成語はしっかりと覚えた方が良いです。私は学習初期に先生から成語の大切さを説かれたのですが、日本の四字熟語と似たようなものだろうと思い、聞き流していました。それが中国では大量にあり生活の中でも一般の文章にも多用されていて、基本的な成語は知らないと教養がないとみなされるということが後になって分かりました。
成語は先人の経験に基づく知恵や便利な言い回しとして非常に大切にされています。その数も日本の四字熟語が5000項目程度であるのに対して中国は3万項目以上で、今も増え続けているそうです。知識や言語としてのニーズがあるから増え続けるのだと思います。そんな重要なものですからHSKの問題にもたくさん出てきて、5級や6級になると分からないものが一つでもあると正解にたどり着けないようなものがあります。中国語力を1ランク上げるために腹を決めて成語をしっかり覚えていきましょう。
日常の各場面でどのように成語が使われるか知るには「起きてから寝るまで表現」が面白くて分かり易いです。
起きてから寝るまで中国語成語表現
HSK受験用には専用の学習書がお薦めです。
HSK成語用法
注意点は日中で意味が違うものがあることです。例えば「一刀両断」は日本語では「思い切って物事を処理する」ですが、中国語では「きっぱりと関係を断つ」です。成語を見た時にこれは日本語にもあるからとスルーするのではなく、意味を調べて正確に覚えることをお勧めします。
読んで下さった方からコメントを頂きました。「成語って、楽しいですよね。成語のテキストを買うのも効率的ですが、自分でテレビドラマを見たり、本を読んで出てきた成語をノートに書き写して作る単語帳は自分だけのお宝ノートになりますし、その分記憶にも残りやすい気がします。」
中国語の醍醐味はなんといっても故事成語だと思います。故事や寓話を元にしたもの、古い書籍の言葉を引用したものやまとめたもの、特別な出典はなく人々の口から口へ伝えられて決まり文句になったものなど、たくさんあります。他の言語にもことわざはありますが、中国語が圧倒的に多いのではないかと思います。故事成語を知ることは悠久の歴史の中で積み重ねてきた中国の知恵を知ることであり、他の言語では味わうことができない醍醐味だと思います。
特に「孔子」「老子」「荘子」など優れた思想家の言葉は人生訓やビジネス訓としても広く活用されていて中国人は日常生活や仕事の中でもよく使います。故事成語を知っている人は教養のある人だとみなされます。そしてその多くは日本でも活用されています。
中国語学習者は大量の成語を覚える必要があるのですが、各々の成語の背景にある故事を知ることで楽しく取り組むことができ、考えにも表現にも広がりと深みが増すと思います。「塞翁が馬」や「五十歩百歩」など、物語としてまとめられているものが多いので面白いです。
私が読んで楽しかった中国故事の本をご紹介します。「中国故事」はよく耳にする成語やことわざを取り上げて、その故事を楽しく簡潔に紹介しています。読み物として楽しい本です。
中国故事 (角川ソフィア文庫)
もっと気軽に故事に触れたいのであれば漫画もいいと思います。肩に力を入れずに楽しく読むことができます。
まんが中国名言故事
語彙を増やしていくのは語学習得の必須作業です。HSKでは等級によって語彙量の目安が示されていて、3級(基本的なコミュニケーションができる)で600語、4級(ネイティブと意思疎通できる)で1200語。5級(スピーチなどができる)で2500語、6級(自分の見解を流暢に表現できる)で5000語だそうです。HSKを受けないにしても語彙量が一定量以上はないとなかなか進歩しません。
単語は少しずつ覚えていくのではなく、参考書などを使って大量に丸暗記していくべきだと思います。HSKの定義によると4級で基本的な意思疎通ができる筈ですので、それに要求される1200語を無条件に丸覚えしていくべきだと思います。私は学習初期には先生の指導で一週間で150語〜200語を拼音含めて丸覚えしていました。単語は眺めて覚えたつもりで覚えられていないことが多いので、授業の始めに必ず覚えてきた単語の書き取りチェックをしていました。
拼音練習と単語丸暗記の時期はとても苦しくて何度も心が折れていたものですが、半年も過ぎる頃には分かるようになってきて次第に面白くなっていったものです。会話や文書の交信ができるようになると中国語での交流が楽しくなるので、更に楽しむために必要な単語を自ら覚えるようになります。こうなればしめたもので、どんどん語彙が増えていきます。
