中国の治安が良い理由

中国の治安が良い理由に政府による治安維持活動や管理社会があげられます。確かにその寄与度は大きいと思います。ただ、中国で生活して人と触れ合っていると、元々悪人が少なく善良な人が多いのではないかと感じます。もちろん管理されるから悪事を働けない=善良になるということは大きいと思いますが、世界一治安が良いといわれる日本と比べても「危ない人」が少ないと思います。

日本で危ないといえば、様々な暴力集団、カツアゲや引ったくりなどの金銭強奪、親父狩りや不良者襲撃などの暴力行為、痴漢や強姦などの性犯罪等々、いろいろあります。夜の街には怪しい人がたくさんいて、ぶらついていたりコンビニにたむろしたりしていたりします。中国(少なくとも私が居住した一般の都市)ではそういう輩を見ることはまずありません。日本人の、特に男性は大なり小なり悪ぶることをカッコいいと思っている部分がありますが、中国人にはそもそもそういった価値観がないように思えます。

何故なのか?論理の飛躍かもしれませんが、それは長い歴史の中で良いことも悪いことも経験しながら育んできた中国人の倫理観なのではないかと想像します。短期的には近年の低迷を経て自分本位でマナーが悪い人たちが増えて評価を落としたものの、元々は世界に冠たる優れた文明国、根本にはその倫理観が脈々と息づいていて目先の衝動に左右され難いのではないかと思います。故事成語が語り継がれてきていることなどでもそれがうかがえます。

いずれにしても現代の中国の日常生活において「危ない人」が日本よりもずっと少ないことは事実です。社会制度にしても倫理観にしても、日本が見習うべきことは多いと思います。

中国の治安の良さ

日本人が中国に来て驚くことの一つに治安の良さがあります。日本で中国に関するおどろおどろしいニュースばかりを見て、日本人が街をウロウロしていたらやられるのではないかと本気で考えている人は少なくありません。しかし実際に中国に来てみると深夜に女性が1人で歩いていたりして驚きます。反日感情がないとは言いませんが、基本的に中国人は日本人にとても親切ですし、日本人だからといって差別したり攻撃したりすることはありません。南京に住んでいる私が言うのですから間違いありません。

私はいろんな国で仕事をしてきて自分自身や知人が犯罪にあったこともあります。アメリカのマイアミでは財布からお金を抜かれましたし、コロンビアのボゴタでは銃声に身を伏せたこともあります。物取りみたいなのにしつこくつけ回されたことは南米でも東南アジアでも何度もあります。(悲惨なのではコロンビアで職場の先輩が偽警官に銃殺されました。)そんな国々を経験をした後の中国でしたから当然かなり警戒して臨んだのですが、拍子抜けするほど平和でビックリしました。それから16年間以上も中国とお付き合いしていますが、私が経験した最も危険なことといえば、尖閣問題の時に長春で酔っ払って大声で騒いでいた日本人のおじさんが中国人に殴られたというのを聞いたくらいです。長春では東北人の気の荒さなのか大声で口喧嘩する人をよく見かけましたが、南京に来てからは本当に何もありません。空手を教えに大学に行くことがありますが、大学の構内は更に平和で、女子学生が部屋着で洗面グッズを片手に構内の銭湯に向かっていたりします。

もちろん我々は外国人ですから常に気を引き締めていなければなりませんが、過度に恐れるような治安状況ではないので、その点は安心して訪問すれば良いと思います。

ただ、近年では経済発展に伴って貧富の差が拡大し、それにつれて治安は徐々に悪化していると聞きます。外国人、特に日本人はスキが多い金持ちにみられて狙われ易いですから、無駄に目立つことをしない、荷物は肌身離さず等々、基本的な防犯知識と行動は身に付けて訪問するようにしましょう。

中国の水は改善したのか?

日本人が中国に行きたがらない理由の一つに水質の悪さがあります。大気は改善に向かっていますが、水の方はまだまだ改善しているとはいえない状況です。

多くの先進国の水道水が飲める基準に達しているのに対し、中国では水道水は飲めません。それどころか、肌が弱い人がシャワーを使うとかぶれたり痒みが生じたりします。私は肌のトラブルが少ない方ですが、長年中国に住んできたにもかかわらず、未だにシャワー後に痒みを覚えることがあります。日本人はもちろんのこと、中国人でも日本に長期滞在した後に中国に戻ると肌のトラブルが発生したという話はよく聞きます。ホテルで湯船にお湯をためると黄色く見えることすらあります。日本人が行きたがらないという以前に、中国人の健康被害が懸念される状態なので、早急に改善する必要があります。

汚染の原因は大きく①水源が少なく汚い、②浄化施設が古く十分に浄化できない、③送水管が古く錆や汚物が混入する、の三つのようです。①は工業化の過程で汚染物質を垂れ流してきて、更に水源が枯れて水が滞留していることもあって、河川水も地下水も飲用処理が難しいレベルになっているそうです。近年垂れ流しの禁止の厳格化や河川浄化活動が進められているので、時間はかかりますが改善に向かうと思います。②は浄化装置やプロセスは他の先進国と大差ないそうですが、元々の水源の汚染が酷すぎるので十分ではなく、より高度な処理技術や設備が必要です。また、③は1950年代に設置された鋳鉄やプラスチック製のものが多く耐用年数が超過していたり継ぎ目が割れたりしているそうです。②③を対策するには大規模な工事と予算が必要で、抜本的に手をつけるのが難しい状況のようです。

