日本の略体字と中国の簡体字では漢字が異なります。一眼見て違いが分かるものは意識して覚えれば良いのですが、問題は超微妙に違う漢字です。一眼見て違いに気付かず、知っている文字だと思い込んでそのまま日本の漢字を使い続けてしまうリスクがあります。
微妙に違う漢字としては愛とか徳など。爱と德です。中が違う字だったり線が一本多かったり。しかしこのレベルならパッと見てなんとなく違和感を感じて見直す可能性が高いと思います。
問題は超微妙に違うものです。歩とか毎とか。それぞれ步、每です。骨も上部が違います。このレベルになるとパッと見て気付かず流してしまう可能性があります。特に老眼の人にとっては罰ゲームみたいなもので、虫眼鏡か何かを使わないと見えません。近年文字を手書きすることはほとんどなくなったから覚えなくてよいと開き直っても良いのですが、HSKを受ける人にとっては作文があるのでやはり覚えなければなりません。中国語の先生に「そんな細かいところは減点の対象にならないのでは?」と聞いてみたのですが、その先生は「減点されるのできちんと覚えるように」ということでした。
潔く諦めて虫眼鏡片手に頑張りましょう。
方言が使えれば交流の幅が広がります。上手に取り入れて使ってみることをお勧めします。
中国には多くの方言があり、別の言語ほどに異なるものも多いことはよく知られています。普通語ができてもコミュニケーション難しいケースは多いです。普通語と全く異なる言葉の代表は広東語ですが、全国には異なる方言はたくさんあります。観光地に行くと旅行者がたくさんいていろんな中国語が飛び交っていて面白いです。中国の広さや多様性を肌で感じます。そんな国ですから、外国人が言葉が下手でも全く気にする必要がないのがありがたいです。私は学習当初は中国語を話しているとさえ認知されませんでしたが、ある程度できるようになってからは上海人に間違われることが度々ありました。一応中国語を話しているようだが発音が違うし?普通語を練習中の上海人?ということかなと思います。
方言を使うことで地元に人に好感を持たれますし、地元ではなくてもその人の特徴として愛されることが多いです。有名なのは卓球の福原愛選手で、子供の頃から中国東北地方に卓球留学した関係で東北弁がお上手です。子供だったので音を素直に吸収されたのだと思います。テレビのインタビューで愛ちゃんが東北弁で話す姿が可愛く、多くの中国人が彼女を好きになりました。もちろん日本人が卓球を習いにわざわざ中国に来たということにも好感を持たれたのでしょう。中国全土で愛されている日本人の1人です。
普通語の習得にすら苦戦している我々にとっては福原選手のように方言ペラペラになることは難しいですが、少しでも知っていると親しみを持たれますので、数語でも特徴的な言葉を覚えることをお勧めします。例えば重慶語であればOK!の意味の「要得!」が受けてもらえます。元気があって歯切れも良く、使って楽しい言葉です。南京であればこんにちは(もう食べた?が転じて)の意味の「阿吃过了」などが面白いです。
私はコーヒーが好きなのですが、中国の仕事を始めて困ったことの一つが、おいしいコーヒーが飲めないことでした。最初の衝撃は忘れられません。中国に韓国ソウル経由で飛行機で移動、ソウルまではアシアナ航空、ソウルからは中国南方航空でした。機内でコーヒーを頼むと、アシアナ航空では普通の美味しいコーヒー、でも南方航空で紙コップに注がれたのはうっすら茶色がかったトロリとしたミルク色。嫌な予感がしながら口をつけたら温くて甘々のコーヒー、まるで子供の頃に飲んだコーヒー牛乳でした。周りの中国人たちは美味しそうに飲んでいます。今考えればおかしいのですが、私は思わずCAさんを呼んで英語で「普通のコーヒーはないですか?」と聞きました。CAさんは怪訝な顔をしていました。当時の中国人にとってはコーヒーといえばこれがスタンダードみたいだったので無理もありません。
中国国内でコーヒーを探してもドリップ式もないですしインスタントコーヒーもありません。あるのはスティック状の袋に入ったコーヒー&ミルク&砂糖の粉くらいのものでした。一応買うのですがそんな甘ったるいものを何杯も飲める筈もなく、一杯飲んだら気分が悪くなってそれ以上飲めませんでした。それを知ってからは日本から持っていくようにしていました。
スターバックスが中国に出店した時には「これは失敗するぞ」と思いました。しかし私の予想に反して大成功、コーヒー文化が一般に普及しました。近年では中国でも美味しいコーヒーが飲めるようになりました。最近ではセブンカフェまであり手軽に安価で購入できます。同僚からお土産に頂いた雲南コーヒーなどは絶品でした。私にとっては中国での仕事を避ける理由の一つがなくなりました。
