つぶやき続ける(★★)

HSK6級の合格点レベルに達した同僚がこれをやっていました。出勤車の中でも散歩中でも目に付いた文章や単語を片っ端からノートに書いていき、それを口に出してブツブツつぶやき続けるのです。彼は徹底していて、人と会話をする時以外はずっとではないかと思うくらい延々と、そして結構大きな声でブツブツ言っていました。また、会話をしたらネイティブが言った言葉をメモしてブツブツ繰り返していました。私はどちらかというと多くの日本人と同じく「読む書く」から勉強していったクチですが、彼は「聞く話す」から取り組みました。元々日本語でもマシンガンのように早口で大量の言葉を発信する人なので、「聞く話す」の方が得意で好きなのでしょう。そのため、仕事でのコミュニケーションを中国語オンリーでやり出したのは私よりずっと早かったです。口に出して耳で聞くというのはやはり記憶の定着に効果があるのだと思います。ただ、流暢に話しているのに漢字は知らないという言葉も多く、「『怎么样』ってそんなふうに書くんだね。知らなかった」などと言って周囲を驚かせたりしていました。

このようにかなり効果が期待できるつぶやき戦法ですが、彼と同じレベルでやるのはなかなか難しいかもしれません。四六時中大きな声でブツブツ言うのはやはり異様ですし、それを他人に聞かれるのは少々恥ずかしいです。彼は周囲にどう思われようが全く気にしない人でしたが、私には正直抵抗があるなと思いました。小さな声で記憶に残したい言葉だけでも良いと思います。ちょっと口に出してみるだけでも効果が期待できると思います。

愛すべき老中国 : 仕事編 失敗は他人のせい

昔の中国人の「失敗は他人のせい」というロジック、というか屁理屈には眼を見張るものがありました。「成功は自分のおかげ」までは言わないにしても、面子のためなのか失敗を認めたら良からぬ処罰がなされてしまうからなのか、とにかく自分の失敗は認めない。これにはとても困惑させられました。

そもそも彼らは非常に安易にものごとを引き受けます。そんな能力はないと思われるのに大して考えもせず「没问题」「可以的」と引き受けます。できるという根拠を聞いてみると「○○ができると言ったから」みたいな部分に行き着きます。不安に思いながらも仕方がないので任せるのですが、その後経過を確認するたびに特に何かを確認する様子もなく「没问题」「○○さんは心配し過ぎです」と即答してくれます。そして夜は「谢谢合作」とお決まりの乾杯です。不安を覚えながらも任せて、しばらくしてまた確認すると、ある時いきなり「できません」に変わってしまっている。「没问题」が「没办法」に変わる瞬間です。ここから「自分のせいではない」ロジックが展開されます。

まずは「こちらのせいではない」から始まります。計画を合意した際に言ったことなどすっかり忘れて(あるいは完全に無視して)、「そんな合意はしていない」と言い出します。サイン入り議事録等を示すとサイナーが当事者ではない場合は「そんな合意は私は知らない」とか「その人はもう担当ではないから無効だ」です。あるいは「○月○日までに完了するなんてそもそもあり得ない。だから、そんな要求をしたそちらが悪い」とか「難しいと分かっているのになぜ支援してくれないのか?支援契約を違反をしたそちらが悪い」です。要するに「こちらが悪いとでも言うのか?」といった論調で一方的なロジックが延々と展開されます。

いよいよ自分たちの非を認めざるを得ない状況になると今度は「私のせいではない」です。「私はやるように指示してあの人ができると言ったのだから、できなかったのはあの人のせい」です。これはもう必死、絶対に認めません。中国には人がたくさんいて代わりなどいくらでもいるので、彼らにとっては失敗≒失職なのです。なりふり構わず、子供のような言い訳をしてまでも、決して認めることはありません。あまりの見苦しさに腹がたつのを通り越して呆れてしまい、こちらも彼をクビにすることが目的ではないので議論する気が失せてしまいます。そうして彼は遂に逃げ切ることになります。

根拠のない安請け負い、没问题いつの間にやら没办法(川柳風に)、失敗は他人のせい、これらの特性をしっかり認識して、想定される上記のような言い訳を全て加味した上で仕事に当たれるのが、昔の中国ビジネスの達人でした。この能力も時代と共に不要になってきて、私としては残念な限りです。

発音が難しい言葉を克服する&克服できなければ使わない(★★★★★)

中国語では「どうせ通じないから話す気になれない」つまり、発音の難しさが話せない理由である人がとても多いと思います。中国語には音のバラエティーが多く、拼音をきちんと使えないと伝えるのは本当に難しいです。知っている言葉でも口に出すと全く通じない。しかもどういうわけか、中国人は他の国の人に比べて、なんとか近い発音で話しているつもりでもその努力?を汲んで理解しようとしてくれる人が少ないです。「だいたい分かったからいいか」「たぶんこう言いたいのだな」というふうに、推測しながら会話を進めることをあまりしてくれません。その挙句に、中国人が聞き取れない時に発する「ああー?」というぶっきらぼうな口調や「チッ」というイラっとした舌打ち(日本人にはそう感じる)で凹んでしまい、二度と話したくなくなる人が大勢います。

しかし難しいといっても通じる言葉もたくさんあるわけで、通じる言葉だけを使って話すことでなんとか会話は成り立ちます。まずは単語の羅列でもなんでも良いのでとにかく会話をして慣れていく。そして並行して難しい言葉を練習して、マスターできれば加える、マスターできなければ使用せず練習を続ければな良いのです。とにかく会話をすることが重要です。

