日本と中国の間にはまだまだ偏見や疑念に根差した人心の隔たりがあり、そのために互いの不利益になっていることがたくさんあると思います。中国側は発展していく過程で日本を参考にしたり、買い物目的から始まった日本旅行が盛んになったり、アニメブームなどで若い世代を中心に日本に興味を持つ人が増えたりと、ある程度日本への理解が進んできたと思います。一方の日本側の中国への理解が進んでおらず、これは今や日本にとって非常に不利益な状態だと思っています。
個人的には2020年のコロナウイルスへの対応でそれがよく分かりました。感染拡大防止について、感染が真っ先に拡大した中国の取り組みは良くも悪くも諸外国にとって先行事例でした。人命にかかわることです。成功であろうが失敗であろうが事実としてそれを素直に研究し応用展開すれば命が救えたかもしれません。しかし日本はどうもそういう研究をしているようにはみえず、中国の情報を得ても斜に構えて眺めているだけ。感染者数の隠ぺいとか極端な隔離策とか、日本人にとって「中国ニュースとはかくあるべき」みたいな情報のみを面白おかしく語るだけで、自国の益になるものを学び取ろうという姿勢に欠けていると思います。結果、中国の感染拡大を「中国はダメだなぁ」と評論家然として眺めていた日本は人口比でみると中国以上のパンデミック状態になりました。
中国政府が意図的な報道をすることは多分にあります。しかし程度の差こそあれ、それはどの国にもあります。素直に学ぶ姿勢があれば、情報から意図的な部分を差っ引いて、何か役に立つものを取り入れる筈です。個人の付き合いで考えてみても、仲の良い友人の情報は、たとえその人に誇張癖や隠ぺい癖があったとしても、どこか利になる部分を見出して取り入れる筈です。また、先行したのが中国ではなくアメリカだったらどうでしょう?何でも盲目的に取り込むだろうことは想像に難くありません。
過去に中国に関わっていい思いをしなかった人たちがなかなか認識を変えられないのは、似たような経験をしてきた者としてよく分かります。「だって中国って〇〇でしょ?」をいつまでも払拭できない。しかし、ものすごい勢いで変化を遂げている中国はもはや明かに過去の中国ではありません。人もどんどん変わっています。若い人などは日本の若者よりよっぽど品がよく優秀な人がたくさんいます。それを理解しないと次第に取り残されることになります。
生き残り繁栄していけるのはその時点の富める者でも賢い者でもなく、変化に対応していける者です。中国に対して過去認識はとりあえず置いておいて、現状の事実ベースで理解していくようにすべきです。