日本は少子高齢化が進んできて近い将来人口が激減する見通しです。人口減は経済の衰退に直結しており将来日本はますます衰退していくのは確実です。それに歯止めをかけるためには労働人口を増やすことが先決ですがいきなり日本人の出生率が高まるわけではありません。そこで考えられるのがお隣の大国である中国の人材の活用です。中国は教育レベルが高まってきて非常に優秀な若者がたくさんいます。彼らは国内のトップ大学や海外では欧米のトップ大学を目指し、残念ながら日本へはあまり多くは来てくれません。しかしながら一定数の日本に親近感を感じてくれる若者もいて日本の大学に留学に来てくれる人もいます。そういう方々に将来的にも日本で活躍していただける仕組みを作れば日本経済の維持発展に繋げられます。実際に私の経験では日本の大学に留学して日本の企業に入ってきた中国人の若者は大変優秀で意欲が高いです。日本語もペラペラで問題ないですし仕事も貪欲に覚えて主体的に進めてくれる人が多いです。もちろん人によりますが大きな可能性を秘めた人材活用だと思います。
一方で中国では優秀な若者はITなどの先進事業領域に入っていきます。そのため現在の経済を支えている既存事業の領域では人材の確保が比較的難しく発展できていない様子が伺えます。ここに日本の経験を有するベテラン人材を投入すれば中国では置き去りになっている既存の事業領域の発展が図れると思います。日本経済の衰退により中高年が職を失うケースが散見されてきました。彼らが培ってきたノウハウを日本で埋もれさせるのではなく中国で活用させてはどうかと考えます。
日本と中国の相互発展のために考えていきます。
現在でも日本よりはずっと多いですが中国にはマッサージ屋さんがたくさんあります。特に長春ではいたるところにマッサージ屋さんがありました。マッサージ師もたくさんいて夕方にの道具を持って出勤している姿をよく見たものです。そんな状況なので出張マッサージも気軽にできました。私もお酒を飲んだ後によくマッサージに来てもらっていました。詐欺も多いので個人のマッサージは危険です。だから少し高いけどホテルを通して注文していました。身体には良くないですが酔っ払ってマッサージしてもらうのは至極の気持ちよさでした。マッサージ師とおしゃべりすることで中国語力を向上しようという狙いもありました。
ある日例によってお酒を飲んだ後にマッサージに来てもらいました。気のいいおじさんのマッサージ師で「長春には何をしに来たの?」などと話しながら足を揉み始めました。その時はかなり疲れて酔っていたので足揉みがいつもに増してすごく気持ちが良く、あっという間に眠ってしまいました。気がつくとおじさんにトントンと肩を叩かれています。「終了時間になりましたよ。どうしますか?」
私は足の裏を一二回揉まれてその後すぐに記憶をなくしたのでマッサージをしてもらった満足感がなく、「せっかくお金を払ったのにちっとも満足感がない。しかもこのおじさん、私が寝ている間全く何もしてなかったのではないか?」と疑惑の念を持ちました。
そこで、このおじさんがちゃんと時間いっぱいマッサージをしているのか寝たふりをして確かめてやろうと思いました。延長をお願いしておじさんの前にへ足を投げ出しました。ところが足の裏を一二回揉まれるとまたすぐに強烈な眠気が襲ってきて、気がつくとまたおじさんがトントンと肩を叩いていました。
あまりに悔しいので今度こそ!と再延長をおじさんに申し出たのですが、おじさんの方から「お客さんどうせ寝てしまうんだし、マッサージやりすぎると体に良くないですよ」と諭されてしまいました。
結構なお金を払ったのに全く満足感がない残念なマッサージでした。
長春の文化広場は建設が進んでいた偽満州国の皇居の前の広場です。中国で2番目に大きい広場と言われ多くの市民が踊ったり凧揚げをしたりして楽しんでいます。長春に出張に行った時はこの広場の比較的近くのホテルに泊まっていました。
長春は春風がものすごく、嵐のように吹き荒れます。黄砂どころか小石の粒が飛んでくるような勢いで外を歩いていたらバチバチ顔に当たってきて痛いほどです。
