中国人の同僚と仕事をして感じる彼らのモチベーションの源泉は個人の成長です。仕事を通して成長の機会が与えられるのを期待する人が多いです。お金が好きな人が多いイメージですが特に若い人たちは給与よりも成長を重視していると思います。中国は近代になって生まれがどうあれしっかり勉強すればいい大学に進学でき、いい職を得られる社会になりました。今の若い人はそれができなかった親の世代の期待や訓示を受けて厳しい競争に身を置いてきています。理系の優秀な学生が目指すのが今後伸びていくITの世界だというのがそれを表していると思います。日本の優秀な理系の多くが目指すのは医師なので、産業の発展においては差が広がっていくのは自明の理です。
従って中国人の部下に仕事を与える場合は、その人のキャリアプランをしっかり考えた上で、成長に寄与する仕事をアサインするのがやる気になってもらうポイントだと思います。これは日本人の部下に対しても重要ですが、日本人の場合は個人よりも会社の業績への貢献を重視する面もありますし、近年ではワークライフバランスを重視する傾向もありますので、個人のキャリアを十分に考慮していない、あるいはあえて伝えていないことが多いと思います。この認識のまま海外にも進出するため、ある程度育った従業員がどんどん流出してしまっています。「日本の常識は海外の非常識」と認識した方が良いことの一つです。
中国人には個々人のキャリアプランを踏まえて「あなたの〇〇の能力を伸ばせるからこの仕事をやってもらう」という仕事の与え方をする必要があり、そうすることでやる気になってもらえると思います。
業務報告は面倒ですし上司にあれこれ指図されたりするのが嫌で敬遠する人も多いですが、中国人は日本人に比べて報告が好きな人が多い印象を持っています。報告されるのも好きです。現在の中国人は各々が上昇志向が強いため、自分の業績をアピールしたいというのがその理由ではないかと思います。だから上司への報告が特に好きです。中国人の部下を持つ人は必要に応じてどんどん報告を求めていったら良いと思います。
ただ、報告の内容や資料はチェックした方が良いです。資料をみると自分が言いたいことを文章で長々と羅列しているだけだったり、概念的なことばかりで具体性に欠けていたり、華美なだけだったりと、何が言いたいのか分からない冗長なものが非常に多いです。もちろん人によって異なりますが、私は中国人の報告資料で的を得たものを見た機会は少ないですし、私が作った資料を分かり易いと感心してくれたりしていたことを考えると、不得意な人が多いのだろうと思っています。
ポイントは報告の目的を明確にすること、パワーポイントの場合は序盤のページで全体観を表して目次を記述すること、ページ毎の伝えたいメッセージを端的に記述すること、的確な概念図や図表を用いて読まなくても見れば分かるように工夫すること、理解を深めるための具体的事例を記述すること、そして長過ぎないこと、そして最も重要なのは読み手聞き手の立場に立って伝わるかチェックすることだと思います。
これは能力というよりは、どういう報告が伝わりやすいのかを理解しているかどうかというだけの問題なので、誰でも指導と訓練で上手になります。「中国人の報告は分からない」とぼやく人が多いですが、先入観や印象で判断せず、しっかり教えていくことが必要です。
中国人だけでなく外国人は日本人に比べて自発的なチームプレイが上手でないようにみえます。日本人が他に対して上手すぎるのでそう感じるのだと思います。日本は江戸時代の鎖国による遅れを取り戻すべく、明治政府が掲げた富国強兵に対する施策の一つの教育政策で、欧米の知見を丸暗記することと団体の機能を高める和を重視した教育が開始されました。私見ですが日本の教育は現在に至るまでこれに基いていて、それ故に日本人は集団行動が非常に得意です。高度成長期にはそれが功を奏し各々が企業という集団の発展に大きく貢献しました。しかし消費者のニーズが多種多様化してきた現在、個々の要求に答える取り組みには上手く適応できていないのが現在の姿ではないかと思います。いずれにせよ日本人は言われなくても集団への貢献を当たり前のように実施する特別な資質を持っています。
