やる気になる学習場所を見付ける(★★★★)

自宅での学習スペースの確保もさることながら、自宅以外での学習の場の確保も重要です。一人で学習しているとモチベーション面で行き詰まることがあり、そんな時に他の人が学習している中に身を置くと周囲に影響されてやる気になったりします。「みんな頑張っている、私も頑張ろう!」ということです。つまり勉強場所の中でも単なる空きスペースではなく、比較的たくさん人がいてそれぞれが黙々と勉強に取り組んでいるような場所が理想です。

高校生や大学生なら学校や予備校の教室や図書館の自習スペースなど、選択肢はいろいろありますが、学生ではない大人にはなかなか身近にいい場所がないものです。地元の公民館などでは、近所の人に会ったりして勉強しているのがなんとなく照れくさかったり、話に花が咲いて勉強にならなかったりします。私としては大学の図書館や学習スペースがお勧めです。学びの環境に身を置くと気が引き締まりますし、学生さんたちもたくさんいて勉強しているので影響されてその気になり易いです。一般開放しているかどうか問い合わせてみると良いと思います。国公立大学や大きな私立大学なら使わせてもらえる可能性が高いと思います。適当な大学がない場合は、街中の比較的大きな図書館や文化交流センターなどで、自習している人が多い場所を探すべきかと思います。

私は日本でも外国でも行く先々で地元の大学を見に行くのが好きです。環境や建築物、若い学生さんたちの様子を眺めることもさることながら、やはり一番の理由は自分の学ぶ意欲が刺激されるからです。特に中国の大学では、休日には日本とは比較にならないほど多くの学生が図書館や教室で勉強して、大いに刺激を受けます。基本的に全学生が大学敷地内の寮で生活していることもありますが、子供の頃から勉強漬けの日々を送ってきているので学習に対して非常に真面目であることが起因していると思います。多くの中国の大学は開放的で一般人でも自由に入って(近年ゲート管理が導入されるところも出てきましたが)使えるところが多いので、中国在住の人は是非一度見に行ってみて下さい。私はたまにシラっと教室に入って自習することがあります。規則的に良いのかどうか分かりませんが、学生さんに聞くと問題ないと言いますし、これまでにつまみ出されたこともありません。

学習環境を整える(★★★)

やる気になって集中できる環境を整えることはとても重要だと思います。人によって最適な学習環境は異なりいろいろなスタイルがあると思いますが、一般にはその場に行けば気が引き締まってやる気になり、邪魔されることなく集中できるスペースを作るべきだと思います。

私の場合、単身生活をしている時は、誰にも気兼ねがないので、中国語の教材も趣味の本もテレビもパソコンも仕事の資料等も、全てのものを近くに自分が便利なように配置、というか放置してしまいがちです。その結果、何もかもが同じ部屋に置かれ手が届きやすい場所に散乱した状態になります。これは思い付いたらすぐに教材を確認することができる一方で、楽しいものに気持ちが移りがちです。気軽に着手できることを重視して成り行きでこのような状態を試してみましたが、結果的には長時間集中するには適していませんでした。やはり、部屋の一角にでも中国語学習専用のスペースを作り、そこでは中国語しかできないという状態にしておくべきです。テレビ、パソコンなど何となくつけて見入ってしまうようなものとは別の場所にするべきです。すると今度はその場所に行くのが億劫になったりもしますが、中国語として楽しい雰囲気を醸し出すものを配置するなど、工夫することで克服したいです。私の場合は読書が好きなので、中国関係の本を並べることでその場に行きたくなるようにしています。本をたくさん並べるとアカデミックな気分になり、気が引き締まります。

家族と暮らしている場合は、学習に対しての外乱が多いので更に工夫が必要です。学生さんなら良いですが、大人で家族の用事や家事を担っている場合は、好きな時間に気ままに勉強するという訳にはいきません。単身生活の場合と同じように専用の学習スペースを設けることに加えて、家族に協力してもらえるよう、学習に充てる時間を決めて了解を得ておく必要があります。一般に昼は仕事をしてますし、夜は家族団欒の時間を持ちたいものです。だから学習時間は早朝が最適だと思います。一人の時間が確保しやすいですし、朝は脳が効率的に機能しますからお勧めです。そして勉強中はなるべく声をかけないよう家族にお願いしておくべきです。もちろんその分、他の時間は家族としっかり交流する必要があるのは言うまでもありません。家族の幸せと仕事と学習をうまく成立させてこそ、一人前の兼業学習者です。頑張りましょう。

愛すべき老中国 : 特権地域

これは私の経験というよりは、私より少し前に中国で活動していた人から聞いた話がほとんどです。私自身はその時代の最後の方に少しだけ経験しました。

ある国営企業の企業城下町での話です。日本でいえばトヨタ自動車がある豊田市のようなイメージです。しかしその中身は全く違っていました。その街に住む人のほとんどはその企業と関連会社の従業員と家族でした。関連会社もほとんどが国営か国有の会社なので従業員は公務員のようなものでした。役場や警察などもそれらの企業関係者がやっていて、いわば大きな自治都市のようでした。そこに技術支援で行った人がその企業の人に言われたのが「人に害を及ぼすことでない限り、この街の中でならあなたは何をやっても大丈夫」でした。酔っ払い運転から喧嘩、器物破損から汚職関係まで、本当に何でもありの治外法権状態だったそうです。警察まで関係者なので、本当に事件性が高いことでない限り何でも見逃される訳です。その中でも職位が高い中国人はちょっとした特権階級のようなもので、かなりえげつないことにまで手を染めていた人もいたそうです。一方の小市民日本人たちは「何でもOK」と言われてももちろん大したことができる訳ではなく、せいぜい泥酔して街を徘徊するくらいのことでした。そして、そういう環境に身を置いていたことをちょっとした武勇伝として語って悦に入ってました。

そういう地域も近代化の中でどんどんクリーンな街になってきました。汚職撲滅、打黑が進んできた今では、ほんの数年前にそういうことがあったことは信じられないほどです。「中国はもうあのような時代に戻ることはないのだろうな」と懐かしく思い出されます。

中国学生の「勉強」を見習う(★)