ある日同僚がホテルの窓から、UFOの大群が文化広場の上に舞い飛ぶのを見た!と大騒ぎしました。「それはおじいちゃんがあげている凧だろう」と話したのですが彼は譲らず、「あれは間違いなくUFOだ!」と言います。なぜならば、「すごい勢いで上昇したかと思えばスト横に移動し急降下する。糸でつながっている凧ではありえない動きだ。しかも色は白く霞んでいて目を離すと消えてしまう。それが何機も乱れ飛んでいた!」とのこと。写真を見せてもらうと確かに複数の白薄い物体がかなり高い位置に浮かんでいます。彼はそれを雑誌に投稿するのだと息巻いていて、次の週末には正体を確かめるべく終日文化広場で待ち構えるのだということでした。みんな半信半疑ながらそれなりに期待しつつ彼の報告を待つことにしました。
週末明けにどうだったか彼に尋ねました。彼はがっかりした表情で「違っていた。UFOではなかった。空を飛んでいたのは買い物袋だった。」と答えました。2008年の北京オリンピックの頃当時の長春ではへまだまだゴミのポイ捨てがひどく、そんなところに強い春風が吹くものだからゴミが舞い上がって空を浮遊していたのです。UFOだと騒いでいた彼の落胆した様子は可哀想なほどでした。
麺類は中国の庶民の一般的な食べ物です。日本のラーメンは中国の麺から発展してきたものだと言われています。日本のラーメンはどんどん美味しく日本のラーメンはどんどん美味しく改良が進み、今では日本の特産品のようになってきました。台湾や中国の人にも大変好まれ、日本のラーメン屋さんがたくさんできています。「麺は中国発祥なのに後発の日本に乗っ取られた」などと言う人もいます。
しかし今や種類は大きく違いますがやっぱり中国の麺類はおいしいと思います。私が特に好きなのはなんといっても蘭州ラーメン。麺が手打ちでもっちりと美味しくスープは薄味ですがいろんな味付けがあります。多くの日本人が好きな中国ラーメンだと思います。私は香菜を入れるのが好きなのですが、多くの日本人は香菜が嫌いなので、だめな人は入れないように注文する必要があります。私の友人が何も言わずそのまま注文してしまいすべて箸で取り出していました。香菜が嫌いだなんて、中国料理の美味しさが分からないだろうと思うのですが。
次に好きなのが重慶小麺です。辛さと山椒のピリピリ感がなんともいえずクセになります。好きすぎて重慶に行ったときに昼ごはんに毎回頼んだのですが、夜は夜で辛い火鍋を食べていたのですっかりお腹の調子を悪くしてしまいました。やはり刺激の強すぎる食べ物はほどほどにしなければなりません。日本に戻った今も無性に食べたくなる忘れられない味です。
その他にも街角の屋台で売っている小さなお椀に入っている麺とかちょっとしたものがとてもおいしかったです。小腹が空いたときによくいただいてました。屋台は環境衛生面への規制から現在は都市部ではほとんどなくなったと思います。また食べてみたいものだと思います。
一応Amazonで売っている蘭州と重慶のインスタントラーメンを紹介しますが、やっぱり本場の味とは全然違いますね。
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2004年ごろから中国の長春で仕事を始めました。当時は中国はまだまだ発展途上で我々日本の技術者は中国の会社に技術指導をする立場でした。なので中国の人たちにとても大事にしていただきおもてなしもして頂きました。その中で一番困ったのが白酒による乾杯攻撃でした。私が行っていた会社は国有企業だったということもあり当時は歓迎会が非常に豪華で料理もお酒も高級なものがふるまわれました。そこでいつも出てくるのが茅台酒でした。
この茅台酒ですが当時はアルコールがきついだけで全くおいしいと思えずそれどころか何度も何度も乾杯を強制されるので次第に辛い酒、苦行の酒と認識するようになりました。何杯も飲んでベロベロになってホテルに帰る、そして次の日はひどい二日酔いのまま出勤して仕事をする、そしてその夜また乾杯攻撃、こんな毎日を繰り返しているうちに茅台酒が本当に嫌いになりました。プロジェクトが終わって帰国する際などにお土産に茅台酒を持たせてくれようとするのですが、私としては全く嬉しくなく、何とかお断りするか、どうしても持たされた場合は日本に持って帰って中国人の知人にあげたりしていました。