日本人が苦手なのは「日本人」「可乐(コーラ)」「去/就」などです。私は未だに中国人から「あなたは日本人なのに『日本人』の発音が下手だね」とからかわれますし、飛行機内でコーラを注文するとコーヒー(甘いミルク入りの)が出てきたりするので、自分が克服できている訳ではないということをお断りしておきます。それでも気にせずどんどん話しているうちに慣れてくるもので、苦手な単語をネイティブに聞いてもらいながら直す努力をしています。因みに、私が中国語会話で一番凹むのが、一所懸命に中国語で話しかけているのに相手から「Sorry,I cannot speak Japanese.」などと英語で返されることです。悔しいので「I am speaking Chinese.」と言うと「えっ⁉︎」というなんとも申し訳ないような顔をされてまた凹みます。中国語では、まず相手に中国語を話しているのだと認識してもらうまでに高い高い壁があります。それをようやく乗り越えてなんとか中国語を話していると分かってもらえても、流暢な日本語で「日本語で大丈夫ですよ」返されたりするのもガッカリします。中国語発音マスターへの道は険しいです。しかし凹んでいる場合ではありません。

日本人は恥の文化や暗記100点を目指す教育のためなのか、会話に消極的な人が多いです。ちゃんとできないと恥ずかしくて話せないという感じです。一方、多くの他の国の人たちは大して上手くもないのに間違いを気にせずどんどん話します。彼らは漢字の習得に時間がかかるので、会話から入らざるを得ないという事情もあります。日本人と違って見た目が明らかに中国人と違う外国人なので、そもそも下手で当たり前と認識されることが積極性に良い方向に影響しているということもあると思います。日本人が読み書きの習得が早いのに対して、彼らは会話の習得が非常に早いです。言語学習、特に会話はスポーツに似ています。「喋る聞く」の技能を伸ばしていくことが大切で、技能を伸ばすには繰り返し練習するのが一番です。使える言葉、単語の羅列からでいいので、どんどん会話をしていきましょう。

街で見かけた単語を覚えていく(★★★)

中国に住んでいる人限定にはなりますが、外出した際に看板や標識に書いてある知らない単語を調べて覚えていくという方法です。日常生活で必要になる言葉の網羅性を高めるという意味で有効だろうと考え、外出のたびに見かける知らない言葉を辞書アプリで調べることにしています。実際これで一定の成果が上がっているように思います。「あの時あそこに書いてあったな」などとその風景や出来事も含めて覚えるので記憶に残りやすいように思います。

中でも中国ユニークで面白いなと思うのがスローガンです。日本とは比べものにならないほど多いです。横断幕、垂幕、貼り紙、のぼり、ポスターなど掲載様式も様々です。共産党の方針や政府の政策についての宣伝や民衆教化が目的なので各地で同じものを目にすることが多いです。内容は社会主義の核心価値観をはじめ、「保护环境是我们的义务」や「向前一小步,文明一大步」「喝酒不开车,开车不喝酒」といった一般的なものから、習近平体制になって掲げられた「中国梦」「打黑」関係など、面白いものが多いので、記憶に残りやすいです。

ただ、効果を上げるために注意すべき点があります。それは、調べただけではすぐに忘れるので記録が必要ということです。記憶力の優れた方なら問題ないのでしょうが、私のような一般人は調べたからといってすぐに覚えられるものではありません。知らない単語を見つけた時に辞書アプリで調べるまでは良いのですが、意味が分かったらなるほど~と満足してしまいそこで終わり。そのままキレイさっぱり忘れてしまうことが多々あります。結果、次回同じ単語を見かけたら知らないものとしてまた調べ、あれ?これ以前も調べたような???となる、あるいは以前調べたことすら思い出せないようなこともあります。こんなことではもったいないので、やはりメモを取るとか写真を撮っておくとかの、再確認〜定着のための記録が必要です。煩わしいですが頑張りましょう。

睡眠を活用する(★★★★)

受験生などがよくやる「暗記系の科目は寝る前にやる」という方法です。諸説あるようですが、脳は睡眠中に新しく覚えたことを整理してまとめ、一時保存する仕組みになっているそうです。それを利用し、寝る30分前に覚えて、しっかりと寝て、起きたらすぐに再確認するのです。私も実践していますがかなり効果があると実感しています。記憶力の落ちてきたおじさんにも十分有効です。

留意点としては、まず十分な睡眠時間を確保することです。アメリカのペンシルバニア大学とワシントン大学で行われた研究によると、長期記憶に効果的な睡眠時間としては8時間程度が理想なのだそうです。6時間以下の場合は認知機能が時間が経つにつれ低下するそうです。一夜漬けで一所懸命に勉強しても、睡眠時間が伴わなければ取り入れた情報を正常に処理できないので、長期間の記憶定着には繋がらないそうです。(加齢と共に睡眠時間が短くなりがちなので「8時間寝る努力」が必要です。)そして暗記した後はあれこれと別のことをやらずにさっさと寝ることです。暗記の後にネットサーフィンをしたりYouTubeで好きな動画を延々と見たりすると、記憶の定着が妨げられます。

ただ、継続するのが大変です。もちろん毎晩定期的やるのが理想ですが、できるとは限りません。社会人だと突発の残業もあるし付き合いの飲み会もあります。深酒をしてしまったら、単語どころか自分が何をしていたのかすら覚えていない状態、翌朝は二日酔いでやる気ゼロ、寝坊してあわてて出勤、こんな調子では暗記&確認どころではありません。小さなお子さんがいる家庭では、子供を寝かし付けているうちに自分もグーグー寝てしまうのはよくあることです。このようにやったりやらなかったりしているうちにだんだん億劫になり、遂にはやめてしまうことはよくあることです。そういったことから、この方法は効果はあっても継続がかなり難しいと思います。自分に厳しく毎日やろうと決めていたら、できなかった日があるとそれが挫折感や自分へのストレスになったりして、かえって学習へのモチベーションを下げてしまうはめになりかねません。正直言って私もHSKなどの試験日が迫ってきて詰め込み暗記が必要な時にしかやっていません。あまり肩に力を入れず、試験などの節目を設定して、それに向けた集中トレーニングみたいな意味合いで実施するくらいが丁度良いと思います。