一方で外国人がチームプレイができないのかというとそういう訳ではなく、きちんと役割が決められていて期待されるものを理解していれば十分以上にできます。日本人との違いは何も言われなくてもやるのかどうかです。やる人もいればやらない人もいます。日本人としては外国人が自分と同じように何も言わなくてもやってくれるだろうと放っておくのではなく、チームプレイの中での個々人の役割と期待値を明確に伝える必要があります。そのために網羅的で緻密な業務設計が必要になります。それを認識しているか否かでチーム業務のアウトプットは大きく異なります。
日本人も中国人もハイコンテクストで意思疎通をする方だといえます。特に日本人はほぼ単一民族で閉ざされた島国で続いてきて、更に明治からは和を重視する教育が続いているので各人の価値観や考え方、常識が非常に似通っていて、いわゆる「あうんの呼吸」で言葉が少なくてもニュアンスや表情で互いの意図が伝わります。そのためはっきり全てを言葉にしないことが多く、その影響か論理的説明もあまり上手ではありません。中国人も世界的にはハイコンテクストの国だといわれています。(ただし地域差があり東北の方が言葉で表現する人が多いように思います。)しかし教育の賜物なのか、論理性は高い人が多いです。
その日本人と中国人がコミュニケーションをする場合、価値観や文化的背景が異なる訳ですから、自分の常識で言葉少なくコミュニケーションをしているととんでもない勘違いが生じるリスクがあります。特に日本人と中国人は外見が似ているので、無意識のうちに相手も自分と同じでは?と考えてしまうこともあります。間に通訳を挟むと更に難しくなります。
そのような関係なので、特にビジネスコミュニケーションの場面ではしっかり言葉にして論理的に説明することが大切です。更に日本語は曖昧で複雑な表現が多いので意識的に直接的な表現を用いる必要があります。論理的説明は因果関係を明確に言葉と言葉を繋いでいくことを意識すれば上手にできるようになります。日常のコミュニケーションでは誤解を生みながらもそれがスパイスになって分かり合うようなこともあるのでハイコンテクストコミュニケーションも面白いと思いますが、利害が生じるビジネスでは全て明確な言葉で論理的に伝えるようにしましょう。
中国人のみならず外国人とのビジネスコミュニケーションでは日本人は意識して「結論→理由・背景」の順で発言する必要があります。日本人の発言は理由や背景から初めて最後に結論を言うことが多いです。中国人のみならず外国人とのコミュニケーションではこれが仇になることがあり注意が必要です。外国人は「結論→理由や背景」が多いです。特に多民族国家の人は考え方の異なる異民族に意思を伝えるために端的で直接的な表現を用います。中国人は理由・背景から説明に入る人もいますが日本人ほど多くはない印象です。対して長くほぼ単一民族で過ごしてきた日本人は各人の考え方が類似していて意思疎通が容易なので、間接的で優美な言い回しを用います。背景や理由の説明から入り相手の反応を伺いながら修正しつつ、最後に結論を言う。場合によっては結論がない場合もあります。それでも日本人同士ならあうんの呼吸で伝わったりしますが、外国人相手だとそうはいきません。結論を最初に言う外国人にとっては日本人の背景説明が曖昧な発言に聞こえ、話に割って入ります。発言を遮られた日本人は結論を言えていないのでストレスが溜まります。結果、外国人の方は日本人に対して「曖昧で優柔不断人だ」と感じますし、日本人の方は外国人を「失礼な人だ」とか「思慮が足りない人だ」と感じます。
更に通訳を挟む場合は、冗長な背景説明で通訳が混乱したり途中で訳さなくなったりして、ますます意思疎通が難しくなります。日本人がたくさん話したのに通訳が少ししか話さず、日本人が「あの通訳は先方の味方をしているのではないか?」などという場面は多々ありますが、一方で通訳が先方に「今はどうでもいい話をしている」などと言っていたりします。