そんな茅台酒をわざわざ買って日本に持ち帰る強者の同僚がいました。どうするのかと聞くと正月に帰省して田舎の友達と一緒に気合で飲むのだ!と言ってました。
時を経て落ち着いて発展していく中国を落ち着いてみられるようになって、ようやく茅台酒が超高級なお酒だということに改めて気づかされました。しかも驚くほど高い!超高級なだけに偽物もかなり出回っていると聞きますが当時私がいただいたお酒は政府関係の人から回ってきたものだということでしたのでおそらく本物だったのだろうと思います。お土産にくれようとするのを断るなんて、なんともったいないことをしたのだろうと今更ながらに後悔しています。
あの頃、もう少し落ち着いて飲ましてくれたらよかったのに!と当時の中国人の友人と懐かしく話したりしています。
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コロナが長期化して国をまたがる移動が難しくなっています。入国しても隔離、帰国しても隔離と、渡航したら多くの日数を浪費することになります。特に中国の場合、省によっては隔離が60日や90日と非常に長いものになります。会社員の場合従来の認識ではその間有給休暇等を取得する必要があり仕事も止まってしまうので実質渡航は無理ということになります。そのため中国人の同僚が2020年初頭からずっと帰省できないままで気の毒な状態でした。
それがリモートワークの発展で一転しました。ネット環境さえあれば勤務場所を限定する必要がなくなってきたので、隔離期間中も帰省期間中も、リモートで勤務できるようになりました。私が務める会社の場合は業務管理さえきちんとできれば勤務地が外国でも問題ないことになり、中国人の同僚も無理なく帰省できることになりました。
禍い転じて福となす、コロナで行動が制限された一方、それによって発展したリモートワークで場所にこだわらずに仕事ができるようになってきました。それは居住地にいながら遠隔地や外国で働けることで、仕事や教育など、各種活動の選択肢が大きく拡大する可能性が出てきました。現在は画像や音声に止まっていますが、これから更に5G6G、AI、IoTなどの進化でモノも伴う遠隔業務も可能になる日は近いと思います。大いに期待しています。
ところで、多くの人がリモートワークをやっていて改めて気付くのが、やっぱり会社は良い勤務環境を整えているということ、特に椅子の良し悪しは長時間座って仕事をする人には死活問題です。リモートワークが増えて、運動不足も相まって腰を痛めたという人が沢山います。少なくとも椅子と机だけは良いものを準備したほうがよさそうです。
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リスニング能力向上の最上の方法はしっかり声を出して速読の練習を大量に行うことだそうです。語速を速くすることで読めるもの言えるものは同等の速さ以下の場合は聞き取れるようになるそうです。その練習に大変役立つ本をご紹介します。「中国語短文会話800」です。通訳メソッドを応用しており現役の通訳者が推す実践的な訓練法を紹介しています。
私が試して効果があったと思うのはシャドウイングの練習です。文章は比較的簡単な単語と文法で構成された短文会話なのでCDの音に続いて声に出すのはさほど難しくはありません。最初は文章を見ながら回数をこなし、そのうち大まかに覚えてくるので、音だけを聞きながら口に出してついていきます。難なくついていけるようになり、更にCDの音声より速く話せるようになるとしめたものです。ここまで来ると類似した文章は大抵問題なく聞き取れるようになります。
語学はある意味スポーツと同じく繰り返し練習で身につく部分が大きいと思います。繰り返しのシャドウイングでリスニング力を伸ばしましょう!
