HSK6級の合格点レベルに達した同僚がこれをやっていました。出勤車の中でも散歩中でも目に付いた文章や単語を片っ端からノートに書いていき、それを口に出してブツブツつぶやき続けるのです。彼は徹底していて、人と会話をする時以外はずっとではないかと思うくらい延々と、そして結構大きな声でブツブツ言っていました。また、会話をしたらネイティブが言った言葉をメモしてブツブツ繰り返していました。私はどちらかというと多くの日本人と同じく「読む書く」から勉強していったクチですが、彼は「聞く話す」から取り組みました。元々日本語でもマシンガンのように早口で大量の言葉を発信する人なので、「聞く話す」の方が得意で好きなのでしょう。そのため、仕事でのコミュニケーションを中国語オンリーでやり出したのは私よりずっと早かったです。口に出して耳で聞くというのはやはり記憶の定着に効果があるのだと思います。ただ、流暢に話しているのに漢字は知らないという言葉も多く、「『怎么样』ってそんなふうに書くんだね。知らなかった」などと言って周囲を驚かせたりしていました。
このようにかなり効果が期待できるつぶやき戦法ですが、彼と同じレベルでやるのはなかなか難しいかもしれません。四六時中大きな声でブツブツ言うのはやはり異様ですし、それを他人に聞かれるのは少々恥ずかしいです。彼は周囲にどう思われようが全く気にしない人でしたが、私には正直抵抗があるなと思いました。小さな声で記憶に残したい言葉だけでも良いと思います。ちょっと口に出してみるだけでも効果が期待できると思います。
中国語では「どうせ通じないから話す気になれない」つまり、発音の難しさが話せない理由である人がとても多いと思います。中国語には音のバラエティーが多く、拼音をきちんと使えないと伝えるのは本当に難しいです。知っている言葉でも口に出すと全く通じない。しかもどういうわけか、中国人は他の国の人に比べて、なんとか近い発音で話しているつもりでもその努力?を汲んで理解しようとしてくれる人が少ないです。「だいたい分かったからいいか」「たぶんこう言いたいのだな」というふうに、推測しながら会話を進めることをあまりしてくれません。その挙句に、中国人が聞き取れない時に発する「ああー?」というぶっきらぼうな口調や「チッ」というイラっとした舌打ち(日本人にはそう感じる)で凹んでしまい、二度と話したくなくなる人が大勢います。
しかし難しいといっても通じる言葉もたくさんあるわけで、通じる言葉だけを使って話すことでなんとか会話は成り立ちます。まずは単語の羅列でもなんでも良いのでとにかく会話をして慣れていく。そして並行して難しい言葉を練習して、マスターできれば加える、マスターできなければ使用せず練習を続ければな良いのです。とにかく会話をすることが重要です。
日本人が苦手なのは「日本人」「可乐(コーラ)」「去/就」などです。私は未だに中国人から「あなたは日本人なのに『日本人』の発音が下手だね」とからかわれますし、飛行機内でコーラを注文するとコーヒー(甘いミルク入りの)が出てきたりするので、自分が克服できている訳ではないということをお断りしておきます。それでも気にせずどんどん話しているうちに慣れてくるもので、苦手な単語をネイティブに聞いてもらいながら直す努力をしています。因みに、私が中国語会話で一番凹むのが、一所懸命に中国語で話しかけているのに相手から「Sorry,I cannot speak Japanese.」などと英語で返されることです。悔しいので「I am speaking Chinese.」と言うと「えっ⁉︎」というなんとも申し訳ないような顔をされてまた凹みます。中国語では、まず相手に中国語を話しているのだと認識してもらうまでに高い高い壁があります。それをようやく乗り越えてなんとか中国語を話していると分かってもらえても、流暢な日本語で「日本語で大丈夫ですよ」返されたりするのもガッカリします。中国語発音マスターへの道は険しいです。しかし凹んでいる場合ではありません。
日本人は恥の文化や暗記100点を目指す教育のためなのか、会話に消極的な人が多いです。ちゃんとできないと恥ずかしくて話せないという感じです。一方、多くの他の国の人たちは大して上手くもないのに間違いを気にせずどんどん話します。彼らは漢字の習得に時間がかかるので、会話から入らざるを得ないという事情もあります。日本人と違って見た目が明らかに中国人と違う外国人なので、そもそも下手で当たり前と認識されることが積極性に良い方向に影響しているということもあると思います。日本人が読み書きの習得が早いのに対して、彼らは会話の習得が非常に早いです。言語学習、特に会話はスポーツに似ています。「喋る聞く」の技能を伸ばしていくことが大切で、技能を伸ばすには繰り返し練習するのが一番です。使える言葉、単語の羅列からでいいので、どんどん会話をしていきましょう。