勉強という言葉は中国語では「学習」ではなく「無理に強いる」という意味です。現代の中国学生の勉強は、日本でいう勉強より本来の意味で表すに相応しい状況になっていると思っています。中国の受験戦争が凄まじいことは広く知られてきたと思います。以前は生まれや親の人脈の有無で人生がほぼ決まってしまう国で、人々は無駄な努力はしなかったり海外に活路を求めて出て行ったりしていました。その反動もあるのだと思いますが、能力さえあれば生まれに関係なく成功を手にできる国になった今、みんな気合を入れて勉強します。一人っ子政策が続いたので親や祖父母の期待や応援も尋常ではなく、子供たちはものすごいプレッシャーの中、必死で勉強をしています。

2019年の高考(日本のセンター試験にあたる大学共通試験)の受験者は約1031万人だそうです。日本のセンター試験受験者数は約58万人ですから、日本のなんと約18倍です。人口比よりも大きく、中国の方が若年者の比率が大きいことを考慮しても、大学入試にチャレンジする人の比率は日本と同等かそれ以上だと思います。さすがは科挙の国です。そして近年では各地の高考の試験会場前で、チャイナドレスを着た母親たちが子供の試験が終わるのを待っている姿が見られます。チャイナドレスは中国語で「旗袍」なので、成語「旗开得胜」(幸先の良いスタートをきる、好成績をおさめるという意味)にかこつけた一種の「ゲン担ぎ」なんだそうです。親の力の入れようが分かります。

子供たちは幼少の頃から勉強漬けの生活をしています。幼児から習い事を始め、小学校に上がると学校でガッツリ勉強です。クラブ活動などはなく進学校では体育の時間も算数などに切り替えられます。授業は6時とか7時とかまで続きます。そして大量の宿題を与えられ、帰宅してからは夜遅くまで宿題です。教師は担当する生徒の成績で評価が決まりますから、こちらも必死です。生徒何人かのグループを作って、母親に夜の宿題の進捗を管理させ、微信で報告させます。各生徒の母親たちは子供の宿題が終わったらグループのリーダーの母親に報告をし、リーダーの母親は全員の終了が確認できたら先生に報告します。先生は各グループの宿題完了時間を公表して、遅いグループを叱り指導します。そんな仕組みを作っているので親も子も必死にならざるを得ません。中国では女性もほとんどが会社で働いているので、母親は昼は仕事、夜は子供の宿題のサポートでクタクタになっている人が多いです。窓から見えるマンションの部屋では、小学生高学年くらいの子供が、平日は夜遅くまで、休日は朝から夜まで母親がついて勉強する姿が見えます。

そんな状態を見聞きしてきて、中国語もこれくらいやったらできるようになるだろうなとは思うのですが、さすがに見習う気になれません。80后くらいから言われ始めた「詰め込み学習で知識は多いが創造性や協調性に欠け、何でも親にやってきてもらったから自分では何もできない、そんな人が増えている」が、90后になるとさらに増え、現在の中国の教育に疑問を感じる人も増えています。私の知人にも中学生くらいからアメリカやシンガポール、マレーシアなどに留学させる人が増えています。選択肢に日本が入っていないのは残念ですが、考えてみれば日本も暗記詰め込み教育なので選ばれないのは当然かもしれません。中国も日本も教育について今一度考えてみるべき時期なのかもしれません。

中国はなぜ「学力世界一」になれたのか – 格差社会の超エリート教育事情 (中公新書ラクレ)

食べ物の名前を覚える(★★★)

やる気になるには基本的な欲求に合ったものにリンクさせると効果的です。一般に人間の三大欲求のうち最も強いと思われる食欲と中国語学習をリンクさせると効果があると思います。実際、食い道楽の人は食べ物の名前をすぐに覚えます。その他、睡眠欲は学習と絡め難いですし、性欲だと場合によってはトラブルの元です(笑)。やはり食欲を活用すべきだと思います。中国に住んでいるとある程度は食べ物の名前を覚えないと食事ができません。いつも日本料理屋ばかりだと高くつきますし、どんなに美味しくてもそのうち飽きてしまいます。いろんなローカルフードに挑戦して食を楽しみながら中国語の語彙も増やしましょう。

美味しくてまた食べたいと思う料理の名前を覚えるのが一般的です。渇望するようなものほどしっかり覚えます。私の場合は、烤羊肉串,夫妻肺片などです。よくある失敗が、メニューの中から適当に選んだものが出てきて、食べてみたら意外にも美味しかった。でも、メニューを下げられていてそれが何という名前だったか分からない、とか、メニューがあってもどれだったか覚えていないということです。服務員に聞けばいいのですが、それができないのが中級レベルの学習者の悲しいところです。だからやはり頼んだ料理の名前をメモしておく等の工夫が必要です。そして、意外と重要なのが二度と食べたくない不味い料理の名前を覚えることです。中国料理は多彩で良いのですが、見た目と味が全然違ってガッカリするものがよくあります。焼きそばっぽい味かと思って食べたら甘酢味だったとか、中国料理あるあるです。大抵の場合、見た目で好きな味を想像して注文するので、次回も見た目で同じものを頼んでしまうリスクが高いです。幸せな食生活のために、嫌いなものの方もしっかりメモして覚えるようにしましょう。

中国料理の基礎知識 エイムック

愛すべき老中国:習慣の違い

中国人と日本人は同じ東アジア人として大きな意味では似ていますが、生活習慣は違います。近代化途上の中国の習慣は日本とは大きく異なり、興味深かったです。

挨拶や会話について、中国人は日本人ほどこまめに挨拶はしません。出勤して「おはよう」と言う人は稀ですし、帰る時に「お疲れ様」的な言葉をかけることもありません。「ありがとう」もあまり言いません。中国人からみると日本人は「ありがとう」を言い過ぎで、そんなにいつもお礼を言っていたら本当にお礼を言うべき時にありがたさが伝わらない、と批判されます。「すみません」や「ごめんなさい」もほとんど言いません。日本人なら謝まるような場面で謝らないのでムカっとしたりしていました。ただ、近年は若い人を中心にきちんと謝る人が増えてきました。声が大きくてよく話します。日本人からみると無駄に大きな声で話している気がします。ある人に聞いてみたところ、それは礼儀なのだと。「聞こえないような小さな声でゴニョゴニョ話すのは相手に対して失礼。大きな声ではっきりしゃべるように」と親から教育されているのだそうです。本当かどうかは分かりません。