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通訳メソッドを応用した中国語短文会話800
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単語の暗記や文法の学習、発音の練習など語学の学習はなかなか大変で、モチベーションは維持するのも難しいものです。そこで今回は効果的で効率の良い学習方法を紹介していて、興味深いコラムと異文化体験談の記述がある、読み物としても大変楽しい書籍を紹介します。中央大学の永倉百合子先生が書かれた「本当に力がつく中国語の学び方」です。
本書は中国語の基礎知識から始まって、効果的で効率の良い学び方、先生の異文化体験談で構成されています。中国語の指導そのものはポイントを押さえているだけで教えは少ないですが、本書の価値は中国語や中国に非常に興味がわきモチベーションが高まるというところにあります。学習方法は、発音、話す力、読む力、聞き取る力、書く力、そして単語力を身に付ける実践的な方法が、短いですが要領良く記述されていて大変参考になります。そしてコラムと異文化体験談には先生ご自身の悪戦苦闘の様子や失敗談、そして楽しかった出来事など中国を学び中国人とコミュニケーションした者にとってとても共感でき楽しいものになっています。
中国語のテキストはたくさんありますが、中国語の学習そのものを題材にした読み物は少ないです。本書は中国語学習者にとって参考になり励みになるお薦めの一冊です。ぜひお試しください。
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本当に力がつく中国語の学び方
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独学の時間が多くとれる今こそ中国語力を伸ばしたいところですね。今回は中国語の学習を始めたばかり、始めようかと考えている人にお薦めの教材です。
それは「起きてから寝るまで中国語 超入門」です。本書の詳細は下記リンクの解説をご参照ください。
私も中国語を始めるにあたり単語を覚えたり文法を学んだり簡単な文章を読んでみたりしてみましたがなかなかとっつきにくく入り込めませんでした。そこで試してみたのが本書です。毎日の生活でつぶやきや簡単な会話で使われる文章を日本語併記で並べており、これを聞き流すだけで中国語が音として記憶されていたように思います。
私の経験では外国語はまず音として塊で認識してコミュニケーションが取れるようになることが最優先ではないかと思います。赤ちゃんが言語を覚えていく過程もそうですし、中国語でいえば漢字を知らず読み書きできない外国人が音の塊で言い回しを覚えて楽しそうにコミニケーションをする姿をよく見ました。実際私も本書で簡単な言い回しを覚えてネイティブの方々と話してみることから中国語のコミニケーションを始めました。通じると楽しいもので学習意欲がどんどん高まります。
中国語をやってみようかと考えている方、単語や文法の暗記や拼音の練習でちょっとうんざりしている初心者の方、是非お試しください。
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起きてから寝るまで中国語表現【超入門】
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お家時間の独学にお薦めの教材、リスニング編です。「聴読中国語」をお薦めします。
私以外にもこの本でリスニングの練習や速読の練習をしている方がたくさんいらっしゃいます。豊富な内容で洗練された表現の長文がたくさん紹介されており、HSK頻出の単語上位3000語が網羅されています。長文読解や語彙力や文法に強化にも役に立ちます。私は人に勧められてこの本の1単元を毎日音読することを続けましたがリスニング力が上がり会話でのボキャブラリーも豊富になったと思います。CDを聴きながら練習したので発音も少しは良くなっただろうと自負しています。
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聴読中国語 (東進ブックス)
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コロナが長引く中、中国語学習者にとっても現地や講座で学習する機会が激減して独学になりがちだと思います。この機会に苦手意識を持ってきた文法をしっかりまとめて学習するのが良いと思います。
中級の学習者によくあるのが、ある程度話せて書けるようになると、意思が通じることに満足してそれ以上の正しさとか言い回しとかを追求しなくなることです。コミュニケーションの相手側も「中国語上手いですね!」との褒め言葉を投げてくれて、もう小さな間違いは指摘してくれなくなります。こうなると危険、我流の中国語から抜け出すチャンスはなくなり、間違えたまま定着してしまいます。