私は中国語の学習を始めてかなり時間が経ちますが、未だに始めて会った人の言葉が聞き取れないことが度々あります。一方で特定の人とコミュニケーションが深まってくると、同じ言葉でもその人の口から出たものなら聞き取れたりします。単純にその人の発音や思考方法に慣れるからだと思うのですが、この現象は私が勉強してきた英語やスペイン語に比べて中国語が明らかに顕著です。中国語は音のバラエティーが多く、発信する音の個人差も大きいからだろうと推測します。(ただ、深く付き合っても仲良くなっているのにどうしても聞き取れない人もいます。その人が重慶弁であるというのが原因の一つですが、他の人の重慶弁は分かるので、本当に不思議です。)
そこで私は、不特定多数の人の言葉を漫然と聞くのではなく、特定の人と集中的にコミュニケーションをして、自分の会話力と「分かる感」を高めてそれを拡大していく方法をとっています。まずは聞き取れる人を対象に会話を深め、気になる言い回しは後から文字で確認し、同じ言葉を他の人がどういう言い方をするか聞いてみるという具合です。
その「特定の人」としては、中国語の先生、会社のドライバーさん、職場の同僚など数名をターゲットとして勝手に設定しています。それ以外の人と話をしないという訳ではないですが、他の人の言うことは聞き取れなくても割り切って聞き流すようにしています。一方ターゲットとの会話では、聞き取れない言葉があったらとことん聞いて完全に理解するようにしています。もちろん「リスニング」で紹介した「録音して聞く」手法もこのターゲットの方にお願いします。
ターゲットの対象としては、会話する機会が多い人なら誰でも良いですが、やっぱり自分が好きな人が楽しくていいです。嫌いな人だと苦行になり続きません。そして、できるだけ方言が少ない人がいいと思います。方言は慣れてうつってしまうからです。私の周囲の日本人で慣れてしまって南京弁になってしまっている人もいます。それと当たり前ですがあまり寡黙な人とは会話が盛り上がらないので、おしゃべりが好きな人が望ましいです。私の中国語の先生に絶え間なく喋り続ける人がいましたが、その方とは会話というよりはむしろリスニングの訓練でした。
この方法を続けてターゲットを少しずつ拡大していけば、いずれは誰とでも会話できるようになるはず!と気の長い計画を進めています。人によって意識して聞くか聞かないかというだけの話ですが、かなり効果的なのでお勧めします。
これができたら学習効果は抜群だと思います。中国人はひとなつっこい人が多いのですぐに打ち解けてくれます。そこまでは良いのですが、初心者から私くらいまでのレベルでは、本当の意味で友人を作って交流するのは非常に難しいと言わざるを得ません。
というのが、中国語初心者レベルの日本人との会話に付き合ってくれるネイティブは、ほとんどが日本に興味を持っていて日本語が話せる人です。中国語で会話を始めても次第にこちらの下手さに我慢できなくなり、知らぬ間に日本語に切り替えられてしまいます。HSK6級ギリ合格点レベルだと中国語で会話してはくれますが、相手の言うことは聞き取れてもこちらからうまく発信ができないので話が弾まず、すぐに終わってしまいます。あるいは酒を飲むと酔いで気持ちがほぐれて何やらベラベラ会話ができたりします。「飲んだらしゃべれる」という人は多いですよね。でも実際には酔っているので言っていることはメチャクチャ、相手も酔っているのでノリで合わせているだけだし、記憶に残っていないことも多いです。とても進歩したといえるものではありません。シラフでも低レベルの中国語会話に辛抱強く付き合ってくれる優しいネイティブの友達を探すしかありません。
また、本当にできるようになるには日本語を介さずに中国語で考えられるようになる必要があります。中国人の奥さんがいる人から、日常生活を共にして喜怒哀楽を共有するくらいまでしないとこのレベルには行き着けないと聞きました。その方は夢も中国語でみることが多いそうです。私レベルだと夢で中国人の知人が出てきたら中国語を話すことがありますが、中国語でみているわけではなくあくまで日本語ベースの夢に中国語が出てくるというだけです。生活を共にするというのは独身の方なら中国人の友達と一緒に住んだりして可能かもしれませんが、既婚者には難しいですね。