フィットネスジムに通う(★★★)

中国で単身赴任をしていると行動が限られてどうしても運動不足、体がなまってきます。そういう時にはフィットネスジムに行ってみることをお勧めします。日本でジムというとどちらかといえば年配の人が多く、おじいちゃんおばあちゃんが毎日お風呂に入りにきているかのようなノンビリした雰囲気ですが、中国のジムには若い人が多いのです。経済が発展して飽食の時代に入っている中国では肥満の人が増え、且つ若い女性を中心に美意識が上がってきているので、健康で美しくいようとジムでトレーニングをする人が多いのです。平日の終業後や休日の午後などは若い人の熱気でムンムンしています。男性でも女性でもやはり若い人が多い方がきらびやかで活気があって楽しいものです。日本では新年にダイエットを誓ってジムに入会したものの、年に数回しか行かなかったという、ジム経営者の思うツボになってしまっている人がたくさんいます。そういう人でも中国でなら続けられる可能性が高いです。是非一度見学に行ってみて下さい。

そして中国のジム(私が行っていたところ)では、トレーニングをしているとコーチが気軽に話しかけてきて指導をしてくれました。相手もわきまえているので断ればしつこくはしてきません。私の場合は特に断らずに言われるがままに指導を受けていたので、何人かのコーチと顔見知りになり、会えばちょっとした会話をするくらいの仲になりました。ジムが楽しいのでサボらず定期的に行く、行けば顔見知りと会話をする、会話をするためにトレーニングの用語を覚えていくという、中国語の勉強にも寄与するいい活動になっていました。

愛すべき老中国 : 昔の中国人留学生

私の中国での空手の教え子たちが日本の大学に留学していますが、みんな日本の大学生と同じように勉強をし、空き時間があればコンビニなどでバイトなどをして楽しく過ごしています。しかし昔(80年代後半)の中国人留学生はずいぶん様子が違っていました。

私は大学生の時に寮に入っていたのですが、その寮に中国人留学生も住んでいました。彼らは国費留学生ということで中国国内の審査を通過した優秀な方々でした。興味があったので話してみたいと思っていたのですがその機会がありませんでした。というのが、彼らはほとんど寮にいないのです。昼は大学、夜は延々とバイト、寮には明け方に帰って仮眠する程度だったからです。一般の大学生活をしている我々と合う時間がなかったのです。

勉強の方は国から派遣されているのでもちろん手を抜くことはできません。日本語がおぼつかないにも関わらずしっかりやって上位の成績を収められていたと聞きました。しかし彼らが最も力を入れていたのがバイトです。その内容もハードでお金になるものをやっていました。当時は日本がバブル期だったこともあり中国との経済格差が大きく、日本で1年間働けば中国で一生暮らせる金を稼げるということでした。なので彼らは必死でした。せっかく日本に来たのにのんびり寝ている場合ではありません。夜の工事現場の交通整理、夜間運送トラックの荷物の積み下ろし、深夜営業店での仕事など、一分一秒を惜しむかのように働いていました。たまに見かけることがありましたが、何というか、ものすごく活力に満ち溢れた感じでした。バブルで浮かれて遊んでいる我々日本人学生とは大違いでした。彼らと仮に時間が合って話をしても、その価値観の違いから全く会話にならなかったのではないかと思います。

当時は同じような経済的な理由で日本を目指した方はたくさんいらっしゃいます。国費留学とまではいかなくても苦しい生活の中からかき集めたお金で日本に留学したり、留学ではないですが、とにかく行けば何とかなるだろうと、日本語もできないのに渡航費だけを握りしめて日本に行ったような人もいます。彼らにとって日本は近くて繁栄している魅力的な国だったということです。留学後も日本に留まって仕事をした人もたくさんいます。彼らは逞しく日本社会で生き抜き、そして親日派知日派になって中国社会で活躍しています。とてもありがたいことだと思います。

近年中国人が留学先に日本を選ぶことは極めて少なくなりました。ある有名進学校の学生の留学先をみると、一番多いのが北米で半分以上、次が欧州、次がオーストリアやシンガポール、日本はわずか数%という少なさです。日本にいると中国人留学生は日本にたくさん来ていると思うかもしれませんが、全体からみると実は超マイナーなのです。政治的な問題もさることながら、やはり経済的にも学術的にも日本に魅力がなくなったことが一番の要因だと思います。残念なことですが、一方で旅行先としては日本は大人気なので、それをヒントに新しい日中関係が築けないものかと考えてみたりしています。

愛すべき老中国 : 決まらない実行しない

近年では会議の様子も随分変わってきて、目的を明確にして議論を結論に導き、議事録を作ってそれに基いて実行する、ということができるようになってきました。しかし昔の中国では会議をしても決まらない、決まったことがあっても実行しないというのが普通でした。