飲食について、中国人は冷たいものは体に悪いという理由であまり飲みません。だから以前は店には冷やしたビールは置いていないのが普通でした。ぬるいビールで乾杯してなんとなく冴えない気分だったことを思い出します。お酒は強い酒から飲み始めます。だからビールなどは最後です。「とりあえずビール」が習慣の日本人にとっては最初から白酒が出てくるのは恐怖でした。そして飲む時は必ず誰かと軽く乾杯してから飲みます。一人で勝手に飲んではいけません。一人で飲もうとすると周囲の中国人が慌ててコップを取って乾杯してくるという経験をした方は多いと思います。そしてお酌はしません。日本の習慣で相手のお酒が減ってすぐに注ぎ足そうとすると怪訝な顔をされます。店にお酒を持ち込みむのが基本的にOKです。だから中国人が日本に来た際に、店で持ち込んだ酒を開封してたしなめられることが多々ありました。中国料理でお馴染みの回転テーブルは、時計回りにゆっくりと回すのがマナーとされています。中国では上下の関係に厳格で座席もそう配置されているので時計回りになったということです。ただ、方向はあまり厳密ではないそうなので、誰かが箸をつけようとしている時には止めることさえ守ったら大丈夫です。日本人は面白がってグルグル回す人が多いので要注意です。串焼きのステンレスのトレイに被せてあるビニールはかけたまま使います。洗うより剥がして捨てる方が速くて安いそうです。そして支払いですが、基本的におごるかおごられるかです。今回おごってもらったから次回は私がおごるということで、関係を継続するという考えです。割り勘はその場で関係を清算するような意味になるので好まれません。

近代化に伴って伝統的な習慣が薄れてきて、若い人などは見た目も言動も日本人と同じようになってきました。それでも電車に乗っていてお年寄りが乗ってくるとサッと席を譲る光景を見ると、やっぱり中国だなあと思います。いい習慣は継承していってもらいたいです。

愛すべき老中国:恐怖の五つ星ホテル

中国のホテル等では、四つ星とか五つ星とかやたらと星の数の表示が多いです。一応国家旅遊局がその評価をするようですが、実際にはその手の評価を行っている機関は乱立していて、それぞれの基準で評価しているようです。スタッフだけの評価もあれば、利用者の感想のポイントで評価するところもあります。なので、五つ星ホテルだと言われても本当に良いサービスが受けられるのかどうかは疑問です。昔は更に怪しくて、自称では?と思われるところがたくさんありました。

技術支援の業務の場合は、受益者負担の原則で先方企業が出張費を出します。先方は当然出費を抑えたく、ホテル代もなるべく安くしたい訳です。当初は料金だけを優先してあまりにひどいホテルをあてがわれて、不快さが仕事の士気にまで影響していたので、五つ星ホテルを選ぶことで合意しました。そして先方が選んだ五つ星ホテルに行ってみるのですが、「どのへんが五つ星なの?」と問いたくなるほど問題が多発しました。

部屋に入るとアメニティー関係の備品がないのはお約束です。掃除も十分にできていません。ゴミ箱にゴミは残っているし灰皿には吸い殻です。フロントに連絡してスタッフに来させますが、謝りもせずに対応してサッサと出て行きます。ベッドに横になってしばらくすると体が痒くなります。またスタッフを呼んで洗った(たぶん)シーツに交換です。テレビはつきません。早々に諦めます。シャワーを浴びますが、当たり前のようにお湯が出ません。近くの部屋では大勢が集まって、ドアを開け放して酒を飲みタバコを吸いながら大声でマージャン大会です。眠れません。やっと終わって寝ていたら、なにやらタバコの煙が部屋の中に侵入してきて臭くて眠れません。夜勤の従業員が吸っているのが換気口から入ってくるのです。遅くなったから翌日寝過ごしてはいけないと、フロントにモーニングコールを頼みます。時間になってもコールはなく寝過ごします。朝食はお粥と漬物と茹で卵がメインで品数が少ないです。そして不味いです。チェックアウトの際にフロントの横に掲げてある派手な五つ星の表示は、よく見ると何やら手作りのようです。そのような自称(?)五つ星ホテルに遭遇するたびにホテルの変更を打診し、「日本人は贅沢だ」などど非難されながらも移っていき、6つ目にようやくシャングリラホテルに行き着いて、心の平和を取り戻しました。

ところが、2018年に高級ホテルのずさんな清掃の実態がネットで暴露されました。ホテルのスタッフは客が使っていたタオルで浴槽や便座、便器の裏、洗面台、床などを拭き、そして同じタオルで歯磨きコップやコーヒーカップまで拭いていました。シャングリラ、リッツ・カールトン、シェラトン、コンラッドフォーシーズンズなどの世界的な有名ブランドホテルです。シャングリラに行き着いて安心していた私が甘かった訳です。中国のホテル、まだまだ問題は山積みのようです。

中国文化を理解する(★★★★★)

言葉というものは意思疎通のツールなので、人々が伝えたい内容を基にして成立しています。伝えたい内容というのは人々が共通的に考え行動するもの、つまりその国の文化が基になっています。従って、言語を習得するためにはその国の文化を理解する必要があります。逆に言えば文化的背景を理解していれば言語の習得は容易であると言えます。

中国文化と言っても範囲が広くてどこを見ていけばいいのか迷うところです。そして他国からではなく中国での見方で理解していく必要があります。文献を探していたところ、南京大学の海外教育学院で勉強していた知人から良い本を紹介してもらいました。中国国務院が大学の協力を得て編纂した中国語教育の副読本で、「中国文化便覧」です。中国文化理解の導入的位置付けだと紹介されていますが内容は豊富です。伝統思想、美徳、古代文学、科学技術、伝統芸術、文物、建築、工芸美術、民族、生活などが網羅的に紹介されいます。ありがたいのは日本語が併記されていることで、とても分かり易いです。是非一度ご覧になって下さい。