そんな状態なので、今のところ水については自己防衛に努めるしかありません。飲料水は必ず信頼できる会社のものを購入すること、生活用水はできるだけ煮沸したものを使うこと、水道水を直接使うのはできるだけ避けること。決め手はないですが注意するしかありません。そして地元の人が大丈夫だからといって真似をしてはいけません。日本のきれいな水で慣れている人の体は汚染に対する抵抗力が弱いので、同じことをして大丈夫とは限りません。自分で考えて判断するようにしましょう。

南京では河川の浄化に力を入れるようになってきました。以前はヘドロで悪臭が漂っていた近所の川も最近ではなんとか底が見えるレベルに改善してきています。早く安全に水が使えるようになって欲しいものです。

お金を絡ませる

人間お金がかかると思わぬ力が発揮できるものです。特に私の場合は得をすることについては底知れぬパワーが発揮できます。

最近は見なくなった気がしますが、中国では以前は銀行の為替相場や換金案内があるところに小さなポーチを持ったおじさんがいたものです。換金レートを見ていたりしていると声をかけてきます。銀行より良いレートで換金してくれるというのです。しかも安全のために銀行の口座を通してやり取りしましょうと提案してきて、銀行もそれを拒否しないのです。最初は驚きました。

当時私は中国語が下手だったので、怪しげなおじさんが何やら金の話をしてくる、詐欺か?と思いました。だから最初は無視していたのですが、公共の場で臆せずにやたらと熱心に話しかけてくるし、銀行の窓口のお姉さんと話をしたりしているので、警戒心を解いて少し聞くことにしました。するとどうやら私もおじさんも儲かる話のようだと分かり、それが分かると急に脳がフル回転するようになって、不思議と中国語でガッチリ打ち合わせができました。ちょうどその頃は元価格が上がり続けていて手持ちの日本円を全て元に換えたいと思っていたタイミングだったので、交渉の末、結局おじさんが提示した限度額も超えて大量に交換してもらいました。恐らく厳密には違法だとは思いますがまあいいかな?と。もちろん帰任時に元を円に換金する際には、今度はこちらからおじさんを探して換えてもらいました。

個人的な話で恐縮ですが、お金がかかると意外なパワーを発揮するのは私だけではない筈、中国語でしっかり喰いついていきましょう!

絵文字に逃げない

絵文字は便利です。日本人が使い始めLINEで有用性が広く知れ渡り、今では世界中で様々な文章やアプリなどで使われています。言葉では表現するのが難しい感情やニュアンスを視覚的に一瞬で伝えてくれます。中国のWeChatにも多種多様な絵文字があり増え続けていて、ほとんど絵文字だけでチャットができたりします。特に中国語が下手な外国人には強い味方、言葉が出てこない時や表現や文字の選択に自信がない時などには絵文字で意思を伝えることができます。和やかな柔らかい雰囲気も作り出せて友達同士のやり取りには使い勝手がいいです。

しかし中国語を上達させたいのなら絵文字に頼るのは危険です。メリットの裏返しで、絵文字に逃げ、文章表現を考えなくなって語学力は低下します。語学学習者としては絵文字に慣れ切ってしまってはいけません。

とはいえ、表現力が乏しいままいきなり絵文字を完全に封印してしまうと単なる無愛想な人になってしまうので、意識的に少しずつ減らしていくのが良いと思います。絵文字を使わずに感情やニュアンスを伝えるのは思いの外難しく、いろんな文章表現を調べることになります。それらを順次覚えて使用していくことで表現力を上げていきます。

とてもいい勉強になります。是非試してみて下さい。

安定品質・低料金ホテルの躍進

中国全土だと思いますが、全季酒店という中級クラスのホテルがすごい勢いで増えています。2005年に創業した華住酒店集団が比較的大きな都市に展開しているホテルチェーンだそうで、南京の中心街である新街口周辺にも建設中のものも含めてたくさんあります。先日二時間ほど散歩したら5軒見付けました。

私は昨年このホテルに長春で泊まりましたが、白を基調とした落ち着いた清潔な部屋で、広さもそこそこ、価格が250元くらいでした。南京の全季に泊まった人も同じように好印象をもっていました。一泊100元以下の格安ホテルは一般の日本人にはまず耐えられませんし、高級ホテルは当たり外れが多かったのが中国のホテルです。超豪華な演出をしながらも衛生やメンテナンス状態、サービスが悪く、幻滅することが多々ありました。そんな中で全国どこでも同じレベルの質をリーゾナブルな価格で提供できるのは大きな強味だと思います。

新型コロナの影響で中国でも観光・宿泊業は大きな打撃を受けています。何とか乗り切って中国に安定品質・低料金のホテルチェーンを確立して頂きたいものです。

お薦めの学習書籍

最近では中国語の学習書籍が増えて選ぶのが難しいほどになっています。いろんな書籍を買って試してみましたが、結局のところあれこれ手をつけるよりも自分が使いやすい数冊に絞り込んで、それをしっかりやり込むのが最も効果が高いと実感しました。私の厳選お薦め書籍を紹介します。カテゴリー毎に個々の詳しい紹介もしていますので、そちらもご参照下さい。

■会話(導入):初心者の時に導入に使ったのはアルクの「起きてから寝るまで中国語表現」です。日常生活で実際に使う挨拶やつぶやき、会話などが短い文章で紹介してあって取っつきやすいです。難しい単語や言いまわしはあまりなく、楽しい内容が多いので、何度も聞いているうちに多くの文章を音で丸覚えできました。日常編や仕事編などいろんなバージョンがありますので好みのものを選べば良いと思います。