まず「決まらない」です。明確な目的が告げられないままメンバーが集められます。そして上位職者と思われる誰かが何かを延々と話します。次にそれに関連する人が自分の意見を延々と話します。その多くは問題を指摘されたことに対する言い訳です。そして参加しているびっくりするほど多くの脇役(何も発言しない人たち)が発言をノートに黙々とメモしていきます。(ついでにいうと「人の話はちゃんと最後まで聞きなさい」と教育されてきている多くの日本人が黙って聞いている。)これが続いていき終了時間がきたら解散です。つまり全員が単に自分の考えを一方的に喋るだけで、誰にも合意や結論を導き出そうという意思がないのです。当然何も決まらないし、発言をもれなく書き込んだノートを読み返す人もいません。中国人の部下になぜこうなのかを聞いてみると、「(当時の)中国では会議は打ち合わせではなく偉い人の演説を聞く場です。学校でも家庭でも先生や親が一方的に喋り、子供はそれを黙って聞いているだけでした。そうやって育ってきているので議論をするなんてことはなく、あるとしたら自分が窮地に立たされる時だけで、自分はこう思うと話せば終わりです」ということでした。面子を大事にする人たちなので相手を非難することになる議論を避ける思いもあるのだと思います。

そして「実行しない」です。やっとのことで結論を導き出したのでそれを議事録に残そうと指示するのですが、出てくるのは自分がノートにメモした各人の発言の羅列。全く意味がありません。そこで議事録の書き方を指導してなんとか意味を成すものを作らせて配布するのですが、これを誰も実行しない。公式なビジネス契約ですら経営責任者が「こんなものはただの紙。守る必要はない」などと平気で宣っていた時代です。当然といえば当然なのですが、それでも決議事項を実行させるにはこの方法以外になく、議事録を示して「◯月◯日にみんなでこう決めたよね?」としつこくしつこく説得するとしぶしぶやるという状態でした。

そんな様子だったので、目的を明確にして議論を方向付けできる、実行に導ける日本人は重宝がられて、不思議な信頼を集めていました。たぶんどの方面の人からも味方のように思えたのだと思います。私たちの仕事はパートナー会社の技術支援だったのですが、いつの間にやら先方社内の調整役になり、その腕を買われて何度も支援要請を受けるようになっていました。「あれ?私の仕事はこういうことだっけ?」と考えることも度々ありました。少なくとも技術屋の仕事ではないことをたくさんやっていたと思います。

近年、中国の会社の会議室に「効率的な議論を」とか「win-winを」とか書いてある貼り紙を見たりすると、昔を思い出して微笑ましい気持ちになったりします。あっという間に経済大国になれたのにはこういう基礎部分の成長が貢献していると思います。

愛すべき老中国 : おみやげ

中国のおみやげといったら何でしょうか。現在は中国にモノが溢れていて中国らしいものが目立たなくなりました。日本人は中国的なものを好きな人が少ないですから選択が難しいです。無難なところではお茶でしょうか。中国ではなく経由する韓国の海苔とか博多の明太子などの方が喜ばれるという話も聞きます。あるいは奥様からは「モノはいらないからお金を持って帰って」とか。昔の中国には定番のおみやげがありました。偽物のブランド品、違法コピーのDVD、クスリです。

偽物のブランド品では高級時計が特に喜ばれました。おおっぴらではなく比較的目立たない地下街とかに小さな店があり、言えば奥から次から次へときらびやかな高級時計が出てきます。ロレックス、オメガ、タグホイヤー、パネライ、ブルガリ、ブライトリング、ゼニス等々、ほとんどのブランドがありました。私自身は保有しませんでしたが性能も悪くはなかったそうで、見た目そっくり、そして安いということで大人気でした。興味深かったのは仕事では中国語を全然話さない人が、こういう店では片言の中国語を駆使して値引き交渉をしていたことです。交渉というより「便宜点儿吧!」しか言わないし知らないので、一方的な値引き要求です。意外と結構な値引きを勝ち取れたりして面白かったです。相手が日本人ということできっと元々ぼったくり価格を提示していたのだと思います。女性ものならグッチやエルメスのバックです。いい年したおじさんが奥さんへのおみやげを安く買おうと頑張る姿は微笑ましいものでした。

そして違法コピーのDVDです。そんなのどこで撮ったの?どうやってコピーしたの?と聞きたくなるほど、世界中いろんな種類の映画、ドラマが大量に破格の値段で売っていました。日本の昔の名作映画やアダルトものなど、5元とか10元でみんな嬉しそうに買っていました。当時は中国で違法という概念がなかったのか薄かったのか、結構目立つ場所にある大きな店や屋台で堂々と売っていました。街外れの屋台に行くと品揃えは少ないけど更に安い。中国の映画館で新作映画を見て、その帰り道でふと屋台をみると、その作品が既にコピーDVDで販売されていてびっくりしたこともあります。

そしてクスリ、いわゆるバイアグラです。当時狼一号と呼ばれていたそのクスリを、中国通のおじさんから「〇〇通りの〇〇という店で売っているから買ってきて!」と頼まれて、まだ若かった私はおっかなびっくり買いに行ったことを思い出します。当時日本ではこのようなクスリは市販されていませんでしたが中国では普通に売っていましたので、買うのは容易でした。しかしそれにしても「狼一号」というネーミングには笑いました。

首尾よく頼まれたおみやげを買って「さあ帰国!という時に、多くの人はふと気が付きます。「これってひょっとして日本への持ち込みは禁止なのでは?」中国で当たり前に売っているので違法であることの意識が薄れてしまっているのです。ではどうするか?律儀に(?)シラっと持ち帰る人、その結果税関で見つかって没収される人、いろいろいましたが、多くの人は中国の会社に置いて帰っていました。そして後に出張した人がそれらの物品を見付けて「あの人がこんなものを」と笑う、それがお決まりのパターンでした。

特定の人と集中的に交流する(★★★★★)