「結論→理由・背景」の説明は慣れれば難しいことではありません。グローバルビジネスでは意識して発言しましょう。
自分自身が中国語をマスターするに越したことはないのですが、ビジネスで使えるレベルにまで完璧にマスターするのは難しく、通訳を挟むのが無難です。通訳を選ぶ際のポイントは業務に精通している人を選ぶことです。業務の知見が多く、語学力が高い人が理想ですが、両立した人がいない場合は語学力より業務の知見を優先すべきだと思います。最近は中国でも日本語を学ぶ人が増えていますが、日本語が好きなだけの人と日本語を使って仕事のスキルを身に付けようとしている人では業務のコミュニケーションに対する真剣さや向上意欲が全く異なります。通訳を選ぶ機会があるのなら必ず面接をして業務そのものに対する意欲の程度を見極めたいところです。
通訳を固定することも大切です。通訳が変わったら前回話したことを知らないので誤った伝え方をするリスクがあります。通訳を固定したら前回のコミュニケーション結果や知見はその通訳に蓄積していくので、積み上げの正確なコミュニケーションができますし、何よりその通訳の育成に繋がり、通訳の役目を超えたスタッフ業務ができるように成長していきます。部門スタッフより経験の長い通訳の方が業務に詳しくなるのはよくあるケースです。
その他、日本人と中国人のコミュニケーションスタイルの違いを理解して適切につなぐことができること、どちらかの味方になるのではなく中立性を保てることなどが重要な要素です。
通訳にはバッファー役の機能もあります。利害が相反する場面では発言が感情的になりがちですが、気の利いた通訳は議論を阻害する不要な感情的な言葉をさりげなくカットしてくれます。あるいはセンシティブな話で双方の納得が得られなかった場合に意図が伝わらなかったのを通訳のせいにして当事者同士の関係は良好に保つようなことにも使えます。もちろん通訳が自社のスタッフである場合はやるべきではありませんが。
一方、自分自身もある程度は中国語を学習して通訳が誤った翻訳をしていないかチェックできるようになるべきです。完全に通訳任せにしていると思わぬ誤解が生じている場合に気が付かず、重大な問題に発展してしまうようなこともあり得ますので要注意です。
日本の会社での会議は参加者が議論をしながら全体の合意を形成していき、リーダーの了解や合意を得てそれが結論になるのが一般的です。中国の会議では、まずは担当レベルの人がそれぞれの意見を述べ、次にその上の職位の人たちがコメントし、最後の参加者の中で最も職位が上の人がコメントし、それをもって結論とするものが多いと思います。あまり議論をするという感じではなく、それぞれの意見を聞いて最終的にトップが判断するというスタイルです。そのやり方にはもちろんメリットもデメリットもありますが、日本人的に議論をしようと思って待っていたらあっという間にリーダーのコメントの段階になって、自分の意見を織り込めないまま終わってしまうことが多々あります。
また、このスタイルでの最大の問題は、リーダーが複数いる場合に相反するコメントをしたままそれを整合することなく終了してしまうことです。中国人は日本人より互いの面子を重んじる傾向があるので意見が異なる場合でもあからさまに否定することはあまりありません。結論が割れたまま散会してしまうと部下たちはどの指示に従えば良いか分からず右往左往することになります。
この会議スタイルで自分の考えを織り込むにはやはりリーダーに賛同してもらう必要があります。リーダーも議論の中で聞いた話だけで判断するのは難しいですから、事前に相談して了解してもらうことが必須です。リーダーが中国人であれ日本人であれ、平時でのポイントを押さえた報告や相談をすることが重要です。そして会議でリーダー間で意見が割れた場合は放置することなくどちらの方向に進むのか確認する必要があります。日本人が外国人であることを利用して、第三者的立場で確認を買って出るようにすれば軋轢なく結論を導き出せます。