でも当時のことがトラウマになっていて、今でも中国の航空会社のフライトではコーヒーを頼む勇気がありません。紙コップに注がれる液体がコーヒー牛乳なのかコーヒーなのか、未だに知りません。次回乗る時こそ勇気を出して確認してみようと思っています。
私が本格的に中国関係の仕事を始めた頃にビジネスの現場にいた50年後半–70年代生まれの中国人について、あまり良いことを書いていませんが、それは単にマナーを知らないなど一般的に問題とされる部分が多かったからで、一人一人は向上心が強く人情味が溢れる好感の持てる人が多かったです。良い友達になった人もいます。
私が当時の中国人たちに一番感心したのは数字に強いことでした。仕事に対する考え方や知識、判断の指標、説明能力、リーダーシップ力などは、失礼ながらどれをとってもダメ(日本人からみれば)で、一緒に仕事をするのにうんざりしていました。しかし数字を記憶する能力が凄かった。日付や時間然り、検証データ然り、いろんな場面で出てくる数字を正確に覚えていて、その部分だけは数字を使って完璧に説明できる。我々日本人が曖昧に流すところを正確に定量的に表現する、これは素晴らしいと思いました。私もそんな彼らを見習って数字を記憶して使う習慣を身に付けたものです。
あれから16年以上経って感じるのは、今のビジネスの現場にいる中国人たちは、考え方や知識などはしっかりしているものの、私が以前の中国人に対して感じた数字に強いという印象があまりないことです。私が接してきた人がたまたまそうだったというだけかもしれませんが、中国人の数字の強さに感心することはなくなりました。私だけが感じていることかもしれません。
この違いを個人的に以前からずっと不思議に思っています。70年代から80年代の世代間で教育内容が変わったのか、価値観の変化があったのか、とても興味があります。同じ印象をお持ちの方、その理由をご存知の方がいらっしゃれば教えて頂きたいです。
私は中国経験が比較的長いのでいくらか中国贔屓になっていることは否めませんが、私が中国と付き合い始めた頃に比べて、教養があり洗練されマナーが良い中国人が増えたことは間違いありません。ずっと日本にいて報道でしか中国を知ることがない多くの人たちにとっては、中国人は今でも油断ならない大国のマナーを知らない迷惑な人たち、いわゆる「困った隣人」なのだろうと思います。確かに15年前に社会の第一線で活動していた30代〜50代、その中でも年配の人たちにそういう人が多かったのは事実です。私も当時はそんな中国人たちが大嫌いで、散々喧嘩もしましたし中国の仕事から逃れることばかり考えていました。中国語も全く学ぶ気になれませんでした。そのイメージに加えて大挙して日本にやってきた爆買いツアーの傍若無人な振る舞い、それに国際政治に関する悪い面ばかり強調するかのような報道が拍車をかけ、中国人に対してネガティブなイメージしか持てなくなっているのは理解できます。
しかし、中国人は劇的に変わってきています。以前は国内で「ちょっと変わった新世代」みたいなやや非難を込めた意味合いで80後とか90後とか言われていた人たちは、前世代の人たちと全く価値観が違い、洗練された人が多いです。もちろんそうでない人もたくさんいますが、以前のように誰一人として話が噛み合わないなどということはありません。私自身はそういう人たちより一世代上なので同年代同士の親しい付き合いは難しいですが、若い方々は素直に付き合ってみると価値観が合う人もいて良い友達になれると思います。特に日本に留学するような中国人は日本に何らかの興味があるので交流し易い筈です。
身近に中国人がいる人は一度偏見を捨てて互いに1人の人間として正面から交流してみて下さい。良い友達になれる可能性は大きいと思います。友達になり一緒に行動したりするようになると、中国語学習のモチベーションが高まり、中国語力は飛躍的に向上します。言語はコミュニケーションツール、コミュニケーションを楽しめることが習得・習熟に最も有効です。
中国語の伸び悩みを打破するためにアウトプットを心がけていますがその一つに音読があります。「聴読中国語」という短文やエッセイが日本語訳付きで紹介されているテキストが私には最適だと思うので、これを毎日二三文読むことにしています。
聴読中国語 (東進ブックス)
