中国で最も有名な平仮名「の」

日本製品やアニメ人気の高まりや日本への旅行者が増えたにもかかわらず、反日教育やドラマの影響なのか、日本文化は今ひとつ中国大陸には浸透しない気がします。日本人にとって外国に来た気がしないほど日本文化が浸透している台湾と比べると、歴史的背景があるにせよ今ひとつの感が否めません。それでも少しずつ日本的なものが増えてきています。飲食店や行楽施設に日本語が使われるものも増えてきました。

温泉や抹茶などの日本のものがそのまま展開されているものに日本語が使われるのは当然ですが、中には中国のものにも無理やり?日本語が使われるようなケースがあります。その中でも最も多用されているのが「の」だと思います。

機械的に変えているだけなので意味的に首を傾げるようなものもあります。しかしそれは別の狙いの新しい使い方だと考えることができます。日本に和製英語がたくさんあります。ある記事で、アメリカ人が京都のお肉屋さんに「Flesh Shop」と書いてあるのを見て「Meat Shop」だと教えてましたが、店主らは頷いただけで変更はしなかったそうです。彼らにとってFleshかMeatかは問題ではなく、英単語を使っていたのは単に注意を引き付けるためで、肉屋であることは外から見れば分かるので、意味を伝える目的はなかったからだ、という解説がありました。

中国人はアニメなどの影響で日本的のものに楽しいオシャレなイメージを持っていて、日本語を入れることでその雰囲気を醸し出しているのだと聞きました。やり方として簡単な中国語の「的」の部分を「の」に変えて使うケースが多いようです

つまり中国でも日本の和製英語と同じ現象が起こっているのだと思います。「の」を使う中国の人たちも意味ではなくイメージを求めているのでしょう。それに気付いてからは意味的におかしな「の」の使い方でも納得するようになりました。

日本語が使われる新言語、今後の展開が楽しみです。

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知中派が中国の全てを肯定している訳ではない

中国のことを知る人が中国の全てを肯定している訳ではないということを知った上でコミュニケーションしないと、不要な誤解を招くので注意が必要です。

最近新型コロナのパンデミックの責任を問う話が引き金になり、知中派の方々の中国擁護のコメントに非難中傷が多くみられるようになってきました。しかし、ビジネスや文化交流を通してある程度中国との関係が深い方々は、中国の良いところを知っている一方、当然ながら悪いこともたくさん知っていて、実際に被害を被ったり苦々しく思っていたりしているものです。私自身も現在中国で暮らしている訳ですが、未だに定期的に中国への嫌悪感が高まって帰国したくなったりします。

知中派側の問題もあります。過剰に中国を擁護してしまうことがあります。まずは反発心からくるもの。報道や他人の意見が自分の知る中国と違って違和感を感じる場合、必要以上に擁護することがあります。次に同情心からくるもの。確かにまだまだ悪いのだけど良くなってきた改善代を過大に評価してしまうことがあります。客観的にみて私はこのパターンが多いです。

同じ事象でも捉え方の違いによって事実認識が変わってしまいますし、そこに感情的なものが加わると解離がどんどん大きくなります。中でも中国に関する認識の乖離は他国に関する認識の乖離よりも大きいのではないかと思います。世界一の人口、広大な国土、政治経済の変化の速さ等々、中国を最大公約数的に一律表現することにそもそも無理があります。そういったことを踏まえて非難中傷ではなく建設的な議論ができれば良いと思います。

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中国EVの現状(2020年5月時点)

自動車業界100年に1度のパラダイムシフトを実現すべく、中国は電気自動車化に向けて国をあげて邁進してきました。莫大な補助金を与えて規模を拡大してきましたが19年7月に購入者への補助金を半減させたことをきっかけに販売が低迷するようになり、今では市場崩壊かとまで言われるようになっています。当初は100社以上といわれたEVスタートアップ企業も現在では体力がある20社程度に絞り込まれているそうです。そこに新型コロナが追い討ちをかける形になって20社も、そして上海に工場を建設したテスラも販売不振に悩んでいます。政府は2020年中には補助金を終了するとしていますが、終了したらそのままなくなってしまうのではないかといわれるほど深刻なようです。

実際に南京の状況をみてみると、中国のテスラを目指してようやく工場建設〜生産にまで漕ぎ着けたBytonは実生産に至れておらず休止中です。立派な外観の工場ですが静まり返っていました。NIOのディーラーにも人影は疎で、購入が進んでいる様子はありません。インフラの整備も充電スタンドは休止状態のものがありますし、以前より増えている様子もありません。街を走る電気自動車も数年前より減っている気がします。知人によると今では電動車は「网约车」ネット契約車=ネット上で騒いでいるだけで宣伝しているような実態がない車、などと揶揄されている状態です。