独学でそれに気付いて修正する書籍として私が強くお勧めするのが、「日本人が間違えやすい中国語文法、徹底分析190」です。日本人なら誰でも多かれ少なかれ、外国語を学習する際に日本語に引き摺られ、気付かないうちに誤用してしまっていることがあります。誰も誤用を指摘してくれなくなった中級者にとって日本人が陥る典型的な間違いを気付かされ、何故そうなってしまうのかを理解することは、停滞していた中国語能力を一段階引き上げるのに大いに役立ちます。この本はその知見を与えてくれる絶好のテキストです。私もHSKの得点が伸び悩んでいた時にこの本を紹介して頂き、購入しました。チェックしたところ190例のうち約半数の95例が実際に間違えていたり理解が曖昧だったりしていました。これを学習することでHSK6級の正解率が65%から78%近くに向上しました。
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日本人が間違えやすい中国語文法[徹底分析190]
フィンテックが発展した中国では微信(WeChat )でいろいろな取引ができて大変便利です。しかしその中に私が恐怖を覚える機能があります。お年玉(紅包)の配布機能です。グループチャットを作ってそこに提供者がお金を投じるとランダムな割合で分割されてそれをグループメンバーが受け取っていく仕組みです。クジ的な要素もあり大いに盛り上がります。
困るのは宴会の場でこれが多用されることです。ただでさえ中国の贈り物の文化では大きなお金が動きます。現金取引の頃には我々外国人はその慣習の中になんとなく入れず(入らず)出費はあまりなかったのですが、微信のこの機能のおかげ(せい)で外国人でも簡単に参加できるようになりました。年末の宴会はいろんなグループ単位で何度もあり、その度にリーダーやアドバイザーの立場の我々は大金をむしり取られます。しかも飲み会の場で始まった際にはみんな酔っ払っているしクジで配分が少なかった人は次こそはと期待するので、大いに(無駄に)盛り上がって「谢谢老板!」のおだて声で何度も何度も繰り返されます。そうやって我々はお年玉貧乏になってしまうのです。
もちろん愚痴であり冗談です。僅かな(涙)お金でチームメンバーと交流が深められてとても良いことだと思っています。そう思ってはいますが、年末、春雪前になると携帯が壊れないかなと密かに期待してしまう外国人は私だけではない筈です。
三現主義とは「現場」「現物」「現実」の3つの「現」を重視し、机上ではなく、実際に現場で現物を観察して、現実を認識した上で問題の解決を図らなければならないという考え方のことです。特に製造業などで重視される考え方です。90年代の中国では高学歴のホワイトカラーはエリート意識が強くて工場に出るようなことは自分の仕事ではないとの意識の方がほとんどでした。今でも日本人には中国人の管理職は現場に出向かないと考えている人が多いと思いますが、近年変わってきているので認識しておいた方が良いと思います。
私がお会いした人にも現場を大切にする素晴らしい管理職の方々がいました。課題認識や問題解決にあたっては部下に必ず現場を確認させて報告させると共に、自らもしばしば現場に足を運んで現物を確認し、実際に取り組んでいる担当者の話を聞き、判断をしていました。現場を大切にするというのは日本の製造業の優位性のように言われることが多いですが、日本人以上の中国人管理者は既にたくさんいます。ただ、彼らに会ったのは2010年代です。話をすると彼らも以前は現場に出ず机上で仕事をするのを良しとしていたそうですが、それでは限界があることを悟り、日本のやり方も参考にして現場に出るようになったそうです。リーン生産など理論は分かっていてもまだまだ十分に導入できずもがいている部分はありますが、その重要性は十分に認識されているので、中国の工場の生産性が上がっていくのは間違いないと思います。
更に中国はいろんな領域で科学技術が日本を凌駕しつつあります。それが三現主義をベースに寸化していくと、更に大きな発展を遂げることになると思います。日本も良きライバルとして共創していきたいものだと思います。
中国の企業の意思決定はトップダウン、或いはトップの了解を得たものがほとんどだといえます。会社にもよるとは思いますが比較的大きな会社でも意思決定の権限は上位層に集中しています。或いは明確に決められておらず全てが自動的にトップに上程される会社も多いです。これにはもちろんメリット・デメリットがあり、大胆で迅速な意思決定が可能で特にトップが有能だと素晴らしく機能します。90年代からの中国の急速な発展はこれに支えられたといっても過言ではないと思います。反面、トップが誤った判断をするととんでもない大失敗に繋がることがあります。また、内部では全員が判断をトップに委ねるのでそれぞれの思考が停止し(事実説明をしたら後はトップが判断するという姿勢)、ボトムアップの提案が出難く人材が育ちません。このメリット・デメリットを上手く利用したマネジメントをする必要があります。