DVDを聞いて読んでいるうちにだんだん慣れてきてかなり上達したのではないかと思ったので、試しに自分の声を録音して聞いてみました。すると、自分では正確に発生しているつもりが拼音の発音もアクセントもたくさん間違えていることに気付きました。
問題はその修正方法で、自分でDVDの音と同じように発音しているつもりで実際には正しくない訳ですから、何度も真似ることで多少改善はできても、正しい発音になっているか確信は持てません。拼音の学習法のところでも強調しましたが、発音は我流でやるべきではありません。間違った発音を一所懸命に練習して定着させてしまうと修正が効かなくなります。やはり一番良いのはネイティブの人に聞いてもらって訂正してもらうことです。
私は微信で朗読音声を送ってネイティブの友人にチェックしてもらっています。こうすればわざわざ会わなくても良いですし、ネイティブの人にとっては自国語の発音のおかしな部分を指摘するのはたやすいことなので、中国語の先生でなくても気軽にやってくれます。
独学も学習を集中的に進める上で大切ですが、発音については適宜ネイティブチェックを入れることをお勧めします。
最近はユーチューバーが増えていろんな人が中国語学習の情報もたくさん出してくれるようになり、とても便利になりました。一般知識や勉強方法からネイティブが使う表現まで様々なジャンルが揃い始めました。語学スクールや学習上級者、最近ではネイティブの人たちも動画をアップされています。語学だけにボディーランゲージや表情や口の動き、そして実際の発音を学ぶ必要があり、動画は非常に有効です。また楽しい企画などを取り入れて見る人が興味を持つ内容に仕上げています。私がよく見させて頂くのは、「李姉妹ch」と「ヤンチャンCH」です。李姉妹chの方は日本在住の中国人のご姉妹が作っていて、お姉さんの方が中国滞在が長くてネイティブ並み、妹さんの方も上手ですが学習中といった感じで、中国語をメインにして日本人が中国に関して興味や疑問がある点を解説したりしながら進める内容で、とても面白いです。ヤンチャンCHの方は、日本在住の中国人の方が同じような境遇の中国人の仲間も一緒になって、中国語の勉強のやり方や中国の面白い情報、中国人と日本人の違いなどを紹介していて面白いです。
ただ、ユーチューブは広告商売です。ユーチューバーは登録者数を増やそうと自分のアイデアで視聴者の興味を引くように作っていくので、学習という意味ではどうしてもつまみ食い的で体系的にまとまっているものは少ないです。体系的にまとまっている身近なものはやはりNHKのテレビ講座です。テキストも充実していてとても有益です。NHK講座で学習して一般知識を習得した上で、ユーチューブで補完していくと良いと思います。(「カレッジCH」など勉強用のコンテンツが充実したものもあります。)
そして動画のデメリットとして最初から最後まで見ないと内容が分からないということがあります。タイトルでだいたいどういう内容なのかは分かりますが、自分の知りたいことに答えてくれているかどうかは時間を費やして全て見ないと分からない。もちろん見た結果、答えが見つからないことも度々あります。私にとってユーチューブ暇な時に流して見るもので、調べものをしたい時は参考書やブログ情報等を検索します。その方が速く的確に情報にたどり着けます。
ユーチューブは勉強というよりも楽しんでモチベーションを上げ、中国語関連知識を補完するツールとして活用すべきと思います。
現代においては国際共通語として英語が使われています。中国が国際的に影響力を増していくにつれ、中国語が英語に変わって国際共通語になり得るでしょうか?私は難しいと思います。
国際共通語は古くはラテン語だったそうです。ローマ帝国の繁栄と拡大がその基礎になっていて、ローマ帝国滅亡後もヨーロッパでは広く使われていたそうです。時を経て大英帝国が世界を席巻しその後アメリカが大きな力を持ったことによって、英語が世界中に広まりました。大英帝国はヨーロッパでの影響力に加えて植民地を拡大したことで、アフリカ諸国やインドなどで英語が公用語になり今でも使われています。アメリカは世界大戦や冷戦に勝ち抜き事実上世界の覇権を握り、経済発展をグローバルに進めました。それらによって英語が国際共通語として認知されて、現在ではほとんどの国で学校教育で第一外国語を英語にしています。これが正のスパイラルになって英語はどんどん広がり定着していっています。この流れはそう簡単に変わりませんし、変える必要性も見当たりません。