これの発展版として「中国歴史便覧」と「中国地理便覧」も出版されています。合わせて読むことで見識が深まり、中国語の習得に大いに寄与すると思います。


HSK6級の语病题を克服する(★★★)

HSK6級の阅读のパートで最も難しいのが、一番最初の「语病题分类解析」だと思います。これは外国人には本当に難しく、中国人でもサラッと読んだだけでは間違いに気付かない場合もあるようです。多くの人が6級で高得点を狙うために、ここは最初から捨てて他に時間を使うと言います。後半の長文読解は、漢字を読むのが得意な日本人は時間さえかければほとんど正解できるので、そちらを優先するのが得策なのは間違いありません。私も前回受けた時はそうしました。ただ、せっかく学習しているのにいつまでもできないというのは残念なので、本格的に取り組んでみることにしました。

四つの短文から一つの間違い文を探し出す、これが10問あります。全体の時間配分を考えるとこのパートは10分足らずで終える必要があります。つまり、文法を理解することと速く読めることが求められます。速く読むことについては別途紹介するとして、ここでは文法について紹介します。

先生がいいテキストを紹介してくれました。それによると出題される間違い文にはパターンがあり、6つに分類されます。①主に主語や述語等の必要な言葉が欠けている「成分缺失」、②主語と述語、或いは動詞と目的語が合っていない「 搭配不当 」、③同じ意味の言葉などを重複して使っている「词语重复使用」、④前後の文章が繋がっているかに見えて構文を成していない「句式杂糅」、⑤形容詞や副詞の位置が間違っている「语序不当」、⑥用語の使い方が間違っている「词语使用错误」です。更に6パターンそれぞれに対して典型的な間違い例があり、それを整理して覚えて網羅性を高めていくことで、少しずつですが時間をかけてじっくりと読めば確信を持って回答できるようになってきました。

ここで得点できる人はやはり同じように学習されているのはないかと思います。せっかく学習しているのですから、ここもしっかり解けるようになって達成感を味わいたいものです。

以下、私が紹介してもらった参考書とは違いますが、5級と6級の模試集を掲載しておきます。ご参考まで。

愛すべき老中国:交通にまつわる話

中国高度発展期の90年代からしばらくは、新旧が入り混じった不思議な状態でした。多くの途上国と同じく、中国も固定電話が発達する前に携帯電話が導入されたので、携帯電話の普及が非常に速く、馬車に乗ったおじさんが携帯電話を弄っているという、日本人から見たら不思議な光景がたくさんありました。

当時は車といえば大きな黒塗りのセダンで、アウディが大人気でした。公務員は自国開発車である紅旗を使うよう推奨されていたそうですが、多くがアウディの高級車に乗っていました。不動産投資で大儲けする人が出始めていましたので、ビックリするような高級車もたくさん走っていました。そんな中、リヤカーに積載量の10倍くらい(見た目)の大量の荷物を載せて自転車に乗ったおじさんやおばさんが、自動車道をノロノロと横切っていました。

ルーフの上にカメラが搭載されている車をよく見かけていました。何かと聞いてみると、運転免許の路上試験用の車両とのこと。当時はお金さえ払えばほとんどのことがOKになる時代でした。運転免許の路上試験では、運転技能が不十分でも試験官にお金を握らせれば合格認定を得ることができました。それをさせない(実際の運転映像を第三者が見て合否判定する)ための車載カメラでした。お金といえば、夜の街で違法営業をしている飲み屋等でも、警察が見回りに来たらお金を握らせて見逃してもらっていました。店のオーナーが「定期的にやって来て小遣いをせびるのです。困ったものです。」と笑って話していたのを思い出します。

交通ルールもあってないようなものでした。もちろん飲酒運転は当たり前です。ある朝三車線ある道路の真ん中を超低速でふらふら走っている車を見付けました。こんな時間に酔っ払い運転は珍しいなと思って運転席を覗き込むと、おじいちゃんが膝に孫のような幼児を乗せていました。おじいちゃんがアクセルを踏んで幼児にハンドルを操作させていたのです。二人がキャッキャとはしゃいでいる様子を見て、呆れはしましたがちょっぴり微笑ましい気持ちにもなりました。

そんな光景が繰り広げられている中、突如として新幹線が現れた時には心の底から驚きました。未開の地に巨大なマシーンが現れる、まさに未知との遭遇の感覚でした。しかし、その新幹線も技術やシステムの育成途上でバンバン営業を始めたので事故が相次ぎ、脱線転落した車両を原因究明が不十分なまま待たずに(諸説あり)埋めてしまったという、証拠隠蔽が疑われるような事件もありました。

バイオリズムに合わせる(★★★)

外国に住んでいるとその国が嫌いになる波が定期的にやってくるものです。特に中国の場合は、まだまだマナーが悪かったり自己中心的な言動に遭遇するなど、日本人からみるとイライラしたりゲンナリしたりすることが多いので、比較的大きな波となってやってきます。私の場合は、中国赴任当初はだいたい3ヶ月毎に来ていましたが、最近では6ヶ月毎くらいに周期が長くなってきました。その波が通り過ぎると今度は手のひらを返したように好意的になったりします。この波に合わせた学習のメリハリが必要だと思います。

嫌気の大波が来た時に無理に中国語の勉強をしてもはかどる筈がなく、返って嫌気を倍増させる結果になります。せっかく学習を重ねてきた中国語が「見るのも嫌!」ということになってしまうのはもったいないので、この時期は思い切って学習をストップすべきと思います。大波に逆らわず、中国関連のものにできるだけ触れないようにして気分を変え、なるべく早く大波を去らせるのが得策です。大波さえ去ってしまえば、モチベーションは復活します。

そのためには自分を客観視することが重要です。私の場合は兆しは食の好みの変化に現れます。普段好きな烤羊肉串や重庆火锅、兰州拉面、白酒などに嫌気がさしてきて日本食が恋しくなってきたらたらすぐに生活パターンを変えます。人によって違うと思いますが「なんとなく疲れたな、嫌だな。」と感じ始めたら、気分転換に入るべきだと思います。中には無理をし続けて精神のバランスを崩してしまう方もいらっしゃいます。真面目でひたむきな人ほどそういう事態に陥りがちです。好き嫌いの波は誰にでも、どんなものに対してもありますので、時には肩の力を抜いてやり過ごすように工夫しましょう。


