愛すべき老中国:恐怖の五つ星ホテル

中国のホテル等では、四つ星とか五つ星とかやたらと星の数の表示が多いです。一応国家旅遊局がその評価をするようですが、実際にはその手の評価を行っている機関は乱立していて、それぞれの基準で評価しているようです。スタッフだけの評価もあれば、利用者の感想のポイントで評価するところもあります。なので、五つ星ホテルだと言われても本当に良いサービスが受けられるのかどうかは疑問です。昔は更に怪しくて、自称では?と思われるところがたくさんありました。

技術支援の業務の場合は、受益者負担の原則で先方企業が出張費を出します。先方は当然出費を抑えたく、ホテル代もなるべく安くしたい訳です。当初は料金だけを優先してあまりにひどいホテルをあてがわれて、不快さが仕事の士気にまで影響していたので、五つ星ホテルを選ぶことで合意しました。そして先方が選んだ五つ星ホテルに行ってみるのですが、「どのへんが五つ星なの?」と問いたくなるほど問題が多発しました。

部屋に入るとアメニティー関係の備品がないのはお約束です。掃除も十分にできていません。ゴミ箱にゴミは残っているし灰皿には吸い殻です。フロントに連絡してスタッフに来させますが、謝りもせずに対応してサッサと出て行きます。ベッドに横になってしばらくすると体が痒くなります。またスタッフを呼んで洗った(たぶん)シーツに交換です。テレビはつきません。早々に諦めます。シャワーを浴びますが、当たり前のようにお湯が出ません。近くの部屋では大勢が集まって、ドアを開け放して酒を飲みタバコを吸いながら大声でマージャン大会です。眠れません。やっと終わって寝ていたら、なにやらタバコの煙が部屋の中に侵入してきて臭くて眠れません。夜勤の従業員が吸っているのが換気口から入ってくるのです。遅くなったから翌日寝過ごしてはいけないと、フロントにモーニングコールを頼みます。時間になってもコールはなく寝過ごします。朝食はお粥と漬物と茹で卵がメインで品数が少ないです。そして不味いです。チェックアウトの際にフロントの横に掲げてある派手な五つ星の表示は、よく見ると何やら手作りのようです。そのような自称(?)五つ星ホテルに遭遇するたびにホテルの変更を打診し、「日本人は贅沢だ」などど非難されながらも移っていき、6つ目にようやくシャングリラホテルに行き着いて、心の平和を取り戻しました。

ところが、2018年に高級ホテルのずさんな清掃の実態がネットで暴露されました。ホテルのスタッフは客が使っていたタオルで浴槽や便座、便器の裏、洗面台、床などを拭き、そして同じタオルで歯磨きコップやコーヒーカップまで拭いていました。シャングリラ、リッツ・カールトン、シェラトン、コンラッドフォーシーズンズなどの世界的な有名ブランドホテルです。シャングリラに行き着いて安心していた私が甘かった訳です。中国のホテル、まだまだ問題は山積みのようです。

中国文化を理解する(★★★★★)

言葉というものは意思疎通のツールなので、人々が伝えたい内容を基にして成立しています。伝えたい内容というのは人々が共通的に考え行動するもの、つまりその国の文化が基になっています。従って、言語を習得するためにはその国の文化を理解する必要があります。逆に言えば文化的背景を理解していれば言語の習得は容易であると言えます。

中国文化と言っても範囲が広くてどこを見ていけばいいのか迷うところです。そして他国からではなく中国での見方で理解していく必要があります。文献を探していたところ、南京大学の海外教育学院で勉強していた知人から良い本を紹介してもらいました。中国国務院が大学の協力を得て編纂した中国語教育の副読本で、「中国文化便覧」です。中国文化理解の導入的位置付けだと紹介されていますが内容は豊富です。伝統思想、美徳、古代文学、科学技術、伝統芸術、文物、建築、工芸美術、民族、生活などが網羅的に紹介されいます。ありがたいのは日本語が併記されていることで、とても分かり易いです。是非一度ご覧になって下さい。

これの発展版として「中国歴史便覧」と「中国地理便覧」も出版されています。合わせて読むことで見識が深まり、中国語の習得に大いに寄与すると思います。


HSK6級の语病题を克服する(★★★)