中国語人口は世界一多いと言われますが、基本的にそれは中国人の人口が多いことによるものです。東南アジアなどで中国語を話す人が多いのはやはり中国人が華僑として移り住んでいるからで、共通語として使う動きがある訳ではありません。今後中国の影響力は大きくなっていくでしょうが、過去に行われたような大規模で露骨な他国の征服や言語の強要には向かわないでしょうし、英語がその地位を確立している中、中国を中心としたグローバル経済が発展したとしても、国際共通語をあえて中国語に切り替えていく必要性も生じないと思います。そして中国もそう遠くない将来、日本と同じように少子高齢化が徐々に進んで国力の伸びは徐々に停滞し緩やかに衰退に向かう筈です。
中国語の有用性は今後も高まると思いますが、国際共通語にはなり得ないと思います。今後の外国語学習は、必須は英語、オススメが中国語、の位置付けだと思います。
中国の部品メーカーや設備メーカーの社長さん達と話をすることがありますが、印象的なコメントに「国有企業の仕事は受注しない」というのがあります。国有の大手だから儲けになると考えて話に乗ると後で大変なことになることがあり、実際国有企業と付き合って倒産した小さな会社はたくさんあるそうです。
よくあるケースの一つが「料金を支払わない」です。設備受注等で設計完了や製作完了、現場据付、試運転の完了などの節目ごとに何%かずつ支払う契約をしているのに、そのタイミングがきても支払わない。忘れているのかと支払いを促したらあれこれと難癖をつけて完了の合意をしない、それを普通にやるそうです。私はそういう国有企業側に技術支援をする仕事をしたことがあるのですが、確かにそこの購買担当は支払わないことがタスクであり、踏み倒すことが最大の手柄でした。
そして「発注が突然取り消されて求償に応じない」ことも多々あるそうです。上記のように設備を受注して作っていたらある日突然電話一本で製作を止めるよう告げられ、料金を支払いもしないし引き取りもせず放置される。その後待てど暮らせど連絡がないので確認の電話をしたら、担当者が変わっていてそこに発注したことすら引き継がれていないし、対処しようともしてくれない。或いは、ある日突然、商品のモデルチェンジで現在生産中の現行商品の部品は要らないと告げられる。大量の在庫は買い取ってくれる筈もなく泣く泣く廃棄処分せざるを得ない。そんな話はそこら中にあるそうです。
下請法などが完備している日本の常識で仕事をしている者にとっては考えられないことですが、こういうケースはまだまだ多いそうです。今では中国はビジネス大国ですが、付き合う相手を選ばないと大変なことになるので、慎重に検討する必要があります。
和製英語をモデルに華製日語という言葉を作りました。文字通り中国人が作った日本語のことを指します。中国関係の仕事を担当して中国に住んで中国人と交流したり中国の物品を見たりしてきました。その中でおかしな日本語を見付けることを楽しんできたのですが、近年では使っている中国人も間違っているとたぶん分かっていて、あえて使っている日本語があることに気が付きました。これを華製日語と勝手に名付けました。
以前のおかしな日本語は観光地の説明書きや日本料理屋のメニューなどにある、ちょっと勉強したのであろう人が訳した、意味は分かるけどそうは言わないだろうというものでした。「小心落水」を「水に気を付けろ!」等です。観光地の案内図で、英語で言えば「You are here」が「あなたの場所が分からない」になっていたのには「意味は確かにその通りだ!」と妙に感心したこともあります。次に出てきたのは精度の悪い自動翻訳の乱用。「手下留情脚下留青」が「手をいい加減にし足元に青いを残す」となっていました。全く意味が分からないので完全にアウトです。
それらとは違って最近出てきたのは若い子が着るTシャツや店の名前にある日本語です。「頑固の少女」とか「肉焼き劇場、食の道と味の新鮮」とかです。間違っているのですが、「の」が入れば中国人は日本的な可愛くおしゃれなイメージを持つそうなので、間違いが分かっていてあえて使っていることがあります。日本語ができる知人によると、使っている人にとって正しい正しくないは問題ではなく、日本語を使うことで良いイメージを出したいだけだということでした。考えてみれば我々日本人も服のデザインや店の名前に英語を多用してきましたが、ネイティブが見たら笑ってしまうものがたくさんあります。でも使っている者にとっては単にアメリカ風のカッコいい雰囲気を出したいだけで正誤は問題にしていません。それと同じ現象が中国で始まっているとみて良いと思います。
