愛すべき老中国 : 並ばない

以前の中国を知る人は現在の中国人が列に並んでる姿を見るとビックリすると思います。若い人を中心に整然と並びます。これは以前では考えられないことでした。

私の初めての中国経験は出張で海南島だったのですが帰国時の空港での出来事は今でも忘れられません。空港のチェックインカウンターに行ったのですがまず並んでいるのかどうか分からない密集状態でした。よく見ているうちに列らしきものを見付けたのでそこに並んでいました。すると次から次へ人が割り込んできます。当時は中国語が全く分からず、何やら前の人に話しかけながら入っていくので知り合いかな?と思ってされるがままにしていました。でもどんどん入ってくる。これは単なる割り込みだ!と気付いた時には既に搭乗時間の直前になっていて、慌てて人混みにダイブして怒鳴りながらチェックインしました。

バス乗り場でも同じ、全員が密集してダンゴ状態になっていて、バスが来たら全員が入り口に殺到します。満員になっても押し入ろうとするので、運転手が側に人がいるのにドアを閉めて走り出そうとします。電車でも同じ、並びもせず中の人が出る前に押し入ろうとするので降りられない人乗れない人の怒号が飛び交います。車の運転も同じ、前に隙ができると我先に頭を突っ込むので全員が身動きが取れなくなり大渋滞。買い物でも同じ、我先に殺到して何やら叫びながら商品を取って買っていくので言葉ができない外国人には太刀打ちできません。イライラして「並べこのバカ!」と日本語で怒鳴り付けたりしていました。もちろん誰も気にする人などいません。

こういう場面に遭遇するたびに笑いや怒りを通り越して「この人たちはいったい何を考えているのだろう?」と思っていました。「運転手がルールを守って整然と運転できるようになったら中国は発展するだろう」と思っていました。

しかし考えてみると、そう遠くない過去の中国は並んでいても自分の番は永遠に来ない社会だったのです。自分のものはどんなことでもして自分で勝ち取らないと死んでしまいます。こういう時代を経験した人は我先に殺到するというのが当たり前の習慣になっていたのです。そう考えると、今でも年配の田舎の人は割り込んだりしますが許す気になれます。今では並んだらちゃんと自分の番が来る社会になりましたので、これからマナーはどんどん向上していくことでしょう。

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