和製英語をモデルに華製日語という言葉を作りました。文字通り中国人が作った日本語のことを指します。中国関係の仕事を担当して中国に住んで中国人と交流したり中国の物品を見たりしてきました。その中でおかしな日本語を見付けることを楽しんできたのですが、近年では使っている中国人も間違っているとたぶん分かっていて、あえて使っている日本語があることに気が付きました。これを華製日語と勝手に名付けました。
以前のおかしな日本語は観光地の説明書きや日本料理屋のメニューなどにある、ちょっと勉強したのであろう人が訳した、意味は分かるけどそうは言わないだろうというものでした。「小心落水」を「水に気を付けろ!」等です。観光地の案内図で、英語で言えば「You are here」が「あなたの場所が分からない」になっていたのには「意味は確かにその通りだ!」と妙に感心したこともあります。次に出てきたのは精度の悪い自動翻訳の乱用。「手下留情脚下留青」が「手をいい加減にし足元に青いを残す」となっていました。全く意味が分からないので完全にアウトです。
それらとは違って最近出てきたのは若い子が着るTシャツや店の名前にある日本語です。「頑固の少女」とか「肉焼き劇場、食の道と味の新鮮」とかです。間違っているのですが、「の」が入れば中国人は日本的な可愛くおしゃれなイメージを持つそうなので、間違いが分かっていてあえて使っていることがあります。日本語ができる知人によると、使っている人にとって正しい正しくないは問題ではなく、日本語を使うことで良いイメージを出したいだけだということでした。考えてみれば我々日本人も服のデザインや店の名前に英語を多用してきましたが、ネイティブが見たら笑ってしまうものがたくさんあります。でも使っている者にとっては単にアメリカ風のカッコいい雰囲気を出したいだけで正誤は問題にしていません。それと同じ現象が中国で始まっているとみて良いと思います。
私見ですが、華製日語が増えてきたのは日本に好感を持つ人が増えてきたからだと考えています。日中友好を希望する日本人としてはとても嬉しいことです。和製英語が発展して公式言語として認知されてきたように、今後華製日語もどんどん発展していくと思います。日本への好感度を測る指標として、楽しみながら注目していこうと思います。