英語などを共通言語にして非ネイティブの外国人と会話してコミュニケーションができた喜びを感じた人は多いと思います。下手ですが互いの知っている言葉を駆使し探りながら、何とか意思疎通ができた時は大変嬉しく、大仕事を互いに協力して成功させたかのような達成感があって大いに盛り上がります。私も英語が下手な頃に(今でも決して上手いとは言えませんが)同じく英語が下手な台湾やマレーシア、インドネシア、コロンビアなどの人たちと交流してとても楽しかった経験があります。
もちろん中国語でも同じことが起こり得ます。知人が中国の大学で留学生向けの中国語講義を履修していました。その人の誕生会に参加させてもらった時のこと、アメリカ人、フランス人、チリ人、オーストラリア人、カザフスタン人、日本人らいろんな国籍のクラスメイトたちがいたのですが、みんなが下手な中国語を駆使してキャッキャとはしゃぎながら会話していました。もはや中国語には聞こえないようなブロークンでシンプルなものでしたが、多国籍のメンバーの共通語としてしっかり機能していました。非ネイティブの集まりだと誰も中国語が完璧ではないので、間違いを気にする必要がない(恥ずかしくない)こともあって積極的になれるようでした。その交流レベルの高さ、盛り上がり様にすっかり感心してしまいました。
やはり言語というのは英語であろうが中国語であろうがコミュニケーションツール、下手でもなんでもとにかく使って意思疎通をすることが大切なのだと改めて認識した出来事でした。中国語は東南アジアなどでも広く使われているので、中華圏以外でも使える場所が多いと思います。積極的に使って中国語学習のモチベーションを高めていきましょう。英語のTOEIC検定では、近年は英語の共通語としての機能に着目して、リスニング問題にネイティブ以外の人の会話も取り上げられるようになっていると聞きます。中国のグローバルでの影響力が拡大していくにつれ、中国語も同様に共通語としての重要性が高まると思いますので、将来はHSKでもそういった考え方が取り入れられるかもしれません。
ただ、非ネイティブとの会話は、文法も発音も気にせず「通じればそれで良い」やり方なので、間違った使い方がそのまま定着してしまうリスクがあります。事実、私の知人は中国人の友人から「日本人なのになぜ欧米訛りの中国語を話してるの?」と言われ続けていました。クラスメートの欧米訛りがうつってしまったのです。かなり苦労して矯正していましたが、未だに欧米訛りは抜けていないようです。ブロークンチャイニーズでの会話を楽しむのと並行して、正確な中国語の学習を進めることをお勧めします。
初心者から中級者レベルの方で日本にいて勉強するなら、これに勝るものはないと思います。私は基本的に中国でしか勉強できていないのでテレビ学習を実践しているとはいえないのですが、録画をして帰国した際にまとめて見たりしています。基本的な会話から始まってある程度の意思の疎通ができるレベルまでがカバーしている範囲のようですが、内容は非常に充実していて、ネイティブと日本人が出てきて用語や文章の意味、発音、応用練習などをきめ細かに説明します。日本人が間違えやすい表現や発音なども丁寧に解説してくれます。これをキッチリとやり切ればかなり実力がつくものと思われます。
ただ、難しいのはやっぱり継続することだと思います。1週間ごとなので意外と間延び感があってやる気の維持が難しいですし、飲み会などの予定が入って見られないこともあります。また、一人でやるので強制力が働かず、学習意欲が下がってくるとなんとなくやめてしまったりします。そこで提案したいのが撮り溜めしておいて適度に数回分をまとめて見るやり方です。1回30分なので4回分をまとめて2時間で見るくらいが丁度いいのではないかと思います。休日の午前中など自分の時間が取りやすい時間帯を決めて週末のイベントにしてしまうのです。そうすると外乱が入り難く、ある程度習慣付けて実施できるので続け易いと思います。私の場合は意図せずそういう状態になっている訳ですが、まとめて集中学習する方が効果的だと認識しています。
出演者にイケメンや美女が多いのも魅力の一つです。出演者のファンになってモチベーションを向上しましょう!
