中国の部品メーカーや設備メーカーの社長さん達と話をすることがありますが、印象的なコメントに「国有企業の仕事は受注しない」というのがあります。国有の大手だから儲けになると考えて話に乗ると後で大変なことになることがあり、実際国有企業と付き合って倒産した小さな会社はたくさんあるそうです。
よくあるケースの一つが「料金を支払わない」です。設備受注等で設計完了や製作完了、現場据付、試運転の完了などの節目ごとに何%かずつ支払う契約をしているのに、そのタイミングがきても支払わない。忘れているのかと支払いを促したらあれこれと難癖をつけて完了の合意をしない、それを普通にやるそうです。私はそういう国有企業側に技術支援をする仕事をしたことがあるのですが、確かにそこの購買担当は支払わないことがタスクであり、踏み倒すことが最大の手柄でした。
そして「発注が突然取り消されて求償に応じない」ことも多々あるそうです。上記のように設備を受注して作っていたらある日突然電話一本で製作を止めるよう告げられ、料金を支払いもしないし引き取りもせず放置される。その後待てど暮らせど連絡がないので確認の電話をしたら、担当者が変わっていてそこに発注したことすら引き継がれていないし、対処しようともしてくれない。或いは、ある日突然、商品のモデルチェンジで現在生産中の現行商品の部品は要らないと告げられる。大量の在庫は買い取ってくれる筈もなく泣く泣く廃棄処分せざるを得ない。そんな話はそこら中にあるそうです。
下請法などが完備している日本の常識で仕事をしている者にとっては考えられないことですが、こういうケースはまだまだ多いそうです。今では中国はビジネス大国ですが、付き合う相手を選ばないと大変なことになるので、慎重に検討する必要があります。