違う領域の人たちが集まって会議をする場合に自部門の主張だけをして何も決まらないことが多いです。日本の会社でもよくあるケースですが中国の場合は更に顕著だと思います。中国人は自己主張がはっきりしていてそれをストレートに表現します。私の経験では中国でも北の人の方がその傾向が強いです。また、互いの面子を重んじるので他人の意見を真っ向から否定することはあまりありません。これは南の人の方が傾向が強い気がします。その二つが合わさって、それぞれが意見を言うだけでそのまま何も決まらずに散会することが多々あります。
単なる連絡会議ならそれで良いのですが結論を導く必要がある場合は誰かがしっかり議論をリードする必要があります。基本ですが、議長は予め目的と期待するアウトプットを明確にして議論構成を設計しておき、それを会議の冒頭で、可能であれば前もって参加者に伝えておく必要があります。その上で議論に入ったら目的から逸れたコメントは軌道修正しつつ、領域間で利害がぶつかるようなコメントを全体最適視点で調整しつつ、結論を導くようにリードする必要があります。難度は高いですがこれができれば建設的な議論ができて参加者からも感謝される結果になります。
中国の中で日本人は外国人なので第三者的な立場に身を置くことが容易です。それをうまく活用して議論のリード役を担うのが良いと思います。
中国人だけでなく多くの外国人は「ありがとう」や「すみません」を口にすることが少ないです。外国人が少ないというより日本人が多いのだと思います。これは周囲との和を重んじる日本人の気遣いでありその習慣によって形成された日本語の特徴だと思います。個人的にはおはようやこんにちはなどの挨拶は日本人らしくたくさんすれば良いと思いますが、ありがとうやすみませんを日本人的に多発するのはコミュニケーション上問題が生じがちなので注意が必要だと思います。
ありがとうはポジティブワードなのですみませんよりは良いですが、多用すると相手に心理的な距離を感じさせることがあるようです。日本人ペースで小さなことにまでお礼を言っていると、你太客气了(遠慮し過ぎ)です)言われますし:、更に進むとありがとうの重みがなくて本当に感謝されているのか分からないと言われます。迷惑を掛け合う、お世話になり合うことで絆を深めるような習慣があるので、ちょっとしたことにはありがとうを言わない方が親しみを感じるようなこともあるようです。
すみませんの方はネガティブワードなのでかなり注意が必要です。日本語のすみませんには謝罪から呼びかけ、感謝などいろいろな意味合いが含まれていて日本語を学ぶ外国人が理解し難い言葉の一つですが、それ故に日本語的に使うと誤解が生じるケースが多々あります。先ずは伝えたいことに適した言葉を選択する必要があります。直訳の对不起を全てに使うと本当に謝罪ばかりしている人にみられますので要注意です。そして感謝の意味を表す場合はありがとうの方がポジティブで良い印象を与えます。これは日本語でも同じだと思います。その上でやはり多用し過ぎない方が良いです。ちょっとしたことにすみませんと言っていると「誤ったのだから自分の非を認めている、然るべき対応をすべき」ととられたり、マンネリ化して重要な案件の時に謝罪の意思が伝わらないということになります。先の戦争関連で日本政府の謝罪の意図が諸外国に伝わらないのはその辺りにも原因があるのでは?と思います。
日本人的なありがとうやすみませんの用法は気遣いの上ではとても優美で優れたものだと思います。しかし日本人固有のものだということを理解していないと、逆に日本人の方も外国人に対して無礼な人だと反感を持つことになります。ただ、中国人の場合は最近では若い人を中心に気遣いのありがとうやすみませんを口にする人が増えてきたのも事実です。相手との違いを認識して尊重して合わせていく配慮が必要です。
中国国内の会社では出退勤時の挨拶が日本より少ないです。出勤時の「おはようございます」や退社時の「お疲れ様でした」など意図的に言う中国人は少なく、そのまま仕事に入る人が大半です。日本的におはよう!と声かけするとちょっと戸惑った様子をみせたりします。これはもちろん単なる習慣の違いで、悪気があってものではないので、過度に気にする必要はありません。こちらも淡々と仕事を始めて何の問題もありません。
