日本語人にとって中国語の発音はとても難しく、悩みが尽きません。
なぜ難しいかというと日本語よりも発音の数が圧倒的に多いからです。中国語の発音にも日本語の50音図に似た母音(あいうえお)と子音(かさたなは・・・)の関係があります。しかしその数は膨大で、母音は36個、子音は21個あるため、単純計算でも400以上の組み合わせがあります。また、日本語にない四声の発音が難しい。日本語でも飴(あめ)と雨(あめ)や橋(はし)と箸(はし)など、音とアクセントの違いによって意味が異なるものがありますが、中国語では四声(4つの音の変化)があり、声調の変化によって意味も変わります。つまり中国語の発音は約400音、さらに四声が加わると、なんと約1300音の発音があることになります。しかもそのうちローマ字読みできるものは7割ほどで、できないものが3割もあるそうです。これだけの差があるのですから、なかなか上達しなくても過度に凹む必要はないかもしれません。
しかし通じないとやっぱりガッカリします。基本的には自分で発音できないものは聞き取れないので、リスニング能力もなかなか伸びません。いくら集中して聞いても分からない言葉が、書いてもらうと「なんだ、それか」となる時にもやっぱりガッカリします。
しかし、私が一番凹むのは、一所懸命に中国語で話しかけているのに、「Sorry,I cannot speak Japanese.」と返されることです。悔しくて「I am speaking Chinese.」と言うと「えっ⁉︎」という申し訳ない顔をされて、また凹みます。中国語を話していると認識されるまでの高い壁、何としてもこれを越えないといけません。
私の場合、実力で越えるのは難しいので策を弄します。会話を始める時に発する最初の言葉を、絶対的に自信がある言葉、例えば「你好」を大きな声でゆっくりと発し、「中国語を話しているんですよ」をアピールをするのです。相手が「你好」と返してくれたら認識OK、返してくれなかったらもう一言得意な言葉を投げかけて相手の反応をみます。それでも中国語を話していると認識されないようであれば、自分の心が折れてモチベーションが下がるのを防ぐため、諦めて英語で話します。
因みに、英語で会話していると面白いこともあります。中国人も英語が上手ではない人もいるので、聞いていると「Can you speak Chinese 吗?」と中国が混ざってしまう人もいます。いわゆるChinglishです。こちらが中国語で凹んでいる時に相手のこういう愉快な間違いを聞くと微笑ましい気持ちになります。