以前は床がゴミだらけの店が美味しい店だとされていました。人気がある店はお客がたくさん入ってたくさん食べてゴミを床に捨てるからということです。海鮮であれば剥いたエビやカニの殻、貝殻、魚の骨などを床にポイポイ捨てる、殺菌のためだとかじる生ニンニクのカスもペッペと床に吐き捨てる、ついでにタバコの吸い殻もポイポイ捨てるといった具合です。酔っ払ってビールの瓶をひっくり返す人もたくさんいて、床はゴミと液体でヌルヌル、すごい臭いになっていたものでした。酔っ払いがトイレに行こうとするとズルッと滑って転んで殻で手を切ったりしていました。
煙台など海沿いの都市は海鮮料理屋が多い(というかどこに行っても海鮮ばかり)で各店がそういう状態だったので、街中が海鮮とニンニクの臭いでいっぱいだったように思います。
もちろん肉料理でも同じ、羊肉の塊を食べれば骨を床にポイポイ、串焼きを食べれば串を床にポイポイしていました。日本の習慣で育った日本人は最初は眉をひそめますが、次第にゴミを捨てる手間がないことに心地良さを覚えて、遠慮なくポイポイし始めます。
近年公衆衛生の意識が高まってきたことで、都市部ではそういう店はほとんど見なくなりました。良いことなのでしょうが、以前のあの雑然とした活気ある風景が見られなくなってきたのは少々寂しいです。
因みに、海鮮料理の殺菌用の生ニンニクですが、私にはあまり効果がなく、十中八九お腹を壊していました。無菌状態で育ってきた日本人の抵抗力の弱さですね。