中国で仕事をしていると多くの人と出会いますが、名前が覚えられなくて困ります。こちらは覚えていないのに向こうは自分を知っているというケースです。改めて会った時に向こうは親しげに話しかけてくれるのに、こちらは思い出せなくて非常に気まずい思いをすることになります。
中国に仕事をしに来る日本人は、多くの場合少数、あるいは単独で、多くの中国人と接します。名刺交換をしても相手の数が多過ぎてなかなか覚えられません。懇親会などで次々に乾杯の挨拶に来てくれると、向こうは新密度を増して覚えてくれますが、こちらは相手が多いのでやっぱり覚えられません。しかも次第に酔っ払ってきて記憶が怪しくなるのでさっぱりダメです。二日酔いで目覚めた翌日に、ポケットにたくさん名刺が入っているけど、誰が誰だかサッパリ覚えていません。しかも中国人は同じ姓の人がたくさんいて、それも覚え難い要因になっています。
困り果てた私は、考え抜いた末に素晴らしい解決策を見付けました。それは、中国人に多い姓の李/張/王を日本語読みにして混ぜて早口で、且つ「さん」を付けて堂々と呼びかけることです。「(リ)チョワンさん!」みたいなイメージです。そもそも日本人の下手な中国語の発音は通じないので、自分の名前の日本語読みっぽい呼びかけを「さん」付きで聞いたら、何となく名前を呼ばれた気になります。李/張/王を混ぜているので類似発音のものを含めて多くの姓をカバーしているはずです。そして何より、何やら堂々と呼びかけられるので、知人だと認識して挨拶しているという好意は伝わります。そして、その後会話をしながら「この人誰だっけ?」とじっくり考えるのです。私はこの秘策で多くの窮地を脱してきました。
今となっては中国語レベルが多少なりとも上がりましたし、冷静に考えると相手に失礼ですしちょっと恥ずかしいのでもうやりませんが、中国語初心者で中国赴任の初期に人間関係を構築する暫定策としては秀逸だと思っています。笑