中国を敬遠する理由の一つに食の安全問題があると思います。ダンボール入りの肉まんや毒粉ミルク、排水の油の再利用などの事件は日本でも報道されて広く知られました。あれから事態は改善したのでしょうか?
事件は起こり続けています。中華まんをふわふわにするためにアルミニウム入りの発酵剤が使われていたのが発覚、13年には新鮮に見せるために湯葉に漂白剤などの化学添加物を入れていたのが発覚、14年にはリピート性を高めるためにケシの実を麺料理に入れていたのが発覚、15年には白く鮮度高く見せるためにホルムアルデヒドに浸したエビが売られているのが発覚した、等々。私が中国の知人に直接聞いた話では、安い蟹を高価な上海蟹として売るために酸をかけて腹部の殻を白くしている、肉に油、野菜に水を注入してカサ増ししている(これは常態化)、月餅は前年の売れ残りを出しているものが多々ある、粗悪アルコールを使った白酒を飲んで死ぬ人が毎年たくさんいる等々。調べれば調べるほど、聞けば聞くほどげんなりする話ばかりです。
もちろん食の安全は自国の重大な問題なので、中国政府は取り締まりを強化しています。おそらく改善は大幅に進んでいるのだろうと思います。しかし、一部の農業従事者や食品生産者の「高くたくさん売れさえすれば他人の健康被害など知ったことではない」という拝金意識が現時点で根絶されているとは考え難く、問題解決は至難の技だと思います。
そして衛生の問題もあります。市場や商店やスーパーでの店員や客の食材の扱いは、具体的に書きませんが、日本人的には信じられないほど不衛生なことが多いです。これは衛生に関する常識の違いなので仕方がないと思って、私はこういうところでは絶対に購入しないようにしています。一度見たら購入する気にはなれません。
食の安全の意識が高い中国の富裕層は、材料の産地から加工業者、検査結果までトレースできる高級食材店や、日本などの外国から安全な食材を取り寄せたりしています。外食は危ないからほとんどしないという方もいます。中国人自身が信用していない訳なのでやはり現状では安全とは言い難い状況なのだと思います。
中国に住んでいる日本人がこれから来る人に「問題ない」などとアドバイスしているのを見聞きすることがありますが、危険だと思っています。化学物質混入などは腹痛などですぐに分かるものではなく、体に蓄積していくだけに恐ろしいです。命に関わることなので念には念を入れて対応すべきと思います。