ただ、中国人も挨拶されて悪い気がするものではないので、挨拶されたら少し戸惑っても次の瞬間ニッコリ笑って挨拶を返してくれる人が多いです。良いことなので日本人らしく挨拶し続けると好感度が上がると思います。
一方、その挨拶をしない環境に慣れ過ぎてしまうと日本の会社に戻った時に挨拶が出てこなくて、感じの悪い人だと思われるリスクがあります。気を付けましょう。
海外に出て活躍する日本人はたくさんいます。日本に来る外国人も増えてきています。特に中国人は日本の大企業にも多く採用されて活躍されています。彼らはは日本語が極めて堪能で同期入社の日本人と同じく頑張っています。しかしある中国人スタッフから「当社は外国人スタッフを上手く活用できていないのではないか?」と問題提起を受けました。
企業は採用時には中国人なら中国ビジネスの将来の重要性を考慮して中国人を採用するのが通常だと思います。しかし実際に業務部門に配属されたら当初の狙いは置いておかれ、日本人と同じ研修を受け、同じ業務を与えられ、同じ昇進ルートを進んでいくことが多いです。
問題提起をしてくれた中国人スタッフは日本語が堪能で同期の日本人と肩を並べて競っていて、私はそこに全く違和感を感じていませんでした。しかし彼女から「私が日本人と同じ土俵で勝負してもコミュニケーション力が劣るので勝ち目はないし、中国人としてのアドバンテージを全く発揮できない。実は同じ悩みを感じている外国人スタッフはたくさんいる」と指摘を受けました。
特に大きな企業では同じような問題を内包しているのではないかと思います。その結果、せっかく採用した固有の才能を持つ人材を流出させているかもしれません。
彼女の指摘を受けて、改めて適材適所、Global人材の育成と活用について考えさせられました。
コロナの感染拡大が収まらない中、オンライン授業やリモートワークが広がっています。私は会社員で時々リモートワークをやりますが、仕事の効率はともかくとして、通勤時間がないことで自由に使える時間が増えることはとても良いことだと思います。最初の頃は通勤時より遅めに起きて優雅な気持ちになったりしていましたが、やはりこの時間は自己啓発など有益に使うべきだと思い直しています。
コロナ休校中の2ヶ月で中国語をマスターしたスーパー中学生のニュースを見て驚ました。(TBS NEWS 2020年8月24日放送) ニュースの冒頭で彼女が中国語で話すのですが四声拼音がほぼ完璧で、いきなり負けた!という感じでした。彼女は小4で英検1級に合格したり小6で数検準1級に合格したりとスーパー少女なのですが、生まれ持った才能もさることながら夢に向かってひたむきに努力しているそうです。大人も負けてはいられません。
リモートワークのメリットを最大化すべく、時間を有効に使い自己啓発に取り組みましょう。中国語をやる人は定期的に集中的に学習するチャンスです。頑張りましょう。
言葉は使わないと忘れます。その忘却スピードは思うより速く、本当にあっという間に言葉が出なくなります。アスリートが練習を1日サボると1週間分の蓄積がダメになり、1ヶ月サボると1年分の蓄積がダメになるというようなことを聞きますが、言葉も同じだと思います。中国を離れて1ヶ月もすると不意に接する中国語に即応できなくなっている自分に気付き愕然とします。
ただ、一度定着した知識は完全に消え去るわけではなく記憶の奥底に沈み込んでいるように思います。実際離れてもしばらく中国語を聞いていると大部分の記憶が蘇ってくる感覚があります。ただいつまでも沈み込ませたままで放置するとやはり徐々に消滅していくのでしょう。中国の大学にまで行ったのに帰国して全く使わないで過ごしているうちにほぼ忘れてしまったという残念な方もいます。