私は中国語の学習を始めてかなり時間が経ちますが、未だに始めて会った人の言葉が聞き取れないことが度々あります。一方で特定の人とコミュニケーションが深まってくると、同じ言葉でもその人の口から出たものなら聞き取れたりします。単純にその人の発音や思考方法に慣れるからだと思うのですが、この現象は私が勉強してきた英語やスペイン語に比べて中国語が明らかに顕著です。中国語は音のバラエティーが多く、発信する音の個人差も大きいからだろうと推測します。(ただ、深く付き合っても仲良くなっているのにどうしても聞き取れない人もいます。その人が重慶弁であるというのが原因の一つですが、他の人の重慶弁は分かるので、本当に不思議です。)

そこで私は、不特定多数の人の言葉を漫然と聞くのではなく、特定の人と集中的にコミュニケーションをして、自分の会話力と「分かる感」を高めてそれを拡大していく方法をとっています。まずは聞き取れる人を対象に会話を深め、気になる言い回しは後から文字で確認し、同じ言葉を他の人がどういう言い方をするか聞いてみるという具合です。

その「特定の人」としては、中国語の先生、会社のドライバーさん、職場の同僚など数名をターゲットとして勝手に設定しています。それ以外の人と話をしないという訳ではないですが、他の人の言うことは聞き取れなくても割り切って聞き流すようにしています。一方ターゲットとの会話では、聞き取れない言葉があったらとことん聞いて完全に理解するようにしています。もちろん「リスニング」で紹介した「録音して聞く」手法もこのターゲットの方にお願いします。

ターゲットの対象としては、会話する機会が多い人なら誰でも良いですが、やっぱり自分が好きな人が楽しくていいです。嫌いな人だと苦行になり続きません。そして、できるだけ方言が少ない人がいいと思います。方言は慣れてうつってしまうからです。私の周囲の日本人で慣れてしまって南京弁になってしまっている人もいます。それと当たり前ですがあまり寡黙な人とは会話が盛り上がらないので、おしゃべりが好きな人が望ましいです。私の中国語の先生に絶え間なく喋り続ける人がいましたが、その方とは会話というよりはむしろリスニングの訓練でした。

この方法を続けてターゲットを少しずつ拡大していけば、いずれは誰とでも会話できるようになるはず!と気の長い計画を進めています。人によって意識して聞くか聞かないかというだけの話ですが、かなり効果的なのでお勧めします。

ネイティブの友人を作り交流する(★★★)

これができたら学習効果は抜群だと思います。中国人はひとなつっこい人が多いのですぐに打ち解けてくれます。そこまでは良いのですが、初心者から私くらいまでのレベルでは、本当の意味で友人を作って交流するのは非常に難しいと言わざるを得ません。

というのが、中国語初心者レベルの日本人との会話に付き合ってくれるネイティブは、ほとんどが日本に興味を持っていて日本語が話せる人です。中国語で会話を始めても次第にこちらの下手さに我慢できなくなり、知らぬ間に日本語に切り替えられてしまいます。HSK6級ギリ合格点レベルだと中国語で会話してはくれますが、相手の言うことは聞き取れてもこちらからうまく発信ができないので話が弾まず、すぐに終わってしまいます。あるいは酒を飲むと酔いで気持ちがほぐれて何やらベラベラ会話ができたりします。「飲んだらしゃべれる」という人は多いですよね。でも実際には酔っているので言っていることはメチャクチャ、相手も酔っているのでノリで合わせているだけだし、記憶に残っていないことも多いです。とても進歩したといえるものではありません。シラフでも低レベルの中国語会話に辛抱強く付き合ってくれる優しいネイティブの友達を探すしかありません。

また、本当にできるようになるには日本語を介さずに中国語で考えられるようになる必要があります。中国人の奥さんがいる人から、日常生活を共にして喜怒哀楽を共有するくらいまでしないとこのレベルには行き着けないと聞きました。その方は夢も中国語でみることが多いそうです。私レベルだと夢で中国人の知人が出てきたら中国語を話すことがありますが、中国語でみているわけではなくあくまで日本語ベースの夢に中国語が出てくるというだけです。生活を共にするというのは独身の方なら中国人の友達と一緒に住んだりして可能かもしれませんが、既婚者には難しいですね。

非ネイティブの外国人と中国語会話を楽しむ(★★★★)

英語などを共通言語にして非ネイティブの外国人と会話してコミュニケーションができた喜びを感じた人は多いと思います。下手ですが互いの知っている言葉を駆使し探りながら、何とか意思疎通ができた時は大変嬉しく、大仕事を互いに協力して成功させたかのような達成感があって大いに盛り上がります。私も英語が下手な頃に(今でも決して上手いとは言えませんが)同じく英語が下手な台湾やマレーシア、インドネシア、コロンビアなどの人たちと交流してとても楽しかった経験があります。

もちろん中国語でも同じことが起こり得ます。知人が中国の大学で留学生向けの中国語講義を履修していました。その人の誕生会に参加させてもらった時のこと、アメリカ人、フランス人、チリ人、オーストラリア人、カザフスタン人、日本人らいろんな国籍のクラスメイトたちがいたのですが、みんなが下手な中国語を駆使してキャッキャとはしゃぎながら会話していました。もはや中国語には聞こえないようなブロークンでシンプルなものでしたが、多国籍のメンバーの共通語としてしっかり機能していました。非ネイティブの集まりだと誰も中国語が完璧ではないので、間違いを気にする必要がない(恥ずかしくない)こともあって積極的になれるようでした。その交流レベルの高さ、盛り上がり様にすっかり感心してしまいました。

やはり言語というのは英語であろうが中国語であろうがコミュニケーションツール、下手でもなんでもとにかく使って意思疎通をすることが大切なのだと改めて認識した出来事でした。中国語は東南アジアなどでも広く使われているので、中華圏以外でも使える場所が多いと思います。積極的に使って中国語学習のモチベーションを高めていきましょう。英語のTOEIC検定では、近年は英語の共通語としての機能に着目して、リスニング問題にネイティブ以外の人の会話も取り上げられるようになっていると聞きます。中国のグローバルでの影響力が拡大していくにつれ、中国語も同様に共通語としての重要性が高まると思いますので、将来はHSKでもそういった考え方が取り入れられるかもしれません。