単語は私は中国のテキストで覚えていったのですが、後から使って良かったのがキクタンシリーズです。日本人は漢字を知っているので見るのは分かり易いですが、聞くのは発音が違うので練習しないと分かりません。キクタンは音とリズム+視覚で覚えていくので最適な教材だと思います。キクタンは中国語検定を想定して編集されているのでHSKとの直接の関連付けはないですが、入門編で504語、初級編で560語、合わせて1064語なのでこの2つでHSK4級=意思疎通可能レベルをだいたい網羅していると思われます。まずはこの二冊を丸覚えするのが良いと思います。
キクタン中国語【入門編】中検準4級レベル
[音声DL付]キクタン中国語【初級編】中検4級レベル キクタン中国語シリーズ
その上の、初中級編で1008語、中級編が896語(+成語)、上級編が1008語(+成語)です。内容を見ると上級編などはかなり高度な内容で、HSK最高級の6級に必要な単語以上のものが含まれていると思います。個人的には中級レベルまで覚えたらHSK6級はなんとか戦えると思います。(HSK6級得点率7割程度の私は上級編に知らない単語がたくさんありますから)
キクタン中国語【初中級編】中検3級レベル
キクタン中国語【中級編】中検2級レベル
キクタン中国語【上級編】中検準1級レベル
HSKを目指す人にはそのものズバリの単語集があります。HSKの良いところは表明している範囲内で出題することです。効率的に覚えたいならHSK専用の単語集を使うと良いと思います。これにはHSK基本語彙集シリーズがお薦めです。通常単語には複数の意味がありますが、大胆に主要なものに絞り込んで覚え易く工夫しているように思います。例文があるのでどういう言い回しで使うのかも理解しやすいです。
品詞別・例文で覚える HSK基本語彙1級‐4級 CD付
品詞別・例文で覚えるHSK基本語彙 5級―6級
中国で中国語を学習している、あるいはした人にとって、日本に帰国した際のモチベーションの維持は意外に難しいものではないでしょうか?「とっておきの方法を」と言いたいところなのですが、私もいろいろトライしたのですが帰国中にしっかりと学習できたためしがありません。学習初期には、帰国したらあれをやろうこれをやろうと考えてテキストや参考書を大量に持って帰ったりしていましたが、計画通りにやれたことはほとんどなく、単に重い荷物を運ぶだけになってしまっていたので、最近では持って行くのもやめてしまいました。少ししかやらなかったという計画倒れのレベルではなく、全く手をつけなかったというのが実態です。
試してみたことと、挫折の原因を振り返ってみます。①集中復習時間に充てる→全くやる気になれませんでした。考えてみれば、帰国する時には無意識のうちに中国から離れてリラックスすることを求めているので、中国を想起するもののハードなトレーニングなどやる気になる筈がありません。それに気付いてからは気持ちの負担が軽い方法を試しました。②短くても毎日中国語に触れる→決めた時間に用事が入るとすぐに諦めてしまい継続できませんでした。帰国中は不在時に溜まった用事がたくさんあって、休暇でも意外にまとまった時間が取れません。③用事をしながらテキストの音声を聞く→家族がいるのでずっとイヤフォンをしているのは感じが悪く批判が高まってきたのでやめてしまいました。④撮り溜めたNHKテレビ中国語会話を見る→ ついつい別の映画やドラマを見てしまいます。⑤中国の友人と微信で交信する→ チャットは楽しいので続きますが、絵文字を使ってみたりと大した勉強にはなりません。⑥中国語の先生にスカイプで教えてもらう→ Face to Faceでの授業と比べるとやり取りが煩わしく、やっぱり中国に戻ってからでいいやと判断して自然消滅。等々です。
とはいえ、帰国中の能力維持はやはりとても重要です。スポーツによっては練習を1日サボると取り戻すのに1週間かかるなどと言いますが、語学についても同じことが言えると思います。全く中国語に触れずに一週間二週間過ごすと、その前に学習した内容の大部分が抜け落ちてしまうと共に、私の場合はリスニング能力が明らかに低下します。取り戻すまでにかなりの労力を要しますので、トータルでみると維持をする労力の方が少ないと思います。