記憶を劣化させないためにはこまめなメンテナンスが必要です。専任学習者でない限り日本で中国語を使う機会は少ないので難しいですが、会話の相手がいなくても聞くだけでも記憶はかなり維持できると思います。映画やドラマなど好きなものを見流すだけでも大丈夫だと思います。あまり負担になると続かないので気軽に楽しめるものが良いです。何より良いのは中国人の友達を作って話すことです。職場に中国人の同僚がいたりしたら最高です。近年では日本で生活する中国人がたくさんいるので意外と身の回りにいるかもしれません。
せっかく学んだ中国語です。しっかり維持していきましょう。
以前の中国は交通ルールが守られておらず、歩行者は思いのままに道を横切っていました。車が来ていようが平気で渡ります。大通りの真ん中に突っ立って車をやり過ごしている人もいます。明らかに車の通行の邪魔で危ないのに全く意に介する様子はありません。これらの人をよく見ると近くの車は全く見ずに、遠くだけを見て渡るタイミングを待っています。自分を避けるのは車の方だと思っているのか、それともそれすら考えていないのか、全く見ないのです。車に乗っている側からそういう人を邪魔だからと睨み付けても一切目を合わせません。
横断歩道を渡る時も同じです。喋りながらダラダラ渡って信号が赤になってもまだノロノロ歩いている人がいます。速く歩け!とばかりにクラクションを鳴らしても、そして睨み付けても、一切目を合わせません。
遠くの人と会話をする時なども同じです。(日本人的常識からみると)異常に大きな声で遠くの人と唾を飛ばしながら話をして、その間にいる人のことは全く気にしない人がいます。私などは目の前でこれをやられるとイラッとするので睨み付けるのですが、一切目を合わせません。地下鉄への乗車も同じ。我先に入る人、出る人、前の人の邪魔になろうがぶつかろうが全く気にせずグイグイ進む、一切目を合わせません。
自分と自分が関係する人以外は存在しないかのように全く目を合わせない、これは当時の私にとっては衝撃でした。人の迷惑を全く考えないのか、そもそも誰も迷惑だと思わないのか、どちらかというと後者だったのでしょう。日本のマナーの常識で生きてきた私としては、怒りを通り越して呆れ、こういう人たちは全く違う生き物だと考えるようになりました。そうでもしないと理解できない現象だったのです。
現在は中国人のマナーは日に日に向上しています。横断歩道を渡っている人が左折車が待っているからと小走りに急いで渡っていく女子学生の姿などを見ると、昔を知る私などは今でも驚きます。ただ、今でも特に年配の人には「一切目を合せない」人もいます。マナー向上への過渡期なのだろうと思います。
香港人と中国人はこんなに違う。マナーのない中国人と礼儀正しい香港人?10分で読めるシリーズ
中国に行く日本人の間でよく話題になることの一つに中国人の開けっぴろげな行動や服装があります。日本的感覚では違和感を感じることがしばしばあります。社会の発展に伴って身だしなみの意識やファッションセンスが大きく進化して以前ほどではなくなりましたが、今でもアレ?と思うことはあります。
個人的に最も違和感を覚えるのはパジャマで出歩く姿です。以前いた長春は、部屋に風呂やシャワーがない部屋も多く、近所の銭湯に行く人が多い街だったので、洗面器を持った人たちがパジャマで銭湯に向かう姿をよく見かけました。その延長なのか、近所にちょっとした買い物に行く際にパジャマのまま外出する人もたくさんいました。地域性なのか時代が変わったからなのか分かりませんが、移り住んだ南京ではパジャマウオークの人は少なかったですが、それでもたまに見かけます。特に大学に行くとパジャマ姿で構内の共同浴場に向かう若い女性を見て驚きます。大学生たちは基本校内の学生寮に相部屋で暮らしていて風呂は共同の大浴場が多いようです。
その他、スカートが超ミニだったりおへそを出すファッションが多いなど、女性の露出は日本人より多いと思います。しかも若い人だけではなく中高年の女性もそういうファッションを楽しんでいます。女性のファッションについては欧米の暖かい地域でも露出が多いので、日本のファッションが保守的なのかもしれません。