それには、目的ベースでワークレベルの提案をしっかり考え、日常のコミュニケーションでそれをトップに上手く伝えて合意を形成しておく必要があります。簡単にいえば「リーダーを味方に付ける」ということです。日本の会社よりも日常のリーダーとのコミュニケーションが重要になるので日本人は意識的にやる必要があると思います。
注意点はトップとの合意形成の一方、中間の関係者の理解を得ておくことです。どうせ決めるのはトップだからと、トップだけとコミュニケーションして中間の関係者の意思に反するような提案を通してしまうと実務を担当している人のメンツを潰してしまい、協力が得られないばかりか反発を生むことにもなりかねません。組織の形態を把握して関連部門の合意を得た上で(合意に至れなくても相談はした上で)トップとのコミュニケーションを進める必要があります。
井戸を掘った人のことを忘れない。「飲水思源」という、中国のことわざです。中国人は恩義を忘れず、困ったときに受けた支援を後々までおぼえているという意味です。全ての人とは言いませんが中国人に義理堅い人が多いのは確かです。一度感謝されるといつまでも変わらず敬愛され訪問したら大歓迎されます。仕事を離れても続く温かい人間関係です。私の先輩にもそういう人がいて勉強させてもらいました。
同じ仕事をするならやはり誰かに感謝されて敬愛されるような仕事をしたいものです。希望しないのに中国に派遣されてやる気を持てないままダラダラ過ごしている人に会うことがありますが、既に中国にいるのに腐っていても仕方がありません。早く気持ちを切り替えて、中国に貢献しながらしっかり利益を得る、親身になってローカルメンバーを支援して一緒に目標を達成する等々、前向きにやっていきましょう。そんな人は必ず感謝されて固い友情が生まれ、豊かな中国生活が送れる筈です。そしていつしか嫌いだった中国が何となく好きになっていたりするものです。
中国人は長い歴史の中で培ってきた戦略や戦術に長けていて、交渉事が得意です。おっとり刀の日本人が丸腰で挑んでいったら軽く手玉に取られます。中国ビジネスに携わる人は孫子の兵法くらいは一読して、中国人は普通にそれくらいのことは考えていると認識していた方が良いです。
孫子とまではいかないまでも、交渉事でよくあるのが「初頭要求は大きく」というやり方です。売買価格など交渉して落とし所を探る場合、多くの中国人はビックリするほど大きな(小さな)値を提示します。私の経験上、多くの場合が自分が落とし所として期待している値の倍です。そこから始めると交渉を進めても最悪でも半分、つまり自分の期待値で落とせるだろうという計算です。実際日本人の初頭要求値はせいぜい二割から三割増し程度なので、まともに組み合って交渉をすると勝てません。
対抗策はやはり同じようにこちらも期待値の倍を初頭要求にすることです。実際にはこれでイーブンですから、相手が引かない範囲で倍+αの値を提示するのが良いです。そこからの交渉では日本人的な気遣いは一切不要で、ストレートに要求値をぶつけていくだけです。成立しなかったら困る商談もありますがそんなことは顔に出さず、クールに交渉を進めていくことです。
近年はビジネスコンプライアンスの意識が高まり接待や贈答を正当なビジネス判断を阻害するものとして禁止する企業が増えてきました。日本でもお中元やお歳暮の習慣が残っていますが、中国では接待贈答が礼儀やコミュニケーション手法として根付いていますので、禁止するのはなかなか難しいです。
多くの中国人にとって接待贈答はお世話になっている人へのお礼であり、お礼を欠くと礼儀知らずということになります。だからサプライヤーを訪問したら必ず食事や宴会に誘われますし去り際にはお土産を持たせてくれようとします。これを断るのは容易ではなく、ルールなのでと辞退しても聞き入れてくれませんし割り勘を申し出ても受け取ってもらえません。あまりに固辞していると気分を害されて関係がギクシャクする場合すらあります。
職場でも部下が上司に奢るのが当たり前で、日本とは逆なので面食らいます。こちらが奢ろうとしてもなかなか出させてくれません。また、友人関係でも割り勘は敬遠されます。奢られたらそれを覚えておいて次回は奢る。それによって友人関係を続けるような意味合いがあるので、割り勘にしてしまうとその場で関係も精算してしまうような感じを受けるようです。
そういう文化であり習慣なので、その中にあってはビジネスモラルは守りながらも相手の気持ちを考えたある程度柔軟な対応が必要です。賄賂ととられかねないような豪華なものは論外として、一緒に食事をするなどは奢ってもらったら次は必ず奢るなど、対応を工夫するのが良いと思います。