私見ですが、華製日語が増えてきたのは日本に好感を持つ人が増えてきたからだと考えています。日中友好を希望する日本人としてはとても嬉しいことです。和製英語が発展して公式言語として認知されてきたように、今後華製日語もどんどん発展していくと思います。日本への好感度を測る指標として、楽しみながら注目していこうと思います。
言語学習に映画を使うのは良い方法です。字幕を読んで鑑賞で終えるのではなく、その後字幕なしで観てリスニングの練習することをお勧めします。
字幕を見ている時はどうしても文字を追うことに集中しています。集中し過ぎるがあまりにセリフを聞いていなかったり人物の仕草やゼスチャー、表情や口の動きを見ていなかったりします。つまり実質的にはリスニングの練習になっていません。字幕を読んで内容を理解したという、いわば読書と同じリーディングの段階です。リスニングの練習をするためには字幕なしで観る必要があります。字幕が見えているとどうしても目がそちらに行きがちなので完全に消してしまうことをお勧めします。
特に日本人は中国語の読み書きはできても聞く話すができない傾向があるので、リスニングに力を入れる必要があります。字幕で内容を把握した上で、字幕なしで繰り返し観てリスニングの練習をすることをお勧めします。映画をいきいきと鑑賞できて楽しいです。
中国語学習の動画をユーチューブで紹介されている楊小渓さんのヤンチャン CHで、カナダのSteve Kaufmannさんという方のインタビューを見て驚きました。この方は何と20か国語がペラペラだということで、インタビューの大半を日本語で、終盤を中国語で会話していたのですが、どちらも非常に流暢でコミュニケーションに全く問題を感じませんでした。その彼が語学学習のポイントを紹介されていてとても重要だと思いましたので、紹介させて頂きます。
そのポイントは一言で言うと「興味があることをひたすら聞いて喋る」ことだそうです。文法学習とか難しい単語の暗記とかはキリがないし、ややこし過ぎて外国人には限度がある。だから高尚な言い回しを追求するのではなく、平易な文章でも意思疎通ができればそれで良いと割り切って会話のレパートリーを増やしていくのだそうです。実際この方の日本語を聞くと難しい言い回しは一切使いませんが発音がキレイで意思疎通に全く問題がありません。中国語も同様に上手でした。人間の脳は覚えては忘れを繰り返しながら少しずつ慣れてきて定着するものだそうです。だからひたすら聞く、そして使ってみる、それを少しずつ改善しながら延々と繰り返せば良いのだそうです。その際に大事なのが自分が興味があること、楽しいことから始めて、少しずつ広げていくことです。つまらないことはすぐに嫌になってしまって続かないからです。
日本人の言語学習は学校英語が元になっていて、しっかり文法を覚えて単語を増やしていくのが定石になっていますが、それが読み書きはできる一方で会話が苦手な原因になっています。語学学習をつまらない苦しいものにしてしまっている部分もあると思います。特に中国語中級レベルのインプットができている人は、それを使って会話することに重点を移せば、更に上達が図れると思います。
「目は口ほどにものを言う」と言いますが目だけでなく、表情やしぐさ、外見といったボディランゲージから伝わる情報量は膨大です。表情筋の動きは心の中にある喜びや悲しみ、驚きや恐怖、軽蔑や嫌悪、怒りなどの感情が現れます。姿勢やジェスチャーからは、不安や動揺、プライドや自信、興味や関心といった情報が現れます。そのようなボディーランゲージを読み取る方法を教育・訓練している人もいます。これができれば面接やプレゼンテーションだけでなく、セールスや交渉などでも、会話を有利な方向へ導いていくことができるようになります。
言語学習者としてもボディーランゲージを理解することは重要です。言葉に気を取られ過ぎるとボディランゲージで発せられている重要な情報を見落とすことがあるので要注意です。聞いた時には分からなかった言葉もボディーランゲージで読み取れたメッセージを考え合わて理解できるケースも多々あります。発信の際にも言葉が分からなくても身振り手振りで伝えようとすると、相手が「○○のこと?」と確認してくれるので、その言葉を覚えることで言語力が向上します。
中国人のボディーランゲージは欧米人よりは多くありませんが、日本人よりは多いイメージです。喜怒哀楽がはっきりしていてそれが語調や表情、仕草に現れます。ただ、ゼスチャーで伝えようとするような工夫はあまりせず、あくまで言葉で伝えようとします。ゼスチャーはあまり上手ではありません。そのような中国人のボディーランゲージの特徴を理解して丁寧に観察すれば得られる情報が増えて会話が豊かになりますし、それに合わせて中国語の知識も増えていきます。