HSK6級の阅读のパートで最も難しいのが、一番最初の「语病题分类解析」だと思います。これは外国人には本当に難しく、中国人でもサラッと読んだだけでは間違いに気付かない場合もあるようです。多くの人が6級で高得点を狙うために、ここは最初から捨てて他に時間を使うと言います。後半の長文読解は、漢字を読むのが得意な日本人は時間さえかければほとんど正解できるので、そちらを優先するのが得策なのは間違いありません。私も前回受けた時はそうしました。ただ、せっかく学習しているのにいつまでもできないというのは残念なので、本格的に取り組んでみることにしました。

四つの短文から一つの間違い文を探し出す、これが10問あります。全体の時間配分を考えるとこのパートは10分足らずで終える必要があります。つまり、文法を理解することと速く読めることが求められます。速く読むことについては別途紹介するとして、ここでは文法について紹介します。

先生がいいテキストを紹介してくれました。それによると出題される間違い文にはパターンがあり、6つに分類されます。①主に主語や述語等の必要な言葉が欠けている「成分缺失」、②主語と述語、或いは動詞と目的語が合っていない「 搭配不当 」、③同じ意味の言葉などを重複して使っている「词语重复使用」、④前後の文章が繋がっているかに見えて構文を成していない「句式杂糅」、⑤形容詞や副詞の位置が間違っている「语序不当」、⑥用語の使い方が間違っている「词语使用错误」です。更に6パターンそれぞれに対して典型的な間違い例があり、それを整理して覚えて網羅性を高めていくことで、少しずつですが時間をかけてじっくりと読めば確信を持って回答できるようになってきました。

ここで得点できる人はやはり同じように学習されているのはないかと思います。せっかく学習しているのですから、ここもしっかり解けるようになって達成感を味わいたいものです。

以下、私が紹介してもらった参考書とは違いますが、5級と6級の模試集を掲載しておきます。ご参考まで。

愛すべき老中国:交通にまつわる話

中国高度発展期の90年代からしばらくは、新旧が入り混じった不思議な状態でした。多くの途上国と同じく、中国も固定電話が発達する前に携帯電話が導入されたので、携帯電話の普及が非常に速く、馬車に乗ったおじさんが携帯電話を弄っているという、日本人から見たら不思議な光景がたくさんありました。

当時は車といえば大きな黒塗りのセダンで、アウディが大人気でした。公務員は自国開発車である紅旗を使うよう推奨されていたそうですが、多くがアウディの高級車に乗っていました。不動産投資で大儲けする人が出始めていましたので、ビックリするような高級車もたくさん走っていました。そんな中、リヤカーに積載量の10倍くらい(見た目)の大量の荷物を載せて自転車に乗ったおじさんやおばさんが、自動車道をノロノロと横切っていました。

ルーフの上にカメラが搭載されている車をよく見かけていました。何かと聞いてみると、運転免許の路上試験用の車両とのこと。当時はお金さえ払えばほとんどのことがOKになる時代でした。運転免許の路上試験では、運転技能が不十分でも試験官にお金を握らせれば合格認定を得ることができました。それをさせない(実際の運転映像を第三者が見て合否判定する)ための車載カメラでした。お金といえば、夜の街で違法営業をしている飲み屋等でも、警察が見回りに来たらお金を握らせて見逃してもらっていました。店のオーナーが「定期的にやって来て小遣いをせびるのです。困ったものです。」と笑って話していたのを思い出します。

交通ルールもあってないようなものでした。もちろん飲酒運転は当たり前です。ある朝三車線ある道路の真ん中を超低速でふらふら走っている車を見付けました。こんな時間に酔っ払い運転は珍しいなと思って運転席を覗き込むと、おじいちゃんが膝に孫のような幼児を乗せていました。おじいちゃんがアクセルを踏んで幼児にハンドルを操作させていたのです。二人がキャッキャとはしゃいでいる様子を見て、呆れはしましたがちょっぴり微笑ましい気持ちにもなりました。

そんな光景が繰り広げられている中、突如として新幹線が現れた時には心の底から驚きました。未開の地に巨大なマシーンが現れる、まさに未知との遭遇の感覚でした。しかし、その新幹線も技術やシステムの育成途上でバンバン営業を始めたので事故が相次ぎ、脱線転落した車両を原因究明が不十分なまま待たずに(諸説あり)埋めてしまったという、証拠隠蔽が疑われるような事件もありました。