集中期間を設定する(★★★)

語学というのはスポーツと同じで、正しい方法を学んだら後は繰り返し練習することが大切だと思っています。繰り返し練習するのにもコツが必要で、淡々と継続することも大切ですが、時には集中的な取り組みをすることで、学習効果が高まると思います。スポーツでは日々の練習に加えて、定期的に特別練習や合宿を行って能力を高めます。同じように中国語学習でも、集中週間を設定することをお勧めします。

集中週間で実施したいことは2つあります。一つ目は基本や疑問点の見直しです。学習を進めていると、基本ができていないうちに、あるいは理解が不十分なまま何となく流して進めてしまうことがあります。所謂「やりっ放し」で後からは聞けない状態になってしまっているものです。それを集中週間にまとめて見直して習得します。ポイントは日頃の学習の中で気付く理解不足や曖昧なものを、後で見直せば分かるようにチェックしておくことです。復習ノートの作成、活用が重要です。

二つ目は、期間中は中国語にどっぷり浸かることです。一時的に学習の負荷を高めて一段上のレベルへの飛躍を図ります。ただしここでは新しい知識を習得するのではなく、既存の知識をフル活用して読み書きや会話をして、知識を体得&定着させるのです。その期間はできるだけ日本語を使うのを避けて、中国語のみにします。期間は長くなくても、集中できさえすれば数日でもかまいません。メリハリを付けることで学習を加速させます。

これらの方法で知識をブラッシュアップすると、分かる感/できる感が高まって、その達成感が新たなモチベーションにも繋がります。中国関係の行事がある日や中国人の知人に会う日などを利用して、集中期間を設定してみてはいかがでしょうか?

止まらずに読み続ける(★★★★)

私くらいの中級レベルの人は、中国語の長い文章を読んでいると知らない単語や言い回しが出てくる度に詰まってしまい、それを調べたりしているうちに疲れてしまって、読むのをやめてしまったりします。私は長編の「三体」で挫折した経験があります。「三体」は中国で大ヒットしたサイエンスフィクションで、とても面白くて話にグイグイ引き込まれていきます。しかし面白い分難解な言い回しや専門用語が多く、度々詰まってしまいます。その度に調べていましたが疲れてしまって挫折、長期間放置した末にあらすじだけは知りたいと思い、最終的には斜め読みして終えたことにしました。

他にも数年前に着手して未だに完読できていない本があります。一旦中断してしまうと読む気が失せてしまうもので、最近では手に取ることもしなくなっています。

しかし、とにかく一度は長編を中国語で読破したいという思いがあるので、再度一念発起して「流浪地球」を読み始めました。「三体」と同じ作者が書いた作品で、映画化されて大ヒットしました。私は映画を見ていないので、映画の楽しみを最大化するために、事前に本でしっかりと理解することを目標にしています。これまでの反省から、違うアプローチをとることにしました。知らない言葉が出てきてもいちいち調べることはせず、放置して読み進めることにしました。そうすると、分からない部分がありながらも大意が掴めるので、次第にストーリーに引き込まれて、数時間没頭して読めるようになりました。そして分からない言葉は何度も出てくるものが多く、いろんな文章で見る度に前後の文脈から何となく意味が推測できてきます。そしてある程度読み進めたところで、戻って分からなかった言葉を調べると、推測してきたこともあってはっきり理解できることが多いです。後から謎解きをするような面白さも感じます。

このアプローチは私には非常に有効です。なんと言っても没頭して読み続けられるという、読書本来の楽しさを味わえることがいいです。楽しく読み進めている間は読むスピードや理解がだんだん速まることを実感しています。楽しめることが前提なので、ポイントはやはり自分が好きなジャンルの本を見付けることです。

聞き流しをやってみる(★)

英語学習の広告でよく見聞きするスピードラーニング、「赤ちゃんは最初は分からなくても音のシャワーを浴びているうちに次第に理解し、話せるようになる。それと同じプロセスで、大量の文章を聞き流しているだけで分かるようになってくる」というやり方です。体験談で「分からなくても気にせずとにかく聞き流していた。しばらく経ったある日、電車の中で話している外国人の英語が突然すっと入ってくるようになって驚いた。それからはただの音でしかなかった英語が意味あるものとして聞こえるようになった」などの大変羨ましい話を聞きます。そこで私も中国語でやってみようと思い立ち、テキストに付いているCDの音声を録音して携帯で聞き続けてみました。聞き流しのみでの効果を確かめるために、あえて全く目を通していないテキストを使いました。結果ですが、1ヶ月ほどやってみましたが全然聞き取れるようになりませんでした。単なる音として耳を流れていっただけで、記憶にも印象にも何も残りませんでした。

考えてみれば、赤ちゃんは実際にはただ聞き流しているのではなく、両親や祖父母が四六時中一緒にいて何度も繰り返して教えています。聞き流しているだけで分かるようになるのではなく、聞くことと教えてもらうことの反復で理解していくのだと思います。また、赤ちゃんは全ての集中力と好奇心を持って、聞こえてくる音を全力で理解しようとしているはずです。対して私の場合は、BGMや念仏のように本当に聞き流しているだけで集中力も好奇心もなく、そのうち聞いていることすらも忘れてしまい、音が途切れたらハッと流していたことに気付くようなありさまでした。そんなありさまだったので分かるようになる方が不思議です。

1ヶ月では短か過ぎたのかもしれませんし、私の頭が固いからなのかもしれませんが、とにかく事実として効果ゼロでした。市販のスピードラーニングの教材には、中国語と日本語を交互に流す等のさまさまな工夫がなされているのだろうと思いますが、少なくとも中国語を本当に「聞き流すだけ」では全く意味がないことが分かりました。

中国語オンリーで仕事をする(★★★★)