■リスニング:「聴読中国語」が音読練習にお薦めです。短いエッセイ集で内容も楽しいです。

聴読中国語 (東進ブックス

「通訳メソッドを応用した中国語短文会話800」は友人が「丸覚えしたら日常会話で困ることはないよ」と紹介してくれました。丸覚えするガッツのない私は800の中から自分が使いそうな文章を300程度選んで音読したりするうちに、少しずつ会話のバリエーションが増えてきました。一般に「しゃべれるスピードでしか聞けない」といわれますが、この本を使ってシャドウイング(音声を流して数秒後から同じスピードで声を出して読んでいく手法)を繰り返すことで話す/聞く速度が格段に上がります。

通訳メソッドを応用した中国語短文会話800

■ボキャブラリー:単語数を増やすのには「キクタン」シリーズを使いました。音とリズムで覚えていくもので発音も同時に覚えられて有効です。ただ、HSKを目指す方にとってはキクタンの各級の単語はHSKとは直接の関連はないので、そこは難点です。あえて目安として言うならばキクタンの初中級版と中級版がHSK5級〜6球レベル、上級版がHSK6級レベルと言えなくもないですが、上級版の中にはHSK6級でも出てこないような難しい単語も多いので、効率を追求する方は覚える単語を選んだ方が良いと思います。

キクタン中国語【入門編】中検準4級レベル

[音声DL付]キクタン中国語【初級編】中検4級レベル キクタン中国語シリーズ

キクタン中国語【初中級編】中検3級レベル

キクタン中国語【中級編】中検2級レベル

キクタン中国語【上級編】中検準1級レベル

力を伸ばすには「例文で覚える中国語類義語」があります。「进行」「举行」「实行」などの似た用語の意味の違いが例文を使って解説されています。これをやり込めばかなり力がつくと思うのですが実はまだ私は四分の一くらいしかできていません。

HSK用の単語集もあります。「HSK基本語彙」です。拼音付き例文もあるので理解し易く覚え易いと思います。

品詞別・例文で覚える HSK基本語彙1級‐4級 CD付

品詞別・例文で覚えるHSK基本語彙 5級―6級

■文法:文法書でお勧めなのは「完全マスター中国語の文法」と「日本人が間違えやすい中国語文法」です。この二冊があればHSK6級レベルまでの疑問は解決することができます。「完全マスター」の方は網羅性の高い文法書なので通読することをお勧めします。

完全マスター中国語の文法改訂版

「日本人が」の方はタイトルの通り多くの日本人が引っかかる部分を丁寧に解説していて、分かったような分かっていないような曖昧な状態をクリアにするのにとても役立ちます。

日本人が間違えやすい中国語文法[徹底分析190]

■HSK受験対策:過去問集と模擬問題集です。HSKでは過去問や類似問題が多用されますので5年分くらいは過去問をこなしておくことを強くお勧めします。私は5級受験時に過去と同じ/類似した問題が出題されてラッキーでした。

中国語検定 HSK 公式 過去問集 4級 CD付

中国語検定 HSK 公式 過去問集 5級 CD付

中国語検定 HSK 公式 過去問集 6級 CD付

新HSK(4級)全真模擬測試題集(含1MP3)

新HSK(5級)全真模擬測試題集(含1MP3)

新HSK(六级)全真模拟测试题集(MP3CD付き)

■ステップアップ教材:お薦めなのが「成功之路」シリーズです。中国の大学や語学学校で外国人教育用に幅広く使われています。日本でもアマゾンで購入できます。残念ながら日本語が付けられているものはないですが初級レベルの教材には英語が付けられています。中上級の教材は全て中国語です。先生に解説してもらったり級友と会話練習をしたりすることを前提に作られているので独学にはあまり向かないかもしれませんが、日本にいても中国人の留学生などに個人指導をお願いするような場合など、使い方次第で有効に活用できると思います。

■会話:一般には教えてくれない大人の会話を紹介する本として「男と女の会話術」があります。恋愛や国際結婚を志す方にとっては貴重な一冊です。

男と女の中国語会話術―学校では教えてくれない!

■辞書:私はカシオの電子辞書を使ってきました。比較的評判が良く使い勝手もいいので重宝していました。しかし現在ではスマホアプリに良い辞書がたくさんありますので、利便性の面からそちらをお薦めします。

交通ルール遵守と寛大さの喪失

私だけが感じていることかもしれませんが、中国の運転者が交通ルールを守るようになるにつれて、大らかさがなくなってきた気がしています。以前は他車が割り込んでも追い越しても、先に頭を入れられたらその時点で仕方がないといった様子で、たいして怒りもせず避けていました。クラクションも以前からよく鳴らしますが、それは「私が通るからね気を付けてね〜」というお知らせみたいなもので、他車を非難したり警告したりするものではありませんでした。日本人に比べて中国人は寛大だなあと思っていたものです。

しかし最近では、割り込まれないように頭を入れられそうになったら妨害したり競り合ったりします。それに負けたら後ろから煽ったりクラクションを鳴らしたりパッシングしたり、激昂した人が怒鳴り合う光景まで見られるようになってきました。日本とほぼ変わらない状態になってきたと思っています。

