相手の言葉が聞き取れない時は推測するしかありませんが、その推測作業が語学力の向上に役立ちます。私は中国語が少しできるようになってから通訳さんが面白がって付いてくれないことが増えたのですが、言葉が十分に分からなくても何か反応したり決めたりしないといけない場面は多々あります。そういう時に、もちろん言葉は必死で聞くのですが、それ以上に会話の背景やその場の状況から反応を考え、話し手の表情や口調や身振り手振り、周囲の人の反応などを五感を総動員して感知しながら、頭フル回転で相手の意図を推測します。この訓練を続ければ、少しだけ聞き取れる言葉と組み合せてかなり正確に読めるようになります。
相手の意図が読めたら、聞き取れなくて一旦流した音を頭の中でリピートし、何を言ったのか追認します。言葉を聞いて意図を理解するのではなく、意図を理解(推測)してから言葉を理解するという逆の順になっているのですが、瞬時にやれば会話に違和感はほとんど生じません。更に1回目の話しかけが分からなくてもとりあえず拒絶はせず、分かったような顔で聞き続けることで、2回目3回目の話しかけで意図が分かる(推測できる)ことも多々あります。これらの作業は集中して必死でやっているので追認した言葉もしっかり記憶に残ります。私はこの作業によって中国語力が向上してきたと思います。
私は中国で仕事をする中で、この推測能力の方が伸び、後から中国語力が付いてきているというのが実態です。やむを得ない状況になったら誰もが当たり前にやることですが、語学力向上のために敢えて自分をそういう状況において訓練することをお勧めしたいです。