言葉が分からないからと臆するのではなく、ボディーランゲージを交えて積極的にコミュニケーションをとることで、相互理解と中国語力向上に努めましょう。
相手の言葉が聞き取れない時は推測するしかありませんが、その推測作業が語学力の向上に役立ちます。私は中国語が少しできるようになってから通訳さんが面白がって付いてくれないことが増えたのですが、言葉が十分に分からなくても何か反応したり決めたりしないといけない場面は多々あります。そういう時に、もちろん言葉は必死で聞くのですが、それ以上に会話の背景やその場の状況から反応を考え、話し手の表情や口調や身振り手振り、周囲の人の反応などを五感を総動員して感知しながら、頭フル回転で相手の意図を推測します。この訓練を続ければ、少しだけ聞き取れる言葉と組み合せてかなり正確に読めるようになります。
相手の意図が読めたら、聞き取れなくて一旦流した音を頭の中でリピートし、何を言ったのか追認します。言葉を聞いて意図を理解するのではなく、意図を理解(推測)してから言葉を理解するという逆の順になっているのですが、瞬時にやれば会話に違和感はほとんど生じません。更に1回目の話しかけが分からなくてもとりあえず拒絶はせず、分かったような顔で聞き続けることで、2回目3回目の話しかけで意図が分かる(推測できる)ことも多々あります。これらの作業は集中して必死でやっているので追認した言葉もしっかり記憶に残ります。私はこの作業によって中国語力が向上してきたと思います。
私は中国で仕事をする中で、この推測能力の方が伸び、後から中国語力が付いてきているというのが実態です。やむを得ない状況になったら誰もが当たり前にやることですが、語学力向上のために敢えて自分をそういう状況において訓練することをお勧めしたいです。
仕事で通訳さんに入ってもらうことが多いですが、中国語が少しできる人が中途半端に中国語を使いつつ中途半端に通訳さんに頼って、混乱している場面をよく見かけます。中国語の上達を目指す人なら、簡単な会話は多少下手でも全て中国語で通す心意気が必要です。
よくある中途半端は、日本語で話している中で知ってる単語や言い回しだけ中国語を使うケースです。本人は少しでも中国語を使う方が伝わり易いと思うのかもしれませんが、日本語で話している中で発音が正確にできない中国語を使ってみても、まず中国語を話したと認識されません。発音が下手でも聞き取ってもらえるのは、最初から中国語を話していると認識してもらっていて、変な発音でも中国語の何かだと思って推測してくれるからです。中国語を使うつもりなら下手でも最初から中国語で話すべきです。そしてうまく言えないところだけ通訳さんにお願いするのです。
また、相手の中国語での問いが分かった時だけ通訳を待たずに答えるというケースもあります。しかもその答えが何を言いたいのか分からない。通訳さんは何をどう訳せば良いのか分からず混乱します。やるなら全て自分で聞くことを前提に、分からないところだけ教えてもらうという方がスムースに会話できます。それができないのであれば中途半端なことをせず全て通訳さんにお願いするべきです。
何より学習者にとっては、中途半端にお願いすることで自分で考えなくなるというデメリットが大きいです。知っている言葉を駆使して何とか意思を伝えようとする行為は、自分ができない部分を顕在化させて改善するのにとても良い方法です。そこを通訳さんに任せてしまったのでは全く成長がありません。どうせネイティブレベルにはなり得ないのだからいくら勉強しても下手で当たり前、くらいの気持ちで恥ずかしがらずに話しましょう。みるみるうちに上達すると思います。
仕事がら中国の製造業の会社から日本人技術者の求人の話をよく聞くのですが、20年前から内容が変わってきています。以前は工場の製造の専門家の需要が多かったです。製造現場の技能工や金型の仕上げ工といった技能職やトヨタ生産方式等の生産の効率化の指導等、日本の自動車会社の退職者などを招聘して指導を仰ぐというケースがたくさんありました。次に生産の高効率化や自動化、新製品の量産準備を学ぶために生産技術の専門家が求められました。やはり現役を引退した日本の技術者たちが数年間の雇用契約を結んで指導に出向いていました。それら生産関係のニーズは今でもありますが、最近では商品企画や開発の指導が求められるようになってきています。しかもOBではなく現役の第一線の技術者にきて欲しいという話が増えてきました。報酬も驚くほど高いものが多いです。直近では自動車シャシー開発のプロジェクトリーダー、年棒500万元以上というのがありました。