以下私の仮説です。以前は誰もがルールを守らなかったので誰もがなんでもありで自由に運転していました。自分も好き勝手やるのだから他人が好き勝手するのも仕方がないという感覚だったのだろうと思います。それが自分がルールを守るようになると、他人が好き勝手して得をする(=自分が損をする)のが許せないという感覚に変わってきたのだと思います。自分がルール通りに並んでいたら他人がどんどん割り込んできて、自分の順番がいつまで経っても来ないということになれば、許せないという感覚だと思います。(私は中国初渡航、海南島の空港のチェックインカウンターで経験しました。)

やはり日本人でも中国人でも、環境によって言動が異なるだけで、人間の本質は同じなのだと思います。社会の発展は喜ばしいと思う一方、個人的には世知辛い中国になってしまうことが少々残念です。

道案内をする

中国語を学んでも使う機会がないと面白くありません。映画や本などで楽しむことはできますがやはり語学の醍醐味は人との交流、会話だと思います。親しい友人や同僚がいる人ならともかく、中国人の知人が少ない人には会話の機会はあまりないものです。

中国にいる人の場合はいい方法があります。道案内をするのです。中国では道を訊ねてくる人がとても多いです。日本人のように人に聞くことに躊躇がありません。どこででも捕まえて遠慮なくどんどん聞いてきます。うまく答えられずに「私は外国人だから…」と答えても「それがどうしたの?」みたいな顔で何度も聞いてきます。考えてみれば外国人であろうが何者であろうが道を教えてくれればいいのであって、聞くのを止める理由にはなりません。だから「知りません」と答えたら諦めてくれます。

これを積極的に受けたら会話の練習になります。短いですが中国語で意思疎通し人の役に立てたとなれば充実感、達成感があるものです。会話といっても難しい言い回しを覚える必要はなく、「真っ直ぐ行って次の角を右に」とか「あのビルの対面」とかの決まり文句をいくつか覚えておいたら十分に通用します。時間があるなら会話をしながら連れて行ってあげれば良いのです。

必要なのは土地勘があることと目的地を聞き取る能力があることです。土地勘の方は常日頃散策して覚えれば良いですが、聞き取りはなかなか難しいものです。しかも広大な中国には方言も多いので全く聞き取れない場合もあります。そういう時でも一度で諦めるのではなく、何度も言ってもらって丁寧に聞いて、それでも分からなければ書いてもらう等で理解するように努めましょう。案外なんとかなるものです。

日本にいる人の場合は中国人観光客の道案内をすることが考えられますが、自分ではやったことがないので分かりません。ただ、中国人は人懐っこい人が多いので、困っている人を見かけたら中国語で話しかけると喜ばれるのと思います。

大気汚染の改善

日本人が中国に行きたがらない理由の一つに大気汚染があります。中国の大気汚染は90年代初頭から経済発展と共に顕在化し始め、2012年から2013年頃には中国各都市で深刻な状態になりました。特に健康被害をもたらす問題はPM2.5と言われる有害な微粒子物質です。肺の奥や血管に入り込みやすく、気管支炎を引き起こしたり喘息を悪化させ、肺癌を引き起こす要因になります。中国では癌の中で肺癌が死因のトップであり、特に都市部の羅患率は農村部をはるかに上回っているそうです。気管支炎、喘息も増加し、死者まで出ています。

原因は火力発電や各種工場、自動車からの排気ガス等の人位由来のもの、黄砂や森林火災等の自然由来のものがあります。大気の対流が少ない内陸の都市では汚染大気が滞留し蓄積していく状態でした。経験のない方は驚くと思いますが、真っ白で視界が5mもないような日もあり、自動車の運転は禁止、道路は閉鎖、学校は休みになったりしていました。2014年に北京に出張した時には空気清浄器がなかったためかホテルの部屋の中まで真っ白で逃げ場がない状態でした。部屋にいても同じなので外に出て北京大学や清華大学に散歩に行ってみましたが、そんな中でもマスクをしているのは外国人だけ、ほとんどの中国人はマスクをしていませんでした。マスクをした方がいいと言っても笑って聞かない人が多かったです。近い将来中国では関連の病気が多発するだろうと考えたものです。

ただ、その状態も徐々に改善が進んでいて、2014年をピークに数値は大きく下がってきています。都市部におけるPM2.5の平均濃度は2018年〜2019年で20%低下したそうです。私が近年住んできた南京は以前はあまり見られなかった青空が、2018年頃からは晴れた日にはほぼ毎日見られるようになっています。AQI値もPM2.5で30から50くらいで安定しています。とりあえず健康被害に怯える状態からは脱してきていると思います。

それでも2019年のWorld Air Quality Reportによると、汚染が深刻な国で中国は11位、汚染が深刻な都市のトップ200に117の都市が入るなど、まだまだ良いとは言えない状況です。中国から日本に帰国すると外がクリアに見えて急に目が良くなった気がする感覚はまだ続いています。

政府による環境政策も進んでいて、そこに新型コロナの影響で環境衛生意識が上がっていますので、今度は更に改善が進むものと期待しています。

中国のエネルギー転換による環境保全分析―学際研究による大気汚染(PM2.5)の改善効果

HSKを受ける

汉语水平考试(Hanyu Shuiping Kaoshi)はノンネイティブを対象とした中国語の能力試験です。中国への留学や企業への就職の際に能力確認に使われる認知度・信頼度が高い試験です。試験を受けることにすると明確に期限が決まり強制力が働きますので、集中的に学習するようになります。これは学習を効果的に進める上で非常に重要です。人間自己を律する力は弱いもので、目標や期限を決めても忙しいとか体調が悪いとか自分に言い訳をしてペースダウンしたりやめてしまったりします。受験の申し込みですら、まだ受験するレベルに達していないとか、時期的に勉強時間がとれないとか、言い訳をして先送りしがちです。何も考えずに機械的に申し込みましょう。とにかく退路を断つ、これが何より大切です。

