのも嫌な紙幣がたくさんありました。
しかも、それを後生大事に綺麗にして持っていて、いざ店で使おうとするとなんと偽札。眺めたり何やらどんな機能なのか分からない機械に突っ込んで、偽札だと突き返されたりしていました。
今よりも人民元がずっと安く、物価も安かったこともあり、お金の価値というものがとても低く感じられて、出張が終わると余った元を中国人の同僚に全部あげて帰ったりしていました。
今では現金を見ることはあっても、あんなにくたびれ切った紙幣に遭遇することはほとんどありません。キャッシュレス万歳ですが、たまに紙幣を見ると愉快だったあの頃を思い出して懐かしいです。
漢民族を主な民族とする国以外で、漢字を日常的に使用しているのは日本だけです。古くはベトナムや韓国、北朝鮮も漢字を使っていましたが、ベトナムは識字率の向上のため、朝鮮半島ではハングルの発展に伴い、ほとんど使われなくなったそうです。
実は日本でも漢字の廃止を検討した時期があったそうです。しかし「漢字を廃することは、字が背負っている文化を捨てること、大きな損失になる」ということで却下されたそうです。それ以降、日本人は漢字文化を大切に守り、発展させてきました。同時に、アルファベットなど西洋の言語文化も柔軟に吸収して「日本語化」してきました。
そのような経緯を経て、現代の日本人は漢字を愛していると言って良いと思います。漢字文化はもはや日本の文化や魂だと認識されていると思います。
時代を経て変化してきたとはいえ同じ漢字文化、日本人と中国人は他の国の人よりも基本的な考え方が似通っていて分かり合い易い筈です。中国で生活しているとそう実感することが度々あります。
政治やメディアの影響で互いに歩み寄れない時代が続いていますが、同じ文化を持つ人同士、そろそろもっと素直に付き合い始めても良い時期だと思います。
中国語母語話者のための漢字語彙研究 ―母語知識を活かした教育をめざして
内モンゴル自治区出身のモンゴル族の知人がいますが、中国語はもちろん、日本語も上手です。青年期までほぼモンゴル語だけを使用し、大学に入ってから中国語を勉強したそうですが、すぐに習得できたそうです。もちろん、今では中国語環境で生活しているからというのもあり、中国語のコミュニケーションには全く問題がありません。
日本語は仕事の関係で1年ほど東海地方に滞在したそうですが、これもすぐに習得したそうで、日本語で会話しても大きな違和感を感じません。そういえばモンゴル出身の力士は来日して比較的早いタイミングで日本語を流暢に喋っています。
彼曰く、理由はモンゴル語の発音のバラエティーの多さにあるそうです。モンゴル語の発音の種類は中国語よりも多いので、モンゴル族にとっては中国語を話すのは簡単で、話せて使っているとすぐに習得できるそうです。中国語よりずっと発音が少ない日本語だと更に簡単、しかもモンゴル語と日本語は文法が似通っているそうなので、最も習得しやすい言語の一つのようです。中国語の発音が簡単にできるなんて、日本人にとっては羨ましい限りです。
しかし、オリジナルのモンゴル語は消滅の危機に陥っているそうです。モンゴル国で使われているモンゴル語は歴史の変遷の中で変わってきて、今ではロシア語と同様のキリル文字が使われており、オリジナルのものとは違います。オリジナル版は今では内モンゴル自治区の一部のモンゴル族でしか使われておらず、文化や風習が漢族と同化されると共に使う人がどんどん減っているそうです。「満州文字のように消滅してしまうのはとても残念、何とか繋いでいきたい」とのことでした。
内モンゴルのモンゴル族の間で流行っている歌を聞かせてもらいました。歌詞は全て縦に流れるような美しいモンゴル語で書かれていて意味は全く分かりませんでしたが、壮大で少し物悲しい曲調に、モンゴルの壮大な草原を想起させられました。
モンゴル語のしくみ
最近「偽中国語」なるものが出回っています。「今日仕事大失敗我全力謝罪。上司非常立腹結果給料減額。残念残念!」みたいな、中国語であるかのように漢字を使っているけど、その実完全に日本語であるものです。中国語ができない日本人がなんとかコミュニケーションしようと筆談をするものと同じです。中国語学習者にとってはこれが非常に危険であることが分かりました。
偽中国語は意外にも中国人にかなり通じます。微信でチャットしてみるとほぼ普通に会話ができます。さすがは同じ漢字の国の住人です。普通の人でも6割以上、日本語に心得がある人ならほぼ全て分かるようです。ただコミュニケーションするだけならこれもアリかなと真面目に思ったりします。
ただ、問題はこの作文が非常に面白いことです。自分で書いてみて思わずニヤリとするような秀逸な(?)表現ができたりして、面白くてやめられなくなります。相手の中国人の方にも影響が出てくるようで、「私の中国語が変になるからもうやめて下さい!」と言われました。これを続けていると完全にクセになってしまい、真の中国語になかなか戻れなくなってしまいます。
中国語学習者には偽中国語の甘い誘惑に乗らない方が良いと思います。「貴方全力回避偽中国語的誘惑!」
帰国して久し振りに撮りだめたNHKテレビ中国語を見てみました。初心者の頃はこれで勉強するという意味合いが強かったですが、ある程度経験を積んだ今でも、復習のツールとしてとても良いことが分かりました。