そんな光景にも慣れてくるもので、今では頭上に干されたカラフルな下着がヒラヒラ舞う道で元気にしゃべる超ミニのおばさんたちを見ても、違和感を感じなくなりました。
近年のAI技術の進展は目覚ましく、自動翻訳も大いに進歩して、中国などでは公務でのコミュニケーションにも利用されるようになってきました。AIはディープラーニングの機能によって、これからも飛躍的に精度が上がっていくのだろうと思います。しかし、コミュニケーションの主体が人間である限り、人間が最終確認をすべきだと思います。その際にはやはり語学力が必要になってきます。コミュニケーションの主体が人間と同化したAIになればもはや人間の確認は不要でしょうが、この時には言語に依存しないコミュニケーションが可能になっている気がします。
目的の外国語を全然知らない人は自動翻訳で文字が対象言語のものに変わっていたら、内容の確認もせす(できず)そのまま使用したりします。中国の古い観光地に残っているおかしな日本語はだいたいこの経緯で生み出されていると思います。日本にあるおかしな中国語もしかりです。私は中国語の中級者で自動翻訳も使いますが、まだまだ言いたいことを正確に表現するのは難しく、自動翻訳のアウトプットを参考にしつつ手直しをして使っています。逆に自分が知らない用語や言い回しを提示されて勉強になることもしばしばあります。
最終的なアウトプットは自分で確認する必要があります。完璧にマスターしていなくても、まあだいたいこんなものか、くらいの良否判断ができれば確認はできます。自動翻訳への丸投げはひかえましょう。
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Audible (オーディブル) – 本を聴くAmazonのサービス
最近はTwitterやInstagramで中国語の表現などを定期的に発信して下さる人が沢山います。私はInstagramのアカウントを中国語などの欲しいものだけに限定した情報収集ツールにしているのですが、これがとても便利です。
中国語関連であれば関連するアカウントを検索して一旦複数名をフォローします。その方々の投稿を見ながら自分にとって有用ではないものを外していき、有用なものだけにします。そうすれば大量の投稿を懸命にスクロールすることなく、欲しい情報を簡単にチェックできます。
中にはとても洗練された内容を発信される方もいて感心します。SNSで定期発信する都合上、あまり込み入った内容は難しいからだと思うのですが、「生きた中国語」とか「本当に役立つ中国語」といったタイトルで一言表現を発信されている方が多いです。私は通勤時の日課にして毎日チェックしますが、面白い、役に立つ表現を見付けるとすぐに使ってみています。
携帯一つで空き時間に気軽に中国語表現力を伸ばせる、とても良い方法だと思います。
新型コロナ後の操業再開で中国の自動車市場が急ピッチで回復しています。3月4月と販売台数は伸び、5月には新車販売台数が前年同月の水準に迫り、中古車販売台数は前年同月を上回る可能性があるそうです。その中でも日本車、特にトヨタの人気が高まってきているそうです。
中国メディア・東方網の記事によると、安全基準を満たした上での軽量化(=燃費向上)などの性能面での優位性の他に、長年の地道な取り組みで培われた確かな品質とその信頼性があるということでした。トヨタの品質への取り組み目には見えないですが中国人の間では大量の口コミで蓄積されていて、多くの人が安心してトヨタの車を購入する流れに繋がっているそうです。そんな基盤が出来上がっているので中古値崩れもトヨタが最も小さく、更に愛されることに繋がっているそうです。
トヨタを代表する日本の自動車会社は、中国が自動車ビジネスに挑戦を始めた最初の時期に、中国市場への参入を躊躇ったために、躊躇わなかったドイツ、その後に入ったアメリカの会社に大きく出遅れました。それから約40年、地道な活動を続けてようやく中国市場で確固たるポジションを占めるようになってきました。あまりにも日本的なところが微笑ましく、日本人にとっては嬉しいことです。