リスニング、文法、リーディング、語彙等のコラムでお勧めの学習方法を紹介していますので参考にして下さい。それらに加えてHSK用の勉強をすることをお勧めします。まずはHSK対策教材で問題を解くための知識とコツを学びます。私が使ったのは「新HSK考试辅导教程」でとても良かったのですが、アマゾンでは4級編しかありませんでした。私は使っていないのですがフルーエント外語学院(中国語指導が非常に優れています)が出版している「最強の学習法」が良いかもしれません。

【全新正版】新HSK考试辅导教程(4级) 陈香 9787040340730 高等教育出版社

HSK・中国語検定 最強の学習法 (中経出版)

そして重要なのが過去問をやり込むことです。HSKでは過去に出題されたものと類似した問題が出ることが多いからです。3年分くらいは繰り返しやりたいところです。

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中国語検定 HSK 公式 過去問集 5級 CD付

中国語検定 HSK 公式 過去問集 6級 CD付

そして模擬試験問題をやります。試験と同じ時間配分で何度もやってみましょう。リスニングでは音声が始まる前に解答選択肢を素早く読むとか、分からない問題はすぐに捨てて切り替えるとか、リーディングでは確実に得点できる長文読解から始めるとか、同じく解答選択肢を先にチェックするとか、文法問題は先に明らかな間違いを見付けて、等々、いろんなノウハウがあります。時間配分を合わせてその訓練をして、自分に最も適した解き方を見付けましょう。模擬問題の教材は日本のものは主にリスニングやリーディングに特化したものなので、フルバージョンの試験問題が複数回ある中国の問題集をお薦めします。実際の試験より若干難しいので、思うように得点できなくても落胆せずに、トレーニングと割り切って進めて下さい。

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学習以外で私が経験した問題と対策を紹介します。参考になさって下さい。

①試験会場が分からない:中国で受験する場合、ネットで案内された会場がどこにあるのか事前に調べておかないと当日行き着けない可能性があります。私は5級を長春の吉林大学で受けたのですが、吉林大学はキャンパスが複数あり、しかも一つ一つがとても大きいので、HSK会場案内がある所に辿り着くまで迷いに迷って、時間ギリギリで教室入りしました。◯◯大学の場所は知ってるから大丈夫と安心せずに、事前に一度会場まで足を運んでおくことを強くお勧めします。

②受験者が多くて騒がしい:4級や5級は留学生受験者が多いです。記念受験なのか余裕なのか、試験前も友人とおしゃべりを続け騒がしいことこの上なしです。直前まで詰め込み作業をする私にとっては大変迷惑です。そういう事態を想定して耳栓を持っていく等の騒音対策をすることをお勧めします。(6級試験の時は受験者が少なく皆さん静かでした。)

中国語の歌を覚える

中国語の歌にチャレンジする人も多いと思います。カラオケに行くととても上手な方もいて、中国語のレベルがかなり高いのだろうと思っていました。ある時同僚がものすごく上手に歌うのを聞いてビックリしました。普段中国語を使う人ではないので「中国後の勉強を始めたの?」と聞くと「音で丸覚えしました」とカタカナで書いた歌詞メモを見せてくれました。音で丸覚えするというのは見事なものです。私には中国人が歌っているかのように聞こえました。(私も以前スペイン語を勉強していた際に一曲音で丸覚えして、披露して感心されたことがあります。)音の丸覚えはともかく、歌は楽しみながら言葉を学ぶ良い方法だと思います。

私も数曲覚えました。「童话」や「今天你要嫁给我」「勇气」「我的歌声里」など。しかし、カラオケで歌えるようになるだけでは中国語力向上に効果は少ないことが分かりました。何故ならカラオケにはたいてい字幕があるので、音とリズムを覚えたら歌詞がうろ覚えでも見ながら歌えてしまうからです。持ち歌が増える割には中国語力は伸びません。音の丸覚えとさほど変わりません。

歌詞を読み込んで意味を理解したり用語を覚えたりと、意識的に取り組んで始めて中国語力の向上に繋がります。私は「流言蜚语」「天涯海角」などを「勇气」で覚えました。また、発音の面でも効力を発揮します。歌のリズムが少し四声を阻害する気がしますが、拼音を丸覚えするのに役立ちます。意味を理解して正確な発音をすることで情感を込めて上手に歌えるようになるのでますます楽しくなります。そうなるとエピソード記憶としてしっかり定着します。

アマゾンミュージックをお薦めします。3ヶ月無料聞き放題です。中国語の歌も多数取り扱っているので、お気に入りの歌を探して練習してみてはいかがでしょうか?

