街を歩いていると気を付けなければならないことがたくさんありました。人混みでガチガチ人にぶつかったり、食べ歩きしている人の串が服に触れてタレが付いてしまったり、車のタイヤで足を踏まれたり。どれも日本では大変なことですが住んでいると大抵のことには慣れて対処できるようになります。しかし中でも対処が難しかったのは「狙撃」と「ニオイ攻撃」でした。
まずは狙撃。空気の悪い中国、気持ちは分かるのですが、多くの人がそこら中で「ぺっ」と唾を吐きます。おじいさんから若い女性まで遠慮なくやります。気を付けていないと命中させられてしまいます。最初の頃は「ぺっ」とやられたらサッと避けていたのですが、次第に予兆があることに気が付きました。「ぺっ」の前の「かあ〜」です。どこからか「かあ~」と聞こえてきたら素早く周囲を見回し、狙撃手を見付けて避難です。コロンビアで仕事をしていた時は銃声らしき音がするとサッと伏せる訓練ができていた私ですが、中国では「かあ〜」でサッと避難できるようになりました。しかし問題は予兆がない狙撃、片鼻を押えて「ふんっ!」とやります。これには対策の取りようがなく至近距離でやられたらほぼアウトでした。不幸にも命中させられて「あああ〜!」と言うと狙撃手は「没问题」と。どういう意味の没问题だったのか今でも分かりませんが、せめて「吗?」を付けて欲しかったです。
他に困ったのがニオイ攻撃。いい天気の日に完全に気を許してのんびり歩いていると、突然生ゴミが腐ったような臭いに襲われて仰け反ってしまいます。「くさ〜い」とかそんなレベルではなく、強烈な刺激臭に目がチカチカするほどでした。これも予知するのは不可能で、ある区画に入ったら突然鼻がひん曲がる刺激臭に襲われます。いい気分を一瞬で台無しにしてくれます。「くさいかもしれない」歩行をするしか予防策はなく、気を許せません。
他にも、突然上から水が落ちてきたり。アパートの上の部屋で脱水をしていない洗濯物を通りの真上に干したり、エアコンの室外機が通りの上にあって水がボタボタ落ちてきたり。これも命中させられるといい気分を一瞬で台無しにしてくれていました。
近年かなり改善が進んだような気がしますが、以前の状態に慣れている私は今でも警戒心いっぱいで街を歩いています。