しかしそれでもこれからの大きな潮流は電気自動車なのだと思います。今後ドイツや日本のメーカーも参入して商品の質も量も上がっていき、生き残ったローカルスタートアップ企業との熾烈な戦いになります。そこで淘汰、統廃合を繰り返しながら高度化していって、本当のパラダイムシフトが起こるのだろうと思われます。

まだまだこれからだと思います。楽しみです。

2030 中国自動車強国への戦略 世界を席巻するメガEVメーカーの誕生

大人気の日本AV

現代中国の特徴として外すことができないのが日本のAV人気です。中国で人気の日本人女性といえば、山口百恵、酒井法子、浜崎あゆみ、石原さとみ、と経緯してきましたが、近年では飯島愛、蒼井そらといったAV女優の人気が高まりました。

中国では性の話がタブーとされています。教育現場でも性教育は重要視されておらず「思春期の身体衛生」の授業が1~2回ある程度、家庭でも親は性についてほとんど語らないそうです。当然AVなどのポルノ系コンテンツの製作は禁止されていて、テレビで性的描写を見ることはほとんどありません。

しかし性は人間の3大欲求の一つ、止められるものではありません。禁止されればされるほど逆に興味を持つということもあり、ネットでAVを検索し続けます。中国人は欧米のAVはあまり興味がなく、想像で自分事化し易い(外見が似ているから)日本のAVが好きです。結果、日本のAV女優の蒼井そらがメディアに登場するほどの大人気になっていました。中国の男性で蒼井そらを知らない人は少ない思います。尖閣諸島の領有権が問題になった際のデモで「釣魚島(尖閣)は中国のもの、蒼井そらは世界のもの」との幕が作られていたのには驚きました。

日本にあって中国にないという意味で性関連ビジネスは大きな可能性を秘めています。ただ、やはりAVは文化的にはアンダーグラウンド、日本人として「日本=ポルノ」というイメージが強化されてしまっているのは少々残念ではあります。最近街にも無人のアダルトグッズ販売店ができていますが、そこに「日本」の文字が冠されているのはやはり抵抗があります。

先に通じる喜びを味わう

語学は習得するのにとにかく時間がかかります。コミュニケーションができる喜びを感じる前に先の見えない学習で挫けてしまい、やめてしまうケースが多々あります。道半ばでやめてしまうとそれまでの労力と時間が無駄になってしまい、大変もったいないことになります。そんなことにならないように、先にコミュニケーションができる喜びを味わうことをお勧めします。完全習得を待たずに先に楽しんでしまうのです。

そうは言っても下手な状態で外国人と向き合うのには抵抗があります。そこでお勧めなのが、日常でよく使う決まり言葉や文章を一つ二つ完璧にまる覚えして使ってみる方法です。多くは必要ありませんし難しいなら文字を覚える必要もありません。音だけを完璧にコピーして使ってみるのです。人によって違いはありますが音だけをコピーして口に出すとまず伝わらないということはありません。そして伝わるととても嬉しく、もっと話せるようになろうとモチベーションがアップします。

題材としてお勧めなのはアルク社の「起きてから寝るまで表現」シリーズです。私は学生の頃に英語ができず、社会人になって必要に迫られた際に「とにかく簡単な会話だけでも」と手に取ったのが同書の英語版でした。いつくか自分の好きな表現を丸覚えしてアメリカ人に使ってみたところ、意外にもうまく通じてとても嬉しかったものです。だから中国語でも同じアプローチをやってみて、その時の喜びをモチベーションにして何とか今でも学習を続けています。

もちろん、このやり方で通じるのは自分が覚えているセリフだけなので、その後先方から何かを聞かれても話は続きません。ニヤニヤしながら何とかその場をやり過ごのみです。ただ、一言でも意思が通じ合えたら以降は話し易くなり、ブロークンでも良いから会話をしようと頑張るものです。それがまた学習しようとする気持ちを高めます。

是非試してみて下さい。「超入門」がオススメです!

元気なお年寄りが感染を広げる?