アマゾンミュージックはアップルミュージックと無料体験期間やサービス、価格はほぼ同じですが、取り扱っている曲数が6000曲ほど多いそうです。特にアップルが弱い邦楽が充実しているそうです。

中国語の醍醐味、故事成語 Part 2

成語はしっかりと覚えた方が良いです。私は学習初期に先生から成語の大切さを説かれたのですが、日本の四字熟語と似たようなものだろうと思い、聞き流していました。それが中国では大量にあり生活の中でも一般の文章にも多用されていて、基本的な成語は知らないと教養がないとみなされるということが後になって分かりました。

成語は先人の経験に基づく知恵や便利な言い回しとして非常に大切にされています。その数も日本の四字熟語が5000項目程度であるのに対して中国は3万項目以上で、今も増え続けているそうです。知識や言語としてのニーズがあるから増え続けるのだと思います。そんな重要なものですからHSKの問題にもたくさん出てきて、5級や6級になると分からないものが一つでもあると正解にたどり着けないようなものがあります。中国語力を1ランク上げるために腹を決めて成語をしっかり覚えていきましょう。

日常の各場面でどのように成語が使われるか知るには「起きてから寝るまで表現」が面白くて分かり易いです。

起きてから寝るまで中国語成語表現

HSK受験用には専用の学習書がお薦めです。

HSK成語用法

注意点は日中で意味が違うものがあることです。例えば「一刀両断」は日本語では「思い切って物事を処理する」ですが、中国語では「きっぱりと関係を断つ」です。成語を見た時にこれは日本語にもあるからとスルーするのではなく、意味を調べて正確に覚えることをお勧めします。

読んで下さった方からコメントを頂きました。「成語って、楽しいですよね。成語のテキストを買うのも効率的ですが、自分でテレビドラマを見たり、本を読んで出てきた成語をノートに書き写して作る単語帳は自分だけのお宝ノートになりますし、その分記憶にも残りやすい気がします。」

中国語の醍醐味、故事成語 Part 1

中国語の醍醐味はなんといっても故事成語だと思います。故事や寓話を元にしたもの、古い書籍の言葉を引用したものやまとめたもの、特別な出典はなく人々の口から口へ伝えられて決まり文句になったものなど、たくさんあります。他の言語にもことわざはありますが、中国語が圧倒的に多いのではないかと思います。故事成語を知ることは悠久の歴史の中で積み重ねてきた中国の知恵を知ることであり、他の言語では味わうことができない醍醐味だと思います。

特に「孔子」「老子」「荘子」など優れた思想家の言葉は人生訓やビジネス訓としても広く活用されていて中国人は日常生活や仕事の中でもよく使います。故事成語を知っている人は教養のある人だとみなされます。そしてその多くは日本でも活用されています。

中国語学習者は大量の成語を覚える必要があるのですが、各々の成語の背景にある故事を知ることで楽しく取り組むことができ、考えにも表現にも広がりと深みが増すと思います。「塞翁が馬」や「五十歩百歩」など、物語としてまとめられているものが多いので面白いです。

私が読んで楽しかった中国故事の本をご紹介します。「中国故事」はよく耳にする成語やことわざを取り上げて、その故事を楽しく簡潔に紹介しています。読み物として楽しい本です。

中国故事 (角川ソフィア文庫)

もっと気軽に故事に触れたいのであれば漫画もいいと思います。肩に力を入れずに楽しく読むことができます。

まんが中国名言故事

単語を覚える

語彙を増やしていくのは語学習得の必須作業です。HSKでは等級によって語彙量の目安が示されていて、3級(基本的なコミュニケーションができる)で600語、4級(ネイティブと意思疎通できる)で1200語。5級(スピーチなどができる)で2500語、6級(自分の見解を流暢に表現できる)で5000語だそうです。HSKを受けないにしても語彙量が一定量以上はないとなかなか進歩しません。

単語は少しずつ覚えていくのではなく、参考書などを使って大量に丸暗記していくべきだと思います。HSKの定義によると4級で基本的な意思疎通ができる筈ですので、それに要求される1200語を無条件に丸覚えしていくべきだと思います。私は学習初期には先生の指導で一週間で150語〜200語を拼音含めて丸覚えしていました。単語は眺めて覚えたつもりで覚えられていないことが多いので、授業の始めに必ず覚えてきた単語の書き取りチェックをしていました。

拼音練習と単語丸暗記の時期はとても苦しくて何度も心が折れていたものですが、半年も過ぎる頃には分かるようになってきて次第に面白くなっていったものです。会話や文書の交信ができるようになると中国語での交流が楽しくなるので、更に楽しむために必要な単語を自ら覚えるようになります。こうなればしめたもので、どんどん語彙が増えていきます。

単語は私は中国のテキストで覚えていったのですが、後から使って良かったのがキクタンシリーズです。日本人は漢字を知っているので見るのは分かり易いですが、聞くのは発音が違うので練習しないと分かりません。キクタンは音とリズム+視覚で覚えていくので最適な教材だと思います。キクタンは中国語検定を想定して編集されているのでHSKとの直接の関連付けはないですが、入門編で504語、初級編で560語、合わせて1064語なのでこの2つでHSK4級=意思疎通可能レベルをだいたい網羅していると思われます。まずはこの二冊を丸覚えするのが良いと思います。

キクタン中国語【入門編】中検準4級レベル

[音声DL付]キクタン中国語【初級編】中検4級レベル キクタン中国語シリーズ

その上の、初中級編で1008語、中級編が896語(+成語)、上級編が1008語(+成語)です。内容を見ると上級編などはかなり高度な内容で、HSK最高級の6級に必要な単語以上のものが含まれていると思います。個人的には中級レベルまで覚えたらHSK6級はなんとか戦えると思います。(HSK6級得点率7割程度の私は上級編に知らない単語がたくさんありますから)

キクタン中国語【初中級編】中検3級レベル

キクタン中国語【中級編】中検2級レベル

キクタン中国語【上級編】中検準1級レベル

HSKを目指す人にはそのものズバリの単語集があります。HSKの良いところは表明している範囲内で出題することです。効率的に覚えたいならHSK専用の単語集を使うと良いと思います。これにはHSK基本語彙集シリーズがお薦めです。通常単語には複数の意味がありますが、大胆に主要なものに絞り込んで覚え易く工夫しているように思います。例文があるのでどういう言い回しで使うのかも理解しやすいです。