みんな考えてみるけど実際にはやらないことの一つに、中国語と英語を同時に学ぶというのがあると思います。実際中英日を併記した単語帳などもあるのでそういうニーズはあるのでしょう。
私は経験ないのですが知人で実際にやってみた人がいました。仕事で中国に出向している時に中国の英語学校へ行って勉強したのです。先生が英語を説明する際に同じ意味の中国語の単語や文章を使うので、両方丸覚えしたら効率的だと考えたそうです。結論からいうとあまりうまくいかなかったようです。
まず英語も中国語も分からないのだから中国語を英語で説明されても分からない。当たり前ですが彼はなんとかなると思っていたようです。そしてこれも当たり前ですが覚える量が二倍になるのでかなり大変で、次第にやる気が失せてしまいます。そして同時に覚えられるのは共通性の高い名詞を中心とした単語とごく単純な文章だけで、ある程度意味を持つ文章になると文の構成や文法が異なるので難しいです。そして何より、日本人には中国語と英語を切り替えながら使って覚えていくというのは想像以上に難しいです。頭が中国語モードになっている時に英語で話しかけられたらうまく言葉が出てこないという経験をした人は多いと思います。よほど頭のキレがいい人でないと難しいと思います。
知人はしばらくはなんとか続けていたようですが、結局数ヶ月で止めました。
やってみようかと考えている方、あなたが「たぶんこういうことになるだろうな」と想像する通りになることはほぼ間違いないので、別の方法を採ることをお勧めします。
マルチリンガル教育への招待―言語資源としての外国人・日本人年少者
これは工夫というか必ずやるべきことです。学習が進んでくるとネイティブと楽しく会話ができるようになりますが、もちろん全て正しく話せている訳はなく、伝えることを最優先に適当に言葉を繋いで話している場合があります。聞き手の方も相手の言いたいことが分かればとりあえずそれでいいので会話はそのまま流れていきます。この状態では話し手の方は意思疎通ができたことに満足しますが、自分の中国語の間違いに気付くことはありません。他の国の人との会話でもあり得ることですが、特に中国人は相手の面子を大切にしますので、相手の間違いを殊更に指摘することはほとんどありません。だからあえて間違いを指摘してもらうことが必要なのです。
お願いするのは親しい人数人でいいと思います。多いと話すたびにいちいち間違いを指摘されて、自分の能力のなさにがっかりして凹んでしまったりします。私は一時期それで軽い対人恐怖症になり言葉が全く出てこなくなってしまったことがあります。
そして指摘してもらったら、なぜ間違いなのかを教えてもらい、それを記録しておくことが大切です。きちんと納得して印象付けることで一度で覚えてしまいます。これをやらないと同じ間違いを何度も繰り返します。もちろん繰り返して覚えても良いのですが、指摘する側にとっては簡単なことなので、一度言って覚えていなければ相手が自分の指摘を軽視していると感じて、その後指摘するのをやめてしまう可能性があります。一度で覚えるというのは教えてくれる人への礼儀です。しっかり覚えましょう。
間違い事例集は個人の学習の宝、ノウハウの塊です。どんどん話して指摘してもらい、知識を蓄積していきましょう。
ネイティブの友達ができたらグループ学習をするのがお勧めです。得るばかりではなく与えるものもないとグループ学習は成り立たないので、日本語を勉強したいと思っているネイティブを見付けて一緒にやるのが良いです。日本のアニメ人気もあって日本語を勉強したいという人はたくさんいます。しかし学習のパートナーとしては真剣に日本語を学びたいと考えている人と組むことをお勧めします。軽い気持ちの人だと実際始めてみると長続きしません。日本に留学したいとか日系企業に就職したいとか具体的な目的を持っている人が最適です。見付けるのは難しいですが必ずいるので、しっかり吟味されることをお勧めします。
グループ学習のメリットはなんと言っても生きた中国語を学べることです。あの人があの場所でこういうふうに言ったというのが強く印象に残ってしっかりと覚えられます。私の知人で、日本人二人、中国人二人でグループ学習をしていた人の体験談を聞きました。マクドナルドやスターバックスに集まって中国語を一時間、日本語を一時間みたいなやり方で相互勉強をしたそうですが、他のお客さんがうるさくて彼女が「太闹了」と言ったとか、喋り続けて疲れて「饿死了」と言ったとか、その場面をセリフを含めて完全に覚えているそうです。こういった記憶はその人の記憶と共に消えることなく残りますので、学習効率が非常に高いと思います。
