以前はよく「値引き交渉で中国語を練習する」というような話がありました。今でも中国語の練習方法を紹介する読み物に値引き交渉を推奨しているものもあります。実は私はあまりそういう経験がなく、特に最近では値引き交渉そのものを見る場面がほとんどないので、本当にそれで練習になるのか疑問です。
私が経験したのは20年ほど前に台湾で現地の同僚が夜市に連れて行ってくれて、私が買うものを彼が値切ってくれたことです。当時は私は中国語が全くできなかったのですが、ものすごい言葉の応酬に、「これは外国人には絶対に無理だな」と思った記憶があります。
自分では10年くらい前に北京のおみやげ屋さんで見つけた置き物を値切ったことがあります。難しい言葉は使えないので、ただひたすら「安くして」と言い続けただけでした。3割くらい安くしてくれて交渉自体は楽しかったのですが、言葉の練習にはなりませんでした。
その後中国で生活する機会を得ましたが、現在は社会が発展してきたこともあって、値切ることができる店は周囲にはほとんどなくなった気がします。値切っている中国人もほとんど見ません。大きなデパートや高級店は以前から値切れませんでしたが、一般的な個人商店や商業ビルでも値切れません。一声かけようとすると最初から「不谈价钱」と言われることもあります。
日本にいると中国社会の急激な変化を認識するのは難しく、過去の固定観念や古い情報で判断してしまいがちです。現在の中国では値引き交渉で言葉を練習するのは無理だと思います。