ただ、非ネイティブとの会話は、文法も発音も気にせず「通じればそれで良い」やり方なので、間違った使い方がそのまま定着してしまうリスクがあります。事実、私の知人は中国人の友人から「日本人なのになぜ欧米訛りの中国語を話してるの?」と言われ続けていました。クラスメートの欧米訛りがうつってしまったのです。かなり苦労して矯正していましたが、未だに欧米訛りは抜けていないようです。ブロークンチャイニーズでの会話を楽しむのと並行して、正確な中国語の学習を進めることをお勧めします。

親しい人の声を録音し常時聞く(★★★★★)

最近はほとんどのテキストに音声CDが付いていますが、私には付属CDの音声はどうにも味気なく思えてあまり聞く気になれません。一方、別の記事でも紹介しましたが、特定の人とコミュニケーションを深めるとその人の言うことなら聞き取れるようになってきます。(なぜか中国語はそれが顕著な気がします)私はそれに着目して、知人にお願いしてテキストの文章を読んでもらい、それを録音して常時聞くという方法をやってみました。これはかなり効果的でおススメです。文章がその人の声や録音してもらった時の印象と共に記憶にしっかり残ります。先日10年来の友人が出張ついでに立ち寄ってくれましたが、顔を見た途端に10年前にその人に読んでもらった文章を思い出しました。

ポイントは二つあります。一つ目は男女偏りなくなるべく話題に合った印象の人、複数人にお願いすることです。私は同僚や知人、中国語の先生などに頼んで録音してもらっています。ファッションの話なのにおじさんのトークだとやっぱり違和感がありますし、冒険話に女性の声というのもなんとなく合いません。印象付けるためには臨場感が欲しいので話題に合った人にお願いしたいところです。二つ目は一人にお願いする分量をあまり多くしないことです。大量にお願いすると読み手はだんだん疲れてきてやっつけ仕事みたいになって、最後の方には超早口の無感情&棒読みになり、付属CDと同じような味気ないものになってしまいます。

最初はこれをお願いする時は我ながら図々しいかな?と少し躊躇しましたが、思い切って言ってみると多くの人が気軽に受けてくれました。面白がって事前に発声練習なんかをして録音してくれた人もいました。中国人は中国語を勉強する外国人が好きですし、人に依頼されたら応えようとする親切な人が多いので、気軽に頼んでみたら良いと思います。お礼に食事でもおごったら、それをキッカケに更に親しくなれるかもしれません。是非試してみて下さい。

通勤中にラジオを聞いてみる(★★★)

単なる聞き流しでは聞けるようにはならないと思いますが、意味がある音の場合は少しずつ蓄積すると思います。例えば通勤車両の中で聞くラジオ放送は、天気予報やローカルニュース、好きな音楽など、身近で興味を惹かれるものがあります。興味を持って聞ける内容だと記憶に残ります。それをネタに運転手さんと話をするなどすれば定着効果は高まります。私が最近気に入っているのが電話で子供の悩み事に答えるコーナーで、先日は小学低学年くらいの女の子の「为什么我要去学校?」という質問に大人があの手この手で懸命に答えていました。どこの国でも同じようなことを考えるものだなと微笑ましい気持ちになりました。

通勤ラジオ学習は気分が乗らない時は聞かずに寝てても良いので、私としてはお気に入りの方法です。

ただ、私について言えば、しっかりと理解できるのは未だに天気予報とごく簡単な会話くらいで、これは10年前からあまり進歩していないのが悲しいところです。中国語を勉強し始めた頃に会ったある熟練者に「どうしたらあなたのように聞き取れるようになるのですか?」と尋ねたところ「慣れだよ慣れ。ある日突然ポンっと耳栓が抜けたかのように聞き取れるようになるんだよ。心配いらないよ」と言ってくれました。「私の耳栓はいまだに抜けないのですが本当に大丈夫なのでしょうか???」とあの方に問いたい気分です。こういうことを考え出すと挫折感に苛まれてモチベーションを下げてしまうので要注意です。気楽にやりましょう。

ホテルのロビーでおしゃべりを聞いてみる(★★)

中国出張でホテルに宿泊することが多かったので、ロビーに座り込んで訪れるお客さんたちのおしゃべりに聞き耳をたてたりしていました。人の会話を盗み聞きするようで少々気が咎めますが、中国人は声が大きく、他人に聞かれることなど全く気にせずに話す人が多いので、問題ないだろうと勝手に思っています。公共の場で大声で電話する人もまだまだたくさんいますし、トイレの個室でも大きな声で話しています。

ロビーに着いたらまずはいろんな話し声に聞き耳を立てて、普通話に近い言葉を話している人を探します。大きなホテルだといろんな地方からいろんな方言の人が来ていて、広東語や上海弁などは普通話学習者には全然分からないからです。ターゲットを見付けたらさりげなく近くに座ります。そして携帯をいじるふりをしながら全神経を耳に集中して聞きます。

ネイティブ同士の会話はとても速く、くだけた話し言葉も多いので聞き取りが難しく、まず何の話をしているかが分かるまでにしばらく時間がかかります。分からないまま去っていかれることも度々あります。ようやく何の話か分かったら、その領域の用語や知識を総動員して会話の流れから言うことを推測しながら聞くのですがやっぱり難しい。それでも頑張って聞いているとだんだん分かってくることもあってなかなか楽しいものです。