そして何より、一生続く友達関係が築けたらその人の存在自体が中国語学習のモチベーションになりますし、自分の人生を豊かにしてくれます。中国語学習を通して友達ができるというのは素晴らしいことです。グループ学習、是非試してみて下さい。
自宅や教室でテスト勉強はできますが生きた中国語を使えるようになるためにはやはり実践経験が欠かせません。初心者の頃ですが、野外活動に参加することで会話が楽しくなり自信がついた経験があります。いろいろやりましたが私に場合はウオーキング大会が最も楽しかったです。会社の中国人の友人に誘われて湖の周りを歩くもので確か2時間コースと4時間コースがあったと思います。その4時間コースに参加しました。たくさんの人が参加する大会でしたのでワイワイ賑やかで、同じペースで歩く人と自然とおしゃべりをしながら歩きました。どこから来たの?とか、まだ着かないねとかの簡単な会話ですが、4時間歩きながら中国語だけでいろんな人と話をすると、頭が完全に中国語仕様に切り替わって言葉がスラスラ出てくるようになりました。その湖の歴史を教えてもらったり、勧められて水分補給にキュウリ🥒を買ってみたりと、中国語を使って楽しむ初めての経験になりました。
中国にもこういったウオーキング大会やマラソン大会(真剣に走る人は会話はできませんが)、果物狩りなどたくさんの野外活動があります。ちょっと過激なものでは真人CSというバトルゲームなども盛んです。中国人の友人から誘われることもあると思うので、積極的に参加して楽しく中国語を使っていきましょう。
中国語が少しでき始めたくらいの方に特にお勧めの方法です。覚えた中国語で実際にコミュニケーションができ始めるのはとても楽しい経験です。その実践の機会としてお勧めするのがマッサージです。以前より減った気がしますが中国にはマッサージ屋さんがたくさんあります。足ツボ30分や全身2時間などいろんなメニューがあって自分の好みで選べますし、結構安いので気軽に行くことができます。マッサージはネイティブ一人を一定時間占有できる状態になるので会話の練習にもってこい、落ち着いてじっくり話ができるいい機会なのです。マッサージ師さん側も施術以外は暇なので、どこから来たの?仕事は何してるの?と話しかけてくれる人もいます。特に外国人だと面白がってあれやこれや聞いてきてくれます。中国語を勉強中だと伝えるとさらに面白がって、教えてあげるってことで話が弾んだりもします。
ネイティブと交流する方法は他にもいろいろ試しました。飲み屋でお姉さんと話す、これはアルコールが入って饒舌になるので会話が弾む気がしますが、酔っ払っているので頭に残らない、日本語を話す人が多く会話が知らぬ間に日本語だけになる、そして何より値段が高いのでそう何度も気軽に行けるものでもありません。この「夜の学習」で習得すると豪語する方はたくさんいますが、実際に習得している方に私は会ったことがありません。散髪屋さんで会話するのも試しました。マッサージと同じようにネイティブを占有はできますが、なにぶん時間が短く(特に私の超シンプルな髪型の場合)、且つ細部の仕上げなど集中するプロセスが多いので、話はあまり弾みません。公園で暇そうなご老人を見付けて話すなんてこともやってみましたが、方言がキツイ人が多くて分かり難く会話が弾みませんでした。それら様々なトライアルの結果、私の中ではマッサージがベストという結論に行き着いています。
マッサージ会話を成功させるために注意すべきことが二つあります。一つ目は「相手を選ぶ」ことです。マッサージ師さんにも方言がキツくて普通话をうまく話せない人がいます。自分が会話ができる人を見付けたら名前や番号を聞いておいて次回も指名するのが良いでしょう。二つ目は「寝落ち」です。揉んでもらうと気持ちが良くて気を許すと寝てしまいます。私などは足を触られるだけで強烈な眠気が襲ってくるタイプなので、最初に足を触られて寝落ちしてそのまま終わって起こされるということが何度もありました。会話の練習のために気持ち良さに耐えて(?)眠気と戦うことをお勧めします。
知人の中に中国人の対応に気持ちが凹んでしまって会話する気がなくなってしまっている人がたくさんいます。日本で少し中国語を勉強して、中国人と交流することを楽しみにしてやってきた人に多いように思います。逆に中国に何の期待もせずに来た人には少ないように思います。元々の期待値に対する実際とのギャップが大きいほどガッカリする度合いが大きいということだと思います。
