ビジネスコンプライアンス遵守の難しさ〜 慣習を理解して柔軟に

近年はビジネスコンプライアンスの意識が高まり接待や贈答を正当なビジネス判断を阻害するものとして禁止する企業が増えてきました。日本でもお中元やお歳暮の習慣が残っていますが、中国では接待贈答が礼儀やコミュニケーション手法として根付いていますので、禁止するのはなかなか難しいです。

多くの中国人にとって接待贈答はお世話になっている人へのお礼であり、お礼を欠くと礼儀知らずということになります。だからサプライヤーを訪問したら必ず食事や宴会に誘われますし去り際にはお土産を持たせてくれようとします。これを断るのは容易ではなく、ルールなのでと辞退しても聞き入れてくれませんし割り勘を申し出ても受け取ってもらえません。あまりに固辞していると気分を害されて関係がギクシャクする場合すらあります。

職場でも部下が上司に奢るのが当たり前で、日本とは逆なので面食らいます。こちらが奢ろうとしてもなかなか出させてくれません。また、友人関係でも割り勘は敬遠されます。奢られたらそれを覚えておいて次回は奢る。それによって友人関係を続けるような意味合いがあるので、割り勘にしてしまうとその場で関係も精算してしまうような感じを受けるようです。

そういう文化であり習慣なので、その中にあってはビジネスモラルは守りながらも相手の気持ちを考えたある程度柔軟な対応が必要です。賄賂ととられかねないような豪華なものは論外として、一緒に食事をするなどは奢ってもらったら次は必ず奢るなど、対応を工夫するのが良いと思います。

ただ、最近は中央政府の接待贈答が抑制政策もあって変わってきました。若い人を中心に割り勘も徐々に増えてきました。今後はビジネスモラルと習慣の狭間で悩むようなことは減ってくると思います。

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