私は3回目の中国赴任に際して、中国語オンリーで仕事をしてみようと考えました。目的は自身の中国語力を強化すること、そして中国人の同僚とのコミュニケーションを良くすることです。前回から約一年半のブランクを経ての赴任でしたが、それなりに長い間勉強してきたのだからまあ大丈夫だろうと楽観的に考えて、赴任早々「中国語オンリーで仕事をする!」と周囲に宣言しました。導入教育として半日ほど就業規則や業務上の様々なルールを中国語で説明してもらったのですが、これがなんと自分でも驚くほど良く分かったのです。すっかり気を良くした私は、本格的に中国語オンリー宣言をして翌日からの業務に臨みました。しかし導入教育の時と違ってどうもよく分からない。耳が慣れてないからか?と思ってしばらく続けていたのですが、一向に聞き取れるようにならない。そこでふと気が付いたのです。導入教育の内容は前回の赴任時に聞いたものとほぼ同じだったということに。内容が記憶の片隅に残っているから、聞き取れたのでなく、思い出しただけだったのです。これはヤバイと思って、周囲に「中国語オンリー宣言は取り消す」と言っても、みんなニヤニヤして「初志貫徹で頑張ってね」ととりあってくれません。そしていろんな問題に悩まされるようになりました。

まず、通訳さんが来てくれなりました。当社では通訳専門のチームがあり、申請すれば打ち合わせの場に来てくれるのですが、中国語オンリー宣言をしてからというもの、私が頼んだら笑って来てくれない、同僚は私のためには通訳を頼んでくれない、という状況になってしまいました。また、同僚が容赦なく中国語で話すようになりました。中国語オンリーだと宣言したのだから当たり前なのですが、以前は直接話をするにしても英語を交えてくれたり、中国語ならゆっくりと簡単な用語を選んで話してくれたりしていたのですが、宣言の後は容赦なく中国語だけでネイティブ同士の会話と同じノリでペラペラ話してくれます。もちろん半分以上分かりません。言われることが理解できなくて、曖昧な受け応えをしたり答えられなかったりしたら「明確に否定しなかったから合意」などと都合よく解釈されたりします。仕事上の軽い会話なら良いのですが、重要な案件だと重大な問題につながります。実際に何度か痛い目にあいました。ある時は、仕事の付き合いがある中系サプライヤーが日本のとある会社に「○○社の○○さん(私)の推薦で御社と提携することを検討しているので近々貴社を訪問したい」と身に覚えがない連絡をされてしまい、その収拾に一悶着ありました。そんな経験をしましたので、重要な案件の時だけは頭を下げて通訳さんをお願いすることにしました。

中国語力が向上したかと言われると、毎日中国語のシャワーを浴びているので、最近になって聞き取れることが増えてきたように思います。話す方はほとんど進歩していません。ただ、もう一つの目的のコミュニケーションについては、無謀な試みと下手な中国語がウケてすっかり人気者になりました。下手でも話そうと頑張る姿を好ましく思ってくれているようです。今後も任期一杯、頑張って続けてみます。

中国語学校に通う(★★★★★)

中国語の学習にはいろんなやり方があります。最も一般的な学校で習うことについて、メリットやデメリット、教育スタイルの比較について紹介します。

『教えてもらうか独学するか』:拼音の項で述べましたが、私は少なくとも初心者のうちは独学は控え、有識者に正確に教えてもらうべきだと考えています。特に発音が難しい中国語では、間違った発音を覚えてしまうと二度と正しい発音ができなくなるというリスクが高いです。実際にそれで中国語を断念した知人が数人いるだけに、私としてはここは確信を持ってコメントしておきます。また、独学では自分のペースで学習できるのに対して、教えてもらう場合は学校や先生の都合に合わせる必要があるので、時間や内容調整の融通が効き難いという難点があります。そのため、時間の確保が難しい兼業学習者には独学が良さそうに思えますが、一方で仕事や他の用事に流されてしまいがちなので、ある程度の外部からの強制力が働いている方が継続には有効だという考え方もあります。事実、私は中国語学習のモチベーションが同僚たちに比べて高い方ではありますが、学校に行っていない時には気が付くと仕事ばかりになって学習を疎かにしてしまっていることが良くあります。また、教えてもらうにはもちろん費用がかかりますが、お金を払うことで性根が入って真剣に取り組めるということもあります。これらの考えから、私は独学よりも教えてもらう方が良いと考えます。

『プライベートかグループか』:一般に中国語学校ではプライベートレッスンが多いのではないかと思います。一方、大学や団体が主催する交流会などではグループレッスンが主体です。プライベートレッスンの魅力はカスタマイズが可能であること、個人の能力や希望に沿った教え方をしてくれることです。詰まっても、周囲を気にすることなく自分が理解できるまでとことん聞くことができます。グループレッスンは個人の都合で進められないかわりに、学習の仲間がたくさんいて切磋琢磨できるのが大きな魅力です。他の人の発言や質問を聞いて自分では思い付かなかった気付きを得られたり、相互に教え合ったりできます。競争心が芽生えて、それがモチベーションに繋がります。そして何より、仲間意識が芽生えて学習に取り組むのが楽しくなります。どちらが良いかと一概には言えないですし人によって好みはあると思いますが、あえて言うなら学習初期はプライベートでじっくりと、中期以降は引き続きプライベートか、楽しい人間関係が見込めるならグループを視野に入れるのが良いかと思います。私はこれまでほとんどプラベートで教えてもらってきましたが、大学で学んでいる知人の話を聞くととても楽しそうなので、いつかは大学で学んでみたいと思います。

『通うか来てもらうか』:学校に通うか家庭教師に来てもらうかという比較です。学校に行くとホワイトボードや教材が完備しているのに対して、一般の家にはそれらがありません。私はホワイトボードに先生も自分も書きながら授業をしてもらうのが好きなので、通う方が好きです。家庭教師に来てもらうのは移動時間のロスがないので有難いのですが、どうしても授業の質は落ちると思います。生活環境の中では気持ちがダラけてしまうということもあります。ある時期に先生の派遣をお願いしたことがあるのですが、先生(女性)がOK だというので待っていると、当日に「彼氏にダメと言われた」とドタキャンされたということもありました。