中国人と接した経験が多い方には分かると思いますが、日本人的感覚で中国人に接すると、もちろん人にもよりますが、粗暴、ぶっきらぼう、不親切等々のあまり好ましくない印象を受けます。例えば中国人は会話の中で相手が何を言おうとしているか推測して理解しようとしてくれる人が少ないです。私は中国の前は南米(コロンビアやエクアドル、ベネズエラなど)で仕事をしていましたが、南米の人たちはこちらが下手なスペイン語で話してもなんとか聞き取ろうとし、聞き取れなかったら質問して理解しようとしてくれます。しかし中国人は聞いた言葉が分からなければそのまま放置する人が多いです。仮に問い直してくれても「ああーっ?(2声)」と日本でいえばDQNのお兄ちゃんが因縁をつけるような声で反応されたり、こちらが分からなかったら「ちっ!」と舌打ちされたりします。また、意にそぐわないことには遠慮なく「不是!」と言いますし自分の要求を述べて相手が反応しなかったら(できなかったら)勝手にYesだと判断されます。朝の挨拶も帰りの挨拶もほとんどありません。笑顔も少ないし、日本人がお礼を言う場面でお礼を言う人は少数です。南米の人なら人に会うとニコニコ笑顔で握手して長々と挨拶してハグして女性なら頬にキス。私は仕事が変わった当初はこの南米と中国の大きな大きなギャップに苦しんだものです。
ただ、当たり前ですが当の中国人たちはそれらを悪気があってやっているのではありません。それが彼らのコミュニケーションスタイルだということです。良いも悪いもなく、日本人とは違うというだけなのです。むしろ国際標準でみると例えば日本人は明らかに遠慮し過ぎだしお礼の挨拶も多過ぎだと思います。「日本人はちょっとしたことですぐにお礼を言うので軽々しく感じる。本当に感謝しているのかどうか分からない」という中国人がたくさんいます。そして中国人のマナーや社会的道徳意識はすごい速さで成熟に向かっており、若い世代の人などには日本人よりずっと親切で優しい人がたくさんいます。個人的には日本が見習わなければならない日が来るのも近いと思っています。
互いに違いを認識すれば深い交流ができるはず、本来は何でもない違いが起因して凹んでしまってそれっきり交流しないのは残念なことです。楽しく朗らかにどんどん交流していきましょう!
というような話を、広州に5年間駐在して中国語はかなり上手いのに引きこもりだという人にしたことがあるのですが、「そうでしょうけど、綺麗な女性に例の『ああーっ?(2声)』をやられると心の底から凹みますよ」とコメントされ、「むむむ、確かにそうかも?」と思ってしまいました。私もまだまだ修行が足りません。
仕事などで通訳さんを入れている人限定の工夫にはなりますが、通訳さんが行う日本語と中国語の変換による意思伝達の「変換」に注目して「自分の日本語を中国語にどう変換しているか/相手の中国語を日本語にどう変換しているか」をしっかり確認するというものです。具体的には、例えば会議などで自分が日本語で話すと通訳さんが中国語に変換して相手に伝えますので、その際になんと言っているかしっかり聞いて重要なものは書き留めて覚えます。資料の翻訳でも同じで、自分の日本語がどんな中国語になっているか、キーワードや重要な文章だけでも抜粋して覚えます。自分がよく使う言葉の中国語での言い方が分かるということなので自分にとっては活用し易く、表現の幅が広がります。徹底してやれば表現力はかなり上がると思います。逆もまた然りで、中国語がどう日本語に変換されるか確認することで表現を学びます。
いくつか留意点があります。まずはレベルが高い通訳さんを選んで実施することです。通訳さんの中にはレベルの低い人もいます。なんちゃって通訳さんが間違った通訳をしているケースも多々あります。こういう人の変換結果を丸覚えしてしまうととんでもないことになってしまいます。通訳さんのレベルを見極めるのは中国語が分からないうちは難しいですが、日本語でしばらく話してみて怪しいなと感じる人はまずダメです。そして会議をしても話が噛み合わないことが多々ある人、通訳さんが原因ではないかもしれませんがやめておくのが無難でしょう。
