中国語では「どうせ通じないから話す気になれない」つまり、発音の難しさが話せない理由である人がとても多いと思います。中国語には音のバラエティーが多く、拼音をきちんと使えないと伝えるのは本当に難しいです。知っている言葉でも口に出すと全く通じない。しかもどういうわけか、中国人は他の国の人に比べて、なんとか近い発音で話しているつもりでもその努力?を汲んで理解しようとしてくれる人が少ないです。「だいたい分かったからいいか」「たぶんこう言いたいのだな」というふうに、推測しながら会話を進めることをあまりしてくれません。その挙句に、中国人が聞き取れない時に発する「ああー?」というぶっきらぼうな口調や「チッ」というイラっとした舌打ち(日本人にはそう感じる)で凹んでしまい、二度と話したくなくなる人が大勢います。
しかし難しいといっても通じる言葉もたくさんあるわけで、通じる言葉だけを使って話すことでなんとか会話は成り立ちます。まずは単語の羅列でもなんでも良いのでとにかく会話をして慣れていく。そして並行して難しい言葉を練習して、マスターできれば加える、マスターできなければ使用せず練習を続ければな良いのです。とにかく会話をすることが重要です。
日本人が苦手なのは「日本人」「可乐(コーラ)」「去/就」などです。私は未だに中国人から「あなたは日本人なのに『日本人』の発音が下手だね」とからかわれますし、飛行機内でコーラを注文するとコーヒー(甘いミルク入りの)が出てきたりするので、自分が克服できている訳ではないということをお断りしておきます。それでも気にせずどんどん話しているうちに慣れてくるもので、苦手な単語をネイティブに聞いてもらいながら直す努力をしています。因みに、私が中国語会話で一番凹むのが、一所懸命に中国語で話しかけているのに相手から「Sorry,I cannot speak Japanese.」などと英語で返されることです。悔しいので「I am speaking Chinese.」と言うと「えっ⁉︎」というなんとも申し訳ないような顔をされてまた凹みます。中国語では、まず相手に中国語を話しているのだと認識してもらうまでに高い高い壁があります。それをようやく乗り越えてなんとか中国語を話していると分かってもらえても、流暢な日本語で「日本語で大丈夫ですよ」返されたりするのもガッカリします。中国語発音マスターへの道は険しいです。しかし凹んでいる場合ではありません。
日本人は恥の文化や暗記100点を目指す教育のためなのか、会話に消極的な人が多いです。ちゃんとできないと恥ずかしくて話せないという感じです。一方、多くの他の国の人たちは大して上手くもないのに間違いを気にせずどんどん話します。彼らは漢字の習得に時間がかかるので、会話から入らざるを得ないという事情もあります。日本人と違って見た目が明らかに中国人と違う外国人なので、そもそも下手で当たり前と認識されることが積極性に良い方向に影響しているということもあると思います。日本人が読み書きの習得が早いのに対して、彼らは会話の習得が非常に早いです。言語学習、特に会話はスポーツに似ています。「喋る聞く」の技能を伸ばしていくことが大切で、技能を伸ばすには繰り返し練習するのが一番です。使える言葉、単語の羅列からでいいので、どんどん会話をしていきましょう。