ただ、最近は中央政府の接待贈答が抑制政策もあって変わってきました。若い人を中心に割り勘も徐々に増えてきました。今後はビジネスモラルと習慣の狭間で悩むようなことは減ってくると思います。
個人主義だといわれる中国人ですがそれは他人の中にあっての話で、家族や仲間など身近な人はとても大切にします。職場においても仲間意識を高めることができたら互いに助け合う強固なチームになります。そのためにチームビルディング活動は極めて大切です。活動の内容は何でもよく、私が参加したのは2泊3日小旅行、ドライブ、山登り、バーベキュー、撃ち合うゲーム、釣り等々で、老若男女問わず楽しめる一般的なものでした。重要なのは参加することです。近年では日本の方が個人意識が進んで職場の懇親イベントは減りましたし、開催しても参加は強制ではなく不参加も容認される雰囲気になっているので、その感覚で辞退する人が多くなってきています。中国人のイベントに参加しても言葉が通じないし面白くないという思いもあると思います。しかしそこは敢えて参加する方が良いです。大してコミュニケーションできなかったとしてもその場にいて楽しい雰囲気を共有したというだけで仲間意識はしっかり芽生えます。
あなたがチームを率いるリーダーならば定期的にチームでのイベントを企画するよう指示して実行させるべきです。チームメンバーの誕生日には就業時間で簡単な誕生会を実施するのも大変喜ばれます。
機密管理は企業の競争力をマネージする上で重要ですが中国では日本よりも機密漏洩のリスクが高いので注意が必要です。理由は先ずは個人の機密管理意識が低いことです。中国は急激に発展しましたがビジネスセンスやモラルは未だ発展途上です。機密管理認識はあってもその範囲や深さには個々人でバラツキがありますし、機密が漏洩したらどんなダメージを受けるか知らない、或いは会社を守る意識が日本人ほど高くないので軽く考えていたりします。機密管理ルールを明確に決めて(対象、管理方法、漏洩した場合の影響、違反時の罰則等々)、更に罰金制度を加えることが有効です。
更に難しいのが転職者の機密管理です。日本人に比べてキャリアアップのために転職していく人がたくさんいますが、その際に機密情報を個人の資産として持ち出す人がたくさんいます。これも退職時の持ち出し禁止ルールを明確にする必要がありますが、データ等は確認が難しいのが実態です。退職後にも発覚が漏洩した場合は追求することをルールに織込むくらいです。
そしてよくあるのが、転職した人も職場や職場仲間の懇親会に呼ぶことが多いのですが、そこで開発や技術の進捗や品質問題等々の機密情報を話題にするケースです。アルコールも入って饒舌になり、機密管理意識も希薄になって社内にいるのと同じ、時には踏み込んだ話をします。これを制限するのは極めて難しいです。冒頭の個人の機密管理意識を相互注意ができるレベルまで高める必要があります。
中国のみならず海外に進出した日本の企業ではローカルスタッフの離職に悩まされるケースが多いです。一方で採用は比較的順調です。理由はいろいろあると思いますが私が見聞きしてきた実例では、教育訓練が丁寧で充実しているから入社しますが昇進や給与UPが望めずに他へ転職していくパターンが多かったです。
欧米系企業と比較すると、日系企業は教育訓練については確かに多くの時間を割いていると思います。ただ欧米企業は文書化・マニュアル化が徹底しており、それを自分で読んで勉強するスタイルであるため、あえて教育という名目で時間をかけていないように思います。対して日系企業はマニュアル化ができておらずOJTで教えていくスタイルが多いです。日本の本社に派遣して教育したりもします。教わる方にとっては懇切丁寧でありがたいと思います。しかし問題は教えたスタッフが離職してしまうと後には何も残らないことです。海外では特に意識して文書化を進める必要があります。とは言っても一からマニュアルを作っていくのは大変ですし技術やプロセスは進化していくので改訂も必要です。そこで、研修生に学んだことをレポートとして文書化させてそれを共有のマニュアルとし、以降スタッフに研修を受けさせるたびにそれをフォローアップさせるのが網羅的で効率的だと思います。
そして教育を受けたらそれを糧に他の会社に転職していく人がとても多いです。給料を倍にするとか現企業より上の職位を与えるとかの条件で、優秀な人ほど多くが離職していきます。それでも「給料を倍出されるなら仕方がない」と対策を打たず放置している例が多く見られます。問題はそこにあります。外国人は日本人と比べて会社への帰属心が薄く自己の成長に貪欲ですから、それに応じた人事制度が必要です。日本式の「長期間同期横並び」終身雇用を前提とした「緩やかな給与上昇」では、優秀な人ほど不満を感じて離職していき、残るのは平均以下の人たちということになります。優秀な人には特別な待遇や昇進ルートを準備するなど、メリハリのある人事制度が必要です。
時間がとれない兼業学習者でもHSK6級合格レベルに到達できるノウハウ集