英語などを共通言語にして非ネイティブの外国人と会話してコミュニケーションができた喜びを感じた人は多いと思います。下手ですが互いの知っている言葉を駆使し探りながら、何とか意思疎通ができた時は大変嬉しく、大仕事を互いに協力して成功させたかのような達成感があって大いに盛り上がります。私も英語が下手な頃に(今でも決して上手いとは言えませんが)同じく英語が下手な台湾やマレーシア、インドネシア、コロンビアなどの人たちと交流してとても楽しかった経験があります。
もちろん中国語でも同じことが起こり得ます。知人が中国の大学で留学生向けの中国語講義を履修していました。その人の誕生会に参加させてもらった時のこと、アメリカ人、フランス人、チリ人、オーストラリア人、カザフスタン人、日本人らいろんな国籍のクラスメイトたちがいたのですが、みんなが下手な中国語を駆使してキャッキャとはしゃぎながら会話していました。もはや中国語には聞こえないようなブロークンでシンプルなものでしたが、多国籍のメンバーの共通語としてしっかり機能していました。非ネイティブの集まりだと誰も中国語が完璧ではないので、間違いを気にする必要がない(恥ずかしくない)こともあって積極的になれるようでした。その交流レベルの高さ、盛り上がり様にすっかり感心してしまいました。
やはり言語というのは英語であろうが中国語であろうがコミュニケーションツール、下手でもなんでもとにかく使って意思疎通をすることが大切なのだと改めて認識した出来事でした。中国語は東南アジアなどでも広く使われているので、中華圏以外でも使える場所が多いと思います。積極的に使って中国語学習のモチベーションを高めていきましょう。英語のTOEIC検定では、近年は英語の共通語としての機能に着目して、リスニング問題にネイティブ以外の人の会話も取り上げられるようになっていると聞きます。中国のグローバルでの影響力が拡大していくにつれ、中国語も同様に共通語としての重要性が高まると思いますので、将来はHSKでもそういった考え方が取り入れられるかもしれません。
ただ、非ネイティブとの会話は、文法も発音も気にせず「通じればそれで良い」やり方なので、間違った使い方がそのまま定着してしまうリスクがあります。事実、私の知人は中国人の友人から「日本人なのになぜ欧米訛りの中国語を話してるの?」と言われ続けていました。クラスメートの欧米訛りがうつってしまったのです。かなり苦労して矯正していましたが、未だに欧米訛りは抜けていないようです。ブロークンチャイニーズでの会話を楽しむのと並行して、正確な中国語の学習を進めることをお勧めします。