自分ができていないのでアドバイスめいたことは言えないのですが、能力を維持するだけであれば、簡単なことでも短時間でもいいので、中国語との接点を絶やさなければ良いのだろうと思います。自分なりに中国語を使った何か楽しいことを見出すことができればと思います。私の場合は中国人の友達と遊んだり飲みに行ったりが楽しいのですが、日本にいる中国人の知人はみんな日本語が堪能なので、私の下手な中国語など聞いてくれないという問題があります。何か他の手を考える必要があります。良い方法があれば教えて頂きたいです。
IT技術が進んだ現代では文字を書くことが極端に少なくなりました。AI翻訳等のソフトウェアや携帯等のハードウェアの技術も飛躍的に発達してきたので、人間はもう文字を書く必要はなくなるのではないか?といった議論も真剣にになされるようになってきました。
しかし、残念なことに私たちが目標とするHSKの試験には、依然として手書きの作文問題があります。文字が書けないと話になりません。ということで、我々は当面は字を書くことから解放されることは諦めて、しっかり書き取りの練習もする必要があります。
まあそれは目先の条件ですが、特に漢字のような形が意味を持つ文字は、書いてこそその背景にある文化や歴史が理解できるものだと思いますし、何より美しいので書いて楽しいものです。
そこでおススメなのが、メモをとる際に漢字の部分を全て簡体字にする方法です。もちろん全てを中国語にできるならそれに越したことはないですが、まずは漢字の部分だけでも十分だと思います。
簡体字は漢字を書き易いように大胆に変更した字体ですから、素早くメモを取るには最適です。中国語を勉強している人の中には自然にやっている人も多いと思います。また、大きく崩した文字は日本人には分からないものもあるので、機密管理にも有効です。(これは言い過ぎですかね?)
問題は、簡体字に慣れ過ぎると、元の日本語の漢字が分からなくなることです。私ももはや出てこない日本の漢字が結構たくさんあるような気がします。ただ、我々日本人は日本語のテストは受ける必要がなく、今後日本語の文字を書く機会はどんどん減ってくると思われるので、多少は忘れてしまっても良いかもしれません。(?)
ちがいがわかる対照表 日本の漢字 中国の漢字 第2版
近年中国でも若者の流行言葉が増えて、微信のチャット等で使われているのを見ると面白いです。ただ、外国人が使用するのはかなり難しく、場合によっては不快な印象を与える懸念があるので、一般の中国語を使う方が感じが良いのではないかと思います。
「不要→表」「好的→好滴」「过奖→果酱」「超级开心→炒鸡开心」「没有→木有」等々、面白いというか可愛いというか、微笑ましい気持ちになります。ただ、これらはあくまで流行言葉なので、いくつか残るものはあったとしても変わっていったりなくなったりするものが多い筈です。外国人は中国に永住する人でない限り、流行言葉をずっと追いかけられる訳ではないので、いつの日か「なにそれ?」となってしまいます。実際上記の言葉も今ではやや古いそうで、使っていると年齢がばれてしまう類のものだそうです。
また、十分にニュアンスが分からない外国人が流行言葉を使うと異様な感じになってしまうことがあると思います。日本にいる外国人が場にそぐわない流行言葉をいきなり発したらどういう感じか、想像したら分かると思います。女子高生が使うような流行言葉をしゃべって得意気な外国人と、苦笑いの日本人、想像するだけで息苦しい場面です。
外国人としては、流行言葉は聞いて楽しむだけに止め、汎用語の習得・研鑽に努めましょう。
中国語と日本語で漢字の意味が違ったり、意味が同じでもニュアンスの違いで使い方が難しかったりする言葉には注意が必要です。一方で、調べてみると日本的ニュアンスでそのまま置き換えて使える言葉も結構あるようです。
「大丈夫?」は「没事吧」、「また今度」は「改天吧」、「やめておくよ」は「算了吧」、「結構です」は「不用了」、「本当?」は「真的啊」、「まさか」は「不会把」などなど。
中でも個人的に「これは使える!」と感動したのは「有点那个」です。日本語の「ちょっとアレだから」の意味でそのまま使えます。
面白いと思ったのが「完了」です。動詞と合せて動作が完了したことを表す他、単独で使ったら文字通り「終わった」と使えます。よく失敗したりした際に「あー終わった終わった!」と言いますが、中国語では「完了完了完了」で置き換えられます。
