日本人が中国に行きたがらない理由の一つに水質の悪さがあります。大気は改善に向かっていますが、水の方はまだまだ改善しているとはいえない状況です。
多くの先進国の水道水が飲める基準に達しているのに対し、中国では水道水は飲めません。それどころか、肌が弱い人がシャワーを使うとかぶれたり痒みが生じたりします。私は肌のトラブルが少ない方ですが、長年中国に住んできたにもかかわらず、未だにシャワー後に痒みを覚えることがあります。日本人はもちろんのこと、中国人でも日本に長期滞在した後に中国に戻ると肌のトラブルが発生したという話はよく聞きます。ホテルで湯船にお湯をためると黄色く見えることすらあります。日本人が行きたがらないという以前に、中国人の健康被害が懸念される状態なので、早急に改善する必要があります。
汚染の原因は大きく①水源が少なく汚い、②浄化施設が古く十分に浄化できない、③送水管が古く錆や汚物が混入する、の三つのようです。①は工業化の過程で汚染物質を垂れ流してきて、更に水源が枯れて水が滞留していることもあって、河川水も地下水も飲用処理が難しいレベルになっているそうです。近年垂れ流しの禁止の厳格化や河川浄化活動が進められているので、時間はかかりますが改善に向かうと思います。②は浄化装置やプロセスは他の先進国と大差ないそうですが、元々の水源の汚染が酷すぎるので十分ではなく、より高度な処理技術や設備が必要です。また、③は1950年代に設置された鋳鉄やプラスチック製のものが多く耐用年数が超過していたり継ぎ目が割れたりしているそうです。②③を対策するには大規模な工事と予算が必要で、抜本的に手をつけるのが難しい状況のようです。
そんな状態なので、今のところ水については自己防衛に努めるしかありません。飲料水は必ず信頼できる会社のものを購入すること、生活用水はできるだけ煮沸したものを使うこと、水道水を直接使うのはできるだけ避けること。決め手はないですが注意するしかありません。そして地元の人が大丈夫だからといって真似をしてはいけません。日本のきれいな水で慣れている人の体は汚染に対する抵抗力が弱いので、同じことをして大丈夫とは限りません。自分で考えて判断するようにしましょう。
南京では河川の浄化に力を入れるようになってきました。以前はヘドロで悪臭が漂っていた近所の川も最近ではなんとか底が見えるレベルに改善してきています。早く安全に水が使えるようになって欲しいものです。