留意点二つ目は、重要な会議ではやらないことです。通訳さんの変換を確認したりメモしたりすることに集中し過ぎると相手の反応を確認するのが疎かになります。行き過ぎると相手が何を言ったか聞いていない=全然仕事をしていない、中国語の勉強をしているだけの状態になります。これではさすがにまずいので、自分が余力を持って臨める会議や打ち合わせの際にやるのが良いです。自分ではなく他の人の発言を活用するのも良いでしょう。
通訳さんのその他の活用方法ですが、気の利いた通訳さんは所属する業界の専門用語集を作ったりしているのでそれを提供してもらうのも良いと思います。一般の学習書や辞書には載っていない専門用語が分かります。ただ、通訳さんにとってはこれは自分自身のノウハウ集なので開示したくない人が多いと思います。親しくなって信頼関係ができ上がってから相談すべきと思います。無理強いはいけません。
会話力を鍛えるためにテレビを見るのは効果があると思います。中国では地方ごとの方言差が大きいのでテレビ番組の多くが字幕を付けています。最初のうちは字幕を見ながら、慣れてきたら字幕を見ずに見続けたら、だいたい二か月もしたら簡単なやり取りは聞き取れるようになると思います。ただ問題は私の場合はもともと(日本語でも)テレビがそれほど好きではないこと、ドラマなどの長編をゆっくり見る時間がないことです。いろんな人に楽しい番組を紹介してもらったりしましたがどれも続きませんでした。見たいと思うのはCCTV5のスポーツチャンネルくらいなものです。これはスポーツ観戦なので会話らしいやり取りはほとんどなく会話力の向上には寄与しません。
そこで私は気に入った映画を繰り返し観る方法を採ることにしました。住んでいた東北地方や江南地方に関係がある歴史もの、趣味の武道もの、コメディーものなど、自分自身が何回も見たいと思うものを選んで見続けるようにしました。これがかなり効果的で、気に入ったやり取りは場面ごとセリフを丸覚えすることができます。丸覚えしたセリフは頭の中で日本語を介することなくそのまま使えますので、これが増えていくと会話力はかなり強化されます。
ただ、映画鑑賞も時間がかなりかかりますし家族と趣味が合わない場合は何度も同じものを見ていると嫌われてしまいますので、やはりある程度まとまった一人の時間が確保できる方へのお勧めになるかもしれません。単身赴任の仕事以外にやることがないという方にはお勧めです。
参考までに、私が繰り返し観ている映画を紹介します。ちょっと古いですし日本非公開のものもありますが参考まで。
赤壁(レッドクリフ)/末代皇帝(ラストエンペラー)/辛亥革命/建国大业/南京!南京!/猛龙过江(ドラゴンへの道)/功夫梦(ベストキッド)/功夫/少林足球(少林サッカー)/人再囧途之泰囧人
中国に一定期間滞在した人で特に勉強もしていないのにペラペラ喋る人がいます。耳で聞いた音を状況からどういう意味なのか推測理解してそのまま使う人です。中にはビックリするほど発音がきれいで流暢な人もいます。こういう人は基本的に人と話をするのが好きで間違いなど全然気にせずにひたすらネイティブの口調を真似て話します。リスニング力も抜群に優れています。
そういう人たちがどうしているかというと、例えば仕事では通訳は付けず(社外業務等で通訳が足りずに付けてもらえないケースが多い)基本的にいつも同じパートナーと長時間行動します。仕事はもちろん移動や食事も常に一緒、長い間一緒にいるので単純接触の原理もありとても仲良くなってそのうち二人で飲みに行ったりします。そしてどういう場面で相手がどういうふうに言ったのかを音で丸々暗記します。それを他の人とも繰り返します。意識的に覚えるというのではなく、会話を楽しみながら自然と覚えていっているというのがポイントだと思います。
男性で、バーに飲みに行って女性と話をして覚えるという人もいますが、成果が上がっている人に会ったことはありません。動機が不純だからとかそういう話ではなく、飲み屋で話すというのはアクションが伴わず場所も同じなので印象が乏しく、記憶に残らないのだろうと思います。しかも酔ってますし。ちょっとお高い夜の学校だなんて言いますがコストパフォーマンスが悪過ぎるのでお勧めできません。
音で丸々覚えることのすごさを紹介しましたが問題もあります。音で覚えているだけだと当然読み書きができないのです。ネイティブとペラペラ話す友人が私がメールに書いた 为什么?を見て読み方を教えろというので教えたら「へえ〜 ウェイシェンマってそう書くのか。知らなかった!」と言われ、あんなに上手に話しているのにこんな基本的な漢字も知らないのか!と驚いたことがあります。
