言葉というものは意思疎通のツールなので、人々が伝えたい内容を基にして成立しています。伝えたい内容というのは人々が共通的に考え行動するもの、つまりその国の文化が基になっています。従って、言語を習得するためにはその国の文化を理解する必要があります。逆に言えば文化的背景を理解していれば言語の習得は容易であると言えます。
中国文化と言っても範囲が広くてどこを見ていけばいいのか迷うところです。そして他国からではなく中国での見方で理解していく必要があります。文献を探していたところ、南京大学の海外教育学院で勉強していた知人から良い本を紹介してもらいました。中国国務院が大学の協力を得て編纂した中国語教育の副読本で、「中国文化便覧」です。中国文化理解の導入的位置付けだと紹介されていますが内容は豊富です。伝統思想、美徳、古代文学、科学技術、伝統芸術、文物、建築、工芸美術、民族、生活などが網羅的に紹介されいます。ありがたいのは日本語が併記されていることで、とても分かり易いです。是非一度ご覧になって下さい。
これの発展版として「中国歴史便覧」と「中国地理便覧」も出版されています。合わせて読むことで見識が深まり、中国語の習得に大いに寄与すると思います。