愛すべき老中国 : おみやげ

中国のおみやげといったら何でしょうか。現在は中国にモノが溢れていて中国らしいものが目立たなくなりました。日本人は中国的なものを好きな人が少ないですから選択が難しいです。無難なところではお茶でしょうか。中国ではなく経由する韓国の海苔とか博多の明太子などの方が喜ばれるという話も聞きます。あるいは奥様からは「モノはいらないからお金を持って帰って」とか。昔の中国には定番のおみやげがありました。偽物のブランド品、違法コピーのDVD、クスリです。

偽物のブランド品では高級時計が特に喜ばれました。おおっぴらではなく比較的目立たない地下街とかに小さな店があり、言えば奥から次から次へときらびやかな高級時計が出てきます。ロレックス、オメガ、タグホイヤー、パネライ、ブルガリ、ブライトリング、ゼニス等々、ほとんどのブランドがありました。私自身は保有しませんでしたが性能も悪くはなかったそうで、見た目そっくり、そして安いということで大人気でした。興味深かったのは仕事では中国語を全然話さない人が、こういう店では片言の中国語を駆使して値引き交渉をしていたことです。交渉というより「便宜点儿吧!」しか言わないし知らないので、一方的な値引き要求です。意外と結構な値引きを勝ち取れたりして面白かったです。相手が日本人ということできっと元々ぼったくり価格を提示していたのだと思います。女性ものならグッチやエルメスのバックです。いい年したおじさんが奥さんへのおみやげを安く買おうと頑張る姿は微笑ましいものでした。

そして違法コピーのDVDです。そんなのどこで撮ったの?どうやってコピーしたの?と聞きたくなるほど、世界中いろんな種類の映画、ドラマが大量に破格の値段で売っていました。日本の昔の名作映画やアダルトものなど、5元とか10元でみんな嬉しそうに買っていました。当時は中国で違法という概念がなかったのか薄かったのか、結構目立つ場所にある大きな店や屋台で堂々と売っていました。街外れの屋台に行くと品揃えは少ないけど更に安い。中国の映画館で新作映画を見て、その帰り道でふと屋台をみると、その作品が既にコピーDVDで販売されていてびっくりしたこともあります。

そしてクスリ、いわゆるバイアグラです。当時狼一号と呼ばれていたそのクスリを、中国通のおじさんから「〇〇通りの〇〇という店で売っているから買ってきて!」と頼まれて、まだ若かった私はおっかなびっくり買いに行ったことを思い出します。当時日本ではこのようなクスリは市販されていませんでしたが中国では普通に売っていましたので、買うのは容易でした。しかしそれにしても「狼一号」というネーミングには笑いました。

首尾よく頼まれたおみやげを買って「さあ帰国!という時に、多くの人はふと気が付きます。「これってひょっとして日本への持ち込みは禁止なのでは?」中国で当たり前に売っているので違法であることの意識が薄れてしまっているのです。ではどうするか?律儀に(?)シラっと持ち帰る人、その結果税関で見つかって没収される人、いろいろいましたが、多くの人は中国の会社に置いて帰っていました。そして後に出張した人がそれらの物品を見付けて「あの人がこんなものを」と笑う、それがお決まりのパターンでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です