トヨタはBYDと組んでEVの中国生産も開始することにしています。中国で愛される日本のブランドは他の国に比べてまだまだ少ないですが、トヨタや他の自動車会社、製造会社も、日本らしい誠実・真摯な取り組みを粘り強く続けて、中国の人たちの信頼を得ていって欲しいものです。
2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路 (PHPビジネス新書)
2020年8月現在、日本では新型コロナ感染者が増え続ける中、経済活性化のために政府主導でGoToトラベルキャンペーンを実施しています。一方中国では新規感染を厳しく管理しており、ある都市で新規感染が発生したら立ち入り制限がかかり、その都市から来た人は14日間隔離です。個人が健康申告をしてQRコードを取得していてそれを示さないと移動もできません。
そんな中で出向業務を終えて帰国する私に多くの中国人の同僚が声をかけてくれました。「任期を延長した方が良いのではないですか?」と。日本の新型コロナの無管理状態を危惧してのアドバイスです。
日本が春先に新型コロナを抑え込んだ際には「さすがは衛生観念の優れた日本だ」と称賛されたものです。私も日本人として鼻高々でした。社団法人が送った支援物資の段ボールに書いた漢詩「山川異域風月同天」は中国人に広く知れ渡っており、中国が苦しい時に一番支援してくれたのは日本、日本が苦しくなったら中国が支援するという風潮が生まれました。中国からも大量のマスクなどが送られました。
しかし今は空気が変わってしまっていると感じます。新規感染者が増え続ける中でも政府が旅行を奨励して国民がそれに応じる、中国的感覚では正気の沙汰ではなく、理解できません。他人の面子を重んじる中国人、日本人の私に面と向かって日本の批判はしませんが、「日本人は怖くないのですか?」と日本人の友人が多い中国人から遠慮がちに言われた時には、やるせない気持ちになりました。
東京オリンピックも来年に控える日本。短期集中で真剣に対策して実績をあげ、世界に範を示す時なのではないのでしょうか?
新型コロナ対策の14日間の隔離を中国と日本で経験しましたがその違いも感染抑制の差に繋がっていることが分かります。中国の隔離は完全管理、日本の隔離は性善説に基いた自主管理といえます。そして結果からみると感染者は中国は抑制できており日本はできていません。
入国時にPCR検査を実施して陽性だったら政府指定の病院に移送することは中国も日本も同じです。違いは陰性だった場合の隔離です。
隔離場所は、中国は地方政府指定のホテルです。ホテルへの移動も政府が手配したバスでまとめて運びます。部屋からは一歩も出られずドアを開けて良いのは食事の受け取りや検査の際だけです。対して日本は自己手配ホテルもしくは自宅での自主隔離です。移動は「公共の交通機関を使わないこと」が決められているだけでその管理もサポートもありません。そして隔離中の外出が、自粛の要請はありますが可能です。
検査は、中国では隔離場所に入ってからPCRを一回、隔離中に血液検査を一回(行政区により違いがあるらしい)、隔離終盤にPCRを一回やります。体温チェックは毎日です。日本では空港で入国前にPCRを一回、その後は政府機関による健康状態のアンケートです。
隔離解除の判断は、中国では医師が立ち会ってPCRと血液検査、体温測定の結果と当日の体調確認の上で行います。日本では個人の判断で、14日間経過して体調不良がなくなったら自分の判断で解除します。
中国では2週間完全に隔離してクリーンになったことが確認されてから社会生活に入っているといえます。外国からの流入は理論上はシャットアウトしているといえるでしょう。中国の全体主義的管理の是非が議論されますが、新型コロナの外国流入から国民の命を守ることについては素晴らしい管理をしているといえると思います。
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