自分自身が中国語をマスターするに越したことはないのですが、ビジネスで使えるレベルにまで完璧にマスターするのは難しく、通訳を挟むのが無難です。通訳を選ぶ際のポイントは業務に精通している人を選ぶことです。業務の知見が多く、語学力が高い人が理想ですが、両立した人がいない場合は語学力より業務の知見を優先すべきだと思います。最近は中国でも日本語を学ぶ人が増えていますが、日本語が好きなだけの人と日本語を使って仕事のスキルを身に付けようとしている人では業務のコミュニケーションに対する真剣さや向上意欲が全く異なります。通訳を選ぶ機会があるのなら必ず面接をして業務そのものに対する意欲の程度を見極めたいところです。
通訳を固定することも大切です。通訳が変わったら前回話したことを知らないので誤った伝え方をするリスクがあります。通訳を固定したら前回のコミュニケーション結果や知見はその通訳に蓄積していくので、積み上げの正確なコミュニケーションができますし、何よりその通訳の育成に繋がり、通訳の役目を超えたスタッフ業務ができるように成長していきます。部門スタッフより経験の長い通訳の方が業務に詳しくなるのはよくあるケースです。
その他、日本人と中国人のコミュニケーションスタイルの違いを理解して適切につなぐことができること、どちらかの味方になるのではなく中立性を保てることなどが重要な要素です。
通訳にはバッファー役の機能もあります。利害が相反する場面では発言が感情的になりがちですが、気の利いた通訳は議論を阻害する不要な感情的な言葉をさりげなくカットしてくれます。あるいはセンシティブな話で双方の納得が得られなかった場合に意図が伝わらなかったのを通訳のせいにして当事者同士の関係は良好に保つようなことにも使えます。もちろん通訳が自社のスタッフである場合はやるべきではありませんが。
一方、自分自身もある程度は中国語を学習して通訳が誤った翻訳をしていないかチェックできるようになるべきです。完全に通訳任せにしていると思わぬ誤解が生じている場合に気が付かず、重大な問題に発展してしまうようなこともあり得ますので要注意です。