『Face to Faceかネットか』:ネットのオンラインスクールで勉強したことはないのですが、以前学校で教えてもらっていた先生に中国と日本を繋いでスカイプで授業をしてもらったことはあるので、その経験を踏まえて比較します。ネットだと通う必要がないので時間的に有利です。ただ、「痒いところに手が届く」授業は難しかったです。例えば書いて説明してもらうような場合は記述欄に文章をインプットしてもらうのですが、その文章を指で示して説明するようなことはできないので意思の疎通が難しかったです。また、絵を描きながら説明することが意外と多いのですが、それもやり難かったです。他にも宿題の答え合せや細かい部分の発音練習など、うまくできないことが多かったです。たぶん専門のオンラインスクールではそのような課題は対策しているのだろうと思います。中国生活を終えて帰国してから学習を続ける際には検討してみようと思っています。

欧米人の名前の中国語表記を覚える(★★★★)

中国語の文章を読む時に苦労するのが外来語の中国語表記です。特に欧米人の名前は難解でなぞなぞのように感じます。読む時だけでなく聞いてもよく分からないものが多いです。HSKの試験にもよく出てきます。HSKは世界中の人々が受験するので、典型的な名前のアメリカ人がよく登場するからです。

何か良い覚え方はないものかと成り立ちや法則を調べてみました。漢字による音訳、つまり表音表記が原則で、その場その場で適当に表記するのではなく、用いる漢字がほぼ決まっているそうです。新語の場合はメディアなどで使われ出したものが浸透していくイメージですが、一般には新華社通信の表記に従う例が多いそうです。また、「可口可乐」(コカコーラ)などの商標は、各企業が字義の好ましいものや商品イメージに近い漢字を定めて使用することが多いようです。ネットで調べたら英語仮名に対応する漢字のリストがあるにはありましたが、標準化されているとはいえかなりの数なので、これを覚えるのは大変だと思います。我々学習者は新語を作る側ではなく学ぶ側の人間なので、既存の一般的な言葉を覚えていくだけでいいと思います。以下に一般的な名前の漢字記述を紹介しておきます。これくらい覚えておけば少なくともHSKで困ることはないと思います。

●男性名: 『迈克尔(Màikè’ěr)マイケル(MICHAEL)』  『约翰(Yuēhàn)ジョン(JOHN)』    『詹姆斯(Zhānmǔsī)ジェームズ(JAMES)』  『罗伯特(Luōbótè)ロバート(ROBERT)』  『威廉(Wēilián)ウィリアム(WILLIAM)』  『大卫(Dàwèi )デイビッド(DAVID)』  『理查德(Lǐchádé)リチャード(RICHARD)』  『查尔斯(Chá’ěrsī)チャールズ(CHARLES)』  『约瑟夫(Yuēsèfū)ジョゼフ(JOSEPH)』  『托马斯(Tuōmǎsī)トーマス(THOMAS)』

●女性名:  『玛丽(Mǎlì)メアリー(MARY)』  『海伦(Hǎilún)ヘレン(HELLEN)』  『安娜(Ānnà)アンナ(ANNA)』  『伊丽莎白(Yīlìshābái)エリザベス(ELIZABETH)』  『詹尼弗(Zhānnífú)ジェニファー(JENNIFER)』  『艾米丽(Aimili)エミリー(EMILY)』  『琳达(Líndá)リンダ(LINDA)』  『玛格丽特(Mǎgélìtè)マーガレット(MARGARET)』  『帕特丽夏(Pàtèlìxià)パトリシア(PATRICIA)』

ここまで書いて改めて読みかけの大ヒット作「流浪地球」を見てみると、これら以外の名前がバンバン出てきます。やはりそう簡単には対策できそうにありません。中国人の知人からは「最初の2文字だけ覚えれば大丈夫」とアドバイスをもらいました。

あとは国名、都市名も覚える必要があります。こちらはネットで検索するといくらでも出てくるので、自分で一覧表を作って覚えるといいと思います。国名については、中国在住でスポーツ観戦が好きな人なら、テレビのスポーツチャンネルでサッカーやバレーボール、テニスなどの国際大会が頻繁に放映されるので、それを意識的に眺めていると結構覚えられます。

中国一人旅をする(★★★)

学習というより修行、訓練です。旅に出るといろんなアクシデントに見舞われますが、それを独力で乗り越えることで達成感と中国語力への自信をつける方法です。ガイドや他人に依存する団体旅行ではダメ、あくまで一人旅です。中国旅行では(以前に比べてずいぶん減りはしましたが)愉快なアクシデントが次から次へと発生します。チケットの購入場所が分からない、行っても買い方が分からない、聞いても言葉が分からず(方言もあって)あるいは説明が不親切で分からない、間違ったチケットを握らされる、ホテルの予約が入っていない/勝手にキャンセルされている、地図や時刻表がデタラメ、頼んだ迎えが来ない、白タクにボラれる/タクシーに違う所に連れて行かれる等々、最初は憤っていてもあまりにたくさん発生するので最後には笑ってしまいます。私は他の国でも仕事をしてきましたが、こんなにデタラメな(だった?)のは中国だけです。そのデタラメをチャンスととらえて、持ち前の中国語力を駆使して解決していくことで自信を深めるのです。

私の体験談を一つ紹介します。東北の街長春から夜行列車で天津に行こうとしていた時のことです。チケットの出発駅の記述の横に何やら書いてあるので店員さんに確認したのですが「出発は長春駅」としか言いませんでした。当日の夜に長春駅に行って待合室で待っていましたが、いつまで経っても乗る便の表示が出ない。嫌な予感がして駅員さんに聞いてみると、工事中か何かの理由で長春駅は長春駅でも数キロ離れた場所にある臨時のプラットフォームから出るのだということでした。その時点で既に出発30分前、もうダメかと思いましたがとにかく急いで外に出て、たむろしていたバイクタクシーのおじさんをつかまえて行き先を告げました。「ちょっと無理すれば間に合うかもしれないがどうする?」と言うので「頼む!」と飛び乗りました。おじさんは雪が半分溶けた泥道を信号無視、歩道走行、私有地横断などの「ちょっと無理」なテクニックをフルに使って疾走して、タクシーで20分くらいかかるところを10分弱で着けてくれました。私はおじさんに「お釣りは要らない、ありがとう!」と札束を押し付けてプラットフォームに走っていきました。それがとんでもなく長い列車です。とりあえず近くの車両に乗り込んで列車内を移動しようとしましたがダメだと言われて、指定席の車両まで必死で走りました。そしてギリギリ間に合った、という話です。まだ中国語の学習を始めて一年くらいの頃だったのですが、駅員さんとのやり取り、バイクタクシーのおじさんとのやり取り等々で窮地を脱したことに達成感と自信を覚えました。すっかり気を良くした私は、「ベッドを代わってくれないか」とやって来た大学生くらいのお嬢さんたちの依頼にも中国語でスラスラ応じました。お嬢さんたちは私の発音に怪訝な顔をして「你是上海人吗?」と聞いてきました。発音が変だと思われたからですけど、「外国人か?」ではなく「上海人か?」と言われたのがなんとなく嬉しかったものです。また、夜行列車では途中停車駅に泊まった時にトイレに行こうとしたら「ダメダメ、外でしろ」と言われました。当時の寝台列車のトイレは下が開いていてブツを線路に落とす方式だったので、停車駅でみんながするとそこだけ山盛りになってしまうからです。また、これは私が悪いのですが、三段ベッドの一番上で焼酎を飲んでいて隙間から瓶を落っことしてしまって、冷や汗をかいたりしました。下のおじさんに直撃はしなかったようで、丁寧におわびを言って許してもらいました。