中国の製造業が真似て作る時代から大量生産の時代を経て、企画・開発ステージのグローバル競争に追い付こうとしているのだと思います。しかし自動車などではローカルブランドの評価はまだまだ低く、その理由は品質の信頼性が低いことです。中国の製品はすぐに壊れるから買いたくないという評価。つまり、製造業として最も基本的な品質の作り込みができていないまま、外資との開発競争に参入しようととしている、危うい状態だと感じます。ITなどの新しい領域では目覚ましい進歩を遂げていますが、旧来の製造業は伸び悩んでいるのが実態だと思います。モノ造りは一足飛びに成功するのは難しく、基本の積み重ねが必要です。中国製造業の課題はまだまだ多いと思います。
中国人の日本への旅行者が増えたこともあり、中国では日本料理屋が大ブームとまでは言いませんが開業したり潰れたりしながら少しずつ増えているように思います。上海や大連には安くて美味しい日本料理屋がたくさんありますが、私が住んできた長春や南京には日本人が経営し日本人の料理人がいるような日本料理屋は少なく、あっても値段が高いです。その他の大部分は中国人が日本料理を学んで開業する比較的小さな店で、味は中国人の好みに合わせているケースが多いです。そういう店を私の仲間内では「中式日本料理」と呼んでいますが、それはあくまで中国人が日本的な味を楽しむ店だという認識です。
私も中式日本料理屋に試しに行ってみたりもしますが、大部分が日本人には合わないので、その後自分から行くことはまずありません。不味いという訳ではないのですが、私の場合は自分がイメージする味と違うとガッカリして精神的ダメージが大きいので、むしろ日本料理とは関係のない中国料理屋や韓国料理屋に行くことの方が多いです。中国の友人から私が日本人だからと気遣われて中式日本料理屋に誘われることもありますが、たいていの場合は別の店を逆提案します。
そんな経験を経てやっと気付いたことがあります。以前日本にいる時に外国人のお客様に出身国の料理屋を紹介したりしていました。私としては親切のつもりでしたがお客様にとっては嬉しくなかっただろうなということです。「日本料理が続くと辛い」と話す中国人のお客様に中華料理屋を紹介したところ「本場の味と違うから・・」と苦笑いされて、「味が多少違っても中華の風味がすればいいじゃないか?」と思ったりしていました。今にして思うと、私が中国で中式日本料理を食べないのと同じ理由で、日式中国料理を食べる気にはなれなかったのだろうと理解しました。
外国で生活する人にとって祖国の味はとても重要で、精神状態をも左右します。美味しい不味いというのとは少し違って、記憶にある懐かしい味に触れたいという欲求です。凹んでいる時でもその欲求が満たされると「また頑張れる!」と思えたりします。私も中国の食事に慣れた今でも無性に日本の味に触れたくなることがあって、食材も自分で作る腕もないので、高いお金を払って日本人がやっている日本料理屋に食べに行きます。日本で外国人のお客様や友人を受け入れる方は、出身国料理屋でも本場の味を忠実に再現している店を探してあげるのが一番です。それがない場合は口に合う別の料理屋を探してあげるのが良いと思います。
私もそうですがHSK6級で6〜7割正解のレベルに到達したからといって、ネイティブの会話が満足に分かるわけではありませんし自分から流暢に話すこともできません。自己紹介やものごとの簡単な説明くらいならできますが深い話はできませんし、話をしても問われたことに答えるレベルで積極的な会話はできません。「聞いて分かるけと話せない」「読んで分かるけど書けない」これはインプット型の学習はできているけどアウトプット型の練習ができていない状態です。だから試験の得点が多少上がっても中国語が上手になった感覚はなく、実際には停滞状況に入っています。ここから脱却するにはアウトプットの練習を取り入れる必要があります。インプットしたものを理解して頭で再構築してアウトプットして検証して見直すことにより、初めて自分のものとして蓄積されます。
中級レベルに達している人は日常会話に必要なインプットは十分にできているので、それを「話す・書く」でアウトプットする練習をするべきです。ネイティブと会話や文章のやりとりができる環境にある場合は積極的に交流しましょう。ネイティブ側も母国語でやりとりできるのは嬉しいので、こちらが多少下手でも気にせずに相手をしてくれる筈です。