私などは特にそうですが、学習の際に大体分かったら細かい部分は確認せず、流してしまっていることが沢山あります。その結果「なんとなくこうだと思うけど・・」と曖昧で確信が持てない言葉や言い回しが沢山あります。HSKの文法問題などにあたると解答に確信が持てないものが沢山あります。NHK講座は基本に忠実に作られていますし、出演している日本人に教えていくというスタイルがとられているので、特に日本人が間違え易い部分を丁寧に教えます。
しかも気軽に見流すことができます。学習経験者にとっては簡単な内容なので、テキストを購入して、目を凝らしてメモを取りながらガッチリ見るような必要はなく、ぼーっと眺めていて、自分の理解が不足していたり間違えていたりするところがあれば、ちょっと集中して見れば良いだけです。お酒を飲みながら見るとなかなか楽しかったです。
ただしさすがに上級者には簡単過ぎて物足りないかもしれません。初級から中級レベルの人、あるいは以前せっかく勉強したのに忘れてしまっている人などにお勧めです。
NHK 「テレビで中国語」DVDブック ミニドラマで楽々、覚える 実践! ビジネス中国語講座 (ヨシモトブックス) (NHK「テレビで中国語」DVDブック)
聞き流しについては以前否定的な意見を述べました。しかし「毎日数分聞き流すだけでペラペラに」という夢のような効果への期待はやはり大きいので、英語バーションですが、いろいろ聞いたり調べたりしてみました。しかしやはり効果があったという話は聞きません。
聞き流しだと、同じ英語をくりかえして聞くことは基本的にできません。日本語のあとで、また別の英語のフレーズが再生されるからです。「この日本語、英語で何て言ってたっけ?」と引っかかっても放置して先へ進むことになります。これでは英会話で使えるフレーズが増えていきません。
そして、母国語が日本語である以上どうしても日本語の音のほうに意識が向いてしまいます。その結果、
おじさんが美女の、おばさんがイケメンのコマーシャルにつられて思わず購入してしまう→ 頑張って聞き流す→ 日本語のセリフは全て覚えたが英語はちっとも入って来ない→ 日本語で内容は分かってしまったので飽きてしまって続かない→ 結局やめた、となることが多いようです。
夢のような効果に期待するのはやめ、地道に勉強するしかなさそうです。
多くの人が中国語の発音練習の方法のひとつとして、早口言葉を推奨しています。中国語は発音がとても重要ですし、間違えると思うように相手に伝わりません。早口言葉はそもそも言いにくい言葉を繋げて作られているので、それを練習することで声調や発音の違いを理解しやすくなります。
私も学習初期に先生に練習させられました。一番最初にやったのが定番の「四是四十是十十四是十四四十是四十」です。これはかなりしつこく言わされて当時はスラスラ口から出るようになっていました。shi,si,xi,chiなどの多用は定番で、「石老师吃柿子、一天吃四个柿子。十天吃四十个柿子」も練習させられました。「西施死时四十四」というのもあり、北京の人がshi、xi、siの発音の区別が苦手な上海人に言わせてからかうことがあるそうです。
私が好きなのは「妈妈骑马、马慢、妈妈骂马」(Mā ma qí mǎ ,mǎ màn ,mā ma mà mǎ./お母さんは、馬に乗る。馬が遅くて、お母さんは馬をののしる)です。発音も内容も愉快です。
あと早口言葉と言えるのか分かりませんが「说曹操,曹操就到」(曹操の話をすると曹操がやってくる=噂をすれば影が差す)も好きです。三国志での曹操の恐いイメージから生まれたことわざのようです。
早口言葉の練習は発音のいいトレーニングになりますし、いくつかスラスラ言えると中国人ネイティブも感心してくれて面白いので、是非やってみて下さい。
面白そうな早口言葉の本を紹介しておきます。
一般に中国人は日本人より英語が上手いと言われます。確かに会社で中国人の同僚と英語で会話したら、その流暢な表現力と発音に舌を巻くことがあります。
近代の中国では英語熱が非常に高く、多くの人が英語を学んでアメリカに行ってみたいと思っているようです。少し前の映画ですが、中国合伙人(American Dreams in China)を見るとその熱気がヒシヒシと伝わってきます。
学校では一般には小学校三年生から、大都市では一年生から英語教育を始めています。しかも、裕福な家庭ではべらぼうにお金をかけて子供に塾で英語を学ばせているようです。先生はネイティブで二時間の授業を月4回で30万円、しかも先生一人に対して生徒は10名などという話も聞きました。競争が激しい現代中国、みんな習っているから習わないといけない雰囲気だそうです。英語ネイティブは中国では大儲けできそうです。
そんな調子ですから、日本の中学校で習うレベルの英語は、中国では小学校で学習済みということになっています
日本語使用者より中国語使用者の方が英語学習に有利だということもあります。中国語は語順や文法構造が英語に似ています。そしてなんといっても発音、中国語は母音だけでも30以上と英語より多いので、英語の発音はほぼ全てカバーできるようです。対して日本語は母音数はたった5つ、英語の発音を習得するのは大変です。日本人が英語が下手だと言われる所以はこの発音の問題にあります
グローバルでの活躍、中国との交流を志す者にとって、中国語はおろか英語もダメでは話になりません。「言葉ができなくてもなんとかなる」などとうそぶいている人がなんとかなっているのを、私は見たことがありません。
語学学習、言い訳なしでストレートに頑張りましょう!
時間がとれない兼業学習者でもHSK6級合格レベルに到達できるノウハウ集