このような体験をして無事帰還すると、中国語学習者として一回り大きくなった気がしたものです。しかし、考えてみるとこれは度胸がついたというだけで、言語能力の向上には習得には大した役には立っていないですね。

定期的に復習する(★★★★★)

記憶を定着させるには定期的に復習することが不可欠です。せっかく覚えたのに忘れてしまって再度覚え直すほど無駄なことはありません。兼業学習者にそんな時間の余裕はありません。一度覚えたら二度と忘れない!気合と工夫が必要です。気合の方は各自のモチベーションで喚起するしかないので、工夫について考えてみたいと思います。ポイントは内容と周期です。

まず内容ですが、全部を確認しようとすると大仕事になってしまって続きませんので、絞り込むことが必要です。「独自のノートを作る」の項で紹介した通り、自分にとって「これは重要だ」とか「理解できていない」「どうも覚え難い」というものに限定してノートを作り、それを定期的に見返します。時点時点で習得できていないものを絞り込んで、ポイントに集中することで効率的に習得していきます。

次に周期ですが、毎日長時間やるのはなかなか大変です。一方、時間を開け過ぎて大部分を忘れてしまったら思い出すのが至難の技になります。忘却の彼方に消えてしまう前にこまめに復習するのが一番です。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの「忘却曲線」によると、人が学んだ時に忘れる割合は、20分後に42%、1時間後に56%、9時間後に64%、1日後に67%、2日後に72%、6日後は75%、31日後は79%だそうです。学んだ直後から物忘れが始まり、最初は一気に、次第にゆっくりと忘れます。一方、記憶するのに適切な周期と時間ですが、まず、学習した後24時間以内に10分間の復習をすると、記憶率は100%に戻ります。そして、次回の復習は1週間以内に5分やれば記憶がよみがえります。そして、次は1か月以内に2~4分復習すれば記憶は復活します。しかも、何度かに分けて勉強することで、長期的な記憶にも繋がります。つまりベストな復習のタイミングは、「1日以内に10分、1週間以内に5分、1か月以内に2~4分」の3回です。これだけなら負担にもならず気軽に続けられます。上手く取り入れて成果を上げましょう。

あと私のように歳をとってくると記憶力を保つ努力をしなければなりません。一般的には方法は三つあるそうです。まずは「よく運動すること」で、脳に血液を送ることが記憶の保持に効果的だそうです。次に「よく食べること」です。脳を正しく機能させるためには脳に栄養を行き渡らせる必要があるそうです。最後に「脳のトレーニングを行うこと」で、常に新しいことにチャレンジすることが記憶の保持に効果的だそうです。

楽をして最大の効果が得られるように工夫しましょう。

独自のノートを作る(★★★★★)

基本的なことですが、知識を定着させるためにノートを作ることをお勧めします。私自身が紹介できるような優れたノートを作っている訳ではないのですが、勉強に割ける時間が限られている兼業学習者に参考になりそうな工夫を紹介します。それは、自分のウィークポイントに特化したノートを作ることです。

兼業学習者のノートに求められる要件は、気軽に何度も見返せて、習得すべきことが明確になっていることだと思います。私の場合は、学習初期にはノートを作る作業そのものに注力して、美しいノート、つまり整った構成で網羅的にきれいな字で書けたらそれで満足していました。しかしこういうノートは得てして見返されません。まず大量にあるので見る気になれません。そしてどこに何を書いたのかすら覚えていません。一番いけないのが、たくさんノートを作ったらたくさん勉強したような気になって、それに満足して学習を終えてしまうことです。考えてみたら要点をまとめた資料という意味では、市販の教材の方がずっと洗練されて要領を得ている筈なので、同じまとめ作業を自ら行うのは、自分で書くことによって印象付けるということ以外には効果はありません。

そこでお勧めするのが、自分のウィークポイントに特化したノートの作成です。きれいにまとまった資料は市販のものに任せて、自分自身に必要なものに限定したノートにします。「限定」の基準が人によりけりだと思いますが、私の場合は一度見聞きしたものは一旦全てメモって、その中で「これは重要だ」とか「理解できていない」「どうも覚え難い」というものをノートに整理して書いていきます。そしてノートに記述したものも学習が進むにつれて習得していくので、習得したと確信したものにはマーカーで習得済み印と日付けを付けていきます。もちろん一旦習得したと思っても忘れることがあるので、マーカー印部分は定期的にざっと眺めます。そのようにして時点時点で習得できていないものを絞り込んで、やるべきポイントに集中することで効率的に習得していきます。

手軽に取り出して眺めることができるように、ハード面の工夫も必要です。コンパクトでいつでもどこでも簡単に取り出して見られるものが理想です。私はデジタル世代とはいえない年代なので、正直言って手書きの方が愛着があってしっかり理解できます。ただ、手書きのノートは持ち歩きに不便なので、写真に撮ってスマホで眺めるやり方をしています。たぶんそんなことをしなくても、効率的でスマートなアプリがあるのだろうと思います。ご存知の方は紹介して下されば助かります。