ネイティブとの接点が少ない環境にある場合は少々難しいです。同じくインプット学習がある程度完了している学習者と会話の練習をするのが良いですが、互いに正しい言葉使いができているか分からないので、先ずはテキストの会話文でロールプレイをするのが良いと思います。フリートークはやはり先生などの有識者の立ち会いの下で実施するのが良いと思います。
テキストとしてはシャドウイングの項でも紹介した「中国語短文会話800」が良いと思います。新しい言い回しをインプットするのではなく何度も口に出してアウトプットの練習をする訳なので、基本的で簡単な会話表現が適切だと思います。もちろん他にも良いテキストはありますが、あれこれ手を出すのではなく一つをやり込む方が効果は高いと思います。
通訳メソッドを応用した中国語短文会話800
「分かる」中国語から「使える」中国語へ。楽しみながらアウトプット練習を頑張りましょう。
何度聞いても分からない言葉があり調べてみると略語や書き言葉の読み上げだったという経験がある人も多いと思います。私の場合は地下鉄の車内放送の「此站可到达〜」(この駅では〜に行くことができる)が何度聞いても分からず、録音して何度再生してみても分からず、中国人の知人に聞いてやっと分かったという経験があります。到达〜は分かるので意味は推測はできるのですが、此战可の部分が何度聞いてもそう言っているように聞こえませんでした。
中国語では略語が多用されています。元の語の一部分を残して結合する縮合法(帰国華僑→帰僑)、重要な一語だけを残す簡略法(工業発展綱要→綱要)、簡潔な短い語を使う簡代法(南京→寧)、数言葉による略語法(身体好、学習好、工作好→三好)など多くの方法があります。日本語でも略語は多いので書面でみる場合は何となく分かるものが多いのですが、それでも語順の入れ替えや語の言い換えなどが入った言葉は調べないと分かりません。専門用語の略語も数多くあります。また社会や文化の変遷に従ってどんどん新しい略語が生まれます。
つまり、いくら勉強しても聞いて分からない言葉は常に存在しますので、ネイティブ並みに漢字を一つ一つ正確に聞き取る能力がない外国人には略語の聞き取りはハードルが高いです。聞き取れないからといっていちいち凹む必要はありません。考えても意味がないのネイティブや有識者に聞くのが一番です。
日本イメージをブランド化して今や世界80か国に展開する大成功を収めている中国小売企業のメイソウ。設立当初はパクリだなんだと叩かれていまし私もそう思っていますが、今ではすっかり一ブランドとして定着しています。その手法や行動力には見習うべきものがあると思います。
メイソウの正式名称は名創優品、英語表記をMINISOとしているようです。2013年に中国広東省で始まった中国人経営者の小売会社です。中国の会社が「日本ブランド・日本デザイン」「FROM JAPAN TO THE WORLD」のコンセプトで世界展開を行なっている珍しい事例です。会社登記を東京・銀座にして日本人デザイナーが参加していますが、「日本ブランド」の事実を作るためだと思われます。日本人はともかく、メイソウのことを詳しく知らない外国人は完全に日本の会社だと認識する筈です。
日本的イメージを売り物にしているだけあって、商品仕様や店の陳列はモデルにしていると思われるダイソーやユニクロ、無印良品などをよく研究していて、シンプルでナチュラル、統一感があってとても日本的です。商品名や説明にも日本語が多用されています。創業当初はこの日本語に怪しいものが多くパクリがもろ分かりだったのですが、今ではほとんどが正しい日本語になっています。
この「パクリ」についてはモラルが問われるところですが、結果的にビジネスとして大成功を収めていることは注目すべきことだと思います。実際に良いものを売っているので中国では日本人もパクリだと笑いながらも購入しています。そして既にグローバルでは本家本元(?)のダイソーや無印良品よりも店舗数は多いです。日本の持つブランドイメージをグローバルビジネスにどう活かしていくか、日本人としては残念ですが、この業界においては中国人の方が優れているといえるかもしれません。メイソウの取り組みを研究することで新たなビジネスチャンスを創出できるかもしれません。
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