私のレベルで最も良いのは子供の会話です。子供は私が知ってるような言葉を使ってゆっくり話すので聞き取れる部分が多いです。話題は私には全く興味がないゲームやアニメの話とかなので面白くはないですが仕方がありません。小さな子供なのに私より上手に中国語を話す様を見ると「この子は天才か?人が苦労して勉強しているのにこんなに簡単に話しやがって!」と、感心するやら妬ましいやら、大人気ないことを考えてしまいます。

映画を見に行ってみる(★★★)

中国では中国語ベースの映画でも字幕が付くものがほとんどで、外国人にはとてもありがたいです。ただ、私の読解力が会話のスピードについていける訳ではないので、字幕はサポートツールとして一応目で追いながら聞き取りの方に集中しています。実は私はストーリーの概要が掴めたら上出来といったレベルで、ウィットに富んだ会話やジョークなどは理解できません。周囲が笑ったら自分も分かったような顔で遅れて笑うという、外国人にありがちな反応をしています。でも私はそれでも良いと思っています。

というのが、この反応は滑稽ではありますが実はかなり重要だからです。自分が分からなかったことが強く印象に残るからです。「あの場面、あのセリフで皆の真似をしてなんとなく笑ったけど、一体何だったのだろう?」という疑問はその映画をまた見てみようというモチベーションに繋がります。そして動画を入手して何度も繰り返し見たり一時停止して字幕を確認したりして「なるほど!」と理解するともう忘れません。そして遂に本当に笑うことができるのです。

私がこの方法で多くの言葉を学んだのは「人再囧途之泰囧」(英語名:Lost in Thailand)でした。2012年12月に公開された中国のコメディー(日本未公開)でしたがこれが劇場で見た時に私の理解力で分かる部分だけでもかなり面白く、その後DVDを購入して繰り返し見ました。実はこの映画が2010年にヒットした「人再囧途」のパート2にあたるものだと知り、こちらも何度も繰り返し見ました。とても面白いので是非見て下さい。

ただ、映画は自分が興味があるものを選ぶ必要があります。適当に入ってみたら全然面白くなく、グーグー寝てしまったということも度々ありました。

観光名所で団体客に混じってガイドの説明を聞く(★★)

中国の歴史や史跡が好きな方には特にお薦めです。団体旅行のガイドさんが観光地の要所要所で解説をしていますが、それを旅行客に混じって一緒に聞いて回る方法です。私は歴史や史跡が好きなのでとても楽しく、多少その方面の知識があるのでガイドさんの中国語の説明がスルスル入ってきます。大きな観光地だと団体ツアー客はたくさんいるので、自分が興味がある場所に行ってガイドさんを見付けて説明に聞き入ります。

ただ問題は、しばらくついて行っていると団体客が異分子が混じっていることに気付き始めて「ところでこの人は誰?」という目で見られ始めるということです。服装や仕草で日本人だと分かるケースも多々あるので一度疑われだすと特に目立ちます。これを防ぐためにはガイドさんの話を聞きながらも団体をよく観察して、団体が仲間集団なのか別グループの組み合わせなのかを見極める必要があります。仲間集団だと異分子は発見されやすいので早々に別に移ります。別グループの組み合わせだと互いに見ず知らずの関係なので異分子は発見され難く、発見されても干渉されることは少ないです。この場合は発覚してザワザワし始めるまで知らぬ顔でついて行けば良いです。私はだいたいはこの方法でガイドさんの説明を堪能しています。しかし、最前列で食い入るように聞いているとガイドから「団体の方ですか?」と聞かれ、仕方なく正直に「違いますが聞いてて良いですか?」と答えたら「お断りします」と冷たく拒絶されたこともあります。そそくさと退散して、次の団体を探しました。

個人的にはお気に入りの方法なのですが、あまり褒められたものではない単なるタダ乗りなので、ほどほどにしておいた方が良いかもしれません。

日本語と同じ単語から覚える (★★★)

日本語の大部分は中国語から来ているので同じ言葉、類似した言葉はたくさんあります。ネットなどで確認すると漢字も意味も同じものは、単語で約350語あるそうです。これらを知っているという日本人として大きなアドバンテージですし、初心者が日本で中国語を学んでいくにはとっつき易くていいかもしれません。ただ、私の周りには中国で習ってきた人が多いせいか、特にそれを意識せずにやってきたという人が多いです。それで特に損をしたという感じはありません。その350語は元々知っているので、単語を覚えていく過程で出てきたら「ラッキー!一息つける」という感覚でした。

近年では日本のマンガやゲーム、ドラマが中国で人気があることから日本が由来の単語が増えてきました。「萌」は日本のオタク文化の「萌え」から来たもので、「売萌」は「わざとかわいく見せる」という意味です。「宅男と宅女」は日本語の「オタク」から来たもの。日本語の「オタク」は性別を分けていませんが、中国語では男性と女性で言い方が違います。「欧巴桑」は日本語の「おばさん」です。中国語で表音するとこうなります。「便当」は日本語の「弁当」です。若い人を中心にネット用語からどんどん新しいのができてきていますので、調べてみると楽しいです。

注意点として二つあります。一つ目は漢字の種類が違うので見た目で同じ文字だと認識し難いことです。基本的な簡体字の知識は必須です。いろんな人が漢字の対比表を作っているので確認しておきましょう。