音で覚えるというのは非常に効果的だと思いますが、やっぱり覚えた言葉はどう書くのか定期的に書き方を確認して文字として習得していくべきだと思います。
中国人の友人がいる人は一緒にお酒を飲みに行ってみましょう。意外にも会話がはずんで自信がつくことがあります。お酒を飲むと緊張がほぐれて警戒心や羞恥心が抑えられるので自分が知っている言葉がうろ覚えのものも含めてペラペラ口から出てくるようになります。相手の方も交流をしに来てますから能動的に聞き取ろうとし、そして分かる言葉で話そうとしてくれます。その二つの条件が揃ったらビックリするほど会話がはずみます。私の友人も酔ったら中国語をベラベラ喋り出して周囲を驚かせる人がいます。ぜひ試してみて頂きたいです。
注意点は三つあります。
まず一つ目は少人数でやること。人数が多いと他の人とも会話をしないといけないので相手は貴方一人にかまっている訳にはいかなくなります。そうなると上記の二つの条件が揃い難く盛り上がりに欠けることになります。親しい仲間うち三名か四名くらいがお勧めです。
二つ目の注意点は相手として日本語ができない人を選ぶこと。日本語ができる人の場合、相手もこちらと同じように日本語を話す機会が欲しいと思っている筈で、イニシアチブを取って日本語で話そうとします。こうなると相手の日本語練習の場になってしまい、貴方がポツポツと中国語を話しても日本語で返され続けて結局日本語だけになってしまいます。まあ飲み会としてはそれも楽しくていいかもしれませんが。
三つ目の注意点はしっかり酔って且つ記憶を保つこと。羞恥心がなくなり堰を切ったように話し出すのはかなりお酒が入ってからです。そうなるともうベラベラ喋っちゃいます。ただ問題は飲み過ぎて何をどう喋ったか覚えていない状態になること。そうなると何か楽しくたくさん話したなあという記憶だけ残って、肝心の中国語のやり取りは頭に残りません。大変難しいことではありますが、しっかり酔う、しかし記憶はしっかり保つよう頑張って下さい。
私はもちろん、大いに飲んで大いに喋ってほとんど覚えていないというタイプです。もう少し自分をコントロールできるよう頑張らなければ。
中国語会話の修行を兼ねて観光をしようということで台湾に旅行に行きました。中国出向業務から解放されて日本で仕事をしていた頃で、中国語に触れる機会があまりなく忘れてしまう危機感を覚えていたからです。台湾には英語も日本語も話せる人が多いと聞くので気楽に中国語を使えるだろうと考えていました。
台北のホテルに着いたら早速中国語トライです。「你好!请问」と言ったらすぐに「日本のお客様ですね?御用は何でしょうか?」と日本語でスラスラ話してこられました。「さすがホテルの従業員はよく勉強してるな」と思い外に出ました。地下鉄に乗り行き先を調べようと日本語で書かれた地図を眺めていたら「日本の方ですか?どちらへ行かれますか?」と。お昼ご飯を食べにガイドブックに載っている店を探していて並んでいる人に「请问」と話しかけると「あ、私日本語話せます。何ですか?」と。う〜ん。。。台湾大学に行って展示館に入った時、学生さんがいて中国語で話しかけようかと思ったのですが、もうその頃になると私も事態を把握していて諦めました。十中八九ニコニコ日本語で答えてくれたことでしょう。
たまたま日本語ができる人にたくさん当たったのだろうとは思うのですがそれにしても台湾の人の日本語能力の高さにはビックリ、台湾の日常生活で中国語の修行をするのは難しいことを実感しました。修行はできませんでしたが台湾の人たちの優しさと日本への好意に触れ、幸せな旅になりました。
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台湾 中正纪念堂
中国語以前に、そもそも日本人は外国語を話すことが苦手な人が多いように思います。ものごとの正解のみを良しとする教育の影響か、恥の文化の影響か、上手く話せないと恥ずかしい」とためらう人がとても多いです。あるいは「人の話は最後まで黙って聞きなさい」と教育されているためか会話の中で話すチャンスを捉えられない人もいます。外国人との会議で外国人が一方的に話をして日本人はそれにただ頷いているだけ、そうしているうちに時間切れ終了というのは会社でよく見る光景です。
そんな日本人の一人である私でもなんとか能動的に話ができる工夫を紹介します。
時間がとれない兼業学習者でもHSK6級合格レベルに到達できるノウハウ集