品詞別・例文で覚える HSK基本語彙1級‐4級 CD付

品詞別・例文で覚えるHSK基本語彙 5級―6級

ストーリーを知っている本を読む

中国では日本の作家の著作がたくさん読まれています。先ず日本語でストーリーを把握した上で中国語バージョンを読むとリーディングの訓練として取っ付き易いと思います。初見の本を辞書を片手に読み進めていくのはなかなか大変です。理解できない箇所が重なるとストーリーが分からず、分かってきても途中でつまらない話だと思うと継続意欲が失せてしまいます。ストーリーを知っている本なら、中国語で知らない単語や言い回しが出てきても推測で読み進められますし、内容に失望することなく継続できます。詰まったら日本語版を読み返して確認もできます。

中国で人気の日本人作家は、古い人でいえばノーベル文学賞作家の川端康成やその弟子の三島由紀夫。特に川端康成の「伊豆の踊子」はかつて中国で絶大な人気を誇った山口百恵の主演映画ということもあって、知名度が非常に高いそうです。近年でいえば同じくノーベル文学賞作家の大江健三郎、最も知名度が高いといわれる村上春樹、そして東野圭吾です。私の中国語の先生が村上春樹が大好きで、ノーベル文学賞を授与されないことに憤慨しています。代表作「ノルウェイの森」は中国国内で100万冊以上売れているそうです。東野圭吾は若い人中心に大人気です。新作が出るとすぐに中国語訳され、本屋で売り場の一角を占有しています。

{手へん那}威的森林(ノルウェイの森)(中国語) (村上春樹文集)

流星之絆(流星の絆)(中国語) (東野圭吾作品)

ナミヤ雑貨店の奇蹟(中国語、簡体字版)

アニメも良いです。「ドラえもん」のまとめ読みがコスパも良くお勧めだという方がいらっしゃいました。中国では全45巻で300元ちょっとで購入でき、「こういう時はこの言い方をするんだ」という発見がたくさんあって読み始めると止まらなくなるそうです。

Doraemon (vol.1)(Chinese&English)

その他には、ハリーポッター。日本語版より中国語版の方が先に出版されたそうです。ドラゴンボールやワンピース。中国で人気が高く見つけ易い。名言もあり。スラムダンクやナルト。若い中国人と話す時のネタにもなりお薦めです。

哈利波特与死亡聖器(中国語) (Harry Potter)

哈利.波特与阿兹卡班囚徒 (Harry Potter)

音読〜シャドーイング

HSKなどの試験を受けるにあたって、読む速度が遅いと、じっくり読めば分かるのに時間が足りず残念な思いをすることになります。読む速度の向上に取り組むまなければなりません。いろんな手法を試してみましたが、やはり音読・速読の練習に勝るものはないようです。自分が読める速度がイコール聞き取れる速度だともいます。私がリスニングが弱いのは読む速度が遅いのが原因の一つだと思います。私は音読練習があまり好きではなく、先生の指示で仕方なく読む程度でした。下手な発音で詰まりながら読むのは我ながらカッコ悪いしドッと疲れるからです。しかしこのままでは進歩がないと、意を決して音読・速読練習に取り組みました。

音読熟練者の方々に薦めて頂いて、私が使って良かったと思うのが「聴読中国語」(東進ブックス、津田量 著)です。豊富な文例に日本語訳が付いていて読み物としても面白いです。これを毎日朝夜何度も音読されているツワモノもいます。

聴読中国語 (東進ブックス)

そしてシャドーイング、通訳さんが練習する手法です。音声を流して数語後から追いかけて同じスピードで声に出して読んでいきます。最初はところどころ止めてテキストを読みながら、慣れてくると止めずにテキストなしで音声だけでついていきます。教材としてお薦めなのは「通訳メソッドを応用した中国語短文会話800」です。これは英語通訳養成で使われていたシャドーイングの技法を中国語に応用した最初のテキストで、よく使われる中国語表現が選ばれていて、CDは会話の場面にマッチした感情豊かな朗読です。シャドーイング教材として最適だと思います。

通訳メソッドを応用した中国語短文会話800

中国語はスーパーランゲッジ?

言語密度は同じ情報を伝えるのに必要な字数(情報量÷字数)で表しますが、中国語はその高さがトップクラスです。ある方の検証によると英語に対して日本語は約2.1倍、中国語はなんと約3.2倍ということでした。映画やドラマで表示される中国語と英語の字幕の併記を見るとよく分かりますが、中国語は英語に比べて圧倒的に文章が短いです。文字自体が意味を持つ漢字を使っているので文字数が少なくても情報量が多いのです。日本語の言語密度が高いのも漢字によるものでしょう。韓国語も高い部類に入るそうです。更に中国語は簡体字の発明によって書き易くなったので、読み書きで意図を伝えるのに最強の言語といえるでしょう。

話し言葉では、一つの音節で伝える情報量が多いのは英語です。中国語も多い方です。圧倒的に少ないのはなんと日本語だそうです。だから同じ内容を伝えるのに日本語は英語や中国語に比べて多くの言葉を費やす必要があります。だから日本人は早口でしゃべる人が多いそうです。ただ面白いのは、一定時間に伝達される情報量、つまり「音節当たりの情報量×速度」を計算すると、どの言語もほぼ同じになるそうです。人間の脳の処理能力に関係するのではないかといわれています。