日本に比べて中国には元気なお年寄りが多いと思います。女性であれば中高老年が夕方から広場に集まって音楽を流して華麗に?踊っています。男性は公園で凧揚げやコマ回しをやっています。そして男女問わず、麻雀やトランプを大勢が集まってワイワイやっています。とても楽しげな光景なのですが新型コロナの感染が広がっている時にはこれがクラスターになる可能性が高く、政府によってすぐに禁止されました。

お年寄り、特に男性はマスクをせよ、消毒をせよと言われても「ワシは大丈夫」みたいな思い込みでやらない人が多いです。それは中国でも同じらしく、武漢に住んでいるある人のお父さんは市政府から厳戒令が出されているにも関わらず普段と同じようにマスクをせず出歩いていて、奥さんにキツく叱られてやっとやめたそうです。私も近所のスーパーへの入場時にマスクをせず検温にも応じないお爺さんが警備員と喧嘩している場面に出会しました。南京弁だったのではっきりとは分かりませんでしたが、「ワシは(コロナが)流行っている時から今まで全く何にもなかった、予防など必要はない」みたいなことを言っていました。

中国南京では新規感染者ゼロが長く続いていて終息に向かっていると判断されていますが、まだまだ油断は禁物だと思います。5月だというのに35度にもなった南京では案の定お年寄りたちがマスクを外してワイワイしゃべりながらトランプを楽しんでいました。コロナ第二波のクラスター発生などということにならないよう、注意して頂きたいものです。

日本語が堪能な親しい中国人の中国語が最も分かり難い?

少数意見かもしれませんが、日本語が堪能な親しい中国人が中国語を話すと全然分からないという人がいます。私も同類で、友達、同僚、通訳さん等々の日頃日本語で会話している人が急に中国語に切り替えるとサッパリ分からないという経験をよくします。感覚的に、付き合いがあって慣れた人の中国語の理解度を+、初めて会った人が話す中国語の理解度を±0とするなら、日本語で付き合ってきた人の中国語の理解度は-というくらい、分かり難い感じがあります。しかもそれはアメリカ人など他の国の人よりそのギャップが大きいと感じます。皆さんは如何でしょうか?

自分自身の感じ方を深掘りしてみると、そういう人たちは自分にとって日本人と同じような対象になっているのだと気付きました。日本語を学ぶ人は基本的に親日で日本の文化や考え方に理解があります。その上同じ東アジア人として見た目が似ているので、ほとんど違和感なく日本人のように接しています。その(自分にとっての)日本人が突然流暢な中国語を使うと、日本語で交流する時とのギャップ大きさへの戸惑いに、こちらが中国語を上手く使えない気恥ずかしさ等が加わって勝手に焦ってしまい、分かるものも分からない心理状態になっているものと思われます。その人の中国語だから分からないのではなく、自らが勝手に作り上げたメンタルブロックが原因だと思います。

「◯◯さん、ちょっと中国語で話をしてみようよ」と言われた時は要注意、ひと呼吸おいて「この人はいつものあの人とは違う人」と認識を切り替えた上で会話に入るようにしています。その工夫で少しは改善してきたと思っています

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日本再生に向けた中国語習得

シン・ニホンという日本再生の必要性を論じた書籍が出版されました。過去15年でデータ×AIの技術革新に日本は完全に取り残されていて、当該先進国と同じプラットフォームを作り出すのはもはや無理。しかし江戸の鎖国から明治維新後に西欧を模倣し実用と連結の技術を磨いて発展してきたやり方を今から実施しよう。そのための出口産業は既にできている。今こそ意識変革して再生を目指そう、という、とても勇気が出る内容です。新型コロナで社会のあり方が激変しましたが、それにも合致した納得性の高いものです。

当該プラットフォームを持つ先進国といえばGAFAを持つアメリカとBATHを持つ中国です。日本は先ずそれらの国々でどんなIT革新が進んでいるのか、具体的に何が実用化されていてどんな課題があるのか、知ることから始める必要があります。どちらの国から学ぶかはケースバイケースで選ぶことになりますが、どちらにしても先方からわざわざそれを日本に紹介してくれる訳ではないので、とにかく先ず情報を取りにいくための言語能力を身に付ける必要があります。

英語でも中国語でも、今後は必須になる、という曖昧な追従思考ではなく、日本再生に必要な能力として主体的に習得していきましょう。

シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)

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悪意の賠償ではなく善意の援助を

新型コロナが中国から広がったということで、損害を被った欧米諸国が中国に賠償金を支払うように要求しています。今のところ発生原因が分かりませんし情報の隠蔽がどれくらいあってそれが悪意あるものだったのかどうか分かりませんが、少なくとも戦争のような意図的な攻撃だと証明できない限りは賠償金というのは不適切ですし、何より中国の一般国民の苦しみを伴うものであってはいけません。

