英語学習の広告でよく見聞きするスピードラーニング、「赤ちゃんは最初は分からなくても音のシャワーを浴びているうちに次第に理解し、話せるようになる。それと同じプロセスで、大量の文章を聞き流しているだけで分かるようになってくる」というやり方です。体験談で「分からなくても気にせずとにかく聞き流していた。しばらく経ったある日、電車の中で話している外国人の英語が突然すっと入ってくるようになって驚いた。それからはただの音でしかなかった英語が意味あるものとして聞こえるようになった」などの大変羨ましい話を聞きます。そこで私も中国語でやってみようと思い立ち、テキストに付いているCDの音声を録音して携帯で聞き続けてみました。聞き流しのみでの効果を確かめるために、あえて全く目を通していないテキストを使いました。結果ですが、1ヶ月ほどやってみましたが全然聞き取れるようになりませんでした。単なる音として耳を流れていっただけで、記憶にも印象にも何も残りませんでした。
考えてみれば、赤ちゃんは実際にはただ聞き流しているのではなく、両親や祖父母が四六時中一緒にいて何度も繰り返して教えています。聞き流しているだけで分かるようになるのではなく、聞くことと教えてもらうことの反復で理解していくのだと思います。また、赤ちゃんは全ての集中力と好奇心を持って、聞こえてくる音を全力で理解しようとしているはずです。対して私の場合は、BGMや念仏のように本当に聞き流しているだけで集中力も好奇心もなく、そのうち聞いていることすらも忘れてしまい、音が途切れたらハッと流していたことに気付くようなありさまでした。そんなありさまだったので分かるようになる方が不思議です。
1ヶ月では短か過ぎたのかもしれませんし、私の頭が固いからなのかもしれませんが、とにかく事実として効果ゼロでした。市販のスピードラーニングの教材には、中国語と日本語を交互に流す等のさまさまな工夫がなされているのだろうと思いますが、少なくとも中国語を本当に「聞き流すだけ」では全く意味がないことが分かりました。