中国語は全方位的に情報伝達効率が高いスーパーランゲッジだといえます。情報化社会が進展するにつれてその機能は優位に働くと思います。下にAmazonのオーディオブック無料体験サービスを紹介します。このような音声での情報伝達や動画化が進むにつれてますます存在感を増してくると思います。

ただ、中国語の知識が深い方から反対意見も頂きました。「中国語は高度な孤立語なので、理解するときに脳内でテンスやアスペクトや格などを補わないと理解しにくいので、意味が曖昧になったりするケースが多くて脳が疲れます。正確に言いたいことを述べる場合、中国語は驚くほど文が長くなり、極めて能率が悪いです。」とのことでした。また「中国語の効率は日本語より低いと思います。中国語は論理的な部分が弱いです。また、曖昧さを補うためにいろんな限定が必要なので、中国人同士でも中国語を通じないこともよくあります。」とのこと。高度に正確さを求める場合は事情が違うようです。

文法は日本語で正確に確認する

文法は決まりごとなので正確に覚える必要があります。日本語と中国語で文法は当然異なりますので、日本人にとっては「なんでそうなるの?」と詰まってしまうことが多々あります。先生が中国人の場合、中国語で丁寧に教えてはくれるのですが、時には肝心な疑問の答えが得られず、何度も聞き直すのが億劫になり、理解が曖昧なまま流してしまったりします。私も「まあだいたい分かったからいいか」で流してきた結果、いつまでも正確に理解できず、同じ問題を何度も間違える状態が続いていました。日本語や英語といった退路を断つためにあえて中国語だけで講義を進めてもらっていたのですが、文法だけは日本語で正確に理解した方が良いと思い直し、書籍を購入しました。読んでみるとやっぱりよく分かる。これまでモヤモヤしていた疑問がスッと解けました。

私は主に中国で勉強してきたので中国人の先生にしか教えて頂いた経験がないのですが、文法については日本人の先生の方が良いかもしれません。日本人が分からないところや間違えやすいところをよく知っていて「痒いところまで手が届く」教えが期待できるからです。

書籍について、学習初心者の方にお薦めなのは「完全マスター中国語の文法」です。学習者の便利で簡単な手引きを目指して作成されているので、基本的な内容が全て網羅され分かり易く解説してあります。学習方法として私は、前から順に精読していくのではなく、最初に全体をざっと読んで内容を把握しておいて、学習を進める中で文法に疑問が出てきたら本書を調べる方法を採りました。効率的だったと思います。

完全マスター中国語の文法改訂版

中級者以上に絶対お薦めなのは「日本人が間違えやすい中国語文法」です。日本語を母国語とするが故に引っかかる特徴的な間違いから文法が説明されていて、実際に私が中国人によく指摘される日本人的中国語の誤りが本書にはほとんど網羅されていました。言語学的観点からもとても面白い本です。

日本人が間違えやすい中国語文法[徹底分析190]

この二冊をしっかりやり切ったら一般レベルの文法はOKだと確信しています。

男と女の中国語会話術(★★★★★)

男女のお付き合い、恋愛や結婚、性の話などは、タブー意識や気恥ずかしさがあって学習の場ではやんわりと敬遠されます。しかし、実際語学を習得するあたって恋愛がとても有効なのは事実です。恋人との会話や活動は感情豊かに真剣に取り組みますので、語学力は格段に上がります。また、近年日本人と中国人の国際結婚も増えていて、真剣に恋愛をして結婚を目指す、あるいは円満な結婚生活を営もうとしている人にとっては、男女にまつわる言葉はとても重要です。

男女の会話の言い回しを紹介した書籍、「男と女の中国語会話術」をお薦めします。一般の教室や教材では紹介されない、異性へのアプローチや深い付き合いに至るために使う言い回しが豊富に紹介されています。誰でも興味がある男女の会話なので楽しく読むことができますし、真剣に恋愛・結婚に取り組む人には貴重な資料です。私の知る限りこの本しかないので、是非ご覧になってみて下さい。

男と女の中国語会話術―学校では教えてくれない!

男女にまつわる話として知人から聞いた話を紹介します。日本のおじさんが中国に旅行に行き、飲み屋で(お客さんとして)モテるというのはよく聞きますが、農村に行くとおばさんたちに「結婚して下さい。妻が無理なら二号さんでも三号さんでも良いので。」と真剣に迫られることがあるそうです。極貧状態なのでなんとか養ってもらえないだろうか?ということだそうです。中国は国全体では急速に発展しましたが、農村地帯ではまだまだ極貧世帯が多く、貧富の差が拡大しています。日本でモテたことなどないおじさんが、女性から次から次へとそういう申し出を受けて面食らうそうです。

そんな状況に乗じて、日本のおじさんが中国の農村にお嫁さんを探しに行くこともあるそうです。ただし希望は若い女性。目的は自分の親をみてもらうこと。日本は核家族化が進展して親をみる子供が少なくなっています。そして最近の日本の若い女性はお年寄りの介護には非協力的な人が多い。一方、中国人は家族、特に目上の人を大切にするので、親身になって協力してくれるそうです。中国人女性側も日本に行ってお年寄りの世話をするだけで、極貧状態から抜け出せる、年配の夫は年配で早く亡くなって遺産をもらえる、配偶者年金が支給される、ということで、結婚を承諾する人は相当数いるそうです。愛情たっぷりの結婚というわけではないかもしれませんが、win-winの良い施策だと思います。