二つ目は同じ言葉で意味が異なるものが意外とたくさんあることです。よく知られているところでは例えば「愛人」は、日本では配偶者以外の恋人のような意味ですが中国では配偶者です。「他的爱人吗?」と言われて怪訝な顔をしてはいけません。「老婆」は日本ではお婆さんですが中国では奥さんです。「手紙」は日本ではレターですが中国ではトイレットペーパーです。「勉強」は日本では学習ですが中国では「無理に強いる」という意味です。日本語を学んでいる中国人が「日本人はイヤイヤ勉強するんですね」と書いている記事を見たことがあります。これら全く違うものは印象深いので一度聞けば覚えられますが、更に厄介なのは近いけど微妙に違うものです。だいたい同じだろうと流していると違う意味だった、ということはよくあることなので、初見の際に一度はキチンと辞書等で調べておくようにした方が良いと思います。

微博を使ってみる(★★★)

中国に慣れた人なら中国版ツイッターと言われる微博を使って情報収集や交流をするのも中国語に親しめて面白いと思います。微博について、以下ネット記事の編集引用です。

『weibo(ウェイボー)とは中国圏で最も大きなソーシャルメディアで漢字で書くと「微博」です。「微」は「ミニ」「博」は「ブログ」という意味です。すなわち「ミニブログ」のような形で投稿できるSNSサービスです。中国だけでなく、香港や台湾をはじめとして広いエリアで人気を集めています。2018年でユーザー数は個人アカウント約7.6億、企業アカウント数約200万です。ユーザーの年齢層については、全体のうち20代が占める割合が約60%と最も多く、次いで10代、30代の順、40代以降のユーザーは非常に少ないです。Weiboの基本機能はTwitterとFacebookの中間のようなものです。投稿に対してコメントやいいね、シェア、ブックマークが利用可能です。140文字で投稿ができテキストのほかに画像や動画を含めることも可能です。画像は一度に9枚まで投稿できる機能があります。パソコン・スマートフォンの両方からアクセスすることができるため、幅広いユーザーに使われています。1日平均約1.8億件の投稿がされていることからもわかるように、大量の情報が行き交っています。』(引用終わり)

私の周囲の中国人は有名人の動向やニュースなど情報収集に使っている人が多く、自分から情報発信している人は少ないようです。私の周囲にはいませんがビジネスに活用している人も多いようです。私自身は使いこなせているとはいえませんが、情報検索や投稿程度はできるので、下手な中国語を駆使しながら自分なりに楽しんでいます。良いのは自分が興味ある分野の生情報がリアルタイムで検索できるので、中国語を読むのに積極的になれることです。最近の流行り言葉なんかも分かるので、それを中国人の友人に使ってみたりするのも楽しいです。難点は広告や勧誘メッセージが多いことです。あまりに多くて煩わしいので新着の通知はオフにして使っています。使い方はフェイスブックやツイッター、インスタグラム等に精通している人には簡単だと思います。よりデープに中国を知りたい人には楽しいと思います。

愛すべき老中国 : 無茶な運転

私は中国以外でも仕事をしてきましたが、車の運転が最も無茶なのは中国でした。南米や東南アジアなどで「めちゃくちゃ飛ばす」とか「対向車が来ているのに追い越す」とかの「荒い」「危ない」無茶は多々ありましたが、中国の無茶というのはそういうのとは別の種類です。一言で言えば「スキがあればとりあえず頭を突っ込む」です。一般道路でも交差点でも車線は全然守らず、前が空いていたら頭を入れた者勝ちとばかりにどんどん突っ込みます。割り込みとか他車の侵入防ぐとかは普通のテクニックです。だからロータリーや交差点はいつも大渋滞。ちょっと待って通してやれば全員がスムースに流れるのに、自分がいつまでも行けないと思うのか、とにかく突っ込みます。対向車線にはみ出して抜けようとするのも当たり前、歩道に乗り上げて抜けようとするのも当たり前です。公園に侵入したり、その手があったか!と思わず感心するような抜け方をします。一人が抜けたらそこにみんなが殺到するので対向車線も歩道も塞がってまた膠着します。

そして事故。そんな運転をするのでそこら中でぶつけたり擦ったりします。日本だったら事故車両を交通の邪魔にならないところに移動して話をするのですが、中国では現場検証は警察の立会いのもとで現場でやらないといけないので、道の真ん中でストップ。これに堰き止められてまたもや大渋滞です。

言葉は悪いですが「この人たちはバカなんじゃないか?」と本気で思っていました。一旦譲れば流れるのに誰もが譲らないからみんなが動けず、誰もがクラクションをブーブー鳴らしながら膠着状態。腹が立つのを通り越して笑ってしまいます。どこの国にもこんなおバカな渋滞はありません。これがなくなった時、つまり譲れば自分も早く行けるのだと気付いた時に、中国は発展するのだろうと思っていました。

そんな中で唯一感心したのが誰もが怒らないことです。割り込みをされると日本であればムッとして怒鳴り合いになったりもしますが、中国では無表情、あるいはニコニコ話しながらでやり過ごします。中国人は心が広いんだなと思っていました。今考えると彼らにとっては当たり前で怒るようなことではないということだったのでしょうが。

今でも中国の運転は決して良いとは言えませんが、以前と比べると少しマシになりました。年配の人の運転は相変わらずですが若い人はスマートです。予測した通り、中国が発展したのは運転状況が改善したから、そしてまだまだ発展の余地はあると思っています。

因みにクラクションですが、日本では危険状態を警告するために鳴らしますが、中国では「私が通るから避けてよ」という意味で鳴らします。車もバイクも電動自転車も自転車もそうやっていちいち鳴らすのでうるさいことうるさいこと。自分が交通ルールを無視していても遠慮なく鳴らします。歩道でいきなり真後ろで電動自転車にクラクションを鳴らされたりすると思わず怒鳴りたくなります。(たまに怒鳴ります笑)通勤バスのクラクションが使われ過ぎて「ぷあア〜」みたいな弱々しい音になっていたことを思い出します。最近になってようやくクラクションを禁止する区域ができてきました。