中国の一般国民の目線でいえば、国民は明らかに被害者です。家族や親族が亡くなった方もたくさんいますし、失業でひどい生活苦に陥っている方もたくさんいます。そんな中で中国発のコロナが世界中で猛威をふるっていることを申し訳なく思っている人がたくさんいます。そんな人たちが外国から犯罪者呼ばわりされた上に身銭を切るような賠償金を求められたらどうでしょう?反発して善意が悪意に変わり、関係が悪化するのは容易に想像できます。

中国との関係なんて悪くなって結構、とにかく金を払え!というのが主張なのだと思います。しかし一時的に賠償金を得て経済をリカバリーしたとしても関係悪化はグローバル経済全体の悪化を引き起こします。現在の経済環境で中国を除いて維持発展することは極めて難しい筈です。もはやグローバル経済は国同士の密接な繋がりの上に成り立っていることを再認識する必要があります。そもそも世界人口の約20%を占める中国人を無視した社会などあり得ません。

例えば外国からの強制ではなく、中国発意によるお見舞い金や経済援助という形にできれば、国際関係にプラスの影響を及ぼします。各国の政治家の方々は狭い利権視点ではなく、大局的な全体最適の視点でポジティブな意思決定をして頂きたいものだと思います。

中国国内コロナ第二波リスク?

中国は5/1から労働節の休暇に入っています。報道によると1.2億人もの人が国内移動をするそうです。中国国内はコロナが終息に向かってはいますが、労働節の大移動がコロナ第二波を発生させるのではないかと危惧されています。政府も観光地への立ち入りを制限するなど警戒をしています。微信のページでは都市ごとの危険度が高中低でリアルタイムで表示されるようになっていて立ち入りを制限(立ち入ったら出た時に14日間隔離)するなど工夫しています。

コロナ自粛からの開放感、春の陽気、連休の楽しみでウキウキする気持ちはよく分かります。私の周囲にもさすがに危険地域の北京や哈爾濱(4/30時点)には行かないものの、実家に帰省したり小旅行に行ったりする人はたくさんいます。一度痛い目にあっているだけに自家用車を使うとかマスクは常時着用するとかの対策はとっています。しかし人の接点が増えれば増えるほど感染リスクは高まる訳ですからやはり危険な状態だと思います。

あくまで日本人との比較ですが、中国人は危険時は極端に怯える人が多く、逆に危険が去った雰囲気になると過度に調子に乗る人が多いと思います。感情のままストレートに行動する、そんな1.2億人が浮かれて動く。本当に気を付けて欲しいものです。

留得青山在不怕没柴烧

中国では気軽に起業廃業を繰り返す人が多いという記事を書きましたが、有識者の方から今では状況が変わっているのでは?とのご指摘を頂きました。リーマンショックの際に温州市を始め多くの人が自殺した。昔は何度でも立ち上がれると言われていたけど今は逆に再起不能になる社会、気軽に起業廃業はしなくなっているのでは?とのことでした。そこで実際のところどうなのか、中国人の同僚8名に聞いてみました。

リーマンショックの時の温州市での自殺多発についてはみんな知っていました。経営難に陥った中小企業の経営者が夜逃げして、次に貸付金を回収できず出資者に返せなくなった高利貸し屋が夜逃げして、市民がパニックになり自殺者も出たそうです。ただ、同僚たちは、そこまでいったのは中国ではレアケースだという捉え方でした。

そして今回のコロナショックで自殺者は増えると思うか?と聞くと「自殺する人はいるだろうけど少ないと思う」とのこと。日本で自殺者が増えそうだと話すと「何故自殺などするのか?日本には自己破産制度もあるのなら死ぬほど困ることなんてないではないか?」自分は借金から逃れても社員や関係者を路頭に迷わすことになったのを苦にして…と言うと「中国人ではそれはあり得ない。逃げるだけ。自分が生きてさえいればなんとでもなる」と笑われました。そして「留得青山在不怕没柴烧 」ということわざを教えてくれました。青い山には木があり、木さえ残っていれば切って薪にできる。飯を炊くことができる、食える、生き残れる。転じて命さえ残れば希望はあるという比喩だそうです。

私の同僚たちが楽天的なだけかもしれませんが私の肌身感覚とは合致した回答でした。

とはいえ、様々な考えの人がいるのが中国です。今回のコロナで自殺する人もやはり少なくはないのだろうと思います。そんな中国の人たちにも「死ぬこと以外かすり傷」を伝えたいです。

死ぬこと以外かすり傷