何事もストレートに表現することが多いお国柄なので、間接表現が多い日本語との類似点は多くはないですが、いくつかはあります。日本人には使い易い表現なので、たくさん発掘して覚えていきたいものです。
過去数十年に渡って中国にある変な日本語を見付けて笑ったりしていましたが、近年日本への中国人観光者が増えるにつれ、変な中国語が爆発的に増えています。もはや人のことは言えません。直ぐに正していきたいものです。
中国のメディアで紹介されていた例では、観光地のお寺で「ここから上がらないで下さい」→「请不要紧张」、これでは「緊張しないで下さい」です。また、お店で「先に会計を済ませて下さい」→「请先弄完会计」、これでは「先に会計担当者をやっつけて下さい」です。
飲食店のメニューで「豚肉ホルモン」を「猪肉大肠癌」、「豚肉大腸ガン」です。「山かけうどん」を「山药你该骄傲」、「山芋よ、誇りを持て」です。(これはひょっとして意図的かも?)シャレにならないのが「菜の花」→「强奸花」。自動翻訳を使って日本語→英語→中国語とやったそうですが、菜の花の英語はRape blossoms、それをそのまま中国語にしたそうです。
変な中国語表記ができる理由は、精度の低い無料翻訳ソフトの使用やそもそもの日本と中国の漢字の意味の違いが多いようです。不勉強な人が中文を作成する際には必ずネイティブチェックを入れるべきです。
変な中国語は見付けて笑っている場合ではなく、わざわざ日本に来られた人を不快にさせないために即刻修正しないといけません。私レベルの学習者が見ても何かおかしいと感じるものが多々あります。有識者の皆さんは見付けたら是非言ってあげるようにしましょう。
以前は英語を学んだ中国人が外国人に英語で話すと、Did you eat breakfast吗?などと文末に中国語が混ざったりして、Chinglishだとからかわれていたものです。しかし最近では中国語と英語を混ぜた表現が流行り言葉として現れてきました。
元々中国人は、外来語を表音表意いずれかの方法で中国語的に取り入れてきました。しかし近年の経済発展やグローバル交流の増加に伴って外来語が大量に入ってきて、中国語変換を諦めて?英語のまま使ったり、面白がって混ぜて使ってみたりすることが増えてきました。
「打call」応援するという意味で、例えば好きなアイドルを応援するために一斉に叫んだりするコールのことを指します。これは日本のライブ文化から来ているようです。我给你打call などのように使われています。
「out了」時代に遅れていることを指すそうです。你非常out了。「p图」写真を加工修正することだそうで女性たちがよく使っているようです。
「〜ing」日本語的に言えば「〜なう」です。「幸福ing」「伤心ing」のように使っています。面白いのが「养眼ing」イケメンや美女を見て目の保養中ということだそうです。「fighting!」などと、英語は英語ですが、実は勝手に自分たちの用語に変えてしまっているのでは?と思われるものにも出くわします。
私のお気に入りが「母胎solo」、生まれてこの方彼氏/彼女なしという意味だそうです。母胎からというのに恐れ入りました。
恐らくHSKなどの試験には何の役にも立たないと思いますが、チャットなどで交流する際に楽しく使えます。これらもどんどんこういった愉快な新語が出てくると思いますので、楽しみにしています。
中国人の知人と微信でチャットをすると、生きた言い回しや小粋な表現に触れられます。それらを丸覚えすることで表現力を豊かにすることができます。
一対一のチャットでは相手が気を遣って、日本人に分かりやすい表現を使ってくれたりします。これは有難いことなのですが、中国語の勉強という意味ではあまり良くはありません。相手には遠慮なく通常の言い回しを使ってもらう、あるいはグループチャットで中国人同士が交信している言葉に注目するのが良いと思います。
注目したいのはテキスト学習だけでは事前な使い方が分からない、ニュアンスが加味されたような表現です。
怎么回事(何事?)、肯定可以啊(きっといいよ)、有点逗(ちょっとからかう)、摔了一跤(つまづいて転んだ)、大意了(油断した)、怪胎(変わり者)、迷住了(魅せられた)、无所谓(どうでも良い)、愚蠢的事情(ばかなこと)、无比珍贵的(この上なく貴重な)などなど。
