私は中国語の学習を始めてかなり時間が経ちますが、未だに始めて会った人の言葉が聞き取れないことが度々あります。一方で特定の人とコミュニケーションが深まってくると、同じ言葉でもその人の口から出たものなら聞き取れたりします。単純にその人の発音や思考方法に慣れるからだと思うのですが、この現象は私が勉強してきた英語やスペイン語に比べて中国語が明らかに顕著です。中国語は音のバラエティーが多く、発信する音の個人差も大きいからだろうと推測します。(ただ、深く付き合っても仲良くなっているのにどうしても聞き取れない人もいます。その人が重慶弁であるというのが原因の一つですが、他の人の重慶弁は分かるので、本当に不思議です。)
そこで私は、不特定多数の人の言葉を漫然と聞くのではなく、特定の人と集中的にコミュニケーションをして、自分の会話力と「分かる感」を高めてそれを拡大していく方法をとっています。まずは聞き取れる人を対象に会話を深め、気になる言い回しは後から文字で確認し、同じ言葉を他の人がどういう言い方をするか聞いてみるという具合です。
その「特定の人」としては、中国語の先生、会社のドライバーさん、職場の同僚など数名をターゲットとして勝手に設定しています。それ以外の人と話をしないという訳ではないですが、他の人の言うことは聞き取れなくても割り切って聞き流すようにしています。一方ターゲットとの会話では、聞き取れない言葉があったらとことん聞いて完全に理解するようにしています。もちろん「リスニング」で紹介した「録音して聞く」手法もこのターゲットの方にお願いします。
ターゲットの対象としては、会話する機会が多い人なら誰でも良いですが、やっぱり自分が好きな人が楽しくていいです。嫌いな人だと苦行になり続きません。そして、できるだけ方言が少ない人がいいと思います。方言は慣れてうつってしまうからです。私の周囲の日本人で慣れてしまって南京弁になってしまっている人もいます。それと当たり前ですがあまり寡黙な人とは会話が盛り上がらないので、おしゃべりが好きな人が望ましいです。私の中国語の先生に絶え間なく喋り続ける人がいましたが、その方とは会話というよりはむしろリスニングの訓練でした。
この方法を続けてターゲットを少しずつ拡大していけば、いずれは誰とでも会話できるようになるはず!と気の長い計画を進めています。人によって意識して聞くか聞かないかというだけの話ですが、かなり効果的なのでお勧めします。