「三体」紹介Part2

以前中国語の読解力を上げるために適した中国の書物として「三体」を紹介しました。紹介したものの私自身は最後まで読破できた訳ではなく途中で挫折していました。挫折した理由というか言い訳として、ストーリーを知らない複雑な内容を中国語で読み解いていくにはパワーと根気が必要で、続かなかったと説明しました。しかし遂に日本語翻訳版が出てストーリーを把握できましたので、改めて中国語版を最後まで読む気力が蘇りました。

日本でも話題になっているようなのでご存知の方も多いと思いますが、三体は中国でもアメリカでも大ヒットし、アジア圏では初となるヒューゴー賞(最も優れたSF作品に贈られる賞)を受賞しました。

三体は地球往時と呼ばれる三部作の一作目にあたります。小説のタイトルは天文力学の「三体問題」からきています。内容を簡単に紹介しますと、文化大革命の頃の中国から話が始まり、物理学者の父を殺害された女性天体物理学者が宇宙にメッセージを発信します。次に場面は現代に移り、ナノマテリアルの専門家の男性のまわりで優秀な物理学者が次々と自殺する不可解な事件が起こります。専門家はその謎を突き止めようとしますが、自身の目にも謎のカウントダウンが見えるようになり困惑します。実は異星文明が持つテクノロジーに彼らのナノテクノロジーが深く関係していて、研究の妨害をしていることが分かってきました。事件を追いかけるうちに三体と名付けられたVRゲームに行き着きます。三つの天体の中では複雑な相互作用が起こって軌道が予測できず、その環境で生きることがどれだけ過酷かということが疑似体験されます。

それが第二部の「黒暗森林」、第三部完結編の「死神永生」へと続きます。現時点で第二部と第三部は日本語訳はされていませんが、英語版を読んだ方によると話がどんどん壮大に広がっていくそうです。

三体は2006年に発行されていて、第三部完結編は2011年に発行されています。発行して14年も経っているSFのストーリーが高評価を得て評判になっていることは驚きです。逆にいうと私も含め中国語ができない人は中国人よりも14年も遅れて知るということです。言語というのは新しい知識をタイムリーに得るための重要なツールであると、改めて思い知らされました。第二部・第三部は邦訳はまだ先のようなので、原書で読むことに改めて挑戦しようかと思っています。

日本語版の三体と中国語版三部作のリンクを貼っておきますので参考になさって下さい。

三体

三体(1-3)(套装共3册) 中国語版書籍

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です