チャット会話の中で出てくると、どういう状況で使う言葉なのかよく分かります。なので自分からも自信を持って発信することができて、頻繁に使っているうちに自然と丸覚えできます。有用な表現をたくさんストックしておきましょう。
やる気になるには基本的な欲求に合ったものにリンクさせると効果的です。一般に人間の三大欲求のうち最も強いと思われる食欲と中国語学習をリンクさせると効果があると思います。実際、食い道楽の人は食べ物の名前をすぐに覚えます。その他、睡眠欲は学習と絡め難いですし、性欲だと場合によってはトラブルの元です(笑)。やはり食欲を活用すべきだと思います。中国に住んでいるとある程度は食べ物の名前を覚えないと食事ができません。いつも日本料理屋ばかりだと高くつきますし、どんなに美味しくてもそのうち飽きてしまいます。いろんなローカルフードに挑戦して食を楽しみながら中国語の語彙も増やしましょう。
美味しくてまた食べたいと思う料理の名前を覚えるのが一般的です。渇望するようなものほどしっかり覚えます。私の場合は、烤羊肉串,夫妻肺片などです。よくある失敗が、メニューの中から適当に選んだものが出てきて、食べてみたら意外にも美味しかった。でも、メニューを下げられていてそれが何という名前だったか分からない、とか、メニューがあってもどれだったか覚えていないということです。服務員に聞けばいいのですが、それができないのが中級レベルの学習者の悲しいところです。だからやはり頼んだ料理の名前をメモしておく等の工夫が必要です。そして、意外と重要なのが二度と食べたくない不味い料理の名前を覚えることです。中国料理は多彩で良いのですが、見た目と味が全然違ってガッカリするものがよくあります。焼きそばっぽい味かと思って食べたら甘酢味だったとか、中国料理あるあるです。大抵の場合、見た目で好きな味を想像して注文するので、次回も見た目で同じものを頼んでしまうリスクが高いです。幸せな食生活のために、嫌いなものの方もしっかりメモして覚えるようにしましょう。
中国料理の基礎知識 エイムック
中国に住んでいる人限定にはなりますが、外出した際に看板や標識に書いてある知らない単語を調べて覚えていくという方法です。日常生活で必要になる言葉の網羅性を高めるという意味で有効だろうと考え、外出のたびに見かける知らない言葉を辞書アプリで調べることにしています。実際これで一定の成果が上がっているように思います。「あの時あそこに書いてあったな」などとその風景や出来事も含めて覚えるので記憶に残りやすいように思います。
中でも中国ユニークで面白いなと思うのがスローガンです。日本とは比べものにならないほど多いです。横断幕、垂幕、貼り紙、のぼり、ポスターなど掲載様式も様々です。共産党の方針や政府の政策についての宣伝や民衆教化が目的なので各地で同じものを目にすることが多いです。内容は社会主義の核心価値観をはじめ、「保护环境是我们的义务」や「向前一小步,文明一大步」「喝酒不开车,开车不喝酒」といった一般的なものから、習近平体制になって掲げられた「中国梦」「打黑」関係など、面白いものが多いので、記憶に残りやすいです。
ただ、効果を上げるために注意すべき点があります。それは、調べただけではすぐに忘れるので記録が必要ということです。記憶力の優れた方なら問題ないのでしょうが、私のような一般人は調べたからといってすぐに覚えられるものではありません。知らない単語を見つけた時に辞書アプリで調べるまでは良いのですが、意味が分かったらなるほど~と満足してしまいそこで終わり。そのままキレイさっぱり忘れてしまうことが多々あります。結果、次回同じ単語を見かけたら知らないものとしてまた調べ、あれ?これ以前も調べたような???となる、あるいは以前調べたことすら思い出せないようなこともあります。こんなことではもったいないので、やはりメモを取るとか写真を撮っておくとかの、再確認〜定着のための記録が必要です。煩わしいですが頑張りましょう。
日本語の大部分は中国語から来ているので同じ言葉、類似した言葉はたくさんあります。ネットなどで確認すると漢字も意味も同じものは、単語で約350語あるそうです。これらを知っているという日本人として大きなアドバンテージですし、初心者が日本で中国語を学んでいくにはとっつき易くていいかもしれません。ただ、私の周りには中国で習ってきた人が多いせいか、特にそれを意識せずにやってきたという人が多いです。それで特に損をしたという感じはありません。その350語は元々知っているので、単語を覚えていく過程で出てきたら「ラッキー!一息つける」という感覚でした。
近年では日本のマンガやゲーム、ドラマが中国で人気があることから日本が由来の単語が増えてきました。「萌」は日本のオタク文化の「萌え」から来たもので、「売萌」は「わざとかわいく見せる」という意味です。「宅男と宅女」は日本語の「オタク」から来たもの。日本語の「オタク」は性別を分けていませんが、中国語では男性と女性で言い方が違います。「欧巴桑」は日本語の「おばさん」です。中国語で表音するとこうなります。「便当」は日本語の「弁当」です。若い人を中心にネット用語からどんどん新しいのができてきていますので、調べてみると楽しいです。
注意点として二つあります。一つ目は漢字の種類が違うので見た目で同じ文字だと認識し難いことです。基本的な簡体字の知識は必須です。いろんな人が漢字の対比表を作っているので確認しておきましょう。
二つ目は同じ言葉で意味が異なるものが意外とたくさんあることです。よく知られているところでは例えば「愛人」は、日本では配偶者以外の恋人のような意味ですが中国では配偶者です。「他的爱人吗?」と言われて怪訝な顔をしてはいけません。「老婆」は日本ではお婆さんですが中国では奥さんです。「手紙」は日本ではレターですが中国ではトイレットペーパーです。「勉強」は日本では学習ですが中国では「無理に強いる」という意味です。日本語を学んでいる中国人が「日本人はイヤイヤ勉強するんですね」と書いている記事を見たことがあります。これら全く違うものは印象深いので一度聞けば覚えられますが、更に厄介なのは近いけど微妙に違うものです。だいたい同じだろうと流していると違う意味だった、ということはよくあることなので、初見の際に一度はキチンと辞書等で調べておくようにした方が良いと思います。
中国語力測定の指標としてはやっぱりHSKが良いと思います。中国政府が公認する中国語の語学検定試験なので、就職や留学に活用できますし、中国が外国人に求める中国語能力そのものなので学習の指標として最も適していると考えられます。そしてHSKの良いところは各等級に求める語彙量が定まっていることです。4級は1200語、5級は2500語、6級は5000語です。その要件は私の知る限り2019年現在で過去から変わっていないので、その単語さえ覚えておけばOKということになります。これは必須単語が定まっていないTOEICなどの英語検定と比べて学習が非常にやり易いといえます。
工夫としては各等級が求める単語リストを入手し、先ずは全体を俯瞰して知っている単語をチェックし知らない単語だけに絞り込んで集中的に覚えることです。見たことはあっても意味が曖昧にしか分からないとか、複数の意味があるけど一つしか知らないとか、知っているレベルに差があると思います。語彙が少ない段階では覚えなければならない量が膨大だと気持ちが挫けてしまいますので、私の場合は第一回目のチェックでは少しでも知っていたら知っていることにして全く知らない単語に絞り込んで覚えることにしています。そうすると数が少なくなり気が楽になるからです。それで一通り覚えたらもう一度全体を俯瞰して、理解が曖昧な単語を見直していくというように進めます。私にはそのやり方が合っていると思います。
注意点は拼音のアルファベット順ではなくカテゴリー毎に覚えていくことです。HSKの単語リストはアルファベット順になっているものが多いですが、覚えなければいけない量が多いと最初の決意が揺らいで途中で挫折する可能性が高いです。アルファベット順でやっているとabcdefgくらいまでは完璧に覚えてもその後は全然分からないなんてことになってしまいます。かく言う私もそんなやり方を繰り返してきたのでアルファベットの前の単語の方が後ろの方よりたくさん知っているという状態になってしまっています。探してみるとカテゴリー毎に整理されているようなものがありますから、そういうリストを入手して自分の弱いカテゴリーから始める等、戦略的に覚えていくことをお勧めします。
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