中国の大学進学率の変遷

近代中国では文化大革命によって10年以上の知識人の冷遇や抑圧があり、1977年に制度を見直し78年から大学教育を本格的に再開しました。後に大成功した改革開放は教育制度の改革から本格的に始まったといえるようです。しかし、当初は大学の研究員や教員などは極めて乏しくなっていて、量的不足、質的貧弱といった状態だったそうです。そのために海外先進国から学ぼうと、留学制度も改めて設定されました。

大学教育本格再開当初の進学率は3%程度で相当優秀な人ばかりだったですが、勉強ができても家庭条件などを理由に入学を拒否される場合もあったそうです。アリババ創業者のジャック・マーは80年代の高考経験者で、入試に2度失敗して3度目にようやく合格したことを謙遜して語っていますが、全体の中ではひと握りの優秀な方だといえます。短大専門学校を含む大学進学率は、78年から91年までは3〜4%(日本は35〜40%)、92年頃から増え始めて98年に9%(日本は約48%)、2010年には約25%(日本は約55%)、現在では約50%、日本はここ数年約55%のままで横ばい状態なので、日本に追いつき追い越す勢いです。

私はこの数字を実体験から納得しています。私が本格的に中国の方々と仕事をするようになったのは2004年ですが、合弁事業としてしっかりタイアップして仕事ができると実感し始めたのが10年後の2014年でした。会社の実務リーダーが仮に35歳から40歳だとすると彼らは1992年から97年に大学に入学する年代、大学進学率が急増し始めた時の18歳です。優秀な方が政府機関だけでなく民間企業にも入ってきて、会社の中枢を担い始めるタイミングだったのだと推測します。

今や中国初のイノベーションが次々と出て科学技術や経済の発展を加速しています。時間はかかりましたが、教育改